ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は温泉回!と見せかけたパンツ回。しかも前後編に分かれているという……

 ちなみに女の子の裸は期待しても無駄ですよ(笑)

※元ネタあり


湯けむり温泉パンツの旅(前編)

 8月。

 

 音ノ木坂学院はもちろんのこと、絵里たちの通っている大学も夏休みに突入した。それによって俺たち13人全員が揃う日も多くなり、『ラブライブ!』出場のためにほぼ毎日練習に明け暮れている――――と思われているかもしれないが、実はそうではない。残念ながら俺や穂乃果たちは受験生。この夏休みが本腰の入れどきだ。

 

 そうは言いつつも練習をサボっている訳ではない。海未が計画したやる気スイッチ増幅プログラム『夏休み~勉強と練習の両立~』を忠実に実行しているお陰か、見事彼女の画策通りに両立を実現している。初めは穂乃果が悲鳴を上げないか心配していたのだが、そこはやる時はやる彼女、根を上げるどころか積極的に勉強にも熱を入れている。

 

 だが『たまには羽を伸ばしてみたらどう?』と秋葉が温泉旅行のチケットをプレゼントしてくれたので、俺たちは勉強と練習の合宿も兼ねて、現在温泉旅館に来ていた。

 

 

 

 

「ここには混浴温泉はないのか……」

「あっても入りませんけどね」

「別に裸なんて見られてもいいだろ。減るもんじゃねぇし」

「増減の問題ではありません!!」

 

 

 海未も俺に裸を見られるくらい今更なのに何を言ってるのやら。

 旅館の部屋で温泉に行く準備をしながら、俺はグチグチと愚痴を溢す。だってここ温泉街なんだぞ!?混浴温泉の1つもないとか、彼女9人持ちのことも考えてもらっていいですかねぇ?

 

 

 ちなみに俺の部屋は穂乃果、ことり、海未の3人と一緒の部屋だ。勉強合宿も兼ねているから当たり前と言えば当たり前なのだが、1年前は別々の部屋だったと考えると俺たちの関係の進展具合が容易に伺える。

 

 

「ことりも零くんと一緒に温泉入りたかったなぁ~」

「俺もだよ。どこかに隠れながらでもいいから一緒に入れねぇかな?」

「またそんな馬鹿なことを考えて……もう外でみんなが待っているかもしれません、早く準備して行きますよ」

「不本意だけど仕方がない、行くか―――って、穂乃果?何してるんだ?」

 

 

 俺たちが着替えやバスタオルやらを準備しながら他愛もない話をしている中、穂乃果は部屋の隅でゴソゴソと自分のカバンを漁っていた。俺たちが話している間に準備していなかったのかコイツ……。

 

 

「あっ、あった!!よかったぁ~忘れたのかと思ったよ」

「何が?」

「パンツ!!」

「元気よく言うなオイ……」

 

 

 穂乃果は笑顔で俺にオレンジ色のパンツを見せつけてくる。

 お、俺は女の子のスカートからチラリと見えるパンツが好きなんだ!!そんな見せパンなんかで俺が興奮するとでも思ったか!?パンツは見えそうで見えないくらいが丁度いいんだよ!!

 

 

 あぁ、ハンカチにしてぇ……。

 

 

『お姉ちゃんたちまだぁ~?』

『皆さんもう温泉に行っちゃいましたよぉ~!!』

 

 

 部屋の外から雪穂と亜里沙の声が聞こえた。こんなパンツ議論をしている場合じゃない、日頃の疲れを癒すためにとっとと温泉に行きますか。どうせ混浴温泉なんてないんだ、こうなったら1人でのんびりと様々な温泉を制覇してやる!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「それじゃあ零君、また後でね♪」

「おう、ゆっくり疲れを癒してこいよ。特に海未」

「そうですね。特にあなたのせいで溜まっていた疲れを、た~ぷりと取ってきますので」

「なんだその嫌味の篭った言い方は……」

 

 

 むしろ俺なんかより、穂乃果や楓による疲れの方が溜まってるんじゃないのか?夏休みは勉強や練習の邪魔をしないよう、割と真面目にしてたつもりだぞ。割とだけどさ。

 

 

 そして穂乃果たちは女湯の暖簾を潜り脱衣所へ向かった。

 

 女湯の脱衣所の入口にある『ゆ』の文字が書かれた暖簾。温泉に来るたびにこの暖簾の向こうを想像してしまう。周りに男がいないからといって無防備に服や下着を脱ぐ女の子、温泉を上がっておっぱいの裏や秘所の中身を拭く女の子など、男では行き着くことのできぬパラダイスが目と鼻の先にあるのだ。

 

 しかも今は穂乃果たちがキャッキャウフフしながら身に纏う衣を1つ、また1つと脱いでいる頃だろう。もうその妄想だけで今夜のオカズは確定してしまう!!でも男にとってこのパラダイスに足を踏み入れるのは、エベレストの頂上に辿り着くよりも、マリアナ海溝の海底深く潜ることよりも困難なことだろう。

 

 

「ふぅ……変な妄想も大概にして、俺もそろそろ温泉に――――って、ん?」

 

 

 女湯の暖簾を見ながら一頻り妄想をし終えた直後、俺の足元に何やら布切れのようなものが落ちていることに気が付いた。

 色は黄色……いや、ベージュと言った方が正しいか。でもこの三角形の布切れはどこかで見たような形だな――――――

 

 

 

 

 あっ、これパンツだ。

 

 

 

 

 えっ?ぱ、パンツぅうううううううううううううううううううううううううううううううううう!?!?

 

 

「な、なんでこんなものがここに……?ま、まさか穂乃果たちの誰かが落としたのか!?」

 

 

 俺たちが来た時は確か落ちていなかったと思うから、落としたのは俺と一緒に女湯前まで来た穂乃果、ことり、海未、雪穂、亜里沙の中の誰かだ。海未や雪穂はベージュ色のパンツなんて持っていないし、穂乃果やことりのパンツは幾度となく見てきたが、その中でこの柄のパンツは一枚もなかった。

 

 

 ――――あれ?俺、パンツを見ただけで誰のパンツか判断できるようになってる!?変態かよ!?あっ、変態だったわ……。

 

 

 でもこれで残るはただ1人……そう、このパンツは亜里沙のモノだ!!だってこの前亜里沙のスカートの中をチラっと見てしまったんだけど、これと同じパンツ履いてたし!!この前面に小さな黄色のリボンが付いている、ベージュ色のパンツを履いているのをなぁ!!

 

 

 

 

 ま、待てよ!!周りに誰か――――!!

 

 

 

 

「ほっ、よかった誰もいなかったか……」

 

 

 誰かに女湯の前で女性モノのパンツを握りしめているこの姿を見られたら、即通報レベルだからな。と、とにかくここから離れよう……そうだな、歩きながらでもいいから落ち着こう。亜里沙のパンツだと分かった瞬間心臓の鼓動がヤバイからな……。

 

 

 とりあえず俺は女湯から離れ、男湯に向かいながらこのパンツの処理方法を考えることにした。亜里沙のパンツは今、俺の浴衣のポケットに収められている。不測の事態で落としたりしないように、常にポケットに手を入れパンツを握り締めながら……。

 

 

「どうする……どうする!?」

 

 

 このまま俺が亜里沙のパンツを持っていたら、確実に盗んだと思われるだろう。必死に弁解したら許してもらえるかもしれないが、日頃の行いが悪い俺が果たして許してもらえるかどうか……亜里沙は許してくれそうだけど、彼女を溺愛しているシスコン気味の絵里に知られたらタダではすまないことは明白だ。

 

 

「それに海未や真姫、雪穂にもなんて言われるか……こうなったらいっそのこと、このパンツを女湯の脱衣所に投げ込むか?暖簾のあるところから全力投球で……」

 

 

 そうすれば俺が疑われることはまずない。だがこの作戦には致命的な欠点がある。それは脱衣所に投げ込むことで、μ's以外の女性に拾われてしまうかもしれないことだ。それだけならいい。でも――――

 

 

 

 

「もしこのパンツがレズビアンの女に取られてしまったら……?そのまま持ち帰ってあらぬことに使われる可能性があるな……それだけは絶対に避けねぇと!!」

 

 

 大天使亜里沙様のパンツを、欲望に塗れたレズ女の性欲処理に使われてたまるかってんだ!!どこの馬の骨とも知らないレズ女に使われるくらいなら、俺の性欲処理に利用してやる!!そっちの方が亜里沙もパンツも喜ぶだろ!!

 

 

「とにかくこの作戦は却下だ。くそっ、どうすればいいんだ……?もうこのまま俺が持っておくか?いやいや!!それは俺の良心が痛む!!パンツをなくして悲しむ亜里沙なんて見たくないからな!!」

 

 

 このミッションの達成条件は亜里沙にパンツを返しつつ、俺が盗んだと誰にも思われないこと。こうなったらヤケだ!!何としてでも絶対に乗り越えてやる!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 そうやって意気込んだものの、何1つ作戦を思いつくことなく俺は男湯の露天風呂に向かっていた。どうやらこの旅館、露天風呂へ向かうには一度外へ出ないと行けないらしい。そうは言っても旅館の敷地内での外なので、外部から温泉を覗くなんて荒業はできない構造になっているが、今の俺にはそんなことはどうでもいい。

 

 

 問題は、今も俺の手によって握られているこのパンツなのだ。

 

 

「このパンツ、ずっと握っているせいか段々と温もりが出てきやがった……」

 

 

 もし仮にこのパンツを亜里沙の元へ返せたとしよう。そうしたら亜里沙が俺が握り締めたパンツを履くんだぞ!?俺の温もりが宿ったこのパンツが、亜里沙の秘所に流れ込む訳だ。それってもう擬似セッ○スと変わらなくね?

 

 

「こうなったら亜里沙の秘所が触れる部分に、俺の唾液をマーキングしておこうか……?」

 

 

 いつもの如く妄想が飛躍し、俺は何を血迷ったか浴衣のポケットに収められていたパンツを取り出してしまった。周りに見られないよう握り拳の中にパンツを隠し、自分の顔前まで持ってきて拳を徐々に開けていく。指が拳から解放されると同時にくしゃっとなっていたパンツも徐々に開いて元の形を取り戻していくその光景に、天使のパンツの神秘を感じる。

 

 

 

 

 だがその瞬間だった。一陣の風がまるで俺を狙っていたかのように下から上へ吹き上げる。

 

 

「うぉっ!!」

 

 

 屋外だから風が強いというのは既知の事実なのだが、ここまで強い風が来るとは予想外。柄にもなく変な声を上げて驚いてしまった。しかし、一陣の風の奇襲は非常に課題を俺に押し付けやがった。

 

 

「えっ……あ、あれ?パンツがない!?ま、まさか……飛ばされた!?どこへ行った!?」

 

 

 いつの間にか俺の右手から天使のパンツが失われていた。

 もしかしたら、このまま行方不明でもいいのでは?という考えを持つ人も多いかもしれない。だがそんなことができるはずもない!!だってもし性欲の強い変態男にそのパンツを拾われてみろ!!亜里沙のパンツが自分磨きのオカズに使われるかもしれないんだぞ!?そんなことをさせるくらいなら、俺が自分磨きに使うっての!!パンツを産ませる勢いでな!!

 

 

 俺は必死に辺りを見回してパンツの行方を探る。幸いにも、周りに俺以外の人がいないお陰で拾われているということはなさそうだ。でもこれも時間の問題。変態野郎の手に渡る前に何としてでも見つけ出さないと――――――

 

 

 

 

 ――――あっ、あったぁあああああああああああああ!!…………ん?

 

 

 

 

 ――――はっ?えっ、え゛ぇええええええええええええええええええええええ!?!?

 

 

 

 

「ど、どうしてあんなところに……?メンドくせェエエえええええ!!」

 

 

 パンツは見つかった。遥か上空、木のてっぺんに…………

 夜空に靡く天使のパンツは明るいベージュ色というのも相まって、木のてっぺんでひらひらと激しく自己主張をしている。次またあの風が吹いてしまったら、今度こそ遥か彼方へ飛ばされて捜索不可能となるだろう。それだけは絶対に避けなければ!!

 

 

 そして更に俺へ追い討ちを掛けるが如く、女の子たちの声が響いてきた。

 

 

『にこっち、もしかして……おっぱい大きくなった?』

『ホント!?あまり実感はないけど』

『う・そ☆』

『希ぃいいいいい!!あんたねぇえええええ!!』 

『にこも希も静かにしなさい。私たちしかいないとはいえ、大きな声を出すと外に声が漏れるわよ』

『そういう絵里ちだって、おっぱい大きくなった?この前零君凝視してたよ♪』

『ホント!?』

『う・そ☆』

『希ぃいいいいい!!』

 

 

 

 こ、この声はにこに希に絵里!?むちゃくちゃ声反響してるんですけど、これ本当に屋外!?それよりアイツら露天風呂に入っているのか!?――――と言うことは、この岩壁の向こうはパラダイス!?全裸のアイツらがこの向こうに!?

 

 

『もうっ、期待しちゃったじゃない……』

『絵里はそれ以上大きくなってどうするのよ!!にこに少し分けなさい!!』

『無理でしょそれは……』

『ワシワシすれば大きくなるよ♪』

『嘘!!それでも全然大きくなった試しがないじゃない!!せめて標準の穂乃果くらいの胸が欲しかったわ』

『この温泉には豊胸効果もあるって、さっき看板に書いてあったよ。だからそこにワシワシを追加すれば、相乗効果で2倍、3倍に……』

『ちょっとその手の動きやめなさい!!こっちへ来るなぁああああああ!!』

『あなたたちねぇ……』

 

 

 おいこの岩壁邪魔だぞ!?俺はみんなの彼氏なんだから、入浴現場を見る権利があるはずだ!!俺もみんなと一緒の温泉に――――って、待て待て!!パンツを忘れるところだった!!当面の目標すらも見失わせるとは、流石俺の彼女たち。声だけでも魅力満点だな。

 

 

 でも待てよ、あの木の上に登れば温泉を覗けるのでは……?いや違う!!逆に俺がパンツを取るところを見られたらマズイんだ!!

 

 この木はそこそこ背が高く、木の中腹までは岩壁で阻まれてこちらからも向こうからもお互いの姿を認識することはできない。だがてっぺんとなれば話は別。俺からも露天風呂が丸見え、もちろん向こうからも俺がパンツを握り締めている滑稽な姿が丸見えということだ。

 

 

「くそっ、あのままパンツが落ちてくるのを待つか?でもどこかに飛ばされて変態野郎に取られるのはイヤだし……しょうがねぇ、ここは――――――登るしかない!!」

 

 

 もちろん露天風呂を覗きたいからとか、そういう訳ではない。亜里沙のパンツを変態野郎やレズ女に取られないために、俺が守り通してやるんだ。亜里沙のパンツの貞操は、俺が死守する!!

 

 

 そこから俺の行動は早かった。木の枝に手を掛け、幹を踏み台に上へ上へと登っていく。木登りなんて何年ぶりだろうか、まだやんちゃだった頃の心が蘇ってくる。こんな状況だが、ちょっぴり楽しくなってきたり。

 

 でもこの木が登りやすい木で本当によかった。旅館に植えられている木だから、インテリアや見栄えを考慮した造形の木なんだろうが、幹も枝も太くて足場にしやすいのは幸いだったと言える。お陰で木の中腹までは楽々登ることができた。

 

 

「さてここからだ……これより上は絵里たちに見つかってしまう恐れがある。最悪露天風呂を覗くのは諦めて、パンツだけ確保して降りないとな」

 

 

 俺の最重要目標はパンツを確保することだ。目の前のパラダイスにうつつを抜かしていると務所入りになってしまうぞ。とりあえず手を伸ばして取れるギリギリのラインまで登って、そこから迅速で降りれば大丈夫だ。露天風呂にはまだ3人しかいないみたいだし、見つかる可能性も――――――

 

 

『あっ、絵里ちゃんたちここにいたんだね』

『あら、花陽たちじゃない』

『外の風が気持ちいいにゃ~♪真姫ちゃんも早く早く!!』

『ちょっと引っ張らないでよ!!危ないでしょ!!』

『眺めもいいし、こんな露天風呂は合宿の時以来やなぁ~♪』

『にこたちがこんな旅館に泊まれるなんて、出世したものね』

『にこちゃんおじさん臭いにゃ~♪』

『にこは能天気に毎日を過ごしているアンタたちと違って疲れてるの。たまには癒されたっていいでしょ』

 

 

 な、なにィ!?花陽たちも露天風呂に参戦しただと!?これじゃあ見つかってしまう確率がグンと跳ね上がっちまうじゃねぇか!?一気にこの木を登る勇気がなくなってきたぞ!!

 

 でもいつ木に引っかかっているパンツが飛ばされてしまうのか分かったものではない。ここは気配を殺して、かつ素早く迅速にパンツを回収しねぇと……幸い俺の匂いで気配を察する穂乃果と楓がいないのが救いだ。

 

 

 

 

 そして俺は遂に次の枝へと手を掛ける。心配するな、温泉に入っていて普通上など見ない。しかも湯気で俺の姿が隠れて見えないという可能性も残されている。そんなことを考えている暇があったら、パンツを回収することだけを考えろ。迷いや焦りは人の行動や判断を鈍くする。パンツのことだけを考えろ。頭の中をパンツで埋め尽くすんだ。

 

 

 パンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツ…………

 

 

 

 亜里沙のパンツに脳内を支配された俺は、木のてっぺん目掛けて全力で上り詰めた。湯気で邪魔されていなければ、温泉から俺の姿は筒抜けだろう。だが下を見て確かめている余裕などない。もし下を見てしまったら、俺の方がアイツらの全裸に釘付けとなるだろう。アイツらの全裸などいつでも見れる。今はパンツが最優先だ!!

 

 

 

 

 もう少し……もう少しでパンツに手が届く!!

 

 

 

 

 人差し指がパンツに触れる。その時だった――――!!

 

 

「うぉっ!!また風が!!――――――あっ!!し、しまった!!」

 

 

 またしても、俺がパンツを手放した時と同じ風が吹き付けた。その風でパンツが木の呪縛から解き放たれふわりと宙を舞う。あともう少し、あともう少しだったのに!?

 

 でもそんなことを言っている場合じゃない。風が温泉側から吹いてくれたお陰でパンツが露天風呂に落ちるのだけは避けられたのだが、その代わり男湯の方へと飛ばされてしまった。

 

 

「ま、マズイ……最悪女湯に落ちるのはいいが、男湯はダメだ!!野郎が天使のパンツに触れることなんて許せねぇ!!そのパンツは俺のモノだぁああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 しかしそんな馬鹿なことを叫んでいたためか、俺は木の枝に掛けていた足を滑らせてしまった。

 気付いた時には抵抗のしようもなく、身体が木から離れ地面に向かって真っ逆さまに落下する。

 

 

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 ドンッ!!と地面に身体が叩きつけられる。

 

 

 

 

「いってぇええええええええええええええええ……ん?あまり痛くない?」

 

 

 そう言えば、今日の午前中は雨が降っていたな。どうやらそのせいで木の根元の土がかなり泥濘んでいたようだ。怪我はなかったものの、服やズボンは泥まみれになっちまった……。

 

 

「ぱ、パンツはどこに!?――――あ、こんなところに」

 

 

 案外近くに落ちていたパンツを拾い上げポケットに仕舞うと、ここでまた露天風呂から声が聞こえてきた。

 

 

『あれ?さっき零の声が聞こえなかった?』

『絵里ち、零君に飢えてるからって幻聴まで聞こえるようになったん?』

『そ、そんなのじゃないわよ!!』

『まさか、零君が覗いてるとか?例えばあの木に登って……?』

『ちょっと花陽、怖いこと言わないでよ。例え零であっても他の宿泊客がいるのに、そんな暴挙に出る訳ないでしょ』

 

 

 スミマセン、暴挙に出ました……でもパンツを取り戻すためで、決して覗こうとはしてませんから!!

 

 

 

 

「はぁ~……とりあえず俺も温泉行こ。汚れちまったし……」

 

 

 

 

 でもこのパンツ、どうすっかなぁ~…………

 

 

 

 

 俺1人で繰り広げられるパンツ攻防戦は、まだまだ続く!!

 

 

 

 

To be continued…… 

 

 




 零君のパンツ攻防戦は激動のまま後半戦へ続く!


 そんな訳で今回は温泉回+パンツ回でした!
 初めは誰のパンツにしようか迷っていたのですが、やはりここはμ'sに残った最後の天使:亜里沙にパンツを落としてもらいました。やはり恥じらいのあるキャラの方が、零君もやる気になりますからね。よってことりは却下、花陽でも良かったかな?

 本当は1話で完結するつもりだったのですが、零君の心情が面白すぎてついつい長丁場に……
もうそのままもらっちゃえよ!!と思った方、あなたは変態ですね?


 次回は遂に後半戦!キーパーソンは楓ちゃん!?


新たに高評価をくださったお寿司さん、ありがとうございます!


Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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