女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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Q 今まで何をしてた! 言え!
A サボってました。

……はい。ガチな方でサボってました。すみません。

Ⅲのシステム見て、「あ、どんなに9人PTにしようとあがこうがダブるのか!?」と思った所存です。……き、きっとサプライズ職があるに違いない!! ほ、ほら、ファイターとか、プリンセスとか、アイドルとか……。見た限りオーダー系いないし!

まぁ、雑談はこれまでに、ついに! 100まであと半分の(100話までいくかなぁ?)50Sz、どうぞ!


50Sz 共闘のうた

「……来たなァ」

 

 渋谷交差点前。

 タケハヤが剣を構え、飛んできた帝竜をにらんでいた。

 ヘビのような長身、蝶のような翼、獰猛な爪。

 

 帝竜、スリーピーホロウ―――

 

 彼……否。彼らにとっては、目の敵。

 渋谷をこんなにしたまでの、元凶―――。

 

=====数十分前=====

 

「―――つーわけで、俺らSKYの連中であの帝竜を見つける。んで、お前らにはそれの手伝いをしてもらうぜ」

「……いいのか?」

 

 最初にロナ達とタケハヤ達と出会った場所で、タケハヤは作戦を立てていた。

 そこにはSKYの他、ヒカイ、ジョウト、そして、ナガレがいた。

 

「あぁ。……こうでもしとかねェと、アイツはいくらでも、俺達の住処を荒らすつもりだ。……止めたって無駄だぜ。オッサン」

「……分かってる。……最適な作戦はそれしかあるまい」

「オッサン……」

 

 ジョウトはいつも以上に真剣なヒカイを見て、だが、それだけでタケハヤを見た。

 

「……で、とにかくアンタらは足止め、ってとこか。……いいのかよ」

「あぁ構わねェさ。つか、そうでもしないと落ち着かねェ」

「待ってください」

 

 ナガレは一歩出て、タケハヤを見た。

 

「その、僕も付き添ってもいいですか?」

「ナガレ隊長?」

「……僕も、役に立ちたいんだ」

 

 ナガレは一直線にタケハヤに志願する。タケハヤは黙り、目をつぶり、口を開けた。

 

「……好きにしとけ」

「ありがとう。……そういうわけだ。ごめん。13班」

「……いや、構わん」

 

 ヒカイはそう述べ、ナガレとタケハヤはうなずきあった。

 

「よっし、んじゃ、作戦通りだ。俺達SKYとコイツで帝竜を探って足止めする。そして13班……ロナはいねェが、そいつらにゃ、急いで合流して叩いてもらう。……以上だ。行くぜ!!」

 

==========

 

「……ま、さすがに4人とはいえ、腐っても帝竜だ。こいつは逃げ回ってるから仕留められねぇと思ったが……まさか読み通りになるなんてよぉ……!」

 

 タケハヤは、獲物を見つけた帝竜が一直線に向かってきたのを確認して、もう一度、剣を構える。

 

「ハァッ!!」

 

 一直線にタケハヤは飛び、斬りつける。臨戦態勢に移っていた帝竜にとってはかすり傷程度なのか、怯んだようすはない。

 だが、タケハヤはまだ続ける。空中にいるままに素早く身体を動かしてさらに一発。

 手ごたえあり。肉を斬るような感覚が剣から伝わってくる。

 着地し、さらにもう一撃見舞うようにすぐに飛ぶ。その勢いを利用して斬り上げ、さらに勢いに乗って帝竜の頭までさらに飛ぶ。

 

「オラッ、この程度かぁ!!」

 

 そこから急降下でもするように叩きつけ、着地と決め、一度距離を離す。

 

「キョオオオ………」

 

 帝竜が小さく唸る。まだ足りないか、とタケハヤは口の中でつぶやいた。

 一応、連戦はしたはずとはいえ、かなりダメージは負っているはずだ。なのにもかかわらず、怯んだ様子も見受けられない。

 

「腐っても帝竜……か」

 

 一直線に突っ込んでくる帝竜を見定めながらも、もう一度剣を握りしめ、同じく突撃する。

 

「だがな……! 俺の仲間たちを汚した罪は重いんだよぉッ!!!」

 

 吼える。

 帝竜からの攻撃。右の爪を大きく、タケハヤに振り下ろす。見切ったタケハヤは身体を低くして避けつつ、さらに懐へ。

 

「キョオオオオ!」

 

 しかし、帝竜は吼えると一度空中へ離脱。その場で羽ばたき、特殊な鱗粉を降らせる。

 

「ッ、チィ……ッ!!」

 

 袖で口を抑えつつも後退するタケハヤ。

 だが、少なからず傷に入ったのか、片膝をついてしまう。どことなく、めまいもする。

 

 その隙に生じて、帝竜はまた離脱しようとタケハヤに背を向ける。

 

「逃が……すかァァ!!」

 

 そう言いながらタケハヤは、近くにあった、張った縄を切る。

 この今の地形を利用した、ワナだ。

 限界まで曲がっていた一本の木が連動して、元の形に急激に戻る。そして、その木の幹にあった大き目のガレキが吹き飛ばされる。

 

 ドンピシャ。

 

 高速で打ち出された特製ワナは帝竜の羽へ直撃。急な攻撃に帝竜はバランスを崩し、一度地面に激突する。

 その隙をタケハヤは逃がさず、剣の先を地面に当て、引きずるような体勢で一気に接近する。

 熱が伝わる。その熱を自身のマナに利用。

 

「グランド……バスタァァァー!!!」

 

 剣を滑らすように一閃する『グランドバスター』を繰り出し、敵の後ろ側へ。

 だが、これでタケハヤは終わらすわけがない。ダウン状態の今だからこそ、さらに連撃を喰らわせる必要がある。

 理由なんてたったの一つ。「腹いせ」だ。

 もう一度飛び上がる。剣を背負うような特殊な構えを取り、そのまま高速で回転しながら帝竜へ。

 

「ファング……ブレードッ!!」

 

 その勢いを利用した一撃を加える。反動でタケハヤは大きく飛び上がり、着地。

 

「キョオオオオオ!!!!」

 

 怒り狂ったスリーピーホロウは無造作に鱗粉をまき散らす。タケハヤは離れようとするが、それより早く毒性のある鱗粉が流れ込み、膝をついてしまう。

 

「く、くそっ……」

「タケハヤ……!」

「っ、アイテルか!」

 

 突然後ろから声をかけられ、タケハヤは思わず振り返る。

 その隙に生じ、帝竜は素早く飛翔、タケハヤに襲い掛かるも、寸でのところで受け止め、はじく。帝竜を睨み付けつつも、タケハヤはアイテルに叫ぶ。

 

「アイテル! 逃げろ!」

「ううん………タケハヤ、もう無理よ……タケハヤこそ……」

「へっ……そう思いたいのは山々だが……」

 

 グッ、と足に力を溜め、地面を蹴ってさらに接近。視界がガタつくものの、これぐらい造作もない。

 身体をひねって、その勢いでさらに叩き込み、一度離脱するように離れる。

 

「生憎と、コイツには死の世界まで逝ってもらう必要があるんでな。それに……いや、それだけだ」

 

 へっ、と笑うと、もう一度突撃しようとする。

 

 が、毒がまわったのか、バタンと倒れてしまう。大きく隙を晒し、焦るタケハヤ。

 

「……チッ、結局、『正義の味方』はこないまま……か」

「そんなことないっ!!!」

 

 突然の声に一瞬幻聴かと思ったタケハヤだが、それを吹き飛ばすほどの妙な浮遊感がタケハヤの感覚を狂わせる。

 吹き飛ばされた? いや……違う。

 トンっ、と地面をたたいた音が聞こえた時には、タケハヤは誰かに救助されたことを悟った。

 

「……へっ、遅っせェんだよ。『正義の味方』」

「す、すみません! でも……もう大丈夫です」

 

 まるでピンチの時に現れるヒーローのようにやってきた人物に皮肉を言いつつも、支えを払って立ち上がる。

 

「……ま、いいさ。とにかく、力を貸してくれ。ロナ」

「もちろん。……とにかく、こいつを倒さなくちゃ、いけない」

「んじゃ……共演といこうか―――!」

 

 そう言ってタケハヤは素早く突撃。ロナはその後ろ姿を見て、このまま進ませると自滅してしまうと悟って一度マナを集中して集める。

 

「『治療の奇跡(キュア)』!」

 

 背に撃ちこむように緑色のマナを飛ばしてタケハヤを回復。その間にタケハヤは大ぶりかつ、力強い連撃で斬り伏せる。息をつかせないラッシュに帝竜は一度離脱する。

 それを見越したのか、ロナは『エアスピアー』を形成して投げつける。見事にヒットし、空中で帝竜を大きくぐらつかせた。タケハヤはすぐに見据え、大きく飛び、叩きつける。一時的ながらも、確実に落下していく。そこにロナは走り込み、大きく飛んで素早く突き刺す。その一撃が深く決まり、帝竜を地面へ落とさせた。

 何をしてくるか分からない。ロナは着地して、一旦様子を見ようとして後退する。

 だが―――

 

「まだまだぁ!!」

 

 入れ替わるようにタケハヤが突撃。グルンとまわって叩きつけを決める。さらに追撃。思わずロナはその背を見て、ロナも同じく突撃する。

 が。

 

「キョオオオ!!」

 

 突然暴れ出し、タケハヤはその反動で大きく隙を晒す。すぐに気づいたロナもフォローしにかかろうとしたが、

 

 それよりも早く、帝竜が特殊な鱗粉をまき散らしながら二人に突進して吹き飛ばす。

 

「ぐ、あ、あああ!!」

「しまっ……タケハ……ヤ……!」

 

 急激に傾きかけた視界の中で、タケハヤがロナに向かって大きく剣を振り下ろすのを見て、あわてて苦無で防御する。鉄と鉄が激突する音、だが、今すぐに殺してやると思われるばかりにタケハヤは叩きつけるのをやめない。

 錯乱。完全に我を忘れて攻撃しにかかる、やっかいな状態異常だ。

 ロナは急いでソレを解除させようととするものの、息をもつかせぬ乱暴な連撃な上に、自身はひざをついていてその暇がない。ロナ自身は錯乱にかかりかけただけなのが不幸中の幸いか。この状況下で味方同士の殺し合いになりかねなかっただろう。

 

「―――くそっ……どうすれば……」

「やめてタケハヤ!」

 

 突然、遠くから声をかけられてロナは防御しつつもそちらの方向を見る。アイテルだ。アイテルも止めようと、こちらに近づいてくる。

 

「だ、だめだアイテルさんっ!! 近づいたら……あぐっ!!?」

 

 突然の衝撃と痛みに、一瞬意識が吹き飛ぶロナ。だが、その一瞬が異常に長く、意識が戻った時には、剣の煌めきが、自分が仰向けの状態で見えた。

 

 まずい。

 

「く………っ! やるしか……!!」

 

 こうなったらヤケだ。ロナは足を無理やり動かして、蹴りつけようとして―――

 

 

 

 

『――――――♪』

 

 

 

 

「……え?」

 

 突然の、『うた』。

 

 そのうたに、タケハヤの動きが止まる。

 そしてその後ろから、帝竜が爪を振りかざそうと―――!

 

「っ!!」

 

 間一髪で気づいたロナは、タケハヤの腕を引っ張って自分の体ごと大きく外へ。間一髪で避ける。

 だが、まだ追撃を仕掛けてくる。さらにもう一つの爪を振り払いにかかる。

 

「マズ……!!」

 

 ダメだ、次は避けられない!! でも、せめてタケハヤを護ろうと、必死に突き飛ばそうとして―――

 

 

「プログラムコード、起動。データよ、介入せよ!」

 

 

 凛々しい声が聞こえたと思った瞬間、帝竜の身体が一瞬止まる。

 

―――これは、「ハッキングワン」………?

 

 でも、声の主は確実にジョウトではない。女性の声だ。

 一体……誰だ?

 

 

「二刀旋刃、『旋風舞い』!!」

 

 

 今度は男の声が聞こえたかと思うと、旋風が巻き起こり、帝竜を傷つけていく。

 

「―――やっちまえよ! 本当はアンタ達が主役なんだからな!!」

 

 先ほどの男の声が聞こえ、ロナは返事はせず、でも、すぐに立ち上がって銃を構える。歌もまだ聞こえる。帝竜もいつの間にか体制は立て直っていたものの、今のロナには関係ない。

 

「―――うおおおあああ!!」

 

 ロナの雄叫び。双銃が火を噴き、ダメージを与えにかかる。

 まだ終わらない。さらに素早くトリガーを引き続けて乱射。確実に、ダメージは与えにかかっている。

 

 条件下を満たした際に使える、『再動(リアクト)』。適当な乱打ではない。正確かつ、さまざまな起点に持って行ける、S級がさらに経験を積み重ねることで使えるスキル。

 

「っあぁめんどくさい!!」

 

 素早くリロードしつつも、大胆にロナは接近する。リロードが終わり、敵の近くで踊るように掃射。さらに蹴りから銃の殴打、そこから零距離でトリガーを連続発射。一つの銃は弾切れになるものの、もう一つの銃を構え、貫くように帝竜の頭めがけてまっすぐに突きだし―――

 

「狂い抜け!『ゼロレンジショット』!!」

 

 マナを増幅させた発砲が勢いに乗って、帝竜に大ダメージを与えた。強烈な連撃は帝竜を大きく下がらせるのには十分だった。

 その真横から、タケハヤが思いっきり斬りにかかり、さらに追撃。ロナと帝竜の間にタケハヤが割り込むような陣形になっていた。どうやら、錯乱は解けたらしい。

 

「仕舞いにすんぜ! ロナ! 魔法撃てるなぁ!?」

「了解!!」

 

 タケハヤの背で、素早くマナを集め、火に変換、さらに増幅させる。

 その間にタケハヤは連撃を繰り出してトドメへの準備をしかける。

 

「……よし! タケハヤさんっ!!」

「あぁ!!」

 

 帝竜へとロナは腕を一直線に突き出し、マナを放出。

 

「『猛撃なる焔の息吹(イフリートベーン)』!!」

 

 帝竜を、今までのお礼だと言わんばかりに焼き尽くす。炎が晴れる。赤い霧上のようなマナが空間に浮遊する。タケハヤはその中で剣を上段に構え、そのマナを剣に集める。

 

「喰らいな………エレメントフォロア・ブレイズ!!!」

 

 集めきったマナを帝竜に思いっきり叩きつける。

 

 炎剣と化した一撃は、帝竜に止めを指すのには十分だった。

 

 断末魔を上げた帝竜は地へと沈む。

 

 それっきり、帝竜は動かなくなった。

 

「……」

 

 でも、ロナは今回も素直に喜べなかった。

 別に、自分のやったことには何も間違っていない、と思いたい。

 でも……助けられなかった。

 

「………くそっ……」

 

 恐らく被害は酷いものだろう。なんとなく、分かる。

 結局、こいつを倒したところで状況がよくなるわけではない。

 元凶がとうとう本能をだし、帝竜はここにいたSKYのメンバーに被害を出させた。

 

「どうすればいいんだよ………俺は………」

 

 いつの間にか歌の聞こえなくなった渋谷。

 

 それを現すように―――東京の今の状況は、最悪だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Q なんでタケハヤが初代のファイターの技使えるの?
A サムライと言うよりファイターだから。

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