女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
あ!あと雑談ですが、初代セブドラ買いました!暇を見つけてプレイしていきたいと思います。
では、40Sz、どうぞ!
「………はぁ、見渡しても砂漠だな」
「確かに……。こりゃ、元の国分寺に戻すのはこっちも不可能かもな」
俺はジョウトの言葉に同意しながらも、辺りを見渡しながら今の状況を見た。
……砂漠、だけど、そんなに暑くは感じない。……いや、そりゃ、ここは元から砂漠地帯じゃないし。でも、数年たってしまえばまじで暑くなるかもな。
しかし……本当に辺り一帯砂、砂、砂。こりゃ……
「……まるで、未来の日本に来たみたいだな」
「何?」
「……地球温暖化の影響で、もしかしたらこうなるかもしれませんね」
多分、ありえない状態ではない。でも、ある場所が砂漠地帯になるって話をどこかで聞いた気がする。だから、いろんな意味で今回の帝竜は未来を見せているのかもしれない。……前三つ(でかいの除く)は超常現象だったけど、こっちはある意味まともだ。
ま、かといって、手加減する余裕もない。もしかしたら、この帝竜が連れて行ったのかもしれないし。
……何故か、『俺』はそれを否定していたけど、気のせい、だろうな。
……今はそんなの、必要ないけど。
「……ってか、おかしくねぇか?今帝竜の影響化の中にいるのかもしれねぇのに、ドラゴンいなくね?」
「………いや、いるよ。ちょうど、その辺とかに」
俺は『感覚』を頼りに辺りを指で示す。殺気が潜んでいて、その中にドラゴンがいると伝えていた。
しかし本当にすごい力だな。まるで自分自身がレーダーのようだ。……体調によるけど、今回は好調みたいだ。池袋はほとんど役に立たなかったし、四ツ谷でもそこまで役に立った形跡はない。……そう言われると、都庁でもマジで微妙だな。役に立つか立たねぇか分かんないな本当に。
「……けど、分かったところでこちらから接触しにかからないと少々面倒ではないか?」
「……速攻で沈める、ってんなら、方法はあるぜ」
マジ?俺は思わずジョウトを見て、確認を取る。
「……(ゴニョゴニョ)」
「……それ危険ではないか?ジョウト」
「ソッコーで沈めときゃ、反撃の隙すら与えずに楽になるだろ」
「まぁ、それはそうだけどさ……」
「……有言実行。どのへんだ?」
「えっと……そこのちょっとした山の頂点ぐらい」
「よっし」
そう言ってジョウトは先へ。その間に俺は準備っと。ヒカイさんも息をついて構えを取りつつ、ジョウトの後ろへ少し離れながらも準備。
ジョウトがある部分に差し掛かった直後、待ってたと言わんばかりにドラゴンが飛び出す。それよりも早く、俺は『アイシクルエデン』でドラゴンを凍らせる。ドンピシャ。さらにそこにヒカイさんが突っ込んで殴り飛ばす。先制攻撃は決まった。悪く思うなよ?
ついでに俺は『フリーズ』を使って氷を連続でぶつける。案外簡単に倒せた。すっげぇ。
しかし……この戦法、楽だよなぁ……ジョウト。俺は文句を言うように言った。
「……ジョウトは楽でいいなぁ」
「お前の上位マナスキルはタメ時間と集中力が必要になるだろ。その分威力は抜群。そのほうが楽だろ」
「ん?心配してくれてるのか?ジョウト」
「面倒事を片付けてくれるからな」
嘘つけ。心配してくれてるだろ。……けど、確かに日陰もない砂漠地帯だと短期決戦の方がいろいろ便利だな。
……なんだよやっぱり心配してくれてんじゃねぇかジョウト。ったく、素直じゃねぇ奴。
「……しかし、ロナ。君の負担が心配だが……」
「『フリーズ』よりかは確かに消費も多いですけど、この辺り一帯の敵だったら適度に休憩しながら撃ちこめばそこまでひどくはないはずです」
「……ま、もしどこか身体に負担がかかったと思えばすぐに呼んでくれ。休憩を取る」
「ありがとうございます。ヒカイさん」
……やっぱ俺らって仲良いよな。本当に。ジョウトはともかく、ヒカイさんは年上だけど、本当にそう思う。……ホント、この二人が仲間でよかった。すごく、安心する。
で、このあと俺達はとりあえず周囲一帯のドラゴン、ついでにマモノ達を同じような戦法でどんどん討伐していく。途中休憩をはさみつつね。
「……今頃、いなくなった人はみんなどこにいるんだろうか……」
「うむ……そうだな」
と、家の陰でうまく太陽の光を遮断しながら休憩中に俺達はそんな話をした。なんつーか、まじで気がかりだったし。
とても、変な予感がする。何か、やらかしたような……そんな感じだ。
……全員、ドラゴンの贄になった―――
「……いやいやいや!ありえない!……だったら、なんで半数いなくなったんだよ!」
「何がありえないんだっての」
「………ミックスグラタン、って言えばわかるか?」
「……可能性としちゃ、……まぁ、確かに」
「否定してくれよジョウト!!」
「否定するわけにゃいかねぇだろ。可能性の一つ、としか言えねぇんだしよ」
「………じゃあジョウトは何かあるのかよ」
俺は少々八つ当たり気味に疑問をぶつけた。その可能性の一つを聞きたかったし。
「………全員でピクニック」
「どうして!?」
「それか肝試し」
「昨日のことじゃねぇか!つかもう、夜も正常に機能してるみたいだし、それもありえないだろ?」
「可能性の一つとして考えろ、って言ったのだれだよ」
「……すみません」
……聞かなくてよかったかもしれねぇ。はぁ……。
「……ロナは悲観的に考えすぎるからだろう。今予想できないことにそう不安にならなくてもいいのではないか?」
「……それは、そうですけど……」
「今やるべきことは何か?帝竜を探すこと。後ろ向きに考えるな。決してな」
「……はい」
確かに、俺はどうもそう一歩引いた……つか、逃げてるようで、後ろ向きになってるって考えが多いよな。……そのせいでみんなに迷惑ばっかりかけていて、ホント、俺ってダメだよな。……うん。なんかスッキリした。
「……だね。……きっとみんなでピクニックだよ」
「そういうこった」
「では、そんな危険なピクニックを阻止するためにも、帝竜の元へ急ごうか」
「了解です」
「あぁ分かった」
そう言って俺達は休憩をやめ、また歩き出した。
……しっかし広い砂漠だな。国分寺どころか、その周辺の地区まで巻き込んでいるんじゃないか?見渡す限り、砂に埋もれた家とか、そんなのでいっぱい。本当に、ひどい光景だな……。
……ん?何だあれ……?
「あれ……なんですか?」
思わず二人に訊ねる。二人も気づいたらしく、確かに異様におかしいひし形の建物っつか……あんなの、国分寺にねぇよな?
「……でかい建物だな」
「……こういうのは、ミイナに聞いてみるとしよう。……ミイナ。いいか?」
『はい。熱反応はあの建物からのようです。あそこにみんながいるのでしょうか?』
「……あぁ。いるといいな」
俺は心の中からそう思った。……誰一人、犠牲にならずに。甘い考えだって言われたって構わない。……助けたい。誰も失わずに。
「……行くのね。あそこに」
「……え?……あっ、君は……」
声をかけられて、俺も、もちろん、二人もその方向を振り向く。
……確か、タケハヤさんといっしょにいた青髪の女性だ。
……って、ことは……SKYの人も一緒、ってことか?……わざわざこんなところまで来て……
でも、会わなかったよな?今の今まで。……どういうことだ?
「……なんで、あなたがここに?」
「……あなたは……」
「……?」
「……いえ。何でもないわ」
……でも、確かに俺の方を見たよな……?………まさか、この人も俺が『ルシェ』って存在を見ぬいているのか……?いや、深く考えすぎ……だよな?
「……名乗っていなかったわね。……私はアイテル。星を守る者」
「星を……守る?」
「……もうすぐ、タケハヤもここに来るわ」
タケハヤさんも……? ……じゃあ、さっきの熱源反応は少なくてもSKYのみんなじゃないってことだよな。
アイテルさんは続ける。
「だから、見せてほしい。……あなた達の力を」
「タケハヤさんに?俺達の力を?……一体、なんで……」
「……詳しくは言えない。だけど、あの建物は工場。竜に取り込まれ、竜を生み出す工場」
「なっ!?」
竜を生み出す工場……だって!?そんなの、危険すぎるだろ!?S級の力持っているの俺達と10班ぐらいしかいないし……。そんな物騒なこと言ってるのに、アイテルさんは無表情だし……。
「……だったら、とっととツブしときゃいいだろ」
「あぁ。そうはさせないさ」
……確かに。二人の言うとおりだ。被害を大きくさせないためにも、帝竜の活動を停止させないと!
「……だな。……急ごう。ありがとう!アイテルさん!」
「いえ。……彼も間もなくやってくるはずだから。……それと、あなた」
「……俺?」
俺はじれったく感じながらも、アイテルさんの目を見る。何か言いたそうな目をしているけど、……でも、俺はすぐにさえぎった。
「……すみません。後で話しましょう。……恐らく、アイテルさんが考えていることと同じだと思います」
「分かったわ。……さよなら」
そう言って、俺達は工場へと急いだ。……恐らく、タケハヤさんたちが、妨害してくるかもしれないけど。
でも、立ち止まっている暇は……ないんだ……!