女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
……しかしギャップが激しい。前二つがシリアスだったから余計に目立ちますね今回。でも基本的に原作の今回はこんなノリ?な気がする。
それでは、33Sz、どうぞ!
「………うん……結果は……?」
『……生体反応なし……』
「……でも、僕たちは見たはず。……ドラゴンも近くにはいない。……さしずめ、死人が復活する……か」
『ありえるわけないだろ!?キリノはどうかしてるって!!』
「ま、まぁまぁ……そんな怖がらなくても……」
『あ・り・え・な・い・!!』
……ミロク、怖いったら怖いって言えよ。と思いつつ、俺は水を含んだタオルをまた、……現在絶賛気絶中のヒカイさんのでこにあてる。
「……とにかく、ヒカイさんが気絶したから帰ってきた。……任務に支障あるかもな」
……さすがに二回目は慣れるだろ。多分。俺は自分の言葉にツッコみを入れながら、もう一度月を見る。
……チッ、この元凶の帝竜…マジでその顔ぶっとばしてぇ。……そうすれば、苦しまずに済むだろ……。
………死んで、なのに縛られて、そんなの……考えただけでも苦しい。
「……けど、なんでヒカイさん気絶したんだ?……ジョウトはなんか知ってる?」
「………」
「ジョウトー?」
「知らん」
「……だよな」
……
………
…………
……………話題がねぇ。重苦しい空気だと、この地形効果も合わさってすげぇテンション下がる。……ヒカイさん目が覚めるまで俺達はこの場にいるようになる。
……あれだけ力強い人だってのに、意外な弱点突かれてるしなぁ……。お化け、苦手なんだな本当に。
「……あるところ、一人の女の子がいました」
「突然どうしたんだよジョウト。あとさっきの続きかよ」
「……その女の子は病弱で、一人っきりだった」
「人の話聞け……」
でも、ジョウトの顔は何処か遠くを見ていた。……渋谷の時と同じだ。何か悔やむような、そんな表情。
「……そこにある誰かが来た。誰かはしょうがなくぬいぐるみを渡した。……それ以来、仲良くなったとさ。めでたしめでたし」
「……もしかしてその、『誰か』ってお前?」
「んなわけねーだろ」
……否定された。でも、いつもと違う。嫌がってる、よりかは照れてる……か?変な表現だけど。
……でも何で今何だよ。……何か理由あるのか?
「……まさか、ジョウト……」
「へっ……まさか、こんなところに来るとは思えなかったんだよ。……ホントに、な」
「……な、なぁ、その女の子……どうしたんだ?」
「……………1、生きてます。会えてます。2、生きてます。ですが、行方不明。3、行方不明。さぁどーれだ?」
「4」
「残念。正解は6でした」
なんで6だよ。そこは普通に4でいいじゃねぇか。
……6の回答。恐らく、「もうこの世には存在しない」。だって、こんな状況でそんなこと言えるのって、それしか思い浮かばない。
それに、今までの不可解な行動。……ついでに、結構前……確か、渋谷前半戦……SKYのダイゴさんとネコさんに会う前。
……実は起きていたんだ。眠い、と思いつつも寝て、ちょっと起きたら、なんか聞こえた。途中までだけど、なんか、過去に何かあったような言いぐさしてたし。それに、二人は何処かであったような言い方。
……二人とも、何があったんだって思えたぐらいに。
「……何年ぐらい前の話だ?」
「……忘れちまった」
「だいたいでいいよ」
「……五年ぐらい前、だな。……はい、オレの怪談話はここまで。続きは永遠に楽しみにしな」
「…………分かったよ。……ついでに言うけど、会いたいの?その女の子に」
……少しの沈黙。でも、長く感じる。どことなく、月が一瞬だけ、穏やかになった気がする。
そして、やっと、ぶっきらぼうな声が俺の耳に届く。
「会いてぇよ」と。
======数分後======
「……う」
「あ、気が付きましたかヒカイさん……ムグムグ」
チョコバー食ってる最中に目が覚めたヒカイさん。……あーこのチョコバーうまい。久々にチョコバー食った気がする。……でも俺意外と甘いもの苦手なんだよね。でも、うまい。
「……まず状況説明を」
「ムグ……ゴクン。……ジョウト君。説明を」
「ングッ、ゴクッ……何でオレなんだよ」
「殴られた回数が多いから」
「……へいへい。―――かくかくしかじか」
「―――事情は大体わかった」
すげぇ。あれだけ簡略的だったのに一発で理解できてやがる。さすがヒカイさん。
あ、ちなみに数分間何があったかと言うと、チョコバー食べてたり、キリノから残り二つの探知機をもらった。支障出るんじゃ?と心配かけられたけど、特に動きにくい、ってレベルじゃないから大丈夫。
……ちなみに俺はチョコバー二本食いました。……一体何本あるんだと言わんばかりに持ってきているらしい。アオイは。
「……ところでオッサン。なんで気絶……」
―――ゴチン!!
……学習しねぇなジョウトは。そんなの禁句に決まってるだろ。
けどま、どうやら無事そうだ。気絶程度ですんだ、ってところか。
「……お、オッサン……殴る前に言うことがあるだろ……」
「何の事だ?」
「……は?」
「え?」
「だから、何のことかさっぱりだな」
…
……
………
…………射殺許可ください。できれば脳天の方に。なんとなく。
「……オッサン、操られたってことはねぇだろ。ゾンビだろゾン……」
―――ゴッチン!!
「うわっ」
さっきよりも威力増した。……あーもう、とりあえず、さっさと行きたい。俺は二人に「さっさと行きましょう」とだけいって、橋の近くへ。
……待ってやがれ『ロア・ア・ルア』。マジで……ん?
……また……帝竜の名前が思い浮かぶ……?
……ま、別にいいよな!!んなこと、必要ねぇし、名前ないといろいろ不便だと思うし(メメタァ
======またまた数分後======
「……えっと、この辺?」
『いや、もうちょっと先だ。もうちょっと進んでくれ』
了解っと。俺達は先に進む。
……あれ?……あそこに、人影……生きている……か?
「……二人とも。マジで待機」
「……分かった」
「あいよ」
そういって俺だけで進む。……あぁ、橋越しだから一瞬で逃げ切れる距離。特に俺の脚だとね。
「……すみませーん」
「ちょうしわるい。クラクラする。さいあくだ。ちょうしわるい」
「……お邪魔しました」
逃走。……ゾンビ、だよな。確実に。話聞いてなかったし
……いや、撃つ、って手はない。さすがに、襲ってこないならほっときたい。……無駄に、苦しみたくないんだ。……それは逃げているとも、とれるけど。
……いくらなんでも、抵抗感はある。それに、帝竜倒せば現状解決するはずだ。無理に倒すつもりはねぇよ。
特に何も言わずに先へ。……気絶させられたら困るからな。誰とは言わない。
「……ミロク。この辺でいいのか?」
『あぁ。……設置してくれ』
「了解」
そしてまた俺達は組み立てて探知機設置……っと。マモノも来なかったし、大丈夫だな。
「設置と。ミロクー」
『……せ、設置したよな……?』
「うん。……見えてないの?」
『い、いや、なんでもない……いや、やっぱりだめだ!本当は置けてないとか……そもそも、ロナ達がそこにいないとか……そういうこと……ないよな?』
「……気づいてしまったか」
『……え?』
「そうだよ……俺はそこには……」
―――ゴッチン!!
「いっつ!?す、すみません……じょ、冗談です……」
「任務で……遊ぶなバカ者!!」
「はい分かりましたってすみません!!冗談です!俺ここにちゃんといます!!」
……まぁこれぐらいの遊びができるなら大丈夫だよな。……ある程度緊張感抜いとかないと、ヒカイさん気絶しちまうかもだし。
……何か忘れているようだけど、気のせいだよな。うん。
「……にしてもミロク。もうちょっと俺達のこと信じろよ。モニターでも見えてるだろ」
『だって……モニターだけじゃ心配……し、心配……』
……おーい。また声聞こえてないぞー。男の子なんだから、もうちょっと声あげろよー。
『…そりゃ、いつもは膨大なデータあるのに、今回は……』
「……だめだこりゃ」
まだ俺達の年にも満たないってのに、データにとらわれ過ぎだな。……帰ったらなんか話すかね。と、俺は思った。
……にしても、ジョウト、さっきっから元気ないな。……ドラゴンとの戦闘の際にはさすがに目を覚ましているような感じだけど、違う。
……やっぱり、俺に話したことが、原因だよな……。
『でも、そんなに心配しなくていいよ。ミロクの目を信じなよ』
と、キリノ。……ちょっと頼りないような気がするが、気にしない。
『……もしかして、今話しているキリノもニセモノなんじゃないの?オレを惑わそうとして、13班を陥れようとする―――』
「マジですかキリノさん!?」
『違うよ!本物だよ!……とにかく重傷だね。僕はチューニングに専念したいのに…』
お前もお前で重傷だよキリノ。と俺は心の中でツッコんだ。チューニング病か。
……うへぇ。何かどんどん決意がグラついていくような気がする。……いや、むしろ、感謝かな。……焦っちゃ意味ないもんな。
……多分全員、素だけど。
『あ、だったら私がナビしましょうか?』
「アオイは不安すぎ!!ナビ役ダメ、ゼッタイ!!」
絶対俺ら迷子になるよ!!やだよこんなところで迷子だなんて!!ヒカイさんも気絶するし、ジョウトは……まぁジョウトはなんとかなるはず。
『……ロナの言うとおりだよ。ミロクはずっとデータを頼りに仕事をしてきたからね。こういうことに馴れていないんだ。……それに、死者が蘇るなんて、とんでもないことだし……』
……そうだ。そんなこと、自然の摂理に反している。
「……そういえば、確か今は『昼間』の時間だよな!……まさか、あの帝竜……『自然の摂理を無視する』……のか?」
『……確かに。そんなのは危険だ。……でも、今は探査機の設置作業を優先してくれ。残りは二台……距離は少し遠めかな。こちらもチューニングを急ぐよ。オーヴァ』
通信はプツリと切れた。
……下手をすれば、新世界の象徴、か。あの帝竜は。
……でも、そんなことはさせねぇ。
―――ぜってぇ俺が潰す。……蘇ってしまったみんなの分まで。
原作ではこの時テンパるミイナ(ミロク)がかわいかった。