幼馴染の凛ちゃんがうざすぎる   作:nao.P

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その3 凛ネコ

40インチのモニターに映し出される血飛沫。

 

モニターの前にあるホワイトの二人掛けソファ。

 

あぐらをかいて座る俺。

 

あとはベッドがあるだけの何もない部屋。

 

そこに一匹の猫が迷い込んだ。

 

体長155センチメートル。推定体重40プラスαキログラム。歳は人間で言う15歳。性別はメス。

 

猫種 星空凛。通称凛ネコ。

 

 

凛ネコはまず俺の部屋の扉を開けようとするところから始まる。

 

爪で扉をカリカリと叩き「開けてにゃあ」と鳴く。

 

だが俺は直ぐには入れてあげない。

 

「そこで待ってろ」と言う。

 

そう言うと凛ネコは扉の向こうで少しの間だけ静かになる。

 

凛ネコは仮にも猫。気高きプライドがある。

 

「ふんにゃ。別にすぐに入りたいわけじゃないにゃ」

 

と鳴く。

 

だが1分も我慢できない。

 

「にゃあにゃあ。中に入りたいんだにゃあ」

 

と、やっぱり鳴く。爪も立てる。ニャーニャーカリカリカリカリ。

 

ここまでくると「うるさい。」と言ってももう鳴り止まない。

 

そこで俺はソファから立ち上がりようやく開けてやる。

 

すると凛ネコは勢いよく部屋へと入ってくる。

 

まず最初にすることは、すぐに開けてもらえなかった報復をすること。

 

俺の足に飛びついて一噛みをお見舞いする。

 

俺は「痛えなこの野郎!」と怒る。

 

凛ネコは「ざまあみるニャ」と鳴いて、怒った俺の攻撃をかいくぐりベッドの上にしなやかに飛びあがる。

 

俺は舌打ちして猫のやったことだと諦めてソファに戻りゲームを再開させる。

 

 

 

 

 

次に凛ネコを見るとベッドの上で優雅に毛づくろいを始めていた。

 

手の甲から親指の付け根辺りを舐め、それから顔を撫でるように洗っていた。

 

俺の視線に気が付いた凛ネコは、こちらに少しだけ目を合わせた後再び毛づくろいを続ける。

 

ペロペロペロ。

 

俺もモニターへと視線を戻しコントローラーのボタンをポチポチと叩く。

 

しばらくして凛ネコが身に着けている首輪の鈴の音が、俺の足元で鳴った。

 

目を向けると、凛ネコは先程一生懸命に洗っていた顔を俺の足に擦り付け

 

「ゴロゴロにゃあ」と喉を鳴らしがら甘えてきた。

 

さらに、身体を俺の足にすり付け長く伸びた尻尾を絡ませる。

 

俺は「仕方ないな」と手を差し伸べると、俺の膝の上に飛び乗ってきた。

 

体長155センチメートル。推定体重は40とプラスαキログラム。

 

重いし大きくてゲームどころじゃない。

 

なんだこの猫は。こんな猫みたことないぞ。と今思った。

 

どうしたって不安定の膝の上で、なのに凛ネコはゴロゴロと喉を鳴らしながら前脚で足踏みをして眠りにつこうとし始める。

 

「重い」と言うと「ちょっとぐらい我慢するにゃ」と鳴いてお構いなしに俺の上で丸くなった。

 

TVゲームを放棄し手持ち無沙汰になった俺は仕方なく凛ネコの頭を撫でた。

 

すると凛ネコは目を閉じて満足そうな顔をした。

 

俺が止めるともっと撫でろと言わんばかりに凛ネコは俺の手を舐めてきた。

 

なんだかよく分からないがゾクりとした俺は、頭を撫でるのを少しして止めては凛ネコに手を舐められるのを繰り返した。

 

しばらくすると「御礼に毛づくろいのお返しにゃ」と凛ネコは起き上がり俺の頬っぺたをペロペロと舐め始めた。

 

なんだかよく分からないが先にも増してゾクリとした俺は、抵抗せずになすがままに顔を毛づくろいされた。

 

「気持ちが良いにゃ?」と鳴いたので俺は

 

「うん」と正直に答えた。

 

「じゃあもっと毛づくろいしてあげるにゃ」

 

と、凛ネコの舌がだんだんと俺の唇に近づいてくるのが分かった。

 

猫のくせに焦らすとはなんて猫だ、と思った。

 

あとちょっと、あとちょっと。

 

俺は金縛りにあったみたいに身動き出来ずただ凛ネコのザラザラの舌を待つしかなかった。

 

 

 

 

ちょっとまて。待つ?

 

 

 

 

何を待つのだろうかと思った。

 

されたいのか?

 

誰に?

 

凛ネコに?

 

急にいろいろと頭の中で考えごとをし始めた。

 

凛ネコってなんだ。

 

人間の女の子の形をした人間の女の子じゃないか。

 

名前は星空凛。幼馴染。

 

ありえない。何をしているんだ俺は。

 

 

すると凛ネコが鳴く。

 

いや、凛ネコではなくいつの間にか凛になっていた。

 

凛が言う。

 

「もぉ。いつまで寝てる気なの〜?さっさと起きないとデコピンするんだにゃ」

 

 

俺は目を覚ました。

 


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