女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
次回でChapter1.5が終わりそうです。ヤ゙ッ゙ダネ゙!!
今回の話で地下鉄の話が終わる(笑)18Sz、どうぞ!
「……ここかな?」
俺たちは取り付けられていたマンホールに入り、地下駅へ。
……ひどいなこりゃ。電車が乱雑に散らばっていて足取りを制限させられる。
「よォ!」
「あっ!ガトウさん!!」
どうやら怪我から復帰したガトウさん、ナガレさん、キカワさんまで呼び出されたようだ。
……そして、もう一人。
「あっ、お疲れ様です!」
「アオイさん! ……で、いいんだよね?」
「はいそうです!あと、敬語はいいですよ!普通にアオイって呼んでください」
「うん。分かった。……ところで、怪我の方はいいんですか?ガトウさん?」
「ん?あァ。怪我もぼちぼち治ってきたンで、リハビリがてらに手伝いに来たぜ」
……とてもそうは見えないけど、でも、ガトウさんが言うんだから、大丈夫……なのかなぁ?
……あと、なんでアオイまで?俺はそんな疑問をぶつけた。返してくれたのはナガレさんだ。
「うん。本日からアオイちゃんはガトウ隊に所属することになったんだ」
「そういうこった。今回は俺は口も手も出さずに見守るさ」
うわっ……無責任な……でも、まだ怪我しているって裏返しでもあるんだよね……?
無理しないでよかったのに……。
「不手際があったらぜーんぶコイツの責任ってことで、ひとつヨロシク!」
ひっでぇ!?ガトウさん新人にむかってそりゃないっしょ!?アオイも驚いているし!!
そう驚いている俺にキカワさんがやってきて俺に耳打ちをし始めた。
「……ここだけの話、実はガトウさんとナガレさんの怪我はあんまり治ってないの。だから、私もアオイちゃんのサポートに回るから、大丈夫」
「……そうなんですか?」
「内緒、だよ?」
『……ね、これ、内緒、だよ?』
「……っ、……はい」
なんだよ……また頭痛……?くっそ、昨日からなんだってんだよ……。
俺は自分に毒づきながらも今現在どういう状況なのかを聞いた。
「あァ。さっきそこで自衛隊のリン少佐から聞いたンだが、マモノの除去を行っている際に『アイツ』って存在が出始めたらしい」
「アイツ……?」
ジョウトが話に割り込んできた。……でもまぁ、ある程度察したけど、まだ続きがあるよな?
「ンで、とにかく逃げるのに必死で自衛隊の仲間たち3名とはぐれたらしい。恐らく、そのあたりからいける横洞に避難したはずだ」
「そして、我々13班と10班が一緒になって救助活動と……そういうことですね?ガトウ隊長」
「察しが早くて助かるぜ。……ただまァ、俺達はまだリハビリってもンだから、お前らの班にはアオイとキカワを付けとくし、俺らはここで待機することになってンだ。すまんな」
「いいえ。非常に助かります」
ヒカイさんがそういって、俺達にアイコンタクトをした。「できるか?」って。もちろんだ。俺は黙ってうなずいた。ジョウトも隣でうなずく。
「……では、いこうか」
「はい!でもちょっとまって……」
ってえぇ!?なんでアオイがここでチョコバーを食ってんだよ!?任務中でしょ……!?
その時。
俺の身体が『あの時』と同じように一部の強敵がいると告げるように震え、
直後に地面が大きく揺れ動き、地下鉄内を揺らがせた。
「うわっ!?」
非常に大きかった、けど、それも一瞬。どこか崩れたってところはないし、落ちてきたってところもなさそう。全員無事……
「ああああああああああ!?私の、私のチョコバーが……!!」
落ちてるな……って、うおい!?拾って食べようとするな!!俺はあわてて両手を掴んで抑制!いやだめだから!!落ちてたもの拾って食べるのダメ、ゼッタイ!!
「……ハァ。しょうがねぇな。これでも舐めてろ」
そう言ってガトウさんが取り出したのは、飴。それを見たとたん、アオイの目が輝いたように見えた。……食べ物のパワーすげぇな。……俺もその一人だけど。
「ああ!飴ちゃんだ!うう……もったいなくて食べられないよぉ……」
「ハァ~……好きにしろよ胃袋娘……」
そう呆れたガトウさんだったが、すぐに地震について冷静に分析した。
「しかし……今の揺れはなんだったンだ?イヤな予感しかしないぜ……」
「そうですね……」
「おい13班、そしてアオイとキカワ。気を付けて進めよ」
「了解」
そう言って、俺達は横洞へ。
……にしても、ひどい横洞だな……まるで、地下栽培していると言わんばかりの迷彩柄が床や壁についているし……。
「ジョウト。酔うなよ」
「酔わねーよ」
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「おい!見つけたぞ!!」
ジョウトがさっそく一人目発見……って、どうしたんだろ……震えてる……?
「大丈夫か?」
「ヒッ!?……た、助かったのか?助けに、来て―――」
そして、また地震。
それも一瞬で、そこまで脅威ではない……筈なのに。
「ヒッ!?あ、あああああああああ!!?」
うわっ!?突然どうしたんだ!?発狂した自衛隊をあわてて肩を叩いて落ち着かせようとした。
その時、言葉を聞いた。
「イ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!やつ、が、やつが来るうううぅぅ……!!」
「っ、かなり混乱してるみたいだぜオッサン!」
「あぁ……安定剤があれば……」
「ここはアオイにお任せをっ!」
アオイがやってきて、安定剤を注射。見事に自衛隊一人を落ち着かせた。……安定剤すげぇな……。と俺はそう思っていた。
「あとはこちらで搬送しますのでご心配なく」
「じゃあ、私がやったげるよ。アオイちゃんは13班について行って」
「了解です」
冷静にアオイがそう言って、一旦俺達とキカワさんは別行動することになった。
……にしても、また地震……? どういうことなんだ……?
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「……おい!なんか聞こえたろ!」
ジョウトが俺達に呼びかけた。……確かに、誰かがドラゴンと混戦している……!!
「急ごう!!」
俺の呼びかけに、ヒカイさん、ジョウト、そしてアオイが一斉にうなずいて走り始める。
「……あそこだ!!」
いた!たしか、『グラナロドン』だっけな。こいつ!
「ロナ!!」
「はい!『タランテラ』ッ!!」
後ろがガラ空き。俺は素早く撃ちこんで一時的に動きを封じさせる。
「ジョウト!アオイ!!」
「任せな!!コード介入、HACK……go!」
「はい!『
ジョウトは素早く相手に
「よっし!おっさん、合わせろよ? ……コード改変POW……start!」
「あぁ!でりゃああ!!」
さらにジョウトが『ロストパワー.X』を発動。さらにそこにヒカイさんが踏込み、一撃を加える。
「先輩!」
「うん!せーのっ!!」
「『
一斉に『フレイム』を発動!威力抜群でグラナロドンを倒すのには十分な威力だよな!
二人で出した炎撃はそのままドラゴンを溶かすように燃え、炎が尽きた時にはドラゴンは倒れていた。
「やったぁ!先輩!やりましたよ!!」
「それよりもアオイ!あの人は?」
俺はさっきの自衛隊の人がいるか探しながら―――まぁすぐに見つかったんだけど―――アオイに尋ねた。アオイも見つけて近づく。
「はいはーい!アオイ救急便参上です!お怪我はありませんか?」
「あ、あれ……?助かったと思ったけど、やっぱりオレ、死んじゃってるの……?」
アホか。そう思いながら俺達は二人のやり取りを見ていた。……結果。混乱していた。
「……どうすんだよ?こいつラリってるぜ?」
「ふむ……キカワさんに連絡を取った後、我々は残りの隊員を探すべきだと思う」
「確かにそうかもしれませんね……なるべく早めに行った方がいいかもしれませんけど……」
「……んじゃあ、オレも残るわ」
……え?ジョウト?今何て……
「何回も言わせんなアホ。とにかく、オレも残ってコイツを救援する。キカワと連絡とれりゃあ、オッサン達についてもらっちまえばいいだろ?」
「………ふむ。分かった」
ヒカイさんも賛成、か。……二人で大丈夫なのか、と思ったけど、ここら一帯のドラゴンは片づけたはずだし、あとはそこまで苦戦しないマモノだけの筈。
「……死ぬなよ。ジョウト」
「わーってるよオッサン。さっさと行って来い」
「あぁ。……行こうか。ロナ」
「あ、分かりました!!」
とっさに返事しちまったけど、俺もどこか慢心もあったのかもしれない。不安だった。
けど、大丈夫……だよな。信じるんだ。
俺とヒカイさんだけになっちまったけど、大丈夫だ。きっと。俺は自分にそう呼びかけてこの場を後にした。
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「……しかし、さすがに二人となるときついですね……」
「あぁ。だが、こうして人がいないことでその人の魅力を再確認できるものだ」
やっぱり、縁の下の力持ちってやつだね。俺はジョウトがいたからこそできた行動が出来ないことにもどかしく感じながらジョウトのすごさを再確認できた。
「……の割には試験の時には戦力外って言ってませんでしたっけ?」
「まだ覚えていたのか。……ま、確かにそうだな。今となっては、謝罪するべきなのかもしれない」
「合流したら、感謝の言葉を述べたいですね」
「…………そうだな」
……どうしたんだろヒカイさん。どことなく哀しそうな顔を浮かべていたし……。
「さて、この辺りらしいが……」
「いました!あっちです!」
俺はヒカイさんを連れて自衛隊の一人の元へ。……少し怪我をしているけど、なんとか息はあるみたいだ。よかった……
「大丈夫ですか?」
「あ……救援か……助かる。あの頭でっかちの女三佐のことだから……」
「頭……でっかち?リンさんが?」
その人は黙ってうなずいた。……確かに、どことなく俺達のことをライバル視してるみたいだし、な。
「でも……リンさんだって悪い人じゃないはずです。仲間思いだし、それが、自分のプライドが邪魔をして無理やり、俺達の手助けなしで助けようとしただけだと思います」
「………そうか……」
どうやら、納得してくれたようだ。……というか、よくこんな言葉言えるよな。って俺は思っていた。
全くと言っていいほど話したことないのに。
……ん?どっかから足音………?
「じゃじゃーん!キカワ救急便ただいま参上!」
「……キカワさん、それアオイも言ってましたよ……」
苦笑した。どうやら似た者同士、らしい。まぁ、悪くないんだけどね。
「じゃあこの人は私が運んでいくよ。二人はジョウトと合流してあげて。彼もそっちにいるらしいから」
「分かりました。よろしくお願いします」
そう言って、その人とキカワさんは先に行った。俺達はジョウトとの合流のために一度戻ることになった。
ジョウトに連絡を取ってみたところ、もう横洞の出入口付近まで来たらしい。じゃあやっぱり戻るんだな。と俺達はそう思った。
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「ジョウト。無事か?」
「オッサンとロナは無事ならオレだって無事だ。……とにかく、ミッションは成立。自衛隊のヤツらも先に帰ったぜ」
「なるほどな」
どうやら全員無事だったようだ。なんか、誇らしいな。人を助ける仕事って、いいものだな……。
「っと、そうだ。ジョウトに言いたいことがあったんだ」
「んだよ?」
「……二人だけでの行動で、ジョウトの力強さを再確認できた。……これからもよろしく頼むぜ?ジョウト」
「……やーっとオレのすごさが分かったかよ。へっ、気づくのおせーっつーの」
ったく、照れてやがる。ホント、素直じゃねぇんだから。ジョウトは。
「さて、我々13班の絆も深まったところだ。もう少しで昼になるから、私達も帰ろうか?」
「はい!」
「あぁ」
そう言って俺達は、地上に戻ろうとして……
また、身体が震えた。
同時に、地下道も揺れる。
「っ!!」
やばい……今度のはでかい……!!
その時。
ズドン。と何かが壊された音がした。
「なんだ!?」
「おい!!ありゃあ……!!」
「な……帝竜!?」
まて!この帝竜でかすぎるだろ!?まるで列車だろこれ!!?
「二人とも!逃げるぞ!!」
「言われなくてもっ!!」
「は、はい!!」
俺達は全力疾走で地上へ続く梯子へと向かう。
くそっ!?あの帝竜でかい上に速い!!撒けるのかこれ!?
でも、全力で逃げるしかない……!!!
けど……!!
もうすぐそこまで!!
「……ッッッ!!!」
それでも、俺達は止まらなかった。
必死に走って、走って。
そして突然。
「………ブルルルル」
……帝竜が……止まった?
「……まさか、この光を嫌って?」
「考えるのは後だ!脱出するぞ!!」
そうヒカイさんは命じて、俺達は慌てるようにこの地下道を後にした。
……危なかった。間に合わなかったら、一体どうなっていたのだろうか。
くっそ…………ぞっとしねぇ………