こうして頭をカラッポにして書けるのはやっぱり楽ですね(笑)
始業式、及び入学式から一週間が経過し、新入生もようやく初めての高校生活に慣れてきた頃だろう。授業も本格的に始まり、俺たち在校生も慌ただしい日々からいつもの日常へと戻ってきた。唯一変わったところと言えば、μ'sに新しいメンバーが入ったぐらいか。穂乃果の妹の雪穂、絵里の妹の亜里沙、そして俺の妹の楓。まさしくシスターズ(楓命名)だな。
スクールアイドルとしての活動は高校生しか認められていないため9人で活動するしかないが、普段のμ'sの活動は大学生の絵里たちを含めた12人で行われる。幸いにも学院と大学はかなり距離が近いため、時間などの関係で練習に支障が出ることはなかった。
まあそれはそれとして、今俺は春の陽気さと必死に戦っていた。
「ふわぁ~……春は暖かくてすぐ眠くなる。俺は悪くない」
「そうだねぇ~……穂乃果も悪くない」
「お前さっきの授業、散々寝てただろ。その涎の跡があるノートが何よりの証拠だ」
そしてそのノートを俺にください。絶対に言い値で売れるぞ。だけど自分で使ってもいいけどな。何に使うって?そりゃあ……ねぇ……?
「新学期早々たるみ過ぎですよ。今年はたくさんの新入生が入ってきたのですから、もっとシャキッとしてください」
「海未……お前は俺や穂乃果がそんなことで言うことを聞くと思ってんのか?思わねぇだろ?注意なんていう無駄な体力を使うぐらいなら、その胸を大きくすることでも考えておくんだな」
「あ、あなたって人は……」
「う、海未ちゃん抑えて!!ここは教室だし……ね?」
海未は今にも俺に拳をぶつけようとしたが、それはことりによって遮られた。
流石大天使様は違うな!!我々下々の輩であっても平等に接して平和的解決をしてくださる。ことりがいる限り俺の身は安全というわけだ。
「零君眠いよぉ~~」
「そんな眠そうな声で俺に話しかけるな。俺まで眠くなるだろ」
「あなたもさっきの授業寝ていたではありませんか……」
「これは春の暖かさのせいだ。俺は悪くない」
どうして学校の授業って寝ちまうんだろうな?もしかして教師っていうのは睡魔を司っているのか?
幼稚園の時みたいにお昼寝の時間さえあれば、午後の授業も捗ると思っている。フルパワーで1時間目から6時間目まで起きていられるのは海未ぐらいだろうな。ことりですらスヤスヤする時もあるというのに。
「あっ、零くんも涎垂れてるよ。拭いてあげるね♪」
「ことりに拭いてもらうなんて……むぐうっ!!」
『拭いてあげるね』からハンカチで俺の口を拭くまでの動作が早すぎるだろ!?まるで初めからそうしようと心に決めていたみたいだな。
それにしてもこのハンカチ、ことりのハンカチにしてはやけに地味なデザインだ。いつもは可愛らしいハンカチを持ってきているのに、まさかこの時のために?……流石にそれはないか。
「ことり、さっき手を拭いていたハンカチとは別のハンカチですよね?今日は2つ持ってきたんですか?」
「ふふふ♪……零くんの味が付いたハンカチゲットだぁ♪ふふふ……永久保存だね♪」
「こ、ことり!?」
「やめとけ海未。そのことりに手を出すと、妄想の世界へ連行されて一生戻ってこれなくなるぞ」
ことりの妄想力は俺を遥かに超えている。下手に触れれば彼女のスイートハニーで甘すぎる世界に飲み込まれて、一生を過ごすことになるだろう。ことりの妄想の中でなら死んでいいと思う変態もいるだろうが、誰だろうね?
「ぐぅ~……」
「穂乃果の奴、いつの間にか寝てやがる……」
「本当に生徒会長なのか疑いたくなりますね……」
全く、いつもながら気持ちよさそうに寝やがって。穂乃果の寝顔を見ていると起こすに起こせなくなるんだよな。むしろこっちが眠気に誘われて、隣で一緒に寝たいぐらいだ。
それにしても、穂乃果がすぅすぅと寝息を立てるたびにマシュマロのように柔らかそうな頬っぺが自在に形を変える。突然俺は、寝ている女の子の頬っぺをツンツンしたい病にかかってしまったようだ。
俺は決めたら即実行する男。穂乃果にそぉ~と近付いて……。
「柔らかい……これが女の子の頬っぺなのか?真姫の太ももも良かったけど、また新しい性癖に目覚めそうだ」
「穂乃果ちゃんの頬っぺ、柔らかくて羨ましいよね~~」
「ことりも負けてないと思うぞ。そうだ、少し触らせてくれよ」
「うんいいよ♪はいどうぞ♪」
こ、これは……美少女が自分から頬っぺを差し出してくれるなんてどんなご褒美ですか!?
特にことりは俺と付き合い始めてからやけに俺に対して従順になっているような気がする。メイド精神が身体を駆け巡っているのかは知らないが、俺の言うことならほぼ何でも『は~い♪』と承諾してくる。もしかしてこれを利用すればことりと…………いや、考えるのはやめよう。天使を汚すのはまだ早い。まだな!!
「相変わらず肌白いな。毎日手入れでもしているのか?」
「うん、零くんに褒めてもらいたいから毎朝頑張ってるんだよ♪」
何だこの可愛い天使は。教室だけど、この場で抱きしめて色々と営んでいいですか?もう俺の中に存在するあらゆる衝動が抑えられないんですが。それはことりの頬っぺをツンツンすることで満足しよう。
「よし行くぞ」
「来て♪」
何だよその『来て♪』って!?今から本番やるみたいじゃねぇか!?
落ち着け……ここで暴走したら確実にクラスの晒し者にされる。流石に新しいクラスになったばかりだからそれだけは避けたい。意外とこの『変態』の性格はμ'sぐらいにしか暴露してないからな。それ以外で唯一知ってるのはヒフミ3人衆ぐらいか。
俺はこちらに頬っぺを向けていることりに近づき……
「柔らかっ!?まさか頬っぺでビックリするとは思わなかったぞ!?」
「や~ん♪零くんくすぐったいよぉ~」
「いい声だなことり、もっと楽しませてくれ」
「れ、零!!そこまでです!!」
俺とことりがいやらしく楽しんでいる横から、海未が制止に入った。むしろよく今まで黙って見ていたな……もっと早く割り込んでくるかと思ったがもしかして……?
「海未……お前も頬っぺを触って欲しいのか?」
「なぁっ!?どうしてそうなるのですか!?」
「ことりも海未ちゃんの頬っぺ触りたい!!」
「穂乃果も!!」
「「穂乃果!?」」
「穂乃果ちゃん!?」
さっきまでグースカグースカ、涎垂らして夢の中だったのにもう起きたのか。ナイトシエスタの異名を持つ穂乃果がこの程度で起きるとは珍しい。μ'sの朝練の遅刻回数はメンバー内でダントツのトップだ。ちなみに2位は俺だけどな。
「さっきから隣でうるさいんだもん!!そりゃ起きるよ!!」
「海未が叫んでいたせいだな」
「元はと言えばあなたのせいでしょう!?」
「それはどうかな?ことりがやんやん言っていたせいかもしれないぞ?」
「えぇっ!?ことりのせい!?」
「そんなの今はどうでもいいの!!今は海未ちゃんの頬っぺの話でしょ!!」
その瞬間海未がギョッとした表情を浮かべた。まさか、このまま責任を誰かに押し付け合って話を水に長そうとしたな。休み時間が残り少ないからそんな手に出たんだろうが、何としてでもお前の頬っぺを突っついてやる!!
「海未の頬っぺ、とてもスベスベして触り心地がありそうだな」
「海未ちゃんの頬っぺは昔からずっとスベスベで気持ちいいよね?」
「うん♪ことりも海未ちゃんみたいな綺麗なお肌が欲しいなぁ~」
これほど幼馴染2人が絶賛する頬っぺなんだ、さぞかし俺を快楽へと誘ってくれるのだろう。
さっき穂乃果やことりの頬っぺを触って分かったことがある。俺はμ'sのみんなの唇、胸(ワシワシによる)、さらに太ももを触ってきたが、頬っぺはまた別の柔らかさがある。ふわっとした、フカフカの枕やクッションのような、暖かい感覚だ。
「「「…………」」」
「3人共……そんなに見つめても触らせませんからね」
「そうか……それならしょうがない。この手だけは使いたくなかったんだがな……」
「な、何ですか?」
「行け!!穂乃果、ことり!!海未を捕えろ!!」
「「はいっ!!」」
俺が海未に向かって指をさし、それと同時に穂乃果とことりが海未に向かって飛びかかった。あまり命令なんてしたくなかったんだけどな、こればかりはしょうがない。海未の頬っぺを味わうのなら禁じ手も解禁してやる。
「な゛っ!?穂乃果、ことり!?離してください!!どうして零の言いなりになっているのですか!?」
「ゴメンね海未ちゃん……穂乃果たち、零君には逆らえないの……」
「ど、どうして……」
「ことりたち、零くんに逆らえないカラダにされちゃったんだ……でもそれでもいいの!!零くんから愛してもらえるならそれだけで!!」
「零!!あなた最低ですっ!!」
「心配すんな。それ演技だから」
「はい……?」
海未は激怒した表情からきょとんとした表情に変わる。本当に起こること1つ1つに対して表情が変化する面白い奴だ。これはそのうち海未百面相や海未福笑いが発売して、正月なんかに盛り上がるだろうな。
ちなみにさっきの穂乃果とことりの言ったことはもちろん嘘だぞ。俺がそんなプレイボーイなわけないじゃないか!!俺はこう見てもかなり紳士的だからな、女性に対しては失礼のないように振舞っているつもりだ。つもりだけどな。
「前々から零君とことりちゃんの3人で打ち合わせをしてたんだよ。こう言えば海未ちゃんの驚く顔が見れて面白いかなぁって」
「そしたら見事に大成功!!いい顔してたぜ!!」
「いつもいつも、そんなくだらないことばかりに頭を使って……それにことりまで……」
「ごめんね、でも海未ちゃん可愛かったよ♪」
「そ、そんなことないですよ……」
照れてる照れてる!!異性からカッコいいや可愛いと言われたら恥ずかしくなるのも分かるが、同性から言われると逆に誇らしくなると思う。だけど海未は相変わらずウブだ。自分への褒め言葉に耐性がない。
「さて、そろそろ海未の頬っぺでも味わうかな」
「えぇ~穂乃果も触りたい!!」
「まてまて!!順番だ順番」
「私の意見は無視ですか……」
「無視だ」
穂乃果の頬っぺもことりの頬っぺも、国家遺産級のプニプニとフニフニ具合だった。そして海未の頬っぺは触らないくとも世界遺産級だと分かる。透き通るかのように綺麗な肌をしている海未の頬っぺが、気持ちよくないはずがない。
俺が海未に近づけば近づくほど彼女の顔が真っ赤になっていく。そして俺が目の前まで来た時にはもう覚悟を決めたのか、目をギュッと瞑って頬っぺを触られる体勢に入った。こういう微妙な表情の変化でも、可愛くて面白いのが海未のいいところだ。
俺はそのまま人差し指を海未の頬っぺに近づけ……
「な゛!?こ、これは……永遠と触っていたい!!人間の肌とは思えない、例えるならプリン?触っても弾き返されないタイプの柔らかさだ!!しかもそれでいてスベスベとは卑怯だろ!!これは寝ぼけてたら間違えて食べてしまってもおかしくないぞ!!」
「真剣に解説しなくてもいいですから!!早く指を離してください!!」
海未の頬っぺをつつくたびに頬っぺの柔らかい肉が自在に変化して、本当に触ることだけに没頭してしまいそうだ。しかも食欲までそそられる。さっきから穂乃果やことりの頬っぺも触っていた影響か、プリンなどプルプルした甘いものを食べたくなってきた。
「ことりもつっつきたぁ~い♪ツンツン♪」
「ひゃあっ!!」
「穂乃果もつっつこう♪ツンツン♪」
「ほ、穂乃果!!」
そうそうこの声!!海未が恥じらった時に叫ぶこの声が聞きたくもあったんだよ!!いつも俺に制裁をぶちかましてくる海未とは違ってすごく弱々しいから、こちらのSっ気がそそられイジメたくなってくる。
「よ~し!!俺も海未のスベスベをもっと堪能するぞ!!」
「海未ちゃんの頬っぺスベスベだぁ~♪」
「ことり、ちょっと嫉妬しちゃうかも……」
「もう離してください!!零もさっきからニヤニヤし過ぎですよ!!あっ、そんなところを触られては……あぁ!!あぁあああああああああああああああ!!」
~※~
「いや~~楽しんだ楽しんだ!!また新しい性癖に目覚めそうだよ」
「汚されてしまいました……もうお嫁に行けません……」
「な~に、お前はもう俺にもらわれることが確定してるんだ。逆言えばどれだけ俺に汚されてもいいってことだよ」
「励ますフリして都合のいいこと言ってません……?」
こうして大々的にカミングアウトしているとこの学院全体に付き合っていることが伝わって、いつか楓にバレそうで怖いんだよな。もしバレたら部屋に監禁されて一生奴隷生活だろう。そしてこの学院ごと吹き飛ばしてあとは…………やめよう、想像しただけで寒気がしてきた。
「じゃあ次は零君の番だね!!散々穂乃果たちの頬っぺを触ったんだから、零君も触らせなきゃ不公平だよ!!」
「零くんの頬っぺも柔らかそうだもんね♪さっき零くんが海未ちゃんの頬っぺを食べちゃいたいって言っていた理由が分かったかも……」
「ちょっと待ちなさい君たち。男の頬っぺを触っても何もオイシイことはないぞ。女の子だから萌えるのであってだな……」
これがことりのおやつになるってやつか……しかも今回は物理的に食べられそうで怖いんだけど……
穂乃果も穂乃果でこちらにギラギラとした熱い目線を向けている。これは大好物のパンを思いっきり頬張る時の顔だ。まさか女の子に食われるとでも言うのか!?この俺が!?
「そうですね、不公平ですよね……零、あなたが快楽に堕ちるまでずっと私があなたの頬っぺを弄り倒してあげますよ……フフフ……」
「海未!?お前ダークサイドに堕ちてるぞ!?戻ってこい!!」
「こんな私にしたのはあなたでしょう……?大丈夫です、あなたに教わった快楽で、今度はあなた自身を快楽の底に叩き落としてあげますから……」
全然大丈夫ではない件!!
まるで獲物を見つけたオオカミのように俺を狙う穂乃果とことり。そしてダークサイドに堕ちて、俺を引きずり込もうとしている海未。俺は徐々に教室の端へ追い込まれ、あっという間に3人に囲まれてしまった。
「さぁ零君観念して!!」
「おやつの時間だぁ♪」
「フフフ……もう逃げられませんよ……」
「やめろ!!こっちに来るなぁあああああああああああああああああああ!!」
そのあとめちゃくちゃ頬っぺを触られた。
個人的には花陽の頬っぺをツンツンしたいです!(願望)
こうして零君と穂乃果たち幼馴染組を絡ませるといつも思うのですが、この4人仲が良すぎますよね。ボケとツッコミの比率も抜群だし恋人同士だし……って完璧じゃん!?
遅れましたが高評価をしてくださった方、ありがとうございました!!零君にもっともっと変態をこじらせるように伝えておきます(笑)