暴物語   作:戦争中毒

7 / 80
セシリアスピーチ

 

001

 

 

3限目の授業

今回は問題も起きずに授業が進行していたが織斑先生の

 

「おっと、そういえばクラス代表を決めなくてはいかんな」

 

この一言により授業は中断した。

山田先生、ドンマイ。

クラス代表、それは言葉通りクラスの代表の事だ。 それぞれクラス代表となる生徒同士で対戦をしたりするらしい。

代表としての会議に出席する。言わば学級委員、クラスのまとめ役。

しかし織斑先生、そういう事は最初にやりましょうね。

 

「自薦、他薦は問わない。誰か居ないか」

 

この言葉に生徒達は騒々しくなった。

誰を推薦するのか話してるのだ。

そして、

 

「は~い、織斑君がいいと思います!」

「俺!?」

 

一人の生徒が一夏を推薦、これに続くように

 

「忍野君に一票!」

「な、俺もかよ!?」

 

忍野も推薦され

 

「織斑君を「忍野君が「織斑君「忍野君「織斑「忍野ーーー

 

流石は女子高生、二人が反論する間もなくクラスの大半が一夏か忍野を推薦した。

 

「「織斑先生! 辞退します!」」

「他薦された側に拒否権は認められんぞ」

 

二人はすぐ千冬に辞退を申し出たが却下された。

そして千冬はクラスを見渡した後、

 

「ではクラス代表は織斑か忍野のどちらかが行うでい

「納得できませんわ!」

 

生徒に確認をしようとしたが邪魔された。不満そうな大声を出したのはセシリア・オルコットだった。

 

「何故イギリス代表候補生であるわたくし!セシリア・オルコットではなくそんなISを満足にも扱えない男を推薦するんですか!男がクラス代表だなんて恥さらしもいい所ですわよ!?私にそんな恥を一年間も耐えろだなんて屈辱ですわ!」

 

クラス全体の空気が一気に冷えていくのが感じられた。明らかに自分が推薦されると思っていたであろうその傲慢な態度により生徒が、教師の話の邪魔するという暴挙に織斑先生と山田先生が冷ややかな視線を向けてる。

しかしセシリアの演説は尚も続く。

 

「そもそも!実力から言えばこのわたくしがクラス代表となるのが必然! それを物珍しいからだなんて理由でクラス代表に極東のサルが就任だなんて困りますわ! わたくしがこの極東の島国に我慢してまで来ているのはISの訓練を行うためであり、サーカスをする為ではありませんわ! それに文化として後退的な国でのクラスことすら苦痛ですのにーーー」

 

男どころか日本まで侮辱する大演説はとどまることを知らずに続いてる。日本人は勿論、他の国の生徒たちもこの演説に怒りを感じていた。

さてこれだけ言われて二人の男子生徒は

 

「あの子、代表候補生だよね? あんな事言って良いのかな?」ヒソヒソ

「ISを作ったのも世界最強も日本人なのによくもまぁ・・・」ヒソヒソ

『お前様! 今すぐあの小娘を黙らせろ!ミスタードーナツがある日本を馬鹿にするのはこの儂が許さん!』

 

特に怒ってはいなかった。忍は激怒してるが。

ちなみに一夏と忍野以外には影の中にいる忍の声は聞こえていない。

 

 

 

「あら? あなた方は何も言い返せないみたいですわね」

 

さて、一通り文句を言い終えたのか、それとも自分に対して何も反論してこない男に気分をよくしたのか随分と満足そうな顔して一夏と忍野を見下してきた。

 

一夏と忍野は、

 

「ISも世界最強も周りの子も日本生まれなのによくそれだけの事を言えるな」

「君は代表候補生だろ? 今の発言、イギリスが日本を侮辱したと先生が報告したらどうなっちゃうだろうねぇ? そんな事になる前にクラスの皆には謝ったほうがいいよ」

 

それぞれ思っていた事をセシリアに言った。二人とも怒ってはいないが教師含め半数近くが日本人のクラスでこんな演説したら明日から彼女の居場所はない。それに気付かせようとしたのだ。

 

すると演説が終わってある程度冷静になり二人の言葉の意味を理解したのかセシリアは自信に溢れていた顔が一変、困惑した顔になってしまった。

しかし暫くすると今度は顔を赤くし憤怒の顔浮かべながら、

 

「よ、よくもわたくしに恥をかかせてくれましたね! 決闘ですわ!」

 

何やら的外れで理不尽な事を言い始めた。

 

「「自業自得だろ、なんでそうなるんだ!」」

「それでは、織斑と忍野とオルコットが勝負しクラス代表を決める。いいな?」

 

二人が抗議すると織斑先生がみんなに確認した。

千冬からすればオルコットと二人をぶつける事で他の生徒の怒りを静めようという魂胆なのだろう。

 

「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い・・・いえ、奴隷にしますわよ」

 

クラスメイトを奴隷にする。何処まで自分の評価を下げるんだろうか、セシリア・オルコット。

 

「それでハンデはどのくらいつける?」

「あら、早速お願いかしら?」

 

意外にも乗り気な一夏はセシリアにハンデについて聞き、それを手加減のお願いと見たセシリアだが、

 

 

「いや、俺達がどのくらいハンデつけたらいいかなーと」

 

この言葉に彼女が、そして教師と忍野意外が爆笑し始めた。

隣のクラスに迷惑だから止めなさい。

 

「あなたのそのジョークセンスは認めましょう」

「織斑くん、それ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

「男と女が戦争したら三日間と持たないんだから」

 

と笑い続けるが、

 

 

「ハッハー、みんな随分と元気いいねぇ」

 

突如響き渡った声に静まり返った。椅子に座っていた忍野がゆっくりと立ち上がり、

 

「何かいいことでもあったのかい?」

 

と聞いた。

 

「みんな何か勘違いしてるようだから一つ一つ訂正してあげよう。女が強いのはISがあるのが大前提だよ?同年齢の平均的な身体能力の男女が戦えば男が勝つ。それなのにISを使えるから強いと錯覚する。女が社会的に強いのは今の世の中がISが使えるから偉いと勘違いした人達によって変化したからだ。変化してるんだから男の立場が弱いのは当たり前。 男と女の戦争は成立しない。男女の戦争ってことは家族や恋人や友達と戦うんだ、男女ともに戦いたくないと戦闘の放棄や離反があって当然さ」

 

忍野の言葉はまだ続く。

 

「そもそも決闘って言うけど、代表候補生として年単位の訓練した子が三ヶ月かそこらの、大半がデータ収集のための起動しかしてない人に挑むのは決闘かい? 俺はそんな風には思えない、単なるイジメか八つ当たりだよ」

 

忍野の言葉を聞き、一人また一人とセシリアの事を見始めた。

実際、一夏と忍野は1月にISを起動させてから何十時間か乗っているが基本動作と戦闘訓練の練習時間は二時間にも満たない。

それに対して数年前からISに乗り、訓練を続けて代表候補生になった子。普通に予想される結末は決闘に名を借りた一方的な殺戮ゲームである。

 

“普通ならば”

 

互いに睨み合って何もしない二人、一夏は千冬に助けを求めるように視線をおくりそれを感じ取った千冬は事態の収拾のために動いた。

 

「それでは勝負は三日後の木曜。放課後、第3アリーナで行う。織斑と忍野とオルコットはそれぞれ用意をしておくように。それでは授業にもどる」

 

セシリアに冷ややかな視線が向けられるなか、授業は再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに千冬と山田先生の判断でセシリアには特別講義が決定した。

合掌。

 

 

 

 




専用機があるので三日後にしました。

ご意見、ご感想お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。