女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
あ、ちなみにもしⅢの話を書くとしたらこの『ルシェかえ!』には繋げずに新しい小説として書くと思います。(反映はするかも)
では、Ⅲの発売を待ちながら、38Sz、どうぞ!
「では、今後の具体的な方針についてですが……」
あれから俺達ムラクモ10班13班そして自衛隊の人達で作戦を立てることになった。
……ヒカイさんとかに「何を話していたんだ?」って言われたけど、「他愛ない話だよ」ってごまかした。
「観測班からの報告で都内の二か所から新たな帝竜の反応が観測されました」
「二体も?」
「えぇ。ですが、一か所は『国分寺』。もう一か所はかなり微弱な反応で都内の中心地を徘徊しています」
……微弱な反応?なのにもかかわらず、確かここから国分寺は遠いのに、ちゃんと正確な反応をしている。……どういうことだ?
「……まさか、反応が薄く感じるほどの、いわゆる忍者のような帝竜、ってところか?」
「……そうなるかもしれません」
アイエエエ!?なんで!?……いや、よっぽどすごいことだろ。その帝竜。コソコソ逃げ回って何をしているんだろ?一体……
……いや、あれは……帝竜なのか………?
「また、この二つの帝竜反応の出現とナツメさん達が都庁から消えたタイミングがほとんど同時だったということも分かりました」
「つまり、そのどちらかとナツメさんたちの失踪が関わってるってことですか?」
アオイがそう言う。キリノは「可能性は高い」と言った。……だけど、なんかひっかかるような……。何だ?
「……ですが、一つそれに疑問があります。ロナ。君は確か、今朝方にマモノと戦ったよね?」
「あ、うん。……そいつ、多分、『ロア・ア・ルア』と似たような威力もあったし……微弱だけど、そいつと戦ったときと同じような感じがあったんだ」
「そう。……そのマモノも、この失踪事件とかかわりが深いと考えられます」
その言葉に、俺含めてほぼ全員が息をのんだ。まさか、そんな力を持ったマモノがいたなんて、考えられなかった。
……一応、その帝竜の効果についてまとめておこう。確か、「聞こえない音を響かせて人の感覚を狂わせる」。それがたとえ死人だとしても。でも、そんな力を持ったヤツって帝竜だけだろ……?それに、どうやってこのマモノが?
そう考えているうちに、ですが、とキリノは言葉を紡ぐ。
「……このマモノが原因だとして、どうやって失踪させたかが疑問に残ります。昨晩から今朝にかけて住民が失踪したとして、ほぼ半数の人数を無理やり起こさせることは不可能と思われます。そうだとしたら、我々も同じく影響に残るはず」
「うん……。でも、分からないんだよね?……だとしたら、そのマモノが操って、帝竜が導いた、って考えればいいんじゃないかな?」
……あーそっか!ナガレさん頭いいな。なるほど。そう考えることも可能だな。
「そうですね。……だから、これから二手に分かれてこの二つの帝竜反応を追ってみたいと思う」
「けど、国分寺は遠いな……」
リンが俺達の心配をするようにそういう。……確かにここからだと遠いらしいな。
でも、それは車使えばなんとかなる……はず。……あ、燃料はどうなってるんだ?
「ヒカイさん。もらった車の燃料はどうなっていますかね?」
「ふむ。……少し席を外すが、構わんかね?」
「どうぞ。今現在の状況なども確認しておきたいので」
了解。とヒカイさんは一旦会議室を出る。その間に、キリノは説明を続けた。
「けど、国分寺の探索は一番機動力のある13班か10班に頼もうと思う。どちらがいいか、決めてくれ」
「……俺たち13班が行こうと思います」
……でも、おかしかった。本来だったら、微弱ながら帝竜の反応があるっていうなら、『感覚』がある俺が中心地を行った方がいい気がするんだけど……。
でも、行かなくちゃいけない気がした。国分寺へと。
「……了解。では、10班は都内の帝竜反応の探索を」
「了解よ」
キカワさんがうなずく。ナガレさん、アオイも同様に。
……あっ、ヒカイさんが帰ってきた。
「……燃料を確認したが……恐らく、国分寺までとなると片道の移動ぐらいしかできないと思うぞ」
「となりゃ……歩き、だな」
「だね」
「……ふむ。我々が国分寺行きかね?」
「このアホ娘が決めた」
「悪かったな」
どうしても行きたかったんだよ。なんか知らないけど。……でも、もう一つも気がかりすぎる。嫌な予感しかしない……。くそっ……。
「けど、どうすんだ?もし地下道歩きだとして、ルート上にゃ、あのばかでけぇ帝竜がいるだろ?」
「あ、そっか。……巨大な懐中電灯を引っ張りながら歩くか?」
「ううん……今は活動を休止しているようなのであまり刺激はしたくないけど、発電室の準備ができれば安全に移動できるはずだ」
「じゃ、俺達は発電室の準備ができ次第出発……ってところだね?」
ま、無駄な消費はしたくないしな。……アイツに勝ち目あるのか……。って思いたいぐらいにね。
「それで、私達がそっちの方角の帝竜探しだね」
「そこに僕も加えてくれ」
キリノも?……大丈夫なのかよ?……いや大丈夫だよな。10班の人三人もいるし、アオイ一人よりは安心できるかな。
「よーし!頑張りますよー!」
「ははは。アオイちゃん。張り切りすぎてバテないようにね?」
「はい!ナガレ隊長!」
ナガレさんが隊長、か。うん。悪くはないかも。……ナガレさんはいざってときに頼りになるし。
……あー……そう言えば、俺達13班には隊長がいないんだっけ。まぁ、別にいいんだけど。俺達みんなが隊長みたいだしな。
「アタシ達自衛隊はここを守ればいればいいんだな?」
「はい。ナツメさんもいない今、都庁の守りをお任せできるのは自衛隊のみなさんだけです。我々の最終防衛線を、どうか、よろしくお願いします!」
「了解っ。四ツ谷攻略の間に休ませてもらったからね。体調のほうもバッチリだ」
「よし。…………これより、二部隊に分かれた作戦を開始します!13班は国分寺を、10班は僕と共に帝竜反応の捜索を!」
「「「「了解ッ!!!!」」」」
======数分後======
「……っと、ここまであればいいかな。ありがとうございます」
俺達は開発班のみなさんのところでアイテムの補充をしていた。ここからだと遠出になるから、準備は万全にね。
「ロナ。これも持って行け」
「あ、ワジさんありがとうございます。……お、これって」
手渡されたのは、注文していた武器、しかも、
……あぁ、あの時刃が壊れちゃってね。また新調することになったんだ。
「作戦は成功させろ。必ずな」
「はいっ!」
元気に俺は言って、ヒカイさんとジョウトの元へ。
「お待たせしました。……そっちも準備万全ですね?」
「あぁ。いつでも行ける」
「こっちはいつでも万全だ」
「へへっ、確か、発電室の開発もバッチリのはずなので、いつでもいけますね」
あぁ、キリノと10班の人たちは先に行った。「善は急げ」ってことで、だってね。
……大丈夫だ。また三人だけど、ナビもいるし、一人ではない。
「さぁ、行こうか。ロナ。ジョウト」
「はい!」
「あぁ……!」
俺達は、きっと帰ってくると心の中で言って、都庁をでて、国分寺への地下道へと進んだ―――