女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!!   作:エマーコール

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はいどーもー。chapter2の2話目に突入。

このペースだと、セブドラ2020の話が終わる前にⅢが発売されるかもですね(苦笑

ではでは、21Sz……どうぞ!


21Sz 止まらぬ焦り

 準備はOK、作戦までやることのない俺達。

 

 けど、俺はヒカイさんに『あること』を一緒にやってもらいたい。と思っていた。

 

 その、『あること』とは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

「ぬん!」

 

 都庁の外の広場で拳と短刀がぶつかる。あ、短刀は木製なのでそんなに痛くないし、拳には布を巻きつけてあるのでもし怪我しても大丈夫。多分。

 

 で?何をやっているのかというと、お察しの通り、訓練だよ。

 

 なんか……ね。どうしても、やっておかなくちゃいけない気がするんだ。

 

「はっ!」

 

 素早くヒカイさんが拳を一直線に突く。俺はとっさに左腕で防御する。

 ……かなり痛いなこれ……。折れた感覚はしないから、手加減されているのかもしれない。

 威力を弱めるように後退しつつも、体勢を整えてもう一度突撃。……ヒカイさんは迎撃戦法みたいだな。……だったらこうだ。

 近くまで来ると、一度地面を蹴って跳躍。一種のフェイント。そして―――

 

「『無垢たる魔撃(エナジーピラー)』!」

 

 素早く、純粋な遠隔攻撃を放ち、わざと避けさせる。

 そこだ―――!

 

 けど、それよりも早く、ヒカイさんに掌底で押し出された。不意に身体を押されたものだから、受け身できずに地面に衝突。

 

「いったたたた……」

「ふむ……フェイントはよかった、が、それを狙いすぎだ。緩急をつけるべきだと思う」

「分かりました」

 

 にしても……。と、ヒカイさんは俺を見ながら疑問を述べた。

 

「……もしかして、ロナは意外と好戦的なのかね?それとも、SKYとの一件……か」

「うーん……前者は否定しますし、後者はそれも交じっているのかもしれません。けど、俺は手を伸ばせる距離の人達を失いたくないんです。その、退屈、というのを嫌ってるからかもしれませんけど」

「ふむ。ムラクモに入ったからこその、驕ることのないようにしたい……そういうことか?」

「そういうこと、なのかもしれませんね」

 

 実際はどう考えていたのかは、自分でもわからない。

 でも、言葉通りなのかもしれない。

 

 ……もし、またSKYの人たちと戦うときもあるかもしれないから。

 

「おーいそこのお二人さーん」

 

 あ、ジョウト。……もしかして、呼んでるのか?

 

「お察しの通りっと。自衛隊駐屯区に来いってよ」

「分かった。……行けるな?ロナ」

「もちろんですよ。……あんまり怪我はないみたいですし」

 

 ……けど、なんでかな。俺、一般人のはずなのに、

 

 ヒカイさんに本気を出させたい。そう思っていた。

 

 ……いや、一種の冗談だよ!?本気出させたら俺は確実に一発だよ!うん、冗談!!

 

 俺はそう思いながら、俺達は自衛隊駐屯区へ。

 

===============

 

 自衛隊駐屯区の作戦室のような場所に俺達はまぬかれた。

 

「来ましたよ。リンさん」

「……そうか」

 

 ……やっぱり、どこか距離を置いているように感じる。ムラクモのこと、嫌っているんだろうね。

 ……でも、それ以上にどこか、憤りを感じるような表情にも見えた。

 

 ………嫌な、予感だ。

 

「……先に説明しておくが……この池袋作戦は自衛隊が主体となって作戦を展開することになった。お前たちも我々の指揮に従ってもらうぞ」

「…………それだけ、ですか?」

「……なにかあるのか?」

「……他に何か伝えたいことあるんですか?」

「…………」

 

 …

 ……

 ………

 …………

 

 ……………でも、退けなかった。ここで退いたら、絶対に、ダメな気が―――

 

 

 

―――ビービー!!!

 

 

 

 ……なんだ?

 

『緊急です!たった今、池袋上空にて巨大な電磁エネルギーの収束を確認!』

 

 なっ……!まさか!!

 

『各自、衝撃に備えて下さい!』

 

 くっそ!!なんでこんな時に……!!!俺達はなるべく身をかがめて衝撃を和らげようとする。……都庁に、直撃しないよな!?

 

 

『都庁への命中率……32.7%!!』

 

 

 割と高い………!!下手に見積もっても3分の1……!!

 

 頼む、当たるな……!!頼む!!

 

 

―――ドォン!!ズドン!!

 

 

 分かる。ここからでも伝わるぐらいに身体が危険を教えていたし、衝撃自体も生半可ではない。

 でも、最低でも都庁へ直撃、ってわけでもなさそう……か?

 

『……レーザー、都庁を逸れました。被弾したのは市ヶ谷周辺の模様です』

 

 ……結構近いようで遠いよな………。でも、こっちに喰らうのは時間の問題か………。

 

『司令部より通達。ムラクモ10班、13班、及び自衛隊の各員、速やかな作戦開始を求む』

 

 ……そうだな。俺達……いや、違う。自衛隊の人達と連携を取ってこの被害をやめさせなくちゃ、な。

 

「はいはい。わかってますよ。……お前たち、いけるか?」

 

 リンさんが自衛隊の人たちに確認を取る。……全員、敬礼して大丈夫、との合図を送る。……うん。リンさんはすごい人だよな。

 

「アタシたちは池袋に先行し、ダンジョン内で作戦を展開しておく」

 

 ……え?先行……?

 

「ちょ、先行って、どういうこと、ですか……?」

 

 だめだ、ここで止めなくちゃ……絶対にだめだ!!!

 

「……幸いにも、電磁砲は自衛隊各員だけでも、犠牲を出さずに倒せるようだ。だから、その電磁砲を先に殲滅してやる。残りのドラゴンと帝竜はお前たちが倒せ。以上だ。簡単だろ?」

 

 リンさんはそれだけ言うと、この場を後にしてしまう。

 

―――だめだ!止めろ!!

 

「ま、待ってくださいリンさん!!待って―――!!!」

 

 でも、届かなかった。

 

 扉がバタンと閉められ、ここに残ったのは俺達だけだった。

 

 ……震えが、止まらない。

 

 俺は……やってしまったのか……?

 

 

 

 

 ………見殺しに……したのか……?

 

 

 

 

「…………い、いや、まだ、早い。決めつけるのは……まだ、早い!!!」

「ロナ……?」

「っ……すみません。独り言です。……でも、おかしくないですか?」

 

 そうだよ。おかしいって。

 

「……まずは、そんな単純な作戦なんて、ないでしょ?ヒカイさん……」

「…………あぁ。けれど、それすらも凌駕する武力を、私達は持っている。違うか?」

「え……?ヒカイさんって、そんな……」

「いや、言い方が悪かった。……確かに我々はその武力がある。けれど、それでも多数設置されている電磁砲を相手にしながらドラゴンを相手にできるか?」

「……それは、無理ですけど、でも、それすらもおかしくないですか?」

 

 そう。疑問二つ目。

 

「……もしドラゴンと出くわしたら、必死に逃げるんですよね?多分。……そしたら、俺達も一緒に行った方がいいかもしれませんけど」

「我々の代わりに10班が行くのではないか?」

 

 いや、それもおかしいでしょう?俺達はそこまで強く―――

 

「はぁ……ここで議論つけても、意味ねぇだろ。大事なのは、30分後に池袋、ってわけだ。違うか?」

「…………違わない」

「それに、あの女だって言ってただろ。今回は自衛隊の指示に従ってもらう。そうなんだろ」

「……う、そう言われると……」

「またオレたちが休み抜きにされるぞ?」

「わ、分かった分かった!!!俺が悪かった!!……そうだな。30分後!池袋に到着。だよな」

 

 それだけ言うと、ジョウトは黙ってうなずいた。

 ……てか、珍しいよな。ジョウトが俺に静止するなんて。……あ、すねてたとか?まっさかぁ……。

 

「……30分後。そうだ」

「分かったってば。……30分後な。……それまで、俺達は少しゆっくりするべき……か?」

「そうだな。ジョウトはともかく、私とロナはある程度動いたから、万全の態勢を整える時間かもしれん」

「……だ、そうだ」

 

 ジョウトはそういって、その辺にあった椅子に勝手に座る。いいのかなぁ……と思ったけど、まぁ、誰も見ていないんだし、多少は……ね。

 

 ……でも、自分が許せなかった。

 

 どうして許せなかったのが分からなかったし、どこが許せないのかも分からない。

 

―――――――――本当に。許せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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