女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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どうもこんにちは! ついに「ルシェかえ!」は一周年を迎えました! ワーイ

とは言ったものの…普通に考えたところでこの時には20ー2編が始まっているはずなんですよね。自分のサボり癖ってひどいものですね。

後…今回はタブレットキーボードで書いたので文がややひどい傾向にあります。PCが今手元にないんよ…

と、とりあえず、ルシェかえ一周年、58Sz、どうぞ!


Chapter6 『状況』狭めし『ウラオモテ』
58Sz やらなくてはいけないこと


 願わくば、人類に……勝利を―――!!

 

 

 

「―――っあああああ!!!!」

 

 突然、全身の痛みを感じて俺は跳ね起きた。思いっきり床にも激突して、さらに痛い。

 ついてねぇ。普段の俺だったらそう感じていたはずだ。

 でも、違った。

 

「ど、どうしたロナ!?」

「……なんか悪い夢でも見たかアホ娘」

「ゲホッゲホッ……悪い。突然痛みを感じて……」

 

 っつう……マジでどうしたんだ俺。突然跳ね起きるなんて……。

 いや……もしかしたら何かを感じ取ったのかもしれない。それも強大な……何だ? 俺は必死に頭を巡らせていた。

 

「……おーいボケ娘。聞いてるん?」

「……ちょっと待っててくれよ。何か思い出しそうなんだ」

「何か……?」

 

 あっと。ヒカイさんが間違えて食いついてしまった。いや、ヒカイさんが思ってることとは絶対に違う。

 ………うん? 何を……思い出そうとしているんだ? マジでわけわからない自分に、疑問と苛立ちを隠せなかった。

 いや……。やめた。思い出すにもいろんなもの忘れていて何を思い出そうとしているのか全く訳が分からなくなってきた。とりあえず俺は一息をつくと首を横に振った。

 

「……だめだ。何も思い出せやしない」

「つーかこの状況で何を思い出そうとしていたんだよ」

「……ジョウトぶん殴る方法」

「ハァ!?」

「お前俺の心配は戦闘後以外しないのかよ! ふざけやがって、だったらなんかぶん殴らないと気が済まないたちなんだよ!」

「てんめぇ……どういう冗談だおい!」

「二人ともやめたまえ。特にロナはレディとは思えない発言だぞ?」

 

 うるさいよ。忘れられがちだけど俺男だよ。転生前は。今身体は女の子なんだぞ。……言ってて自分が悲しくなった。

 けど……さっきの痛みはなんだったんだ? まるで……いろんなところ消失してしまったような、そんな痛みが……。あーもううざい。俺はとにかく外に出てスッキリすることにした。もちろん、二人に先に断ってね。

 

 都庁前の広場に足を踏み入れた俺はまず深呼吸。もう焦るのはやめた。焦ってたってもう、何もいいことないんだしな。

 ……少し成長しないと、ガトウさんにもキカワさん……いや、『委員長』にも申し訳ないしな。

 

 ……そういや、なんで『委員長』までもこの世界に来ちまったんだ?

 

 ってか、そもそもどうやって出会ったんだ……?

 

「………ちょいと気になるな」

 

 ……せっかくだし、聞いてみるか。そう思って都庁に入ろうとした矢先―――

 

「……っ」

 

 突然、肌が膨れ上がるような痛みを感じて、俺はとっさにその痛んだ左手を見た。まるで、どっかからの受信を受けているように、なぜか感じた。

 これは……地下帝竜か……? いや……

 

「……違う?」

 

 よく分からないまま、俺は咄嗟に東京タワーの方角を見た。……あまりにも規格外である、絶対にダンジョンと化してるタワーは大気圏すらも突き破って上まで伸びているはずだ。ここからはよく見えないけど、きっとそうだ。

 その屋上から……何か、よくいえない……ものすごい力同士が衝突している?

 左手が震えていた。ここからでもわかるぐらいに強い力がぶつかり合っている。

 

 一体……誰が、『ミヅチ』を……?

 

「おいアホ娘! 大変らしいぜ!」

「誰がアホ娘だジョウト! ……それより大変なことってなんだよ?」

 

 俺は言葉に反感しつつも、ジョウトの持ってきた情報を聞いてみることに。

 

 

 

「さっき入ったばっかしの情報なんだけどよ……アメリカが消滅したらしいぜ」

 

 

 

 ……え?

 

 

==========

 

 

「………本当、みたいなんだな」

「えぇ。とても信じられない状況ではありますが…メッセージにて確認できました」

 

 会議室。俺たち13班の他に、10班やネコさんにダイゴさん、フウヤがいた。アメリカの消滅は比喩表現なんかじゃなかった。一応、大人数は地下に匿うことができたのではあるけど、大統領は…。

 …やっぱり、今でも信じられないけど……けど、今朝のがそれが原因ならいろいろ考えられる。

 ……くそっ。やっぱり、これも『アイツ』の仕業だよな…。早くなんとかしないかぎり、こっちの消耗が激しくなる一方だ。そのためにも……

 

「…キリノ。準備は大丈夫だよな?」

「えぇ。後は完成を待つだけです」

 

 そう言った矢先に、扉が開く音がして俺たちは振り返った。噂をすればってやつだと思って。

 

 でも、違った。

 

 開いた扉の先は、やや中年の、スーツ姿の人物であった。作業するのには完全に不得手な格好だ。

 

「………」

「あの?」

「ムラクモは…信用できん」

 

 唐突に告げられた言葉。その言葉を理解するのに俺は少しだけ時間がかかった。その人は続ける。

 

「これより我々、反ムラクモ派は1フロアを我々のものとし、今後一切ムラクモとのかかわりを遮蔽させてもらう」

「…なんだって?」

 

 ダイゴさんが言う。スーツ姿の男は、ダイゴさんをにらみつけた。

 

「なぜ貴様らのような不良組織をこの都庁に入れた? おかげで諸君たちの名誉は一瞬にして下がった。これをどうやって回復しろと?」

「っ…」

 

 キリノが苦しい顔をする。俺自身も声をあげたかった。俺たちは何も間違ってはいないんだって。

 でも、言えない。それは、今言ったのもそうだけど、何より司令塔だった『アイツ』がいなくなった上に事件の首謀者であることで、俺達にも当然疑いの目は向く。反論したくても、できなかった。

 

「話はそれだけだ。…精々、身の回りの確認をすることだな」

 

 それだけ言うと、その人は帰っていった。シンと静まり返る会議室。その状態で、俺は口を開いた。

 

「…大丈夫です。元々俺達は人命救助もしているんで、今さら『迷惑だから』でここを離れなくて構いません。それに、今が最低でも、何とか信頼を取り戻そうとしている最中ですし」

 

 俺の言葉に、付け加えるようにキリノが言う。

 

「ロナの言う通りです。それに、今さら帰ってくれって言える状況ではありませんよ」

「確かに、オレ達にはやらなくちゃいけねぇことがあるからな」

 

 ジョウトの言う通りだ。俺達にはやらなくてはいけないことが存在する。それでなんとかしなくちゃいけない。こんな絶望的な状況で。

 

「って…あれ?」

 

 何か…引っ掛かるような。何だ?

 えっと、俺達はまずは『ザ・スカヴァー』を討伐しなくちゃいけない。そのためには開発反の人たちの協力が必要不可欠で……

 

「……まさか」

 

 考えるより俺はすぐに会議室を飛び出す。行き先は今現在の俺が霧のように抱えていて、はっきりしないけど考えは分かる程度の場所。

 少しして、その場に到達。辺りはシンと静まっていてなんだかおかしい。

 そうだ。このおかしさが原因なんだ。普通ややうるさいほうがこの場らしいのに、それがない。

 

「………どうしてだよ。あの人達は何も悪くないだろ!?」

 

 開発室……人がいない一室で、俺は叫んだ。

 

 どうして…どうしてなんだよ…!


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