べつじんすと~む改 愛と愛と愛   作:ネコ削ぎ

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グレイト・リッチ・ラジオ

 

 ――千華。温かいでしょう。これが愛されるということですよ。

 

 

 

 

 

 ハロー。今日も良い天気の中でお前らご機嫌いかがかな。殺伐とした世の中で、いつも傍観者気取りのグレイト・リッチ・ラジオが始まるぜ。イェーイ、イェーイ。お前らも一緒にこのラジオの始まりを喜ぼうぜ。この地域で何年もお前らにラジオを提供できる幸運に感謝感激雨あられだって話なんだぜ。

 さぁ、今日も愉快にグレイト・リッチ・ラジオの始まりの第一テーマだ。話のタネはズバリ、この日本という壮大で薄汚れ切った島についてだ。実はこの話題は数年前にやったんだがな。昼夜を問わずに新参者が増えたり減ったり、古参者も増えたり減ったりで移り変わりがべらぼうに激しいから、このグレイト・リッチが何度手間になっても伝えてやるぜ。さらに過去のまま同じだと耳ばかりが肥え太ったお前らが苦情を寄こすだろうから、色々と試行錯誤して新鮮味のある情報をお送りしいてやるぜ。だからお前らは抗争でもしながら、このお昼のグレイト・リッチ・ラジオを心逝くまで楽しみな。

 さて、俺も体験者じゃないから、かつての日本がどんな景色模様を見せていたのかは分からねぇ。主観で語るなんて不可能だ。そうさ、グレイト・リッチの主観で語ることはできないが、誰かから聞いた主観を語ることはできるぜ。さらにそこにグレイト・リッチの感想を入れればいいのさ。というわけで始まりだ。

 まずは現状の日本について教えてやるぜ。知っている奴は話半分にでも聞いとけよ。まず日本ていうのは日本列島っていう島国のことを指している。周りはギトギトに汚れきった海に囲まれていて、通称死の島と呼ばれているんだぜ。知ってたか? その日本列島には一つの都があってだな。そこに政府が置かれていて上流階級の人間たちが快適な暮らしを送っているんだぜ。都の名前はトーキョーだ。トーキョー都なんて言うらしいぜ。これも知っていたか? で、そのトーキョーってえのはカナガワ・チバ・イバラキ・サイタマ・ヤマナシという県がくっ付いていてできているんだぜ。トーキョーを合わせて五つの大都市が合体してできた場所だけあって、さすがという住み心地だとかな。まぁ、お前らのようなドブネズミ共には関係のない話だがよ。

 次はお前らドブネズミ共の住む世界についてのおさらいだぜ。自分の住んでいるところぐらいは知っておけよ。聞かれるかもしれないからな。さっき言ったトーキョー以外の場所は辺境県というんだ。社会のはみ出し者や負け組、屑たちの吹き溜まりの集まる場所さ。どこもかしくもかつての発展した都市の亡骸ばかりが広がっている絶望的な世界だぜ。そんな中で人生の癒しはグレイト・リッチ・ラジオさ。感謝して拝み倒せってんだ。おっと、話がそれたぜ。でだな、荒くれ共の集まる辺境県はなトーキョーの何倍もおっきい土地でな、空気も水も土地そのものも汚れきって酷いもんだぜ。しかし、お前らの先祖は環境適応して生きてきたんだ。お前らがそこらの水を口にしてもなんともないだろ? その水をトーキョー人が飲むとな身体に偏重をきたして死んじまうんだぜ。金持ちって軟弱だよな。

 昔はお前らが居る場所もグレイト・リッチの居るところも文明と自然が上手く共存した風景が楽しめたらしいぜ。空なんて青々としていて、夜はピカピカ輝く星が拝めたとかなんとか。ところが今は度重なる環境汚染や、トーキョー人の垂れ流す便利の代償のせいで空が汚れて見えやしない。酷いと思わないか、先祖とトーキョー人のツケをお前らが甘んじて受け入れなきゃいけないなんてよ。まぁ、既に汚れきったお前らには不便しないだろうけどな。海だって透き通る青色をしていたって話だしな。おかしなもんだぜ。

 さぁ、歴史の授業はおしまいだ。ちっとはこの世界のことが分かったか。いかにお前らが恵まれない環境下でのうのうと生きているか分かれば合格点をやるぜ。赤丸がついたら、次の話題を提供するぜ。今日は流れ的に新人歓迎パーティー的な感じで、次の話題はここら辺で有名なモノについて紹介していくぜ。いいか、新人のオムツボーイ共め。今からグレイト・リッチのありがたい話が始まるから耳の穴かっぽじって聞きな。そして明日を上手に生きるんだな。

 じゃあじゃあ始めるぜ。ここら辺で有名なものを順番に発表していくぜ。恨まれたくないから最初に断っておくがな、発表の順番には何の他意もないから、なんで俺がアイツよりも後に発表されんだよ、なんて文句は一切合切受け付けねぇ。

 まずはそうだな、ここら辺は的場中央町を中心としているのは知ってんな。中央町を北に一二キロほど進んだところに久留主商会という組織の本拠地がある。久留主商会っていうのは過去の言葉を借りるのならマフィアだな。それも一・二を争う強いマフィアだ。この地域で喧嘩を売ってはいけない組織の一つとして君臨しているんだぜ。気をつけな。

 次はその久留主商会のとっておきの危険人物を紹介するぜ。まずはセンカとか言う名前の女だ。女と聞いて下半身のレーダーが敏感に反応した奴。お前らは気をつけろよ。女という性別なだけの化け物なんだからな、センカという女は。見た目は日本人らしい小柄で大人しい髪色をしているんだが、人殺しを楽しんでいる節があるから見た目なんて当てにならんくらいやべーぜ。久留主の快楽殺人者なんて素敵なあだ名を持っているからな、どういう奴かなんて一発で分かるだろ。センカは久留主の最高戦力の一人だけあってな、一人で敵対組織を壊滅させる実力を持っているんだぜ。それも惨殺だ。出会ったら気をつけな。

 久留主にはセンカと並ぶ危険人物がいるぜ。名前はシルヴィだ。ソイツは一見すると穏やかな女だ。センカとは違って出るところは出て引っ込むとところは引っ込んでいるナイスバディの外人だ。煩悩に支配されてしまうほど美しい女だがな、ソイツもイカレているから気を付けな。久留主の無慈悲な慈悲なんて痛々しい名前をつけられちゃいるが、その実力はあだ名に隠れないほどに強いぜ。敵に対して慈悲を与えてくれるんだがな、ここで見逃せば貴方は他の誰かにもっと酷い目に遭わされてしまうから、なんて言ってぶっ殺すんだぜ。だから無慈悲な慈悲さ。殺される側からしてみれば無慈悲だってことだぜ。

 センカとシルヴィ。この二人は化け物クラスだから、絶対に喧嘩を売らないことをお勧めするぜ。死にたい奴や俺は強いなんて阿保みたいなことを言う奴は喧嘩を売って死んじまいな。俺は一切責任を持たないでやるからな。安心して死にに行け。

 次の有名は――。


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