実況パワフルプロ野球 -三日月の約束-   作:もす代表取締役社長

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最近、端末の調子が悪く投稿遅れてしまいました。
申し訳ありません。

今頃ですが、筆者にはパワプロの知識ほぼ無いので、キャラの口調や性格は少し違うかもしれませんが、ご了承ください。
あまりにも酷いものは感想などで言っていただければ、修正したいと思っております。

では第四話お楽しみください。


第四話 東條小次郎

ガラッ

 

聖とほむらは『東條小次郎』がいる1-Cの扉を開いた。

 

「ひじりん、本当にいるッスよ」

 

そこには髪が長く眼鏡を掛けたおとなしそうな男が座っていた。

何も知らない人が見れば普通の光景だが、聖もほむらも違和感を感じる。

 

「東條小次郎ってもっと『野球に熱い男!』って感じじゃなかったッスか?」

 

「私もその印象だったが、今見ると文学少年のようだな」

 

その時、ふと東條と聖の目が合った。

その瞬間に東條はそそくさと帰り支度を始めた。

 

「東條小次郎だな。何をそんなに急いでいるのだ?」

 

東條は手を止め聖の方を向いた。

東條の席の前まで移動し、東條と対面した聖の目の端には東條の野球バッグが入っている。

 

「すまない。自己紹介が遅れたな。私は六道聖だ。野球部の人間だが、これからよろしく頼む」

 

東條は愛想良く笑った。

 

「君のことはよく知ってるよ。高校での活躍も楽しみにしているよ」

 

『楽しみにしている』

聖はこの言葉に違和感を感じた。

 

「今年はレベルが高いぞ。あの友沢先輩もいるし、橘みずきがエースだ。甲子園も夢じゃない仕上がりだ」

 

東條はまた笑顔になった。

 

「君達なら行けると思うよ。応援してるから」

 

『君達なら』?『応援してる』?

東條の言葉がいちいち引っかかる。

 

その時、聖は一つの解に辿りついた。

これはそれを確かめるための一言。

 

「お前には今日から練習に参加してもらいたい。先輩達にも話はつけておこう」

 

東條から笑みが消えた。

東條は眼鏡を外しながら重々しい声で聖が出した解が正しいことを告げる。

 

 

 

 

 

 

「────もう野球はやらない」

 

 

 

 

 

 

ここで初めてほむらが発言した。

 

「勿体無いッス!東條くんみたいな選手が野球をやめるなんて!」

 

「悪いな。わざわざ声を掛けてもらったのに」

 

そう言いながら東條は再び帰る準備を始めた。

それを見た聖は焦りを含めた声で言った。

 

「なぜだ。お前のような天性の才に恵まれた人間が辞めるなどおかしいぞ!」

 

「お前に理由を話す義務は無いし、辞めるのも俺の勝手だろ」

 

「中学時代のお前は野球に熱い男だと聞いていたのだがな、その程度の物だったのか?」

 

「ほっといてくれ。俺はもう野球を続ける気はない」

 

そう言い東條は机の横に置いていた野球バッグを肩に掛け立ち上がった。

 

東條が教室から出て行こうとしたその時───

 

「待て!」

 

聖が叫んだ。

 

「執拗い奴だな。何を言われようと気は変わらないぞ。諦めてくれ」

 

「なぜ、なぜお前がそれを持っている!」

 

それを聞いた東條はいきなり走り出した。

 

「あいつだったのか」ボソッ

 

聖はそう呟いて東條を追っていった。

 

「ひじりん、いきなりどうしたんだろう」

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「待て!」

 

聖は必死で東條を追っていた。

だが東條に追いつくことはできない。

聖は自分でも嫌になるほど足の速さに自信がなかったのだ。

 

「頼む!待ってくれ」

 

今にも泣きだしそうな声で叫んでいた。

それほど必死なのだ。

 

聖と東條の距離はどんどん離れて行く。

遂には聖の視界から東條の姿は消え、見つけることはできなくなった。

 

「必ず明日までにはあいつを口説き落とさなくては」ハァハァ

 

「口説き落とすって、聖も遂に恋する乙女かー」

 

「なーっ!いつからいたんだ、みずき」

 

みずきはニヤニヤした。

 

「『頼む!待ってくれー』とか言いながら男のこと追いかけ回してたから、楽しそーだなーと思ってついてきたの。で、あの男は誰なの?野球バッグ持ってたから野球部入る子なんでしょ?」

 

「東條小次郎。みずきも知っているだろ。今は野球はやらないと言っている。理由はわからないがな」

 

みずきが驚いた顔で大声で言った。

 

「東條小次郎ぉー!!何でそんな奴がこんなとこいるのよ。もっと強豪から声掛かってるはずでしょ!」

 

「野球を辞めるつもりらしいからな。強豪に行く必要もないんだろう」

 

突然みずきが聖の肩を掴み、真剣な顔で言った。

 

「聖、無理矢理でも入部させなさい」

 

「分かってるさ。それにあいつとは話さなきゃいけないようだしな」

 

「どういうこと?話さなきゃいけないって」

 

「いや、忘れてくれ。私の思い過ごしかも知れないしな。それより、そろそろ部活行かないと遅れてしまうな」

 

「もうこんな時間だ!それじゃぁ行こうか」

 

明日、絶対に必要人数まで勧誘成功しなければな───

 

必要部員、残り4人

 


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