女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
今回のタイトル、屍道と書いてしかばねみちです。単純でしょ?
それでは、25Sz、どうぞ!
俺達は、一度中断した場所からまた作戦を再開した。
もう悲壮感はない。ただ、前へ。そうしなくちゃ、な。
これ以上、好き勝手にさせない!
「……それじゃ、マモノはアタシ達が先行して倒す!……ドラゴンは任せるぞ!13班!」
「了解です!リンさん!」
「……それと、ロナ」
「…はい……?」
「…アタシのことは『リン』だけでいい。堅苦しいのもなしだ!」
「分かった!リン!!」
俺達はリンさ……じゃないな。リンの言われた通りに行動する。……でも、一方的な命令じゃない。俺達を信用しての、自衛隊のみんなと俺達の連携だ。
「ロナ……ううん。13班。僕たちはこっちに向かう!……絶対、死なないでよ!」
「大丈夫ですナガレさん!……生きて、合流します!!」
俺はナガレさんとキカワさんに背を預けるように力強く答えた。
……恥ずかしいけど、怖かった。慣れないんだ。こういった戦場が。
でも、弱音吐くわけにはいかないしな……!
「いきましょう!ヒカイさん!ジョウト!」
「あぁ!いくぞ!」
「わーってるよ!」
俺達は進みながら、道をふさいでいたり、自衛隊の邪魔をしているドラゴンたちを倒していく。
うん。いつも以上に連携が取れてる!ヒカイさんが前に出て、俺がそこから刺し込んで、ジョウトは援護する。
単純で、分かりやすいのに、それ以上に連携が出来てる。
……へへ!なんか、良いな本当に!
「ヘラヘラ笑ってんなよアホ娘!まだドラゴンはいるぜ!」
「るっせーなジョウト!」
「二人とも、気を抜くなよ!……説教の時間を増やすからな!」
「「真面目にやります!!」」
……けど、ヒカイさんだって安心できるような顔してるくせに。………なんか、嬉しいな。
こうして、さらに認められているような感じでさ。
「―――オオオオ!!」
っ!……こいつ、『サンダードラゴン』か!……確か、ブレス攻撃と翼を使った『ソニックブーム』に注意、だよな!
「ヒカイさん!ブレスのタイミングでカウンターを!!ジョウト!その際の二次被害を抑えるために『Bデータイレイザー』を!」
「了解だ!」
「任せな!コード修復、DEL……start!」
合図した途端に、帝竜の『サンダーブレス』が俺達に飛んでくる……!
「あっ……ぐぅっ……!!」
痛っ……!けど、ここで怯んでる暇はない……!でも、やっぱり痛い!しかも、どこか痺れたような気がするし……!
けどな、俺はそれを先に見越してんだよ……!!
「吐息を流せ、『吹裂く也』ッ!!」
だけど、ヒカイさんはその攻撃を、マナをあまり使わずに相手の攻撃だけで形成してカウンターする『吹裂く也』を出していた。
デストロイヤーは基本的に遅めだ。けど、それをカバーする強烈な
どんな状況でも、攻撃に転じる。―――それが、
攻撃は避けられず、意外な一撃を喰らったドラゴンは痛みを感じたように大きく吠えた。
……怯んでいるうちに、俺の痺れは取れてきた。……さっきの『Bデータイレイザー』は時間のかかる状態異常を素早く解析して早めに除去できる、下手をすれば俺の『リカヴァ』より万能なんじゃないかと言えるぐらいのスキルだ。
攻撃に特化した
そして……状況に応じた行動ができるトリックスターとサイキックの
そんなかみ合っている俺達に……倒せないドラゴン共はいないよな!!
「『
飛び上がって、強烈な氷の刃をドラゴンの足元に形成して放つ。こいつにとっては冷気は苦手なはずだ。結構少な目な戦闘数だけど、なんか知らないけど、すごく多く戦っている気がする。
……今はそんなの、いいけどな!!
「炸裂しろ!『マインスロアー』!」
さらに俺は銃弾を直接手に持ってマナを込め、ドラゴンの首元に投げつけて刺し込む。
これ?……ま、後でのお楽しみだ。
「いいぞ。……守りを開け、『スピネイジブロウ』!」
さらにヒカイさんは俺のねじ込んだ『マインスロアー』に向かって2発、相手の防御力を低下させつつ、攻撃する。
「……仕舞いだ」
さらにジョウトがチャクラムで気を引かせるように攻撃。この攻撃が仇となったのか、標的がジョウトに向かう。
けど、もう手遅れだ。
「……じゃあな」
途端に、ねじ込まれていた『マインスロアー』が爆発した。
そう。コイツはさらに追撃の爆発も与えられる二重攻撃。暗殺者こと、トリックスターらしい攻撃だ。
爆発の撃ちこまれたドラゴンはとうとう力尽きたように、ドスンと倒れる。動いていない、となると、やったようだな。
「全く。手のかかる奴だ」
俺はそう言って、銃弾をリロード。……うん。大丈夫そうだな。
「よし、この調子で進むぞ。ロナ。ジョウト」
「はい!」
「おうよ!」
===============
「おいアレ!」
俺はある方向を指差す。自衛隊の人……が、また電磁砲に……!!
「急ぐぜ!お二人さん!!」
「分かってる!」
「あぁ!もうあんな思いはしねぇ!!」
俺達は突撃する。耐えられるはずとはいえ、急がない理由はない!
「コード強化、ATK……start!」
「よし!初手を決めよ、『ジャブ』!」
ヒカイさんの割には攻撃は軽めだ。けど、相手に特殊な『D深度』を入れ込むためにあえて力を弱めて次につなげる。これが深いほど、威力の増す攻撃ができるってわけだ。
「『ヴァンパイア』!」
さらに俺は相手の体力を削りつつ、自分のモノにできるトリックスターの剣技、『ヴァンパイア』でダメージを加える。
「ヒカイさん!」
「あぁ!純粋に放て、『正拳突き』!」
さらに一撃。その攻撃に電磁砲はレールの外へ。
……だ、大丈夫……だよな!
「………あ」
無事だった。……すげぇ、すげぇよ!キリノ!それに、ありがとう!
「……ほら!先に行け!!13班!」
「はいっ!!」
俺達はその人に感謝しながら、次へ進む。
うん……!もう、あんな思いはしなくてすむんだ!
だから、急ぐ!!明るくなったからこそ、もう暗くしないためにも!!
===============
「ここからは電磁砲の射程圏内だから迂回しろ、とのことだ」
「分かりました」
俺達は一度、電磁砲の判定から逃れるように走る。……多分、アレで最後かもしれない。
……ちなみに、俺のトランシーバーは投げてしまった故に、今現在通信の状況は分からない。
「……しかし、二人とも、見違えるうちに強くなったな」
と、走っている間にヒカイさんがそう言う。……そうかな……?
「……いや、まだ、怖いんですよ。戦場が。……実は、強がっているんです」
「ほう?」
「……今すぐに、泣いてもおかしくないんですよ。でも、それでも俺は二人と並んでこの東京を元通りにしたい。……それに、もう退くわけにはいかないんです」
さまざまな犠牲を、俺は見た。
さまざまな死を、俺は見た。
もう、この現実からは逃げられない。
逃げたら、いや、逃げたくないんだ。
「……強がりでも、ありがたいぞ」
「へへ……ありがとうございます」
「……ジョウトも、まだ怖いか?」
「……あぁ」
ジョウトは暗い顔で答えるが、すぐに真剣な顔になる。
「けど、
「……言うようになったなぁジョウト」
「フン。コイツとはちげぇからな」
るっせーな。何があっても俺をつけるんだからよ。
……へへ。でも、それがジョウトの魅力かもしれないな。
「……ん?通信っぽいな」
「あぁ」
……通信か。……しばらくして、ジョウトが俺に言った。
「……あの電磁砲、リンが引き受けるってよ?」
「リンが?」
「……イコマってやつに無理するなって怒られるかも、だってよ」
「………あぁ。……無理はさせないさ」
そう言って俺たちは急いだ。
……いた、あいつだ!!電磁砲は、リンの方を狙ってる!
「速攻で仕留める!『
「おうよ!もう一個、おまけだぁ!!」
俺は素早く両手にマナを込め、槍を飛ばして、雷をぶつける。さらにジョウトのチャクラムがそいつを叩いて、一瞬にしてそいつは壊れた。
「リン!!」
「いっつ……ちょっと怪我しちゃったよ。……でも、アタシでもやれただろ?」
「……何言っているんだよ。まだ死んではいないだろ?」
「ッハハ……!そうだよな。まだ終わっちゃいない。…けど、せめて見送りはさせてくれよ」
「うん!」
================
無事に、俺たちと10班のナガレさんとキカワさんは合流。……顔を見る限り、あっちの犠牲者はいないようだ。
……帰ったら、キリノに感謝しておかないとな。
そして、その先には、自衛隊のみなさんが。
リンが俺達の目の前へ。
「この先が、帝竜のいるフロアだ」
そう言って、自衛隊の人達の列に混ざる。
「13班、10班に―――敬礼ッ!!」
……任せろ。俺はそう、心の中で言った。
「……ガトウさん……見ていてください!!」
ナガレさんはバンダナに触れながらそう言った。
……そうだな。亡くなった人たちのためにも、俺達は勝たなくちゃいけない。
……怖い。勝てるのか、分からない。
けど、逃げないさ。絶対。弱音も吐きたくないさ。
もう、あんな過ちをしないためにも!
――――――さぁ、決戦だ……!!