女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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どうもこんばんは!今回でChapter3が終わります。

今回は……なんか、雑に終わっちゃったかなと思った気がします。戦闘描写が難しい……。

ま、それでは、36Sz、どうぞ!……あ、今回はあとがきなしです


36Sz 月の正体

『次は……今来た道を引き返してくれ』

「マジか?了解」

 

 俺達は現在、ミロク曰く『巨大迷路』にたどり着いたらしい。が、そんなの、上空から見てしまえばカラクリが分かると言わんばかりにミロクは指示を出してくれて迷子にはならずに済んだ。

 ……作戦無視して突っ込んでたら確実に迷子になってたな。流石に、もしこの地形を把握していたところで移動しても到底無理だったのかもしれないな。

 

「……あ、なんか違うところ来たみたいだな。……次どうすりゃいい?ミロク」

『そのまま道なりに進んでくれ。……その奥に、帝竜がいる』

「了解」

 

 なるほど。もう迷路は終わり、後はそいつをぶっ倒すだけだな。

 ……よし、進もう。後はマモノ倒しながら行くだけ。平気だ

 

======視点切り替え(三人称)======

 

 三人はただひたすら進み、最奥へと足を踏み入れた。

 

「……」

 

 ロナは月をにらんだ。今まで気づかなかったのがおかしいぐらい、身体がざわついていた。

 気づけなかった、とも言えるべきだろうか。とにかく、今は正体がばれている。

 

「……姿を現しやがれ。とっくにバレてんだよ」

 

 銃を月に向け、発砲。途端に、月が動き出した。

 

「……なるほどな。『終わらない夜』の正体は月に化けた帝竜か」

「……そうですね。でも、うまく擬態していたせいで俺達は分からなかった。けど、もうすでにあいつからは俺達の姿が見えていたんでしょうね。逆もまた然り、ですが」

「いいからいくぞ。……さっさとぶっ潰したくてオレはたまんないんだよ」

 

 ジョウトが片手でチャクラムを持ち、もう片方でマナで形成されたキーボードを出現させる。

 

「……手紙を読んだせいかね?まぁ、やる気があるのはいいことだ。……どれ、私もやる気を見せるとしよう」

 

 ヒカイがナックルを装備し、構えを取る。

 

「お前にはいろいろと恨みがあるんだ……だから、俺も……!」

 

 ロナがマナを片手にこめ、銃を構えなおし、帝竜『ロア・ア・ルア』と対峙する。

 

「……『墜撃の天牙(プラズマジェイル)』!!」

 

 ロナが先制をとり、空圧を利用した一撃を撃ちこむ。

 

「コード強化、ATK……start!オッサン!!」

「あぁ!ぬぅん!!」

 

 怯んだ隙にジョウトが『アタックゲイン』を仕掛け、ヒカイが飛び上がってロア・ア・ルアの頭上に一撃。

 

「―――フォファファファ!!」

 

 聞いたことのある声を聞き、ロナは一瞬だけ、「さっきの音はこいつか!」と思ったが、それで止める理由はなかった。さらに、自身の気配を隠す『ハイディング』を使用しようと思った直後、高速でロア・ア・ルアが身体を振り払い、ロナとヒカイに『紅の薙爪』を喰らわす。

 

「ぐあっ!」

「ちっ!」

 

 避けられずに吹き飛ばされるものの、体勢を立て直し、状態を確認する。頭が少し眩む。恐らく、『出血』を喰らった。

 

「……『根源を断ち切る解呪(リカヴァ)』!」

 

 それを察したロナはすぐにヒカイにかけ、回復させる。コクリとうなずき、治ったことを示すヒカイ。

 

「……こい」

 

 一言だけ言って、帝竜をにらむ。危険だと思ったのか、帝竜はヒカイのほうへと攻撃を当てる。それを受け止め、突き進みながら攻撃の構えを取る。

 

「その程度かっ!!」

 

 フック、そしてストレートと決め撃ち、さらにダメージを与えて、得意の近距離に持ち込む。

 

「不意を穿て!『ブッシュトラップ』!」

 

 さらに側面から、自分の治癒を終えたロナが弾丸を撃ちこみ、帝竜を挟み込むような形で陣形を整える。

 

「消え去れ……『空穿の疾槍(エアスピアー)』!」

 

 背後から投げつけるが、その槍は大きく逸れる。だが、それも狙いだ。

 そこに追いつくようにヒカイが突撃、蹴り飛ばしてさらに勢いを増す。

 槍は鋭く貫き、帝竜を大きく下がらせる。さらに追撃をかけるようにロナは銃を構えるが、ハッと気が付いて一瞬動きを止める。

 

「―――フォファファファ!!」

 

 帝竜の奇妙な「音」と共に、グラリと身体が傾いて大きく外してしまう。その隙を狙われ、吹き飛ばされる。

 

「ちっ……あぁくそっ……!」

 

 だが、思うように立ち上がれず、フラフラとした感覚に陥る。その間にも、近づいてくる帝竜。

 

「……しゃーね」

 

 あきらめたように、しゃがみこみ、目をつぶる。

 ……聞こえてきた。音が、攻撃音が。

 感じた。衝撃が。

 

「……」

 

 素早く、感じた感覚だけで避ける。ドンッ、と隣から音と衝撃伝わってきた。

 

「……遅いっ!!」

 

 そこに転じて、大きな音を聞いたために呪縛を解いたロナは短刀を突き刺す。そこにさらにマナを込め、突き出す。

 

「『墜撃の天牙(プラズマジェイル)』!!」

 

 さらにめり込ませ、簡単には抜けないようにする。

 痛みを伴ったのか、帝竜は大きく吠え、大ジャンプで上空に移動する。そこから何回も、マナを使った爆弾を飛ばし、防御を強いらせる

 その間に、身体の感覚はなおり、三人は帝竜を見つつも、ガードを固めるのに精いっぱいだが、このままだと弾かれる。

 それを察したのか、いきなりジョウトはその隙間を走りだし、ヒカイに合図する。

 

「逃げたつもりか……!オッサン!飛んでけ!」

「何?」

「いいから、いけ!!」

 

 ジョウトは先に上空へ飛び、ロナも察したのか、マナを増幅し、援護に回る。その行動に、一瞬だが動きを止めた帝竜。その一瞬の隙は、熟練者であるヒカイにとっては道と化した。

 

「……すまんな!」

「へっ、行って来いよ!!」

 

 ヒカイも大きく飛んで、ジョウトの両肩に乗ってさらに飛ぶ。ロナも大きく飛んで足場となる。

 

「『弱固の写し盾(デコイミラー)』!ヒカイさんっ!!」

「助かる!!」

 

 自分の現身を前へ飛ばし、ヒカイはさらにロナ、ロナの現身と飛び移りながら接近。得意の至近距離に持ち込み、拳を強く握り、うまく姿勢を制御しながら攻撃を仕掛ける!

 

「守りを開け、『スピネイジブロウ』!!」

 

 二回撃ちこんで墜落させる。コンクリートで造られた床に衝突したため、振動が走る。

 これで終わらせるわけがない。先に構えていたロナが銃を構えていたからだ。

 

「狙い撃つ!『エイミングショット』!!」

 

 マナを限界まで込めた弾丸が、突き刺さっていた短刀を押し出すように一撃を加える。

 

「……ファファファファ!!」

 

 だが、もう一度飛び上がり、ロナに突撃する。はっと気づいたロナは守りを固め、受けに回る。

 ズドンと、大爪が振り下ろされ、崖までノックバックする。

 

「……くそっ……!」

 

 かなり強烈な痛みだが、ロナは歯を食いしばって避けようとする。

 それよりも早く、帝竜が突撃。せめて一撃でも……だろうか。

 

「……させねぇよ」

 

 さらにそれよりも早く、ジョウトがハッキング。一瞬だけ動きを止め、ロナはそれに生じて飛び上がり、銃を構える。

 

「ぶちぬけぇ!!!」

 

 あるだけの銃弾を乱射し、何発もぶつける。

 そこにヒカイが走り込み、大きく踏み込んだのちに殴りつける。大きく怒った帝竜はまた大きく飛び上がり、月に化けるように翼を翻し―――

 

「おっせぇんだよ……!」

 

 だがそれよりも早く、マナで作られた円盤を投げつけて動きを止める。ギュルリ!!と非常に耳障りな音を響かせ、『マッドストライフ.x』を起動させる。

 

「地獄に落ちる前に……地面に落ちろぉぉぉぉぉ!!!」

 

 ギュンと、身体の制御が効かなくなった帝竜はそのまま急降下。激突し、大きなヒビを入れさせる。

 

「チッ、トドメをさせねぇのは悔しいが……やっちまえ!ロナ!!」

「あぁ!……マナを増幅、槍を形成、その槍、空をも落とす―――!」

 

 さらに巨大な、風圧で作られたような槍を形成するロナ。

 

 

『……ありがとう』

 

 

「『空穿の疾槍(エアスピアー)』―――!!!」

 

 

 大きく吼え、強力な槍を一本、大きく飛ばす。帝竜は立ち上がり、防御して最小限に抑えようとする……

 だが、その槍を後押しするように、ヒカイと、ジョウトがその槍に触れ、さらに押し込む。

 

「いっけぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 やがて三人の想いがこもった槍は、帝竜ロア・ア・ルアを貫き、勝負を決した。

 大きく吼え、だが、力尽きたように倒れる帝竜。

 

「…………」

「………やった、な」

 

 ……だが、三人は未だ信じられなかった。そう。たった三人で倒したからだ。

 今まで、10班が隣にいた。自分たちの力だけではなかった。

 でも、今回は13班の力だけで、この帝竜を倒した。そう。三人だけで。

 

「………は、はは、あはははは……!!」

 

 緊張が解かれたのか、ジョウトが笑い出す。それが合図となり、ロナの厳しい表情が、体勢ごと崩れていく。

 

「……へへ……や、やったんだな……俺達……う、うう……」

「……やれやれ、一人が笑って一人が泣いて……ま、今の現象では、信用できん光景だな」

 

 ヒカイもどこか、安心したような表情をしながら、さきに帝竜の素材や検体を採取する。

 

「(……んじゃ、お前はしばらく寝てろ。……もう、苦しまなくていいんだからよ………)」

 

 ジョウトは、月の無くなった昼間の夜に、心の中でそうつぶやいた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、やっと終わりましたかね?」

 

 遠くの建物で、SKYの四人はこの戦いを見ていた。だが、どうやら音に機敏なフウヤにとってはどうも帝竜との相性が悪かったらしく、今の今まで音漏れしそうなぐらいに音楽を聴いていたらしく、イヤホンを取り外しながらタケハヤに言う。

 

「あぁ。お前のソレって、不便ったらありゃしねえな」

「えぇ、全くもってそう思っちまいます」

 

 タケハヤは振り返らずも、言って、フウヤは自傷するように答えた。

 

「これで3匹目、か」

 

 と、ダイゴ。「あぁ」とタケハヤは言って、自身の胸に手を当てる。

 

「……俺の体も長くは持たねぇ。そろそろハッキリさせる時かもな。……ダイゴ、ネコ、フウヤ。手ェ貸してくれるか?」

 

 タケハヤの覚悟を伴った言葉に、「もちろんだ」と、ダイゴ。「……うん」と、ネコ。「はいはい」と、フウヤ。

 そのまま、彼らはこの四ツ谷を去った―――

 

 

======数十分後(ロナ視点)======

 

 

「……センパーイ!おかえりなさい!!」

「うん……ただいま……」

「わっ!?」

 

 バタンと倒れかけた俺をアオイが支える。……うえ、チョコバーの匂いがするな。今の今までチョコバー食ってたのかよって思いたいぐらいに。でも、不思議と悪い匂いではない。

 あ、ちなみに短刀は回収した。……ちょっと刀身が壊れちゃって、新調しなくちゃいけないけどね。

 

「へへ……悪い。なんかここまで来たら力も抜けちまって」

「ううん……お疲れ様です。センパイ」

 

 アオイの優しい声が、やっと、現実に引き戻された感覚になる。……今の今まで、信じられなかったからな。俺達が、たったの三人で帝竜を倒しちまうってのはさ。

 

『そうそう。聞いてくれよ。ロナったらさぁ……』

「ミロク!お前それ以上言うんじゃねぇ!!」

 

 俺は自力で体勢を直しつつ、ミロクに怒鳴り散らした。……いや、だって帝竜倒した直後は泣いちまったし、ジョウトに軽く小突かれるまで分からなかったよ。正直に。でも、言いふらすのはやめてくれ!!

 

「うーん……なんかミロク達と仲良くなってないかい?ボク達が通信切っていた後から……」

「さぁね?でも、まぁ、通信が来なかったからなんだか会話が弾んじまってさ」

『邪魔が入ってこなかったからかもな』

 

 そうだな。いろいろと。通信が入らなかったおかげでね。……あ、傷ついたか?キリノがちょっといじけた顔になった。

 

「そういうこと言わないでくれよ……さびしいなぁ……はぁ……」

「お疲れだな?キリノ殿」

「えぇ……えっと、アオイ君、君が運転してくれ。たしか免許、持ってたよね?」

「ペーパーでよければ」

 

 ……事故りそうだ。いや、いやだよ折角倒したのにそんな事故でまた倒されるの!家に帰るまでが任務です、ってか?

 で、結局キリノが運転することになりましたとさ。……最後まで働き盛りだな。キリノは。

 ……はぁ、結局また何か締まらない終わり方だな。……でも、まぁ、いいか。それが、今はどこか心地いい。

 

 ……そう言えば、あの時聞いた声って一体……?どことなく、幼くて、何故か、『俺の体』が聞いたことのある声だ。……分からないけど、難聴………ってわけじゃねぇよな?確かに、聞こえたし……。

 

 …

 ……

 ………

 

 …………でもまぁ、いいか。考えてもしかたないし。それに、考えるのは、部屋に帰ってからでいいだろ。

 

======都庁前======

 

 都庁に帰ると、ナツメさんとナガレさんとキカワさんが出迎えてくれた。……そんなに嬉しかったのかな?……まっさか。

 俺はどうも信用できなかった。いや、ナガレさんとキカワさんはともかく、ナツメさんは……どうも、信用できない。

 

「おかえりなさい。よくやったわ、13班」

「それに、キリノさんも、アオイちゃんもね」

「はい!頑張りましたよ!ナガレさん!」

「アオイ君はチョコバー食べてただけだけどね……」

 

 あーあ。キリノマジでくたびれた人になってる。でも、お疲れ、だな。チューニングができなかったら、俺達は迷子になってただろうし。でも、なんとなく黙ってた。

 

「あははっ!アオイちゃんは食いしん坊だなぁ。こらー胃袋娘ーって?」

「だって、なかなかマモノ達が来なかったので暇で暇で……」

 

 あっちでガールズトークが始まった。それをナツメさんは見て、俺達のほうを見た。

 

「それで、帝竜の生体サンプルは?」

「これですか?」

 

 ヒカイさんは採取した生体サンプルをナツメさんに手渡―――――――――

 

 

―――ズキィッ!

 

 

 ……ッ!?何だ……!?いきなり……っ頭が……!!

 ……流れてくる、言葉が……!!

 でも聞こえない……、聞こえない……!くそっ……!何か、何か重要なことを……!!

 

『―――――――――』

 

「……ッ!!!」

 

 はぁ……はぁ……な、なんだったんだ……今の……。俺は全身に冷や汗をかきながら、今のことを思い出そうとしたが……

 

「ロナ?大丈夫かしら?」

「な、ナツメ……うん、大丈夫だ……」

 

 俺は一言言って、いつのまにか座ってたので立ち上がる。……くっそ、どうにかしてる……。

 

「……今日は疲れているのよ。ゆっくり休んでちょうだい」

「……そうする」

 

 そう言って俺は先に都庁の中へ。

 ……なんだ、さっきから……やってはいけないことを、やってしまったような、そんな感じ。

 ……何で、転生先の世界を知ってる様な頭痛がするんだ………?

 

======そして夜======

 

「………」

「………」

「………」

 

 俺達は黙っていた。黙っていた。とにかく。

 汗がつたる。本当に、これでよかったのか……?

 いや、……迷わねぇ!!

 

「……うわっ!?ジョーカーかよ!?」

「さて、次こそは当てよう……ここだっ!」

「あっ!?」

「よし……二番上がりだ」

「ち、ちくしょう……」

 

 負けた……ババ抜きで、ジョウトにもヒカイさんにも……!

 ……ま、こんな感じで俺達は夕飯食べた後にふざけていた。……本当に、なんか、心地いいけど……。でも、やっぱりどこか引っかかる。気のせい……じゃねぇよな。多分。

 でも、まぁ……いいか。俺達は俺達の役目をはたして、ちょっと疲れてんだよ。

 

「……じゃ、ちょいと一曲っと」

 

 俺は今日のあの現象が忘れられなくって、ちょっと弾きたくなった。

 あの帝竜が出していた音。あれはただ単に悪い音だ。だから、さ。俺が良い音を使って一曲、ってところだ。

 

「……ん?ジョウト、聞かないのか?」

「……オレはいいよ。……ちょっと用事ができたんで」

 

 用事?裁縫セット持って、ベットの方向かって……。

 

「……あ、そっか」

 

 きっと、アレだ。アレ。あえて言わなかった。……ジョウトも、その子が好きだったんだろ。絶対。

 だったらあんなことしねぇし、それに、手紙をじっくり読まなかっただろ。…今回一番喜んでいたのは、ジョウトじゃないかな?

 俺はこの世界で調べた曲を弾きながら、そう思った。……我ながら良い音色だ。今回は、格別に。

 

 

 

 

―――お前もそう思うだろ?(ロナ)……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これですべてがそろった……」

「さようなら……みんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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