女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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どうもです!……実はあるゲームにはまってしまい、面白すぎて更新が止まってました。で、でも一応話はつけていったんだよ?(汗

一番の山場、とも言えますかね今回の話は。二週目の人や経験者は思わず止めようとしたのではないでしょうかね。気のせい?

ではでは、42Sz、どうぞ!


42Sz 進んだ間違い

 ロナ達が進んで何分しただろうか?とにかく、それほどまでに時間かかってる様なそうでない様な。

 途中ロナ達の行く手をドラゴンが邪魔することがあったが、それらは素早く蹴散らして先に進んだ。

 にしても……長い時間。か。とロナは考えていた。

 アイテルの「長い時間」、そして、「星を守る者」。その言葉通りなら、きっと、孤独できつかったのだろう。

 

「もし、アイテルが探していた人物が俺達なら、俺はそれに答えたい。そして……できる事なら、タケハヤさんとアイテルさんには幸せになってもらいたい」

 

 誰にも聞こえない声でそっとつぶやいたロナ。

 

「ニャー助けてー」

 

 遠くに、ネコ(人間の方)がいた。ドラゴンに追われてるみたいだ。その光景に、一瞬ロナ達は止まる。

 

「あ、ちょっと聞いてー。ちょっと刺激したらさぁ―――」

「よし、先に行きましょう!!」

「ニャッ!?」

 

 全力スルーでロナ達は先に進む。

 

「ちょ、ちょっとー!?か弱い女の子が襲われているんだよ!?」

「命令だ。全力で逃げろ!(アサシンアイズ発動」

「は!?ちょっと、意味まじで分からないし!!特に後半!こ、こらー!!」

 

 何故かロナはアサシンアイズを発動させながらさらに、もちろんネコはスルーして先へ。

 

「あ、こ、コラー!本当に待ちなさいー!!……あーいっちゃった……」

「やっぱダメっしたね。ネコちゃん?」

 

 突然フウヤが現れ、手慣れた動きでドラゴンを圧倒していく。そこに怒りでもぶちまけるようにネコも『フリーズ』を起動させて討伐する。

 

「はぁ……結構イイ線いったと思ったんだけどねぇ」

「意外と軽視するときは軽視する、そういった性格なんだろ」

「……仮にもムラクモ、なのに?」

「まぁ元凶はあっちでネタバレしてきたオレなんだが」

「原因お前かー!!」

 

 そんな怒声、ついでに『フリーズ』が起動した音を走りながら聞き、思わず13班たちは顔を見合わせた。

 まさかフウヤが言ってた言葉が本当になるとは思わなかったからだ。

 実は先ほど、フウヤが「あそこでネコが仕掛けてくるぜ」とちょっとしたフェイントと最初は疑っていた。が、ロナも「まぁ、信用してみよう」と言ったのでその通りにしたら本当にその通りになった。

 ロナも確証はなかったのだが、何故かこの出来事を覚えている気がしていた。少しずつだが、疑問から、確信へと変わっていく。

 確か……次は……。

 

「っと、エレベーターだ。乗ろう」

 

 ロナはエレベーターを見つけ、先に乗り込んで起動する。二人もすぐに来て、ゆっくりとエレベーターが上昇していく。

 

「……けど、かなり大きいし、広いなこの工場……。建物の大きさからかなりのものだと思ったけど、さすがにここまで複雑なんてな……」

 

 ロナは上を見ながらつぶやく。どこまでも広そうな場所ではあるが、かろうじて出入口らしき所が上に見えた。

 ネコとフウヤは確実に置いていけたはず。タケハヤはまだ分からない。問題は……ダイゴだ。

 考えられるは一つ。恐らくだが―――

 

「……二人とも。準備した方がいいかも。ここから先は……ちょっと危険だ」

「……珍しいな。ロナがさらに慎重になるとはな」

「……嫌な予感がするんです。なんとなく……」

「そのお前の『危険予知』ってか?」

「……うん。ジョウト正解」

 

 本当は違うのだが、なるべく隠していた方がいい、そう感じたロナはそれだけ言うと、ゆっくり息をついてマナを少しだけ放出する。まだ大丈夫そうだ。それだけ確認して、もう一度息をつく。

 

「………くそっ……なんか落ち着かない……」

 

 それ以前に、ロナは今までの行動に不可解なことを感じていた。

 何かやってしまったような、そんな不安の中に捕らわれていた。

 分からない。でも、やってしまった気がする。

 もし俺が「微弱な方に行く」と言ったらこの感じはなかったのか? ロナはそう思っていた。

 あの時と同じ。ナガレさんが死んでしまうと言った不安感を覚えていた。そして、解決した直後には「本当は死んでいた」と疑いもなく頭の中で思っていた。最悪な人間。それ以前に―――

 

 ガコン、とエレベーターが止まる。ゆっくりと入口が開き、ロナたちは前へと進む。

 途端に、何かが起動した音が、足を踏み込んだロナ達を一瞬止めた。

 

「……やはり来たか。お前たち」

「ダイゴさん……これは……いったい?」

 

 ロナは前方にいるドラゴン五体、その奥にいるダイゴを見ながらそう言う。無表情なダイゴはそのまま、奥へ行こうとする。

 

「これも試練だ。悪く思うな」

 

 それだけ言うと、そのまま進む。運の悪いことに、ドラゴンは全てロナ達の方を向いていて、後ろのダイゴには見向きもしなかった。

 ……ドラゴン五体。この数を一度に相手にするのか? いや……

 

「……迂回はできない。時間がかかるし、さらに、ダイゴさんは進んだ」

「……となると、やることは一つ、か」

「へっ、こういうのもいいよな」

 

 三人は戦闘態勢を整え、ドラゴンに向かって歩き出す。

 ドラゴンたちも一直線に、獲物を見つけて向かいだす。

 

 

「進むしか…………ないよな!!!」

 

 

 

 

「……どうだ? アイテル」

 

 少しして、先ほどの広い通路が見渡せるような、鉄筋で作られた塔にダイゴとアイテルがいた。

 ダイゴが質問した。本当に、ロナ達が『狩る者』なのかを問うためだろう。

 

「あの子たちからは星のような力の煌めきを感じる……あの三人は確かに『狩る者』。私が探し求め、竜との戦いに導かなくてはならない星の加護を受けた戦士」

 

 淡々とした声でアイテルは告げる。答えを聞けたダイゴは無言でうなずく。

 

「そうか。それが分かれば十分だ。あとはタケハヤだな。あの男はどうしても、自らの手であいつらの力を計りたいはずだからな」

「………そう。……でも、少し気がかりなことがある」

「何?」

 

 ダイゴはアイテルの方に向き直る。アイテルはロナ達を見たまま、告げる。

 

「………彼女、少しおかしい。言うなれば、転生……」

「転生……?まるでおとぎ話のようだな」

「えぇ。さまざまなものを代償に、この世界に来たと思う。……そして容姿。あれはまるで……滅んだはずの……」

「そうか……。だが、今はここで考えていられん」

 

 ダイゴはアイテルの話をとぎり、どこかへと飛ぶ。一人残ったアイテル。彼女の視界には、ドラゴンたちを全滅させたロナ達が写っていた。

 

「……転生、そして、過去の文明……もしかして彼女は………」

 

 

 

 

「ったく。お前らは何してんだよ」

「へぇへぇすんません。ちょいとおちょくりすぎましたね」

「全くよ! アンタは何考えてるのよ!!」

 

 口喧嘩しつつも三人はロナ達とは違うルート、今現在は階段を上がっていた。

 

「しっかし、こっちの考えもあっちの考えも分かるお前って危険だな」

「……じゃあ、ここらで除隊しときます?」

「……いや、案外信用できるからとりあえずはこのまんまだ。だが……」

「だが?」

「あぁ、お前はやめとけ。最終試験は、俺達だけでやる。その方が公平だろ?」

「そっすね。……それになにより、今回オレは介入する予定がないんで」

 

 フウヤはどこも残念そうではない声でそう述べる。「へっ」とタケハヤは笑う。

 

「お前のそーゆーつかみどころのない性格が、逆にあのババァとは違うのかもな。……何より、あのババァは、俺らの恨みの対象だ」

「あぁ……あの恥ずかしい女ね」

 

 ネコが低い声でそう言う。タケハヤも黙ってうなずく。

 

「その点で、お前は合格ラインだ。お前はある程度信用に値する。しかも……純粋なS級らしいな?」

「……まぁ、な」

 

 どこか歯切れの悪そうなフウヤを横目で見ながらも、タケハヤは続ける。

 

「ま、お前からこっちに志願してきたんだから、それなりには強いしよ。……ホント、うらやましいぜ」

「へへ……ですが、まだこれから……そろそろつくんじゃないっすか?」

「あぁ……さっきも言った通りだ。お前は来るな。最終試験ぐらい公平にしたいからな?」

 

 そう言っている間に三人は昇り切り、さらに先へ―――

 

 

 

 一方、ロナ達。なんとかドラゴンたちを倒し、先へ進んでいるところに一本の通信が入る。急いでいるのに。と思いつつもロナは通信を入れる。そこから声をかけたのはアオイだ。

 

『センパーイ!やりました!見つけました!』

「え……?何を?」

『ボクが説明するよ』

 

 そこにキリノの声も入る。三人は進みつつも内容を聞く。

 

『こちらは現在港区の芝公園。先ほど、多数の生命反応を感知した』

「そ、そうか……よか……うぐっ!!?」

 

 途端に、また激痛。ひどい痛みに、ロナはこらえる事しかできなかった。

 足が止まり、倒れ、だが、痛みは退かない。

 

『――――――』

『――――――』

『あ、あ……嘘だろ……?』

 

 いきなりすぎる現象に『俺』は驚いていた。画面内とはいえ、いくらなんでも展開が早すぎる。どことなく慢心があったのかもしれない。でも―――

 

「……かっ……や、やめろ………やめろ!!行くな!!それ以上はダメだ!!!」

 

 必死に叫んだ。トランシーバーが壊れるのではないかと思うぐらいに。そのあまりにも焦りが見える行動にヒカイもジョウトもあわててロナの様態を見る。

 

『わっ……!?ど、どうしたの突然……』

「いえ、ナガレ隊長。少し様子が急変したようです。……少し、通信を―――」

「き、キカワさんっ!!」

 

 通信を切られるより早く、ロナはキカワを呼ぶ。プチッ、と場違いな音が通信を繋ぎ、声がかかる。

 

『……何?』

「それ以上行ってはだめだ!!絶対!!……死ぬんですよ!?」

『……分かってる』

 

 ……え?

 ……今、なんて……?

 キカワの周囲が静まり返る感覚が、ロナの頭痛を少しずつ退かせる。キカワがゆっくり告げる。

 

『……でも、ね。私達10班はどんな相手でも恐れない。大丈夫だよ。私もナガレさんもいるから、ね』

「だ……だったら……」

『要はさ、みんな生きて帰ってこい、でしょ? ……だと思って、今は私はみんなとは離れている。それに、私は一度死んだはずなんだけど……ね』

「死……んだ……?」

『でも、大丈夫! このキカワさんに任せなさい! 名前は偽っているけどね。……ありがとね。ロナ。本当に、あの子と似てる―――』

 

 ……

 ロナの動きが止まる。同じく、また確証へと変わっていく。

 

 ………でも、思い出せない。

 

 …………く……しょう………

 

 

「ッ……!!! チクショオッッッッッッッ!!!!」

 

 

 手が壊れるのではないかと思うぐらいに、床を殴った。

 止めては、いけない。絶対に。

 今戻ってはいけない。絶対に。

 結局は、変えられない。『運命』なんて、必然だった。

 けど…………違う。

 

「……………チクショウ……」

 

 そうつぶやきながらも立ち上がる。

 振り返ってはいけない。自分で犯した過ちは、解決するまで一度も後退してはいけない。

 

「……大丈夫。……行こう」

 

 涙ながらもロナは歩き出す。

 これ以上、改変してはいけない。この物語(ゲーム)を。

 せめて……前へ進んで、キカワを信じるしか、ない。

 

 今のロナはそれしかできなかった――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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