女ルシェに転生して2020年の東京で運命ごと『かえる』!! 作:エマーコール
えぇ……意外と、今回の話は前の話より(おもに文字数の)ボリュームが二倍以上となっていて空いた時間にサクっと読める量ではなくなっています。まさか私もここまでかかるとは思いませんでした。
今回はこのChapterの終わりと言うことで、あとがきも用意してます。なので今回の話は本当にちゃんと読んでからあとがきを見るといいでしょう。もちろん、「見たくねぇよそんなもん!!」と言う人は見なくてもおk!!
では……13Sz、どうぞ!!
「おらっ!!その程度かぁ!!」
都庁の屋上。そこは唯一、ある意味、帝竜の影響を受けていない場所とも言える。証拠に、ここだけ重力は180度回転しておらず、外にいるときと変わらない。
そこで、人間三人と帝竜一体、ウォークライとの激戦を展開されているようだ。
帝竜、ウォークライとの激闘。ウォークライが爪でガトウを引き裂こうとしたが、ガトウはそれを流し、顎に一発ヒットさせる。デストロイヤーのスキルの一つ『爪砕く也』。こういった爪攻撃ながらも、一点を読んでの破壊力はヒカイが使っていた『迎撃スタンス』より高威力だ。
一撃は入った。だが、ウォークライはひるみはせず、巨大な牙で迂闊な接近をしてきたガトウに向かって喰いちぎろうと大きく顎を開く。
「させないっ!!」
そこにキカワの双銃が火を噴く。足に強烈な一撃を加えて動きを止めさせる。一発一発は遅いが、重く、そして、連射により、数で押していく『ニーブレイク』で動きを止める。今まさに前進して喰いちぎろうとしたところで、一歩分足りずに、ガトウに届かず空を喰らう。
「ナガレさん!」
「了解!―――納刀、『フブキ討ち』!!」
さらにナガレによる、マナを冷気に変換してそれを利用した一閃を放つ。キカワの与えたダメージに追撃をかけるように足へと一閃。
手ごたえはある。だが、怯んだ感じは一度もしない。
ま、まずい……!ナガレはそう思ったが、時すでに遅し。
足元のゴミでも払うように、帝竜が低く飛び、でかい図体に見合わない一回転で勢いをつけ、大爪を叩きつける。
ナガレの身体が跳ね飛ぶ。数メートル転がり、受け身をとりながらブレーキをかける。
「ナガレ!無事か!?」
「はいっ!なんとか!……少し待っててください」
ナガレは軽く手を振った後、息を大きく着いて集中。少しして、傷が引いて行った。これはサムライのスキル『練気手当』。受けたダメージや悪い状態異常を素早く回復できる、サムライの強力なスキル。これを使いこなせる技量がないと、S級は到底名乗れないだろう。
傷が癒えたのを確認した後、ガトウとキカワは互いにうなずいて、ガトウが前へ、キカワはその場で構える。
「それじゃ、ガトウさん。無茶しないでくださいよっ!」
「分かってる!……ただ、少しばかり無茶させてくれよ!!」
ウォークライへと走り込むガトウ。キカワはゆっくり目をつぶり、そして、自身の気配を薄くした。そして、ガトウは勢いよく踏込み、さらに突撃。
「おらっ!!響くだろ!?」
ドスンと、重い一撃。だが、これで終われない。素早く息を吐くと、さらに拳を強く握る。
「その固そうなの……地獄には必要ないよなぁッ!!」
さらに強烈な裏拳を、膝に二発。膝についている結晶にヒビが入り、さすがに効いたのか、ドラゴンは悲鳴をあげ、膝をつく。
「ナガレ!!いけぇ!!」
「はいっ!!」
相方に出番を譲るようにガトウは一度下がる。そこにバトンタッチしたように踏み込むナガレ。刀は引き抜いており、『抜刀状態』へとスイッチしていた。
サムライは二つの型を所有しており、抜刀はいわば、『安定した連撃』を意味する。逆に納刀では『強烈な一撃』だ。柔と剛、それらを使い分けるのがS級のサムライだ。
グルンと、その場で一回転。目で敵を捕らえ、刀にマナを込める。
「抜刀、『
そこから高速で振り抜き、金色の旋風を巻き起こす。四方八方から斬り伏せていく強烈な斬撃はウォークライに少しずつ、しかし確実に傷をつけていく。
「―――オオオオオオ!!!」
だが、この程度では動きを止められないのか、ウォークライが吠える。反撃するように、巨大な剛火球を吐き出す。
「しまっ……ガハァッ!!?」
それはガトウに直撃。巨大な火球はガトウを何mも引きずって行き、爆散。
あまりにも強烈な攻撃にガトウは受け身を取れずにダウンしてしまう。
「ガトウさん!!!」
「よそ見してる暇ないでしょ!!」
どこからかキカワさんの声が聞こえ、思わずはっとしてウォークライを見る。もう一度、今度は違う標的を喰らうように。だが、
「―――撃ち抜くっ!!」
その頭に、側面からキカワの銃撃が弾ける。こちらを狙わず、味方に攻撃を加えたその一瞬の隙を狙ったトリックスターのスキル『ブッシュトラップ』。その弾丸はウォークライの鼻先、そして目に直撃。
「ウ、ゴオアアアァァァァ!!」
キカワ、そしてナガレは確信した。この一撃は響いたと。大きくよろけ、両腕をつくウォークライ。この隙を見逃すほど、二人は甘くなかった。
これで仕留める。そう言わんばかりに二人は気合の雄叫びを上げ、武器を構える。
「踊り狂え!!『ラッシュショット』!!!」
「抜刀秘技―――『八双大蛇突き』!!!」
二人の連撃が炸裂する。キカワの大胆かつ、強烈な弾の乱舞が、ナガレの素早い連続突き、そこからできたマナの放流にさらに込め、強力な一突き。
攻撃が終わり、二人は一度、下がり、ガトウの側による。ガトウはところどころ傷は負っているものの、動ける分には問題なさそうだ。
「ガトウさん……」と、不安そうにナガレがガトウを見て、動かないウォークライを見る。ガトウは黙ってうなずく。
「……あぁ。伊達に帝竜じゃねぇはずだ……」
いつでも反撃できるよう、ガトウは攻撃の構えを取る。その間にナガレはポーチから注射器を取り出し、ガトウの腕に注射。ガトウの傷がある程度引いていく。このアイテムは、この世界における貴重な傷薬とも言えるべきもの、それを『メディス』と呼ばれている。
ガトウの予想は間違っていなかった。
ウォークライの片腕が動く。ゆっくりと、そして、さまざまな傷を負っているのにもかかわらず、まだ動けると言わんばかりに、ゆっくりと、起き上がる。
「……ヤベェな」
「まだ足りないなんて……」
ガトウとキカワは率直な意見を述べる。ナガレは絶句していた。正直、ここまで戦えたのもある意味奇跡なのかもしれない。
一体戦闘を初めてどれだけ時間が経ったのかは実感できていなかった。それほどまでに三人に精神的な疲労が来ていた。肉体は動かせるには特に支障はないが、それでも受けたダメージ、いや、疲労は完全には回復できてはいない。
そしてなにより、キカワとナガレは大技を繰り出して、自身の体内にある
この状況で、勝ち目があるのか……?否。だが―――
「刺し違えてでも……ここから消え去ってもらう―――!!」
ガトウが大きく前進。それに合わせるようにナガレもキカワもついていく。
もちろん、これだけやったということはウォークライも相当なガタがきているはずだ。
だとしたら、さらに強撃を加えればいい。そう三人は思っていた。
だが
誰しも、切り札というのは隠し持っている物だ。
けれど、初対面の敵の切り札は最初は分からない。
しかし、三人は先ほどの剛火球が『強力な切り札』だと思っていた。
そして、その繰り出した強力なものが『切り札』とは限らない。
つまり、三人の読みは完全に甘かった―――。
「グ、オオオオアアァァァァァァァーーーー!!!!」
ウォークライが凶悪な咆哮を、三人にぶつける。
『タイフーンハウル』。その咆哮は嵐となり、我が牙に抗うモノに加える一撃。
「ガあぁぁ!?」
その凶烈な咆哮に、三人は思わずガード体勢を固める―――だが、そのガードすらも吹き飛ばし、三人を大きく弾き飛ばす。
受け身も取れずに三人は地面へと撃ちつけられる。これぐらい、切り札とは言えないだろうと思っていたが、
「……ッ……動きが……うまくいかねぇ……!!」
そう。その咆哮は単なる吹き飛ばし攻撃ではない。身体の神経という神経を『麻痺』させる、いわば衝撃。
さらに、追撃をかけるようにウォークライは軽く浮くと、そのまま疾走。でかい図体に似合わない高速飛行は三人に反応させる暇すら与えない。
そして、そのでかい腕でガトウを捕えた。
「しまっ……!!!」
「ガトウさ……ぐっ!!」
ガトウは掴まれて、無理やりほどこうとしたが、そのでかい腕をほどくのには先ほどのダメージと合わさってほどくことはできない。そして、助けようとしたキカワだが、身体がうまく動かずにその場で倒れてしまう。
「く、くそ……ガトウさ……ん!!」
ナガレも必死に、刀を使って立ち上がろうとして、そして、驚いた。
今すぐに、焼き払おうと、火球を口に溜めこんでいた。
「や、やめ……ろ!!」
ビキビキと、身体を無理やり動かすナガレ。だが、その声はウォークライには届かない。代わりに、ガトウの怒声が響いた。
「バカヤロウ!!!早く……逃げろ……!!!お前には……!」
待ちきれなかったように、ウォークライが零距離で、火球を発射しようとする。
「や、やめろ……やめろぉぉぉぉーーー!!!」
阻止するため、ナガレはその間に割り込むように飛んでいく。
ナガレには、大切な妻がいる。
ナガレには、守りたい妻がいる。
そして、ナガレには、背を預けられる仲間もいる。
今、手を届く距離には、傷つき、そして、今にも殺される仲間にしか届かない。
ナガレは、手を伸ばすしかなかった―――
ナガレの世界がスローになる。
ガトウの罵声、
キカワの悲鳴、
そして、焼け付くように熱い熱気。
衝撃が伝わる。
――――――死んだのか、ボクは?
――――――あぁ、でも、悪くはない。仲間を護れたんだから………
――――――あれ、なんだろう………
――――――火球、浴びたはずだよね……?
――――――なのに……なんで……
――――――背中が冷たいんだろう………?
「――――――間に合った!」
突然、ガトウ達の背後から聞こえた。
拘束がほどかれたガトウが息を大きくしながら、後ろを見ると――――――
「……は?」
「……な、何で……?」
少々小柄な身なりで、美しい白髪の女性―――
そう。ムラクモ13班の一人。河城野ロナだった―――
=====ロナside=====
「な、ナガレさん!!無事ですか!!」
俺はあわてて駆け寄りながらもナガレさんの無事を確認する。だが。
今まで仰向けでダウンしていたウォークライが動き始めた。
やべぇ……!!どうすればいい!?この距離じゃ救出が間に合わないかもしれない!!
そう思うより、俺は必死に走り、そして、素早くナガレさんの元へ飛び込んで、運ぶようにさらに身を退く。
直後、ナガレさんが今までいた場所に大爪が振り下ろされた。
……あぶねぇ。判断が遅かったら今度こそナガレさんは死んでいた。
途端に、俺の脳裏に一つの出来事が浮かんだ。
それは、ナガレさんが横たわり、傷ついたウォークライもいて、ガトウさんのピンチに三人が来た光景だ。
一瞬でそれはなくなる。……なんだったんだよ一体――――――
「オオオオォォ!!!」
ウォークライが吠えた。獲物を取り逃がし、機嫌を損ねたように。
久々に聞いた、そいつの雄叫び。それを聞いただけで戦意喪失しかけ――――――
「―――♪」
……え?
この歌……どこから……?
それに……聞き覚えが……
その声は、俺達を優しく鼓舞してくれいるようで―――
聞き覚えがあるはずなのに……初めて聞くような声―――
でも、そのおかげで……俺は決心することができた。
「……ガトウさん。動けます?」
「あ、あァ……痺れが取れてないけどな……」
「……キカワさん。行けます?」
「……うん。私もいけるよ」
「……ナガレさん。大丈夫ですね?」
「もちろん。ちょっと背中が痛いけど、二人が回復できる隙ぐらいは与えられるはずだよ」
「……分かりました」
うたが、まだ、きこえてくる。
……ほんと、いい声だよ。……あぁ。いけそうだ。
「行きましょう。……後でこの失態は謝ります」
そう言って、俺はマナを右手に込め、ナガレさんはウォークライに突撃した。
「
素早く、マナを発してガトウさんとキカワさんに放つ。淡い白色の光が二人を包む。
「……おう!動けるようになった。行くぜ!キカワ!!」
「了解!!」
側面からキカワさんが、そして、正面から堂々とガトウさんが突っ込む。俺も負けてられない。マナを右手、そして左手に集中―――!
「
「弾け飛べ、『エア・アサルト』!」
俺は『フリーズ』を素早く、両手の腕で連続で投げとばす。そして、宙へ飛んでいたキカワさんはそのまま弾丸
を連続発射させる。
行ける。勝てるかもしてない。そう思っている。傷だらけのウォークライだから――――――
だが、こいつはまだ余力を残していた。
攻撃をものともせず、火球を俺に向かって放ってくる―――
やべぇ……直撃……!!
思わず俺は目をつぶる。速い、避けられない―――
でも、衝撃はいつまでもこない。
……なんだ?何が……。俺はそう思って目を開ける。
「……全く。だらしないぞ?ロナ」
「ヒカイさん!!!」
「ったく、無茶してんじゃねぇよアホ」
「ジョウト!来てくれたのか」
「ったりめーだアホ助。突然飛び出して追いかけないほうがおかしいっつーの」
ジョウトは皮肉たっぷりに俺に向かって言った。ムカツクけど、今じゃなんか頼もしいな。それに、火球を弾き飛ばした……いや、代わりに受けてくれたヒカイさんにも感謝しなくちゃな。
「ヒカイさん……すみません。俺……」
「謝罪は都庁を奪還させてから言おうか。……それじゃ、行くぞ」
そう言ってヒカイさんは突撃する。背後からキーボードをたたく音も聞こえてくる。ジョウトだ。
「コード強化、ATK……start!!」
瞬間、俺の中から力が湧いてくる。すげぇ。これならいけるかもしれない!
「よっし!任せろジョウト!!」
「へっ!独りじゃできねぇことだろ!?」
ほんと、頼もしく感じる!俺は一丁だけ銃を構えて、ウォークライを見る。その視界の奥で、ヒカイさんとガトウさんが攻撃の構えを取っていた。
「狙い撃つ!!『エイミングショット』!!」
俺のマナを込めた銃撃。狙いすましたそれはウォークライに直撃。俺のその銃攻撃が合図となったのか、二人は攻撃を開始する。
「「『正拳突き』!!!」
強烈かつ、重い一撃が同時に炸裂。腹に撃ちこまれたソレは今まで傷を負わせたウォークライにとっては致命打となり、ダウンさせる。
「今だ……ナガレぇ!!!」
「任せてくださいッ!!!」
飛び上がる。ナガレさんが大きく。
けど、ウォークライも負けじと、片腕を大きく伸ばし、ナガレさんに向かって振り抜かれる。
だけど、ナガレさんだって負けてない……!!!
「沈めぇぇぇぇぇ!!!!!」
===============
突然、予兆もなく地面が揺らぎ始める。
「……うわっ!?地震!?」
屋上。まるで生命の終わりを告げるように都庁が大きく揺れる。思わず俺は上を見上げて―――
「って、みんな上だ!!ガレキが落ちてきそうだ!!」
「くっ……破壊すンのにもちょっと無茶だ!!身を護れェ!!」
ガトウさんの合図で俺達は一斉に防御を固める。
また一つ、また一つと瓦礫がガレキが落ちてくる。必死に頭を護るように防御するのに俺は精一杯で、みんなの様子は分からない―――!!
地震とガレキ。それらが都庁を大きく揺らがせる。怖い、怖い怖い……頼む、壊れないでくれ……!!
長く感じた振動。それがやっとおさまったと思い、俺は恐る恐る目を開ける。
外にいたのに、すごくまぶしく感じて、俺は一瞬だけ瞬きをする。……光?太陽か!……そういや、今まで日食してたんだっけ。忘れてた。
……そして、あの『うた』もいつの間にか聞こえなくなっていた。……一体、何だったんだろうか……
『……班!13班!応答してください!何があったんですか!』
……あ、キリノの声だ。俺はトランシーバー越しに響いてくる声を聞いて、返答しようとして、一旦辺りを見渡す。
同じく、何とか無事であるヒカイさん、ジョウト、キカワさん。
そしてガトウさんに―――
「……こちら10班。……13班のメンツは全員無事だ。―――そして……
俺達、10班もな」
ガトウさんが現状を報告する。
もちろん、その近くには、ちゃんとナガレさんも生きている。
ナガレさんが笑って、キカワさんが小突いて、
ヒカイさんと、ジョウトがやってきて。
「―――ガッハハハハハ!!!大勝大勝!!!お前ら!!!本当に、最高だ!!!!」
ガトウさんが、大きく勝どきを上げるように高笑いした。
………よかった。護れたんだ。みんな。無事で。
……いや、本当はこの事件で多くの人達が死んでしまったはずだから、あまり喜べられないかもしれない。
………でもさ、今ぐらいは喜んでいいよな?
「……へへ………よっしゃあああ!!!!!」
===============
その後、みんながやってきて、すぐに都庁の修復を始めた。
一人一人が、力を合わせて修復を開始したから、都庁は『ドラゴン退治の拠点』として、合わせるだけの素材をふんだんに使って、取り戻していった。
その時、みんながみんな、力を合わせて取りかかったからものすごく速く直っていった。
これが、ヒトの力ってことを再確認できた。
計算上は1+1は2だし、1×1は1だ。
でも、人の可能性は無限大だから、1×1でも2でも3でも10でもなる。
きっと、ここから俺達の反撃が始まるんだよな。
そして、その後、小さな祝会が行われた『らしい』。
本当に、文字通り小さな祝会だった『らしい』けど、人々を安心するには事足りた『らしい』。
……なんで、『らしい』が付くんだって?
……そりゃあ、俺はそこにはいなかったからな。
……じゃあ何していたんだって?そりゃあ当然………
「…だからだ。ロナひとりでそのまま突っ走って、もし一人で倒せない敵がいたらどうするつもりだったんだロナ!!」
「ほ、ほんとすみません!!どうしてもほっとけなくって……後、都庁の外の広場の中心で正座させるのはやめてください!!!かれこれ1時間たったはずですし、それに何より絶対公開処刑ですってこれ!!!」
……まぁ、ヒカイさんに説教されてたさ。正座で。都庁前の広場のど真ん中で。……そしてジョウト!!笑ってないで助けてくれたっていいだろうが!!俺泣くぞ!!マジで!!!
……いや、『みんな』にとっては当たり前のことを言ってるんだろう。でも、『俺』にとっては大変なことだった。だって、俺はなんとなくわかっていた。
本当はナガレさんは『この都庁には』いなかったはずだったんだ。
恐らく、ガトウさんをかばって……ね。
だから、俺は内心、説教だけですんでよかったって思っていた。
……何度でも言うけど、都庁の前の広場のど真ん中で正座させるのは本当に公開処刑だからそうはなかなか思えなかったんだけどな!!!
「ロナ!!」
……って、誰かに呼ばれた。誰だ……?立ち上がろうとして……ギャア!!あし、あし痺れた!!!
「ガッハハハ!どうやら説教中だったようで」
「えぇ。……全く、これだから恐れを知らない若者は困るんだ」
うう……ガトウさん……アンタ絶対見てただろ。もう少し早く来てほしかったんだけど……
「ちょ、足痺れてる!?立てる!?」
「あぁこいつのことなら問題ねぇよ。なにせ説教開始から5分しかたってないしよ」
嘘つけジョウトォ!!絶対1時間たってるし!!はい、キカワさん、「あ、そっか」って納得しないでください!!!
「……え、えーっと、ロナ……本当に立てる?」
「へ、へい……大丈夫です」
俺はこんちくしょうと思いながら無理やり立ち上がった。畜生、ここにいるみんなにもさっきまでの俺の立場味わってもらいてぇよ……
「……ロナ……先の任務……私の命を救ってくださり、本当にありがとうございました!!!」
そう言って、ナガレさんはビシッと、敬礼する。
……俺は、何も言わなかった。言えなかったんだ。言う言葉は見つからなくって。
だってさ、『本当は死ぬはずだったんで救いました』って言えるわけないだろ?
でも、代わりに、俺は、『ロナ』の満面の笑みを見せたんだ―――
いかがだったでしょうか?今回のchapterは今回で終わりとなります。もちろん、続きもバンバン書いていきますよ。
さて……今回も少しばかり裏話をば。今回の話は『この話』についてです。
と言うのも、この小説を書こうと思ったきっかけはこの話の中の一つが主な根拠です。
で、主人公を登場させようとして当初、どんな方法で助けようかなと模索していました。
でも今回は10班をメインで輝かせようと設定してたので目立たせるのもどうかと思うし、かといって地味な演出だと「お前どんな登場してんだよ」って言わんばかりになるかもしれませんでした。
で、結局、「ロナがフリーズをぶん投げつけて阻止しようとしたら運悪くナガレさんに当たってしまいました」という、これシリアスなのになんでコミカルになってんだオラァ!!と絶対批判が来る、しかもよりにもよって最初に思いついたオチとなっています。……だからこの話の批判はやめてくださいね?本当にお願いします。(編集して消しました。気のせい。)
あと、この部分ではセブドラのある部分をモチーフとして書かせていただきました。もうみなさんにも思い入れあるんじゃないんですかね?
そして当初の自分で建てたテロップ通りにかけたと思っています。「都庁の広場のど真ん中で正座で説教されている」というのも私の計画通りです(笑
さて、あとがきはこのくらいにしておきます。次のあとがきはchapter2が終わってからですね。その間にあの組織?との出会いもありますが。
……Chapter2と言えばみんなのトラウマが来るんじゃないんですかね?まぁ、ある程度期待してほしいかなぁと思います。
それでは、次回まで……いや、最終回まで見てくれると私は嬉しいです。どうか最後までお付き合いしていただけるとありがたいです。
どうかみなさんに最高の一話をかけるように、作者も頑張らせていただきます。
なお、ナガレさんが発動した『八双大蛇突き』をセブドラ2020Ⅱで放つのは大変な死に技です。使うなら『十六夜詰め』や『影無し』などを使い、どうしても使いたいならものすごく余裕があるときに使いましょう。