女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
今回からchapter1.5の部分に突入。お待たせしました!ついにあの方々の登場……はもう少し後になります!!
……ここだけの話、ミヤさんどうやって登場させようか模索中です。……あの人キャラ薄いんですもん。Ⅱではほぼ空気と化してしまいましたし……
ま、こうしたメタ事情は放っておいて、chapter1.5、14Sz、どうぞ!!
14Sz 記憶無き思い出
「………ぐかー……」
『……てください!ロナー!!』
「スピー……むにゃ……」
『はぁ……どうしたら……え?こういうときは直接……?……何で私が……いえ、分かりました』
「……おぉーい……セッティ……ぬぐぅ……」
………コンコン
「……ZZZ」
「ロナー!入りますよー!」
「ZZZZ……」
「……全く、まだ寝てる……おーきーてーくーだーさーい」
……むにゃ。誰かが俺を起こそうとして……やだ、眠い。後5時間。……布団かぶろ。
「もう!起きてください!!」
バサァ
……布団ひっぺがえされた。誰だよ一体……俺は眠い頭を働かせながらも布団を取った犯人を見て……
……あぁ。ナビちゃんか……
…
……
………
…………
「って、いろいろよくねぇよ!?つかなんでナビちゃんいるんだよ!!」
「ひゃあ!?お、驚かせないでください!!起きているなら起きているって言ってくださいよ!!」
いやだって俺今の今まで寝ていたし。布団ひっぺがえされるまでずっと。あー眠。もうちょっと寝たい。驚いてる隙に布団を取り戻してまたかぶる。あー布団のなか暖かいぜぇ。
「もう……ロナ………えっと、確か、こういうのを…」
寝坊助……だろ。全く。寝坊助でいいっつー……
「……えーっと…ロrk」
「やめろおおおぉぉぉぉ!!!!!いろんな意味で俺とキミの将来が怪しまれるからぁぁぁぁ!!!」
ひゃああ!?と悲鳴を上げながらナビちゃんは身を退いていく……って、誰だよナビちゃんに教えちゃいけないワード教えたの!!そういう人間じゃねぇから俺!!!おかげでバッチリ目が覚めたぞ!!
「ぜぇ……はぁ……あ、朝からハードなツッコミをさせないでくれ……あー目が覚めた……」
「だ、だからと言っていきなり大声ださなくていいじゃないですか……こっちが逆に起きちゃいますよ……」
……いや、だって、ナビちゃんいるし、それに、絶対小さな子に教えちゃいけない言葉教えたし。そりゃあ上の子全力で阻止しますわ。
「……で、なんでナビちゃんいるの?まずそこから」
「……あの、いい加減その、『ナビちゃん』はやめてくれませんか?なんだか恥ずかしいですし……」
「……いや…だって、『NAV3.7』って……そんなの……なんつーか、兵器みたいで嫌だし……」
仮にも……いや、この子は人間だろ?中学生にもならないはずなのに、名前がないなんて……そんなの、考えたくもない。
……ナビちゃんは黙ってしまった。……その、悪いこと、言ったかな……。と、思った時、ナビちゃんは顔を上げて俺を見た。
「……ミイナ、です。そして、もう一人はミロク、です」
「ミイナにミロク………いいじゃん。そっちのほうが。ちゃんとした名前だし。なのに何でそんな名前なのさ……」
だって、そうだろ?まるで、NAVが正式名称みたいでさ。ちゃんとした名前があるならそっちの方名乗った方がいいはずなのに。
「……えっと、その……」
「あー……いや、いいよその理由なんか。……とにかく、俺はちゃんと『ミイナ』と『ミロク』って呼んでやるから」
な?と俺はナビちゃ……じゃなかった。ミイナの肩に手をあててそう言う。ミイナは黙ってうなずく。
……って、そうだ。何で俺を叩き起こしたんだ?……つか、ヒカイさんとジョウトは?
「……あ!そうでした!……ナツメ総長が本部に来いと言ってました。……あまりにも遅いので」
「えぇー……俺何かしたのか?」
また都庁の外の広場で以下略なんてやりたくないよ。…………ヒカイさんならやりかねねぇ!!!
俺は慌てて、ベットに置いてあったニット帽をかぶって外に出ようとする。……うわぁ、ものの見事に二人いない。二人も呼ばれていたのか?……だったら起こしてくれたってよかっただろチクショウ!!
俺はヤケになりながらも外に出ようとして、何気なくミイナを見た。……あれ、俺……というか、正確には俺の頭の上を見ているような。……上に何かいる?……うん。いないな。……と、なると。
「……えっと、ミイナ?……モフるのは後でな」
そう言って俺は本部まで階段使って全力疾走!!!だってミイナがロホニャララなんて言いかけた後にモフられたらマジでいろいろとおかしい人になるかもしれないから!!「ムラクモ13班河城野ロナ(このコメントは削除されました)」なんて書かれたら俺は都庁の下から真っ逆さまになったっておかしくねぇよまじで!!
……って、本部って、どっちだっけ?
「………あー……」
……えっと、こっち……だっけ?
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……で、例の如く、俺の頭の中の、何故か頭に入っている地図みたいなのを頼りに無事到着。……あー腹減った。どさくさに紛れて飯食えばよかった。「迷ってたら食堂あったので朝食食べてました」って。
とりあえずドアを開けてっと。
「失礼します」
「……君はどれだけ待たせるの?」
キリノが不機嫌そうな顔で俺に問う。
「……32分?」
「違うわよ。48分よ……今回だけよ?」
ナツメさんがそう言う。…完全に大遅刻ですね。これ。
「……はぁ。やっと目を覚ましたかね」
「おせぇんだよ寝坊助」
ヒカイさんが呆れて、そしてジョウトが例の如く嫌味たっぷりに俺にそう言う………あー、そだ、ジョウトに言いたいことあったんだ。
「……お前だろ。ミイナに変なワード教えたの」
「は?何のことだよ?それにミイナって……」
「名前教えてもらったんだよ。NAV3.7じゃなくってミイナ。あと、NAV3.6じゃなくてミロク。……で、絶対ミイナに教えちゃいけない言葉教えたのお前だろうが」
「だから、何のことかさっぱりだっつーの」
「ほう?名前を教えてもらった……か」
……あれ、なんでヒカイさん反応するの?……え?まさか……
「……ヒカイさん……まさか……アンタすか……?」
「……ロナ、キミはやっぱりソッチの趣味があったんだな」
「全然違います!!!つか何で起こさなかったんですか!!」
「起こそうとしたけど起きなかった。だが、NAV3.7……いや、ミイナが起こしに行ったときにはロナ、キミは起きただろ?それに……」
「……ヒカイさん、アンタいっぺん頭冷やます?」
グゥ~……
「………」
………だれだよでかい腹の虫が鳴いたの。ジョウトか。
「ちげぇよアホ。……つか漫才していいのかよここで。いくらなんでもお偉いさん集まっているんだぜ?」
………あ、言われてみればそうだ。なんてことだ。
「……で、ナツメさん。何で俺達13班をここへ?」
「……はぁ。マイペース過ぎて逆に感心するわ……」
……呆れながらナツメさんはそう言って、俺らに事情を説明した。
なんでも、やっと衛星通信が使える分には問題ないレベルにまで修復できたらしい。それで、各国のお偉いさんに無事かどうかを報告して、それでもし(ギュルル~)よかったら日本に援軍を寄こしてもらいたいとのこと。……ただ、後者は絶望的らしいけどな。
……んで、ちゃんとナツメさんが説明している間にまた誰かの腹の虫が鳴いたとさ。……本気で誰だろーな。
「……で、分かったかしら?」
「十分ですよ。……まーったくだれだろナツメさんがすばらしいせつめいをしているあいだにはらのむしをなかせた(グ~~~)………」
…
……
………
…………
「……ロナ。朝ごはんは食べたかしら?」
「……いえ、まだです」
「……今すぐ食べに行きなさい」
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んでもって、俺は、エントランスで何故か売られているやきそばパンを見つけ、3つ買いましたとさ。……1つで十分だったのに、店員さんは「都庁を奪還してくれたお礼」と言ってまけてもらった。……いいのかよ本当に、と思いつつも誘惑に負けるのが人間です。
久々に食べたやきそばパンはいるはずの世界が変わっても変わらぬおいしさ!!やっぱやきそばパン最高だぜ!!
そんで、1つ目を一発で平らげた俺はもう一つ食おうとして、手を止めた。
「……グスッ」
………泣いてる子供……だよな?5歳ぐらいの。……どうしたんだろ。迷子になったのかな。俺はそう思って接触することにした。
「おーい君。どうしたの?」
「……ママが、ママがいないの」
あれ、そりゃあ大変だ。……こりゃあ迷子かもな絶対。
……迷子って、思いたいな。
「……よっし分かった。おにi……じゃなかった。お姉ちゃんが一緒に探したげる」
「……ほんとう?」
「もちろん!都庁にいるかもしれないからね!!」
『人間だれだって迷子になるモノ』。……この言葉は誰かの教訓だけどね。……そしてあぶねぇ。一瞬お兄ちゃんなんて言い出しそうになった。俺女だっけな。……なーんか本当に不便だな。これ。
で、その後はいろんな人に「迷子になっている子供を探している母親」がいないか訊きに回った。……だって、その方が効率がいいだろ?子供探さない親なんて親じゃねぇし。
……10分したかな……一向に見つからない。訊ねても「知らない」だの「見てない」だの言われていた。
……でも、俺は否定したかった。きっと、『探している筈』だ、って。
………思わず、俺は聞いてみた。お母さんの特徴を。
「……ママはね……こうえんであそんでいたらね……グスッ……」
……やっば、また地雷踏んだ……しかも、俺にとっても不都合な言葉だ。
……絶対、はぐれて、そして……
「あれ?ロナじゃない。どうしたの?」
ん?誰だろ……って、キカワさん?……まだ休んでいてもおかしくないのに。
「いやー動かないとなんかね。……あ、察した。……もしかして……」
……あぁ。その、もしかして通りだ。俺はなるべく簡略に今の状況を説明した。キカワさんは黙ってうなずいて、子供の近くでしゃがんだ。
「……怖かったんだよね?……でも大丈夫!!ママは絶対、迷子になっているだけだよ!!」
「……うん……うん……」
「迷子になってたら、お姉ちゃん、説教したげる!『コラー!子供置いて行って迷子とはどういうことだー!』って!」
「……お姉ちゃん、ボクのママに怒られちゃうよ……?」
「あ、それもそうか。アハハハ!!」
……不思議と、その場の雰囲気が和らいでいく。キカワさんにつられて、泣いていた子供も笑っていく。
……この光景、覚えているような気がして―――
『……なぁ……、この子、迷子なんじゃないのか?』
『そうかも……ね、キミ!』
「……ッ」
ズキリと、頭が一瞬痛む。無理やり思い出そうとしたからかもしれない。……チクショウ。こういうときだけ記憶喪失ってつらいもんだな……。
「じゃあ、ロナ。この子につきあったげてありがとね。ここからはこのキカワさんに任せなさいっ!」
「……いいんですか?」
「だってしばらく休暇だし。暇だからね。……じゃあ、お姉ちゃんと下で遊んでこよっか!」
そういってキカワさんは子供の手をひっぱってその場を後にする。……子供は一旦こっちを見て、「お姉ちゃん!お母さん探してね!!」と言ってくれた。俺は黙って手を振る。
………あぁ。きっと、迷子になっているだけだ。……大丈夫だ。希望を見捨てなければ。
「ここにいたか。ロナ」
「……あ、ヒカイさんすみません。……どうしたんですか?」
そう言って、ヒカイさんは俺に説明してくれた。
今回は任務として、多数の生体反応のある渋谷に向かって、ドラゴンの討伐、および救助を行ってもらいたいらしい。
……ちょうどおあつらえ向きだ。……もしかしたら、いるかもしれないしな。
さらにヒカイさんは他国の状況も教えてくれた。……やっぱり、どこもドラゴンの襲撃だらけらしく、連絡の取れたアメリカですら援軍は寄こせないとのこと。……まぁ、たしかにそうだな。……俺達の国は俺達で……か。
「それじゃあ行こうか。……くれぐれも、一人で走ることの内容にな?」
「大丈夫ですって!前回だけですから!!」
「ま、次やらかしたらまた都庁の広場で」
「もう分かりましたから!!!」
俺は慌てながらもちゃんと返答した。……もうやりたくねぇよ!都庁の外の広場で以下略なんて!!
……ま、そのおかげで無茶はできなくなったから、ある意味、ストッパーとなったんだけどね―――
ここだけの話その2。
2話ぐらい前のハイスペック主人公はこれから物語終了まで出ないはずなのであしからず(発揮しないとは言ってない)。