ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 らぶくえ編パート4です。
 前回の次回予告とは内容をある程度変更しています。希ちゃんを期待してくれていた方、今謝っておきます!!


ラブライブクエスト4~嫉妬と欲情のアクアリウム~

 

 ただいま迷いの森の入口。

 

 

 俺、穂乃果、ことりの3人は――――――正座をさせられていた。

 

 

「これからは破廉恥な言動を謹んでください!!いいですね!?」

「「「それはちょっと……」」」

「もう1度剣の錆になりたいのですか……?」

「「「すみませんでした!!」」」

 

 

 海未の剣先には俺たちの血の跡がベッタリ…………な訳はなく、あの時の邪気に満ちた剣も元の誇り高き剣に戻っていた。

 希がやられた後、俺たちは気絶した亜里沙を連れて一目散に逃げ出したのだが、ものの数秒で捕まってしまい現在に至る。俺たちを追いかけてくる海未の顔は今思い返すだけでも恐ろしい。般若の仮面も泣いて驚くぞ……。

 

 ちなみに俺たちのHPを見て欲しい。

 

 

れい

HP1

 

ほのか

HP1

 

ことり

HP1

 

うみ

HP230

 

 

 俺たちは海未にHPが極限になるまで切りつけられ、それだけでは飽き足らず2時間の正座を言い渡されていた。ゲームの世界なので痛みは感じないが、何故か足は痺れやがる。穂乃果は俺と同じく正座し慣れているみたいだが、ことりはかなり辛そうだ。なんで慣れてるかって?そんなものほぼ毎日海未や絵里に怒られてるからに決まってるだろ。

 

 

 すると俺の頭の上にちょこんと座っていた亜里沙(妖精の姿)が、海未の目の前へ飛んでいった。

 

 

「う、海未ちゃん」

「亜里沙、申し訳ありませんがこの淫行集団に説教中なのであとにしてもらえますか?」

 

 

 淫行集団って、ヤリサーか何かよ……人を万年発情期みたいに言うなよな。

 

 

「零くんたち、正座をしながらしっかり反省してましたから、そろそろ許してあげてください!!」

「むぅ、亜里沙にそう言われては……」

 

 

 天使キタァーーーーーーーーーーーーーーーー!!今までお前のことをちょっとでもイヤらしい目で見てしまったことをお許しください!!高校に入学してから急激に成長したそのおっぱいに、吸い付きたいとか思ってゴメンなさい!!やっぱり亜里沙はずっと俺の天使でいてくれ!!隣にいる淫乱バードさんはもう戻れないから!!

 

 

「じゃあ今回はこれで許してあげましょう」

「た、助かったぁ~!!でも足が痺れて歩けないよぉ~!!」

「うぅ、普段正座しないから足が動かなくなっちゃったよ。零くんことりの身体支えて~♪」

「いや俺の足もセメントに固められたように動かないんだけど……」

 

 

 今回の正座は部屋の床じゃなくて、ゴツゴツした地面だから余計にキツイ。もう説教じゃなくて拷問じゃねぇか!!と反論すると、拷問より恐ろしい事態が待ち構えているので俺たちの間では暗黙の了解だ。

 

 もうラスボス海未でいいよ……。

 

 

「終わったのなら早く妖精の仲間を助けに行きましょう!!希ちゃんの話では海の底、アトランティスに捕らわれているらしいです」

「足が痺れている俺たちのことも考えてくれよ……そんなに早く動けないって」

「ファイトです!!」

「それ私のセリフ!!」

 

 

 亜里沙の奴も中々に理不尽極まりなくなってきたな。前言撤回、天使だろうが妖精だろうが手を出さないとは限らないからね……色んな意味で。

 

 

「なんで足の痺れはことりの魔法で回復できないんだろう……」

「一度失った処女はどう足掻いても元には戻らない。つまりはそういうことだ」

「えっ?なんか違うような気も……」

「零、あなたまた……」

「分かった分かった!!もうそろそろ行くぞ!!」

 

 

 海未がまた俺に剣先を向けてきたので急いで立ち上がり、持ち前の勇者の脚力で全力で離れた。でも足が地面に着くたびに脚全体にジ~ンと電流が流れるので、カッコいい動作に見えて顔はかなり引きつっている。

 

 

 そして俺たちは迷いの森を後にして、妖精たちを救うべく伝説の都・アトランティスが眠ると言われる海へ向かった。次の四天王もそこにいるだろう。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「海だぁーーーーー!!」

「もうっ、大声で人の名前を叫ばないでください!!」

「だってゲームの世界なのにとても綺麗なんだもん。波の音とかすごくリアルだし」

 

 

 穂乃果の言う通り、俺たちの目の前に広がる海は現実と全く大差がないほど綺麗だ。波の音も潮の香りも澄んだ空気も、ここが現実世界かと言われたら素直に"うん"と答えてしまいそうだな。

 

 

「でも海の底ってどうやって行けばいんだろ?そもそもことりたちの息が続くかどうか……」

「そりゃあ無理だな。亜里沙の力でなんとかならないか?妖精の魔法でちょちょいっと」

「それこそ無理ですよ……」

「ですよねぇ~……でもこのままだとアトランティス行くどころか海にすら入れないぞ。都合よく入口でもあればいいんだけど……」

「流石にそんなご都合主義は……」

 

 

 

 

「入口あったよーー!!」

 

 

 

 

「マジで!?!?」

 

 

 穂乃果が指差したのは、人が1人ずつぐらいしか入れないような小さな洞窟。その入口の上には『アトランティス入口』と書かれていた。なんとまぁ都合のいいことで……サクサク進めるはいいことだけどさ。

 

 

「早速入ろうよ!!海の中に入れるなんてワクワクするね♪」

「本で見るアトランティスはとっても綺麗だから楽しみだよ♪」

「穂乃果とことりはいつも観光気分ですね……」

 

 

 脳内お花畑と脳内ラブホテルの2人だからな……でもモンスターにビビって戦えないよりは、頭をカラッポにしてゲームを楽しんでくれた方が俺としては楽だからいいんだけど。

 

 

「零くんも海未ちゃんも早く行きましょう!!」

「亜里沙は楽でいいよな、飛べて」

「えっへんです♪」

「いや、そんなドヤ顔で自慢されても……」

 

 

 亜里沙は腰に手を立てて胸を張っているが、残念ながら身体がミニチュアフィギュアサイズまで縮んでいるのでおっぱいが強調されることはない。それでも亜里沙のドヤ顔は超可愛いけどね!!頬っぺた突っついて困らせてやりたい!!

 

 

 そして俺たちはアトランティスの入口に侵入したのだが、本当に展開早いな。もっと入口を見つけるための謎解きとかあってもいいくらいなのに。今まで一番難しかった謎解きが、カンテラの中におにぎりを入れることってどういうことだよ……イミワカンナイ!!

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「き、きれ~い!!」

「まるで水族館みたいだね!!」

「わっ、お魚さんたちが目の前に!!迫力ありますね」

 

 

 入口の向こうはまさかとは思っていたが、本当に海の中へ繋がっていた。だからと言って息ができない訳ではなく、普通に道があって歩くこともできた。周りは水族館のアクアリウムそのもので、穂乃果、ことり、亜里沙はその光景を見るなり目を輝かせてはしゃぎまくっていた。

 

 

「もうこれは現実かゲーム世界か分からなくなっちまうな……」

「そうですね。むしろゲーム世界だからこそ、ここまで海を表現できるのかもしれません」

「お前の方が綺麗だよ」

「そ、そんなありきたりのセリフで私が喜ぶとでも?」

「口元緩んでるし、頬っぺも赤く染まってるぞ」

「こ、これは違います!!ただこのアクアリウムに興奮しているだけです!!」

「アクアリウムに興奮……レベル高いな」

「あなたの興奮は変な意味での興奮でしょう!?」

 

 

 は、反論できない……もう俺はどんな言葉でも意味深に捉えてしまうくらい、心が薄汚れているんだよ。

 思えば、海未と海へ行ったのはつい最近だっけか。海を見ると、あの時のロマンチックな光景が思い出される。そして海未を後ろから抱きしめていた時の記憶も……いい匂いだったなぁ~

 

 

 今のコイツの装備はあのビキニアーマーなんだよな……?つまり後ろから抱きしめれば、ほぼ下着姿の海未を抱きしめていることと同義となる。これもビキニアーマーを着ている海未が悪いんだ。そんなエロティックな格好をしているから俺のような紳士に襲われる。自分からめちゃくちゃにしてくださいと、言っているようなものだからな……。

 

 

 そんなことを考えていた俺は、気付かぬ間に手が伸びていた。

 

 

 だがそこで俺の下劣な目線を察知したのか、前を歩いていた海未はジト目で俺に向き直る。

 

 

「零……またあなた」

「い、いや~アクアリウムに目を奪われてましたわぁ~!!」

「本当ですか……?私の身体を舐めまわすような目線を感じたのですが……」

「まぁ舐め回してはみたくなる、男だもの」

「最低ですね、最低」

「こらこら、安易に最低とか言うものじゃないんだよなぁ~」

「あなたの今までの愚行、胸に手を当てて考えてみてください」

「こうか」

 

 

 

 

 俺は言われた通り胸に手を当てた。

 

 

 

 

「な゛っ、ななっ!!」

 

 

 

 

 海未の胸に……鎧の下から手を入れて……。

 

 

 

 

 柔らけぇ……。

 

 

 

 

「なっ、あっ、はっ!!」

「それ何語……?」

「あ、あなたって人はまた正座させられたいのですか!?」

「むしろ正座だけで済むのなら、毎日お前のおっぱいを揉んでやる!!」

「開き直らないでください!!」

「まあそう言うなって」

「ひぅっ!!や、やめてください……これ以上は。ひゃん!!」

 

 

 おっぱいの大きさが穂乃果たちに劣るとは言っても、そのプリンと張ったおっぱいは海未特有のものでとてもイヤらしい。それがビキニアーマーで余計に強調されているせいで、普段の戦闘でも気が散ってしまう。そんなエロい格好をした彼女が隣にいるのに、発情しない男はいないだろ!!

 

 

 

 

「…………」

「…………」

「あわわわ……」

 

 

 

 こ、この目線は……穂乃果とことりか?

 2人は頬っぺを膨らませながら俺を嫉妬の篭った目線でジーッと見つめてくる。ちなみに亜里沙は相変わらずこういうことに耐性がないようで、手で顔を隠しながら悶えている。でも指と指の間から目が見えてるってことは、ずっと見てただろ……。

 

 

 

「ど、どうした……?」

「海未ちゃんばっかりズルい……」

「えっ、私だけとは……?」

「だって零君、海未ちゃんばかり見てるじゃん!!穂乃果たちも頑張ってるのに、迷いの森の時は海未ちゃんの処女ばっかり気にして!!」

「今もことりたちは放ったらかしで、海未ちゃんとイチャイチャしてばっかり!!」

「いやお前ら楽しそうだったから……ていうか気付いてたのか」

「海未ちゃんの声が聞こえたんだよ。『あぁ♪』とか『あん♪』とか」

「捏造です!!そこまで発情してませんよ!!」

 

 

 そこまでってことは、ちょっとは発情してたのかよ……慌てると本当に墓穴掘るな、コイツは。それがまた普段とのギャップ萌えで可愛いところではあるんだけど。

 

 

「これから零くんには、ことりたちからの罰ゲームを受けてもらいます♪」

「ば、罰ゲームだと……」

「零くんはこのゲームをクリアするまで、右からことりに――――」

「左から穂乃果に抱きつかれてなきゃダメだよ!!引き剥がすのは禁止だからね!!」

「うおっ!!」

 

 

 ことりと穂乃果は同時に俺の身体へ飛びつき、両腕をガッチリホールドする。そして2人は俺の肩に頭を預け、文字通りまさに両手に花状態になった。

 

 これってどんなご褒美?いや、いつもベタベタくっつかれているからただの日常風景と言った方がいいかもしれない。でも穂乃果とことりがここまで必死になって俺へ擦り寄ってくるのも珍しい。これも女の子の嫉妬というやつか……。

 

 

 あっ、おっぱい当たった……。

 

 

「でも戦闘はどうするんだよ?」

「全部海未ちゃんがやってくれるから大丈夫♪」

「嫌ですよ!!何故横でイチャイチャしているあなたたちを見ながら戦わなくてはならないのですか!?」

「今まで零くんとイチャイチャしていたツケだよ」

「そんなお金の前借りみたいな言い方しなくても……」

 

 

 

 

「零くん、大変ですね……」

「亜里沙だけでも分かってくれてよかったよ。でも抱きつかれるのは嬉しいけどね……」

 

 

 亜里沙は再び俺の頭にちょこんと座り込む。

 いくら性に従順になりつつある穂乃果やことりと言えども、抱きつかれて嬉しくならない訳がない。むしろエッチな女の子は大歓迎だ。でもこの2人の場合、時と場所くらいはしっかりとわきまえて欲しいものだけどな。

 

 

 それにしても海未の奴、穂乃果とことりから淫語の集中砲火を浴びても怯まずに正論で応戦している。でも顔は真っ赤のままだし……もしかしたら、海未も嫉妬してる?これは少しマズイ気がするぞ……。

 

 今はまだ幼馴染同士の軽い罵り合いだからいいものの、このまま拗れると本気の喧嘩に発展しかねない。パーティ分断とかいう事態になったら、永久にこの世界から脱出するのは不可能だ。

 

 

 ――――苦手なんだよなこういうの。でもやるしかないか。

 

 

「海未」

「なんです!?」

「現実世界に帰ったらまた一緒に海へ行こう。今度はまったりと海水浴なんてどうだ?」

「は、はぁ……」

「だから今はとりあえず抑えてくれないか。穂乃果もことりもな。寂しかったのなら、ずっとこうしていていいからさ」

 

 

 

 穂乃果たちはキョトンとした顔で俺を見つめる。でも、さっきまで強ばっていた表情は次第に消えていった。

 

 

「や、約束ですよ……」

「もちろん」

「穂乃果も行きたい!!」

「ことりも!!」

「ああ、一緒に行こう。亜里沙もな」

「はいっ♪」

「いいかな?海未」

「決まっているではないですか、もちろんですよ♪」

 

 

 よかったぁ~、いつもは自信満々な俺でもさっきのような重たい空気を破壊するのは多少なりとも緊張する。どこか間違ったことを言ってないか、女の子の気持ちを見落としてはいないか、とか色々勘ぐってしまうんだよ。

 

 

「少し頭に血が上りすぎてしまいました……穂乃果、ことり、すみません」

「穂乃果も、勝手に熱くなっちゃった……ゴメンなさい」

「ことりもちょっと言い過ぎちゃった……海未ちゃんゴメンね」

 

 

 そして穂乃果たちはお互いに顔を見合わせ――――

 

 

「「「プッ、アハハハ!!」」」

 

 

 軽く涙を流しながら思いっきり笑い合う。

 ふぅ~~……なんとか上手くいったみたいだな。喧嘩するのも突然だけど、仲直りするのも早いな。俺って意外と不器用だから、ちゃんと仲直りしてくれるのかヒヤヒヤしたよ。

 

 

 するとまた頭の上から亜里沙が話し掛けてきた。

 

 

「零くん、流石ですね♪」

「おうっ、もっと褒めろ!!」

「女の子の扱いに関しては世界一ですよ!!」

「それは褒められている……のか?」

 

 

 亜里沙は時々俺の心を抉るような発言をしやがる。しかも無自覚だから怒るに怒ることもできないというジレンマ。さっきも言ったけど、天使だからってどんな発言でも許されると思うなよ。傷ついた心の代償は、カラダで支払ってもらうハメになるからな。

 

 

 

 

「う、うぅ……いい友情ね、ぐすっ」

 

 

 

 

 な、なんだこの泣き声は!?そして唐突に俺の顔へ、しょっぱい水のようなものが降り注いできやがった。もしかしてこれって……涙!?

 

 俺たちは一斉に頭上を見上げる。そこにいたのは――――

 

 

「「絵里!?」」

「「絵里ちゃん!?」」

「お姉ちゃん!?」

 

 

 俺たちの頭上には絵里がポロポロと涙を流しながら泣いていた。しかも、マーメイドの姿で――――

 ここまでゲームの世界を体験してきたので普通の人間の姿でないことに驚きは感じないのだが、どうして泣いているんだ?

 

 

「やっぱり……ぐすっ、幼馴染って……ぐすっ、いいわね……ぐすっ」

「お前もしかして、さっきの穂乃果たちを見て泣いてんのか……?」

「こんなに暖かい友情を見たのは初めてよ……ぐすっ」

 

 

 そう言えば絵里って涙腺が脆かったな。去年穂乃果の家で恋愛映画を見た時も、テレビに釘付けになって泣いてたし。

 でも待てよ。ここにいるってことはもしかして――――

 

 

「ま、まさか……お前が四天王の3人目?」

「そうよ……ぐすっ、でもあんなものを見せられたらあなたたちと戦えないじゃない!!」

「でも捕らえられた妖精は……」

「さっき全員解放したわよ!!」

「マジかよ。楽なゲームだなオイ……」

 

 

 それじゃあこのアクアリウムがアトランティスで、ここの四天王が戦意喪失したってことは、もうこの神殿はクリアしたってことでいいのか。同情を誘う作戦って意外と有効なんだな……別に今回は作戦じゃなかったけど。

 

 

「絵里ちゃん!!」

「ほ、穂乃果……?」

「戦おう!!」

「ちょっ、お前本気か!?折角穏便に済みそうなのにわざわざ戦う必要性が……」

「絵里ちゃんも穂乃果の大切な友達だもん!!だからこそ戦って友情を深め合いたいんだよ」

「どこぞの少年誌みたいなセリフだな……でも絵里がそんな提案に乗るわけ――――」

「いいわよ!!やりましょう!!」

「やるんかい……」

 

 

 面倒なことになりやがった。穂乃果の奴、本当に俺たち絵里に勝てるとでも思ってんのか?今まで四天王を2人倒してきただけでも奇跡だっていうのに……でも絵里もやる気みたいだし、ここは気張るしかないか。

 

 

 

 

『四天王のえりがあらわれた!!』

 

 

えり

HP5000

 

 

「どうやって削るんだよこのHP……穂乃果、策でもあるのか?おい穂乃果?」

「…………」

「お~い、穂乃果?」

 

 

(もしここで穂乃果が活躍したら、零君に褒めてもらえるよね♪そうしたら零君に『頑張ったな穂乃果。ご褒美に、俺と一緒にお風呂に入らないか』な~んて言われちゃったり!?一緒の湯船に抱き合いながら入って~、洗いっこもして~、そこからいい雰囲気になれば一緒に寝ちゃったりとか!?そしてベッドの上で1つに……きゃぁ~~♪よ~し頑張ろう!!)

 

 

 こ、コイツ!!顔がゆるゆるになってやがる!!俺には分かるぞこの感じ……これは桃色の妄想をしている時に発せられるオーラだ。まさか妄想の方が目的で、さっきの友情なんたらは絵里の戦意を取り戻すための建前だったのでは……?

 

 

「いくよ絵里ちゃん!!」

 

 

『ほのかはメラミを唱えた!!』

 

 

「フフッ、可愛い魔法ね♪」

 

 

『絵里はヒラリと身をかわした』

 

 

「えぇっ!?避けるなんてズルいよぉ~!!」

「海はマーメイドである私のフィールドよ。あなたと違って自由自在に動き回れるの。ゴメンなさいね♪」

「うぅ~!!」

 

 

 珍しく絵里が煽りを入れている。いつも弄られる立場だからな、すごく楽しそうだ……。

 それにしてもさっきの穂乃果の魔法、火の玉の大きさがいつもより大きかった気がする。いつも通り魔法メニューから魔法を選んで杖を振っただけだというのに……。

 

 

「次は私のターンね。タイダルウェーブ!!」

「カッコイイなその技名」

「言っている場合ですか、来ますよ!!」

 

 

 来ますよと言われても、俺たちはかなり楽してここまで来たからレベルはまだまだ低い。もちろん四天王の3人目に挑むようなレベルじゃないんだ。つまりこの全体攻撃は受けきれねぇってことだよ!!

 

 

「零くん!!」

「あ、亜里沙……」

「私の魔法を使えば、パーティの中の1人が魔法攻撃から身を守ることができるのですが、どうしますか……」

「1人か……だったらここは――――」

 

 

 このボス戦、攻略の鍵になるのはただ1人。

 

 

「穂乃果でお願いします!!」

「穂乃果ちゃんでお願い!!」

「え?」

「「へ……?」」

 

 

 海未とことりが同時にハモる。しかも穂乃果の名前を挙げて――――

 フッ、流石幼馴染と言ったところか。2人も顔を見つめ合い、クスッと小さく笑った。時間がない、そうと決まれば!!

 

 

「ほ、穂乃果なの!?」

「亜里沙頼む!!」

「はい!!」

 

 

『ありさはマジックバリアを唱えた!!ほのかの前にマジックバリアが現れた!!』

 

 

『えりはタイダルウェーブを放った!!』

 

 

「ぐぅ!!」

「きゃぁ!!」

「うっ!!」

「零君!!ことりちゃん!!海未ちゃん!!」

 

 

れい

HP4

 

ことり

HP2

 

うみ

HP7

 

 

 ギリギリ耐えることができた。痛手は負ったが次は俺たちのターンだ。ここから穂乃果に繋げられるように、何か策を考え――――って、なにっ!?身体が動かない!?どういうことだ!?

 

 

「残念でした。この技には相手を麻痺させて1回休みにする効果があるのよ」

「このダメージ量で追加効果まであるのかよ……」

「零君……」

「怯むな、俺たち3人は動けないから次はお前のターンだぞ、穂乃果」

「で、でも……」

 

 

 さっき穂乃果が放った火の玉は、今までより格段に大きさが違った。あれを更に大きくすれば絵里に当てることができるだろう。そう、避けられるのならば避けられないくらいの大きな火の玉を作ればいい。

 

 そしてそのヒントは、穂乃果が火の玉を放つ前に行っていた行動にある。このRPGはマトモじゃない。だからこの理論も通じるはずだ。

 

 

「妄想しろ穂乃果!!俺との淫行を!!」

「えっ!?」

「零、またあなた!!」

「いいから妄想だ!!いつもの何百倍もの妄想をお前の中で展開するんだ!!」

「まさか勝負の間にそんなことを……」

「見くびるなよ絵里。これが勝利の一手だ!!」

 

 

※ここからしばらく穂乃果ちゃんの妄想をご覧下さい※

 

(妄想、妄想、零君とのい、淫行って……え、エッチなことだよね?れ、零君とエッチってそ、そんな!!か、顔が熱いよぉ~!!た、例えばさっき妄想してたベッドの上とか!?零君が『可愛いよ』なんて言ってくれて、ギュッと抱きしめられちゃったり……そこからパジャマを脱がされてカラダを!!零君おっぱい揉んだり吸ったりするの大好きだもんね!!零君におっぱいを弄られると、いつもぼぉ~っとした気分になって気持ちよくなっちゃうんだよねぇ~……えへへ♪ドキドキして、更に零君の虜になって……気付いたらエッチなことも許しちゃう。もしかして、ベッドの上ではもっと激しいのかな!?今のままでも興奮するのに、更に激しくなったら……きゃぁ~♪)

 

 

 

 

「こ、これは!?」

「火の玉が……どんどん大きくなってる!?どうして!?」

「これが穂乃果の魔力の源なんだ」

「どういうことですか?」

「つまり――――――」

「つ、つまり……」

 

 

 

 

「エロだよ」

 

 

 

 

「「「「は……?」」」」

 

 

 穂乃果以外の4人が目を丸くする。穂乃果はまだ妄想の最中だ。

 

 これぞ穂乃果の魔力。レベルアップで上がる魔力なんてただの飾りに過ぎなかった。穂乃果は欲情すればするほど魔力が飛躍的に上昇する、性的な意味での魔法使いだったんだ。だから絵里に打った一発目の火の玉の大きさが大きかったのも頷ける。その直前に桃色の妄想をしてたからな。

 

 

「いけ穂乃果!!今だぁああああああああああああああああああああ!!」

「えっ、えぇ!!いつの間に火の玉こんなに大きくなってるの!?穂乃果が妄想している間に!?」

「ちょっと待って!!そんな大きな火の玉、避けられる訳が……」

「避けさせるつもりなんてねぇから!!いけぇええええええええええええええええええ!!」

「は、ハラショーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

『ほのかはビッグバンを唱えた!!えりに100000のダメージ!!』

『えりを倒した!!れいたちは経験値100000を獲得!!』

 

 

 

 相変わらずテキトーなゲームですこと……。

 

 

 




 24時間テレビ『ラブライブ!~μ'sとの新たなる日常~』エロは地球を救う。近日公開(嘘)


 今回は、序盤から中盤に掛けて純愛モノかつ嫉妬回という健全な内容だったのに、終盤はどうしてああなった……
やっぱり変態要素を入れないと満足できない体質みたいです(笑)

 でもこれほどまでに戦闘描写を濃くしたのはこれが初めてだったりします。ちなみに全員のターンが一巡して、2ターン目に突入したのはこれが初めてだったり。どの道ワンターンキルでしたが……


付録:RPG初心者のための用語解説

・ヤリサー
エロ目的のサークル。これ以上はここで語れまい。

・アトランティス
海底に沈む古代都市。今回はここへ行く前に四天王を倒したのでお役御免。

・脳内ラブホテル
いついかなる時でもエロいことしか考えていない、人間の脳みそ究極の姿。

・マーメイド
別名人魚。上半身が人間で、下半身が魚。基本は女性だが、男性もいるらしい。

・マジックバリア
魔法によるダメージを半減する。この小説では味方1人を魔法から守る魔法に変更。

・タイダルウェーブ
海の神が引き起こす大津波。この小説では麻痺効果あり。名前がカッコいい。

・麻痺
しばらく動けなくなる状態異常。この小説では1ターン休み。

・ビッグバン
エロ妄想が限界を超えると発生する、火の玉の最終進化系。欲情具合によっては世界の海が蒸発するほどの威力。


新たに高評価(☆9以上)を下さった方々(敬称略)

Mr.エメト、昂大

ありがとうございました!


~次回予告(らぶくえ編最終回)~

「もうラストダンジョン!?」

「れ~い~く~ん!!」

「ゆ、雪穂!?酔ってるのですか!?」

「ことりの妄想力で全回復しちゃいます♪」

「妖精というのは仮の姿です……」

「なん……だと。シスターズのお前らが……?」

「この世界から脱出するには、私たちとキスしなきゃいけないんだよ……お兄ちゃん♪」

次回:ラブライブクエスト5~究極の選択~


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