女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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はいこんにちは!……おかしいな。作者もハイテンション&エクゾースト状態になっている気がする。(一年後、おかしなテンションで書いた話は修正しました)

しかし、最近この作品に興味持っている方も非常に多く、こんなところでリアクトをやめられない、そしてMISSはできないので体調に気を付けつつも頑張らせてもらいます!

……あと、これを書きながらスマホの方を見ていたらいつの間にかお気に入り100件!?本当にありがとうございます!!もっとより良いものを作らせていただきますよ!!

それでは、なんかタイトルまでおかしい32Sz、どうぞ!


32Sz 悪夢から這い出る犠牲者

 ……ロナ達がデストロイドラグと交戦した後、そのころキリノ達は―――

 

「……うう、本当に、寒気が酷いな……」

「か、風邪ですか……?」

 

 ……キリノはちょっと身震いしながらも、チューニングを続ける。

 不気味に光る月が、どうも、これから起こりうる出来事を告げているようだ。

 

 ……そういえば、先ほど朧気ながらも見えたあの現象……それに、自衛隊の人の姿だった気がする……

 

 もしかして……怨念……?

 

「い、いやいやいや!そんな馬鹿な!!……確かに、アレは酷かった……けど、ば、場所が違うじゃないか……!!」

 

 自分で言った言葉に、自分で否定する。

 科学理論だけでは絶対にありえない。そう、きっと見間違えだよ。キリノは無理やりそう思い込みながらも、今の現象を考えてみようとする。

 

「……い、いやいや今はそんなのは後でいい!と、とにかく13班のためにチューニングを完了しなくては……」

「あ、あのー……キリノさん?本当に大丈夫ですか?」

「ん!?う、うん!大丈夫!べ、別に、こ、怖いとは思ってないから!!……はぁ」

 

 何故こんなことを自ら進んでやろうとしたのだろうか。と、やる気をなくすキリノ。そんなキリノが不安と思ったのかアオイがちょんちょんと肩をつく。

 

「……キリノさん」

「……なんだい?アオイちゃん………」

「チョコバー……食べます?」

「……半分ちょうだい」

 

 作戦前に「お菓子禁止」と言っていたのにも関わらず、とりあえず気を紛らわしたいと思ったのか、機械を操作しながらも片手でチョコバーを所望した。アオイはチョコバーを一本(NOT食いかけ)をキレイに半分割って一つ渡す。受け取ったキリノは一旦離れてチョコバーを一口。

 

「……うん。おいしい……けど……」

「キリノさんも疲れているんですよ。疲れたものには甘いもの!えへへ。まだ有るので取ってもらってもいいですよ!」

「アオイちゃん……キミは一体何本持ってきているんだい……でも、まぁ……しゅ、集中するためにも……いただこうかな……」

 

 13班には申し訳ない、が、あんまり焦っても良いことはない。……アオイちゃんが護衛に就いてくれてよかったかな、と、少し落ち着いてきた頭と心でそう思ったキリノ。

 ……と、ここで通信が入る。もしかして二つ目つけたのかな?と思いながら通信を入―――

 

『―――――事態発生したから一旦戻ってるぞ!!!』

「ぐわっ!?い、いきなり大声を出さないでくれ!?と、いうかどうしたんだい!?」

『見てないのかよ!?一体何してんだ……って、くそっ!!とりあえず、そっちまで逃げるぞ!!!』

「え!?え!?一体どういうこと……!?」

 

======数分前(ムラクモ本部・通信室)======

 

「……な、なぁミイナ……さ、さっきのって……」

「……(フルフルフルフルフル」

 

 必死に否定しようとして若干涙目で首をぶるんぶるん振るうミイナ。今回の13班のナビはミロクだが、少し時間空いていたのでミイナも―――先ほど撮っていた録画だが―――見ていた。

 

「……あ、あんなの、み、見間違いですよ!!消去ですよ!!」

「う、うん……で、でもいいのかなぁ……勝手に消去しちゃって……」

 

 だが、ミロクもそう言いつつも、何故か消去ボタンを押そうとしている。……二人には、いろいろと重い事実なのだろう。すんでのところで消去はやめ、フォルダに封印した。

 ……ミイナの口が開く。

 

「……あの、ロナって、どんな人だと思う?」

「……どう思うって……?」

 

 ミイナは話題を変えようとして、ロナのことを挙げた。ミロクは少し唸って、答えた。

 

「……戦闘向けじゃない性格……優しすぎる人……だよな」

「はい……私も、そう思う。……そして、一番怪しい人」

「……うん」

 

 ミイナは自分のモニターを見ながらも続けた。

 

「……資料がないんですよね。……どこにいたのかも、不明。あるのは()()()の説明だけ」

「うん……総長も言っていた。一番信用に足りる存在、けれども、一番危険視するべき存在だって。……でも」

 

 ミロクは真剣な表情で言葉をつづけた。

 

「……少なくても、オレにはそう思えない。今までの行動からみて、絶対に、危険人物扱いにするなんて、オレには、できない」

「……そうですね。数日前にも、様子見に来てくれましたし」

「うん……」

 

 実は数日前。ロナはギター片手に二人の様子を見に来ていた。そして一曲。弾いたあとにさまざまな雑談を交わしていた。

 特に、怪しいと思われる行動もしてなかったし、かといって今危険視するべき存在でもない。むしろ、ちゃんとした仲間の一人と、二人はそう思っていた。

 しかも、ちゃんとした名前ではないことに怒りを露わにさせていたと、キリノからも聞いていた。……きっと、ロナとはこういう人なのだろう。

 誰かのために怒り、悲しみ、そして喜ばせる。……戦闘向けとは思えない性格ながらも、前線で戦えるほどの力量、そして、勇気のある人物。

 

「……にしても、なんだろうな?ロナの耳……」

「気になりますけど、結局私達は言わなかったし……」

「付け耳……じゃないよな……?」

 

 と、突然通信―――

 

『―――事態発生したから一旦戻ってるぞ!!』

「は?」

『――――――って、見てないのかよ!?一体何してんだ……って、くそっ!!』

 

 なんだよ突然!と思いつつも、先ほどまでの現象を確認しようとして、原因だと思われる映像を見て―――

 

「……ひっ!?」

 

======そしてまた数分前(ロナ視点)======

 

「……ちくしょう、なんだってんだよこれ……」

 

 俺達は、本当に不気味なまでの、妙に長い骨橋を渡っていた。

 ……あー……こんなんで肝試し試せってのかよ。すまん、前言撤回する。無理。雰囲気合い過ぎだしマジで人影出そうだし……

 

 …

 ……

 ………

 …………

 

 ……………き、きき、気のせいだよな!!うんうん!……あぁ、さらに言ってテンション下がったな。

 

「……って、アレ……」

 

 ……橋の先の建物の屋上に……人、だよな……しかも、その恰好……

 

「……何で自衛隊の人がそこに……?」

 

 どうなってんだ……?俺達は謎の現象に橋で一度足を止める。……ついでに、抵抗感ありすぎるけど、俺はいつでも撃てるように銃を片手に、後ろ手にリロードする。……幸い、こっちにも気づいていないようだから、なんとか大丈夫、か。

 

「……一度接触してみよう。……もし何かあったら、撃ちます」

 

 そう、俺は言うけど……さすがに、抵抗感があった。だってさ、人を撃つんだ。……嫌なんだ。同じ『人』を殺すのが怖い。

 そう、俺は思いながら少しずつ進んでいく。けど、次第に身体に違和感が生じる。

 最初は分からなかった。何が違和感あるのかさっぱりだったけど、今さっき思ったことをゆっくりと思い返してみると、その違和感は簡単に出てきた。

 さっき、俺は怖いって思っていた。人を撃ってしまうんじゃないかと思ってしまうぐらいに。

 でも……今は震えていない。

 人影、しかも、撃とうとしているのに全く震えていなかった。

 

 まさか……いや、そんなことないよな……?

 

 ……俺はただ、自分の確証を得られないまま先行していた。後ろの方でヒカイさんが止めようとしたけど、ジョウトが俺のすぐ後ろについていたせいか、止めなかった。

 まだ後ろを向いている。その間に、俺は橋を渡り終える。……二人に無意識にうなずいて、一歩、また一歩と前へ。

 

「……あ、あの……?」

「……君たちは……13班じゃないか……」

「……質問に答えてください。なんであなたが……」

「よくここまで来たね……仲間たちも待ってたんだ…」

「し、質問に答えてください!何で……あっ……!」

 

 その顔に、どこか見覚えがあった。

 ……俺達は池袋作戦でいろんな人が死んでいった光景を見ている。……道には、死体もあった。

 ……どことなく、その死体の一人に、似ている気がする……。

 ……撃つか?……俺は一旦とどまりつつ、奥歯をかみしめる。……さすがに、撃てない。……あんな作戦で、犠牲になった人を撃つなんて、俺にはできなかった。

 

「さあ、一緒に会いに行こう……」

「……誰に……?」

「なぁに、すぐそこだ……」

 

 そう言って、先に進んでしまう。……後ろから撃つ、って手もあったけど、俺にはできなかった。

 

「……先行隊、いたん……だな……」

「ヒカイさ……いや、なんでもありません」

 

 声が震えていた。………多分、肝試し的な意味での恐怖だろうな。……だから俺はそう言った。いや、殴られるのご勘弁だし……。

 

「……で、どうすんだ?ついていくのか?」

「…………うん」

 

 ジョウトの言葉に、俺は振り返らずに、考え抜いた結果そう言った。

 

「……もしかしたら、帝竜とご対面するかもしれないだろ?そうしたら大助かりだよ」

 

 ……本当は、大嘘だ。

 ……ただ、謝りたかった。どんな謝罪の言葉も思いつかないけど、でも、もし会えたのなら、謝りたかった。

 

「……オッサンはどうすんだよ?行くんだろ?」

「……危険すぎないか?確証もなく、いくのは……」

「怖いんだな」

「怖いんだね」

 

―――ゴチゴチン!!

 

「あだぁ!?」

「いった!?ヒカイさんマジで殴らないでください!!」

 

 い、一瞬三途の川が見えた気がする……。そ、それほどまでに強かったんだよ今の一撃……。

 

「だ、誰が怖いと言った!!だ、だが……本当に、き、危険すぎると言っている!!」

「……もしやばかったら逃走、ってことで」

 

 もう、じれったかった。さっさと行って、確かめたかったからだ。……後ろから同じく歩いてきて、少し早歩きの音もした。

 ……銃は、後ろ手に持ったままで。

 

 橋を数か所わたり、とにかく前へ。……途中で自衛隊の人にちょっとした足止めくらったぐらいで、とくに何も問題はなさそうだった。

 とにかく、前へ、前へ、前へ。何か催眠術喰らったように俺は頭が真っ白のまま進んで……

 

 ……そして、たどり着いた。……自衛隊の人が複数人。……見た限り、行き止まりだ。

 

「……二人とも。待機」

「何?」

「……もしも、のためですよ」

 

 そう言いながら、前へ。……銃が身体の一部になったように、汗がつたる。

 

「……二人も、きなよ……」

「……いや、まずは俺から。……あと、あの……」

「じゃあいいやへへへっ。そこだへへへっ」

 

 ……俺は動かなかった。……そこっつっても、崖しかない。

 

「……一言だけ、いいですか?」

「どうしたんだい……怖いのかい……?」

「何をためらっているんだ……もっとも勇敢なハズのムラクモが……」

「……俺は、少なくても違います」

 

 ……近づいてくる。

 怖い。怖い。……でも、撃ちたくない、まだ、まだ……撃ってはダメ。でも、怖い、早く、逃げたい―――!でも、でも……!!

 

「……少なくても、あなた達がいてくれたから、俺は必死に前へ進めた……だ、だから謝りたいんです!!ご……ごめんな―――」

「謝罪は後だ……飛べ」

「飛べええええッ、飛べええええッ!!」

「飛んでよ……飛んでよオオオオオオーーーー!!!」

 

 

 それを聞いて、一瞬で人物の皮膚が変わる。

 完全に青ざめ、歯もかけ、……一部も欠けている……!!

 

 

「……ごめんなさい……!!!」

 

 そう言って、俺は封印を解くように銃を、眉間に。

 

 

―――バンッ!!!

 

 

「……もう、これ以上……」

 

 さらに、撃つ。撃つ。……ひどく、嫌になる光景だ………。

 

 ……殺したのは、間接的に俺達なのに、その俺達にまた殺される……悪夢以外の何物でもない……!

 

「くそっ……くそっ!!!」

「ロ、ロナ!!緊急事態発生!!」

「なんだよ!」

 

 

 

「オッサンが気絶した!!」

 

 

 

 ……は?

 

 

 思わず俺はそっちの方向を振り返る。……た、確かにその場で寝てる、つまり気絶している……?

 でも確かに気絶するのも無理はない。俺だって、本当に一瞬意識が吹っ飛びそうになっていたし、今すぐに現実逃避したかったんだ。

 

 でも、俺は必死に堪え、ヒカイさんの襟首を持って一旦入り口へと戻ることをすぐに決める。

 

「ジョウト!!通信入れとけ!どっちか、というかどっちも!!!」

「わ、分かってるっつの!!」

 

 俺達はヒカイさんの両肩を担ぎながら走り、ジョウトは通信を入れる。そうしながら、俺たちは必死に逃げていた。

 そりゃ……攻撃なんてしたくなかったからだ。そんなの、俺には出来ないからだ。

 

「―――って、くそっ!!とりあえず、そっちまで逃げるぞ!!!……おい、こいつらどうにかできねぇか!」

 

 ジョウトは後ろから迫ってくる自衛隊ゾンビの群れから逃げながらそう言う。

 ……不本意だけど……

 

「……分かった」

 

 俺はマナを右手に凝縮。……ホント、ごめんなさい……。

 

「……『焦撃の灯火(フレイム)』……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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