女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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おまたせしました! せめてセブドラⅢが発売されるまではChapter7に届かせたいですね。

今回はかなり長く書きすぎたので前編後編分けての投稿になります。気づいた時には6000文字行っていたので……(苦笑

それでは、今回も三人称視点の43Sz、どうぞ!


43Sz 強敵の好敵・前編

 

「………やれやれ。待ちくたびれて帰っちまおうかと思ったぜ」

「っ……いつの間に……」

「ククク、遅いだけなんじゃねぇか?」

 

 タケハヤがロナ達を見下すように笑う。その途中に、ロナはSKYが全員居ることを確認した。やはりと言うべきか、さすがだ。

 

「ま、なんにせよ」

 

 タケハヤがロナを見据え、さらに続ける。

 

「ここまでたどり着いたことは褒めてやるよ。ネコやダイゴ、それにフウヤから言わせりゃ、まぁ合格点ってハナシらしいが」

「……?」

「俺はやっぱり、自分で確かめねぇと気がすまねぇタチなんでな」

「……つまり、それが最終試験ってこと……ですか?」

 

 ロナは伝ってきた汗を振り払いつつ、そう察する。ぎゅっと握りしめている手は緊張か、それとも、焦りか。

 

「……だが待ちたまえ。我々は三人、そっちは四人だ。最終試験、と言う割には不公平だと思わんか?」

「安心しろおっちゃん。オレは介入しねぇからな。んなことやって勝っちまったらつまんねーし」

 

 それに、と、タケハヤたちとは数歩後ろ下がっている場所でロナを見ていた。ロナも気になってフウヤの方へ振り向く。

 

「……コイツとは、サシでやりてぇからよ」

「………何でそこまで俺と?」

「さぁ、な。とにかくだ。オレは審判、支配人、見届ける者、そうさせてもらうぜ」

「………分かった」

 

 ロナはフウヤにうなずき、タケハヤ達を見る。

 

「んじゃ、最終試験開始だ……。さぁ、行くぜ!!」

 

 タケハヤが剣を構え、先陣切って突進する。そこにロナが走り、苦無を取り出して、阻止するように走り込む。

 

「はぁぁぁ!!」

「せいっ!!」

 

 タケハヤの剣とロナの苦無が激突する。力量はあり、つば競り合いではタケハヤの方が上だ。少しずつだが、ロナは押されていく。

 それを見てか、ヒカイが突撃し、援護に回ろうとする、だが、同じく、タケハヤの援護に回るようにダイゴもヒカイへと走る。

 

「……貴様の相手は、俺だ」

「ほう……ならばっ!!」

 

 ロナとタケハヤの横で、ダイゴとヒカイのストレートパンチがぶつかり合う。衝撃からか、ロナとタケハヤは一瞬体勢を崩し、その間にロナは素早く剣の軌道を外側にはじいて一度下がり、銃を取り出す。

 

「喰らえ!!」

 

 銃を素早く、タケハヤの方へと連射、タケハヤは防御姿勢を取るが―――

 

「ニャハッ、『冷鉄の甲葬(フリーズ)』!!」

 

 それよりも早く、ネコがタケハヤを護るように『フリーズ』を起動。まるでそれはタケハヤが発したような動きとなり、氷塊を次々と具現化しながら弾丸を止め、ロナへと向かう。

 

「―――させねぇよ」

 

 ロナの後ろからジョウトの声がしたかと思うと、『フリーズ』がヒット。ロナも抵抗できずに氷に空中へと弾かれるものの、すでに準備はできていた。

 

「ナイスジョウト。―――『焦撃の灯火(フレイム)』!!」

 

 そこに二発の炎弾がそれぞれ散らばって行く。一つはネコが作った氷塊へと、もう一つはネコ自身へと。

 

「なっ! あっつ!!」

 

 その一つは直撃し、ネコにダメージを与え、大きく下がらせる。

 ちなみに、先ほど軽減させたのはジョウトの『アイスブレイク』。素早くかけられる上に長持ち、単属性にしか効果がないのが欠点だが、その防御力は侮れない。

 

「……全く、そう焦るな。―――ぬぉぉ!!」

 

 それを見計らってか、ダイゴが一度大きく下がって両腕からマナを増幅させる。そのマナを合成させ、特殊な球体を発生させる。

 

「そうはさせるか―――!」

「おっとオッサン、ここは通さねぇよ」

 

 そこにタケハヤが割り込み、剣を振り下ろす。ヒカイは素早く身体を横に逸らした。

 大きく隙を晒すものの、ヒカイはその一秒の間に、タケハヤを見据えていた。

 

「……やはり、お前だったか」

「ふん。……これぞ、感動の再会ってか?」

「ふっ、さぁな……ハッ!!」

 

 わざと遅めのボディーブローをタケハヤに喰らわそうとしたが、それよりも早くタケハヤが下がり、攻撃を避ける。

 

「大事にしておけ」

 

 その間にダイゴの準備が完了、球体は三つに分かれ、それぞれダイゴ、タケハヤ、ネコへと飛んでいき、回復させる。

 

「……ヒカイさん?」

「あぁ……すまん」

 

 一瞬様子がおかしかったと悟っていたロナはヒカイに声をかける。かけられたヒカイは謝罪し、もう一度構えなおす。

 

「ネコ」

「はいはい。よっと!」

 

 ネコはダイゴに『フリーズ』の根源と思われる青いオーラを飛ばし、ダイゴはそれを右腕に受ける。オーラがダイゴの腕に触れた直後、光がさらに大きくなっていく。

 

「まずそうだな……ロナ。あれを出来るか?」

「え、いきなりすぎ……いや、言ってる暇はないか……!」

 

 ロナは渋々承諾し、同じように『フレイム』の根源と思われる赤いオーラを飛ばしてヒカイはそれを受ける。

 

「え?」

「ほう……」

 

 ネコは驚き、ダイゴは関心を持った。ダイゴと同じく、ヒカイに、正確には、ヒカイのマナに呼応するように大きくなっていく。

 

「……ゆくぞ」

「あぁ……」

「ぬおおおおお!!」

「はあああああ!!」

 

 二人の、援護を受けた拳がぶつかり合う。衝撃が伝わり、周囲にいた全員も吹き飛ばされないように踏ん張る。

 ドンッ! と、衝撃の終わりを告げるような音が響き、ダイゴが数メートル吹き飛ぶ。ヒカイも同じく吹き飛ぶものの、力に至ってはどうやらヒカイの方が上だったらしく、距離が違っていた。

 

「……くっ、やるな」

「じゃあ、ダイゴ。お前が援護に回れ。……久々にアレをやるぜ!!」

 

 そういうタケハヤの剣に、またネコは根源を飛ばし、ダイゴも自身のマナをタケハヤに預ける。

 

「……! 気を付け―――」

「おせぇよ。行くぜッ! これが俺たちのッ!!」

 

 タケハヤが大きく飛び上がり、さらに自分のマナを剣に込め、一気に振り下ろす―――!!

 

 氷塊が、走る。だが、先ほどの強さとは比較にはできないぐらいに、氷は素早く、大きく、この場を暴れてロナ達を引き裂き、凍らせていく。

 

「………」

 

 その氷塊を、タケハヤはずっと見ていた―――


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