女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
……しかし困ったかな。このダンジョンの一部のドラゴン、装備を整えていないと苦戦を強いられます。もしこんな小説でゲームに興味持った!と言う方は用心してくださいね?
それでは、30Sz、どうぞ!
……どうなってんだこれ。マジで。
俺達は車―――今回はキリノのバンで移動だぜ―――から見た光景に驚いていた。
今昼間。なのにもかかわらず、真夜中と言わんばかりに、月が出ている。……百聞は一見にしかず、って奴だな。やっぱり、実物見た方が驚きも大きい。
「……こんなのって、ありえるのかよ……」
「……まぁ、確かにそうだけど、でも、確かどこかの国では夏の時期はほぼ一日中太陽が出ているって話を聞いたことがあるから、意外とありえない現象ではない筈だぜ」
以上。俺のくだらない自然現象の話でした。……よくこんな興味湧かなそうな話題が出てきたな。しかも記憶喪失だってのに。
その後、俺達は車で行けるところまで行って、止められそうな箇所を見つけてそこに止めた。……四ツ谷入ってすぐの場所だから、そんなに時間はかけなかったけどね。
降りてやっぱり、驚いた。……つか、めちゃくちゃ不気味すぎる。今すぐ出てもおかしくないだろこれ。……うへぇ。何か行きたくないんだけど、でも興味はそそられる。
キリノは
「な、なな、なんだこれは……まるでホラー映画の現場みたいじゃないか……」
あ、そう言われるとなんか興味さらに湧いてくるな。これで肝試しやったら面白いんじゃないか?意外と。
「あれー?キリノさんってば、もしかして震えてます?」
「こ、こら!アオイちゃん、バカなことを言うんじゃない!!僕はこれでも科学者だ。科学で証明できないことはこの世には無いと思ってるクチだからね!」
「じゃあ、聞くけどさ。キリノ」
「な、なんだいロナ……」
「何でトイレの花子さん現象があると思うのさ?」
……あ、ちょっと固まった。……アオイがうんうんとうなずいている。有名な話の一つ、『花子さん』。オカルト話の有名なネタの一つだぜ。聞いている人は結構多いんじゃないかな?
「……き、きっと誰かの見間違いだよ!!うん!!」
「うわぁ、科学的に解明できてねぇ」
「そ、それにしても、ちょっと、寒気が……ね?」
……いやそんなでもないけど。少なくても、キリノほどは……
「……ふむ、確かに、な……」
「で、ですよね!ヒカイさん!」
…は?
…
……
………
…………なんでヒカイさんが同意するの?やっぱ、怖いのか?まっさかぁ……
「えー?そうですかー?」
アオイに同意。ジョウトも少しうなずいた。3VS2。気のせいと言うことになりましたとさ。
「あ、キリノさん、ヒカイさん、お腹空いているんじゃないんですか?」
「なるほどな。そうだなうん」
と、俺。
「ですよね先輩!……そんな二人のために、食べかけのチョコバーでよければどうぞ!」
「食べかけダメゼッタイ!!!」
「いらーん!というか、任務中はおやつ禁止だ!!」
いや食べかけダメだし!いろいろと!そしてキリノ、ナイスツッコミ!感嘆に値するッ!!
『えっと……13班。盛り上がっているところ悪いけど、こっちからスキャンを試しているけど、やっぱりエラーコードが返ってくる。完全に情報が遮断されてるみたいだな』
「まじか……じゃあ、つまり……」
『あぁ。帝竜の居場所はおろか、周辺の地形すらも把握できない。マップ表示も無理だな』
なるほど。未開の開拓地に俺達は足を踏み入れたってところか。……ん?
夜、暗い、分からない、それって……。俺は思っていることを率直に言った。
「じゃあ肝試し状態、ってところか?」
簡単に言えば、そうなる。……
…
……
………
…………うはっ、いいなそれ!!
「肝試し!!いいですねそれ!!」
「だろ!だろ!?」
「バ、バカ者!!任務で遊ぶな!!!」
ヒカイさんから怒鳴られて俺達はしゅんとした。ショボーン。いいじゃん別に……。
……でも今の怒鳴り声はただ単に……自分が怖がっているからじゃないか……?気のせい?
『……あのさ、本当に、こんな何のデータもないところで作戦を実行するのか?』
「なんだ?心配してるのかミロク」
『バッ、違うよ!……ただ、不安なだけだよ。も、もちろんデータが白紙の意味でな!』
「素直に言いなよミロク」
『う、うるさいな……。……心配に……』
おーいミロクくーん。最後の言葉が聞こえないんですけどー。……いじるの楽しい。
つか、なんか今回俺ハイテンションになってるような。気のせい?
「……心配してくれるのはありがたいけど、待っているだけじゃデータは集まってくれないからね。こちらで探査機を展開すれば四ツ谷の状況だって明らかにできるはずだ」
……探査機設置したくないなぁ。いや、冗談だよ冗談。うん。……ちょ、なんでヒカイさんにらんでいるんですか。冗談ですってばぁ……
「……遊びに来たんじゃないんだぞ」
「分かってますって……俺何も言ってないじゃないですか。……もしかして、怖いですか?」
「ば、バカ者!!誰が怖いと言った!!」
……怖いんだな。意外な弱点見っけ。……でもそれ以上は詮索せず、俺は「そうですよね。すみません」とだけ言って、もう一度四ツ谷を見た。
……まるで大型お化け屋敷と言わんばかりに町全体が不気味に、紫色に光っているように錯覚したし、進むべき道である橋っぽいのが、ドラゴンの背みたいで一層際立つ。
これマモノほとんど全滅させたらレジャースポットできるんじゃないか?多分。と思うぐらいにね。
「……それで、まずはダンジョン解析のために13班には探査機の設置をお願いしたい。ダンジョン全域をカバーできるように一定の間隔を空けて四台の探査機を設置してほしいんだ。そしてその探査機から送られてくる情報をこのベースで検索し―――」
……すまん。後は全部聞き流した。要するに探査機設置してダンジョン調べてこいだろ。そういうことで。
「……とにかく、僕はチューニングに専念したい。……護衛はアオイちゃん、頼んだよ」
「任せてください!」
……それって遠回しに怖いって言ってるだけじゃないんだよな?……気にしないでおくか。……と、言うことは今回はマジで俺ら13班だけでの探索、か。
……援軍もほとんどこない。いるのは三人だけ。……そういや、前の戦い、その前の戦いでも少なからず他にも誰かいたから、今回は本当に三人だけ、だな。
「……せーんぱい♪」
「ん?どうしたんだアオイ」
「これ、お腹がすいたら三人で食べてください!」
と言って渡されたのは、チョコバー。律儀に三つ。……いや、ダメだろいろいろと。いや悪くないけど。
「大丈夫です!先輩たちならきっとできますよ!信じています!」
「……うん。ありがとう」
俺はお礼を言って、キリノから探査機をまず二つ。一度に全部持って行ったら戦闘に支障出るかもと言うことで二回に分けての捜索になりそうだ。
……不安だ。改めて、感じる。本当に、大丈夫なのか。
「………しっかりしろアホ娘。誰からも妨害されないだけましだろうが」
「それひどくないか!?」
「冗談だ。……肝試しと思っていっときゃあ、良いだろ」
「……そうだな!」
「……ハァ。これだから若者は……」
後ろでヒカイさんが頭痛そうに抑えるが、でも、なんかスっとしたな。……うん。大丈夫、ヒカイさんもジョウトもいるんだしよ。
「よっし!じゃ、行きますか!ヒカイさん!ジョウト!」
「肝試し、といくか!」
「遊びに来たんじゃないんだぞ!!」
そう言いながら、俺達は何もわからない、ダンジョンと化した四ツ谷の奥へと、足を踏み入れたのであった―――
今まで四ツ谷を「よつたに」と読んでいた自分がいた。
正しくは、「よつや」なんですね。すんません。