ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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誰がよりエッチな自撮りを送ってくるのか選手権

「お兄ちゃん。お風呂開いたよー」

「あぁ。って勝手に入って来るなよ」

「なに? もしかして妹のお風呂を想像して1人でヤってた?」

「何年も一緒に暮らしてる妹の風呂を未だに想像してたら普通にヤベぇだろ……」

 

 

 とある夜、風呂上りで艶々となった妹の楓がノックもせずに俺の部屋に入って来た。その瞬間に女の子のシャンプーの香りが部屋中に広がり男臭い雰囲気は一気に消え失せたが、流石にもう何年も一緒に暮らしているのでその甘い匂いに欲情することはない。さっきも言ったが、一緒に暮らしている妹に対して性欲が滾っていたら精力が枯れ果てるぞ。毎日空っぽになるまで搾り取らなきゃ満足できないとか、それもう変態どころか人間じゃねぇだろって話だ。

 

 

「それより何の用だ? 生憎と暇な身じゃないんでね」

「お兄ちゃんに構ってもらいたくて来ました」

「なんで?」

「だって最近のお兄ちゃん、そこらのメス豚共にキスしまくってるじゃん? それなのに私への愛はない。そんなの不公平だと思わない??」

「…………なぜ知ってる」

 

 

 俺は虹ヶ咲スクールアイドルの12人とキスをしないと重病になってしまう問題を抱えている。だから最近はみんなとキスをしているのだが……。ただそれを知っているのは秋葉、薫子、侑だけであり、歩夢たち本人ですらその事実は知らない。なのにコイツは知っている。秋葉が喋ったのか? いやアイツから騒ぎになるから誰にも言うなって釘を刺されてるからそれはないはずだ。

 

 

「知ってるっていうか、感じ取れるんだよ。お兄ちゃんの唇に別の女の匂いが付着してるからね。いくら洗い流しても僅かに付着しているメスの粘液。そこから放出される豚たちの匂いがプンプンしてるんだから」

「こぇえよ! どこのソムリエだお前!?」

「これでも私は譲歩してるんだよ? お兄ちゃんにたくさんの恋人がいるのは慣れてるし、その王様気質こそ私の大好きなお兄ちゃんだからね」

「だったらいいだろ誰とキスしても」

「というわけで、今日はささやかな嫌がらせをしたいと思います!」

「は……?」

 

 

 このイタズラな笑顔。こういうところは秋葉と姉妹だってつくづく思うよ。本人は『お姉ちゃんと同じだなんて反吐が出る』っていつも言ってるけど、イタズラ好きな子供心が大人になった今でも残っているところは本当にソックリだ。ただ休日はたまに秋葉と2人で買い物に出かけていたりもするので、口では嫌悪していながらも実際は仲がいいんだけどな。

 

 そして楓はいつの間にか俺のスマホを手中にしていた。慣れた手つきで俺のスマホのロックを解除し――――って……!!

 

 

「おい、どうして俺のスマホのパスコードを知ってる……??」

「以心伝心してるからに決まってるでしょ?」

「サラッと電波発言すんなよ……」

「お兄ちゃんの考えることはね、全部お見通しなの」

「これでも定期的にパスコード変えてるんだけど……」

「スマホに残ってる指紋の位置、お兄ちゃんが考え付きそうな番号。お兄ちゃんマイスターの私なら全部理解してるし、解除なんて1分もあれば余裕だよ♪」

「怖い怖い怖い怖い怖い!!」

 

 

 俺のプライベート支配されてるじゃねぇか!! いや、そもそもコイツに俺の部屋を掃除させている時点でそんなものは最初からない気もするが……。俺とコイツがそこらの兄妹よりも圧倒的に絆の強い仲だってことは俺も重々理解してるけど、まさかここまで俺の懐に入り込まれていたとは。ちなみに俺はコイツが設定しそうなパスコードなんて全然想像つかねぇけどな? コイツが異常なだけだからな??

 

 

「最近よくつるんでる……虹ヶ咲の子たちだっけ? 高校生の身でありながらキスどころかカラダまで許すなんて、相当お兄ちゃんのことが好きなんだね」

「まあ事情が事情だからな。アイツらが俺のことを酔いしれるくらい好きっていうなら、俺はそれに応えるだけだ」

「昔は穂乃果先輩たちとは高校卒業するまでヤらないって言ってたのにね。今では女子高生とセックスするんだ」

「アイツらが求めて来るから仕方ない」

「ヤリチンなお兄ちゃんなんて妹として困ったものだよ。愛しのお兄ちゃんから毎日別の女の香りがして、エッチした後の匂いを嗅がされるんだもん」

「お前の嗅覚が異常なだけだろ……」

 

 

 言っておくけど、カラダを重ね合わせたとしてそんな臭い匂いを自宅で巻き散らすほど激しいプレイはしてねぇからな?? 多分コイツが大袈裟に言ってるだけだろうけど、自分で自分の匂いに気付くのは難しいためもしかすると……ってこともある。念のため今度からは気を付けておこう。

 

 

「そんな虹ヶ咲の子たちに対して、お兄ちゃんから『エッチな自撮りを送って来い』と命令したら躊躇なく送ってくれるのか調査したいと思います!」

「は? なんで?」

「言ったでしょ、些細な嫌がらせだって。それに女狐たちがお兄ちゃんをどれくらい信用してるのかも気になるしね」

「ただアイツらで遊びたいだけだろ……」

「ピンポーン! お兄ちゃんに纏わりつく女はオモチャにするに限るよ♪」

「性根が腐ってやがる……」

 

 

 これが我が妹、神崎楓だ。俺に寄ってくる女の子を徹底的に潰す……とまでは行かないが、全力で弄り倒す。穂乃果とかμ'sメンバーに対してそれは顕著であり、コイツ自身が勉強優秀、運動神経抜群、歌もダンスも超人レベル、容姿端麗の超絶美少女ってことを自分の武器にして、相手の子をこれでもかってくらいに見下して煽る。それを笑顔で楽しそうに実行するものだから恐ろしい。まあμ'sの面々は楓のこの性格を熟知してるので、むしろ可愛いイタズラをする妹みたいな子と認識されてるみたいだけどな。

 

 楓は俺のスマホを操作して、メッセージSNSアプリを開く。そしてそこに登録されている連絡先リストを流しながら見ていた。

 

 

「……止めないんだ」

「ぶっちゃけて言うと、歩夢たちがどんな自撮りを送ってくるのかちょっと興味ある」

「ふ~ん。だったら軽いジャブから入りますか」

「待て。送るのは歩夢たち9人だけにしてくれ。いくらお前のイタズラでも、栞子たちに送るのは許せない」

「分かってるよ。お兄ちゃんが女の子なら誰とも構わずエッチをする男じゃないって」

 

 

 栞子、ランジュやミアとはまだ()()()()()関係ではない。だから冗談でもソイツらに不信感を抱かせたくないんだ。かと言って歩夢たちならいいのかと聞かれたら……うん、アイツらならもう俺から何をされても悦ぶと思う。自分の意思より俺の言いつけを優先しちゃうような奴らだからな……。

 

 

「じゃあまずは『R-18ギリギリのラインでの自撮りを送って来い。今すぐに』っと」

「なんでそんな命令口調なんだ。文章は俺が考えて――――」

「ざんねぇ~ん! もう送っちゃったもんね~! でも上から目線の方があの子たちの忠誠心が反応していいかなぁ~っと思って」

「そりゃそうかもしれねぇけど……」

「あっ、写真が来たよ!」

「はやっ!?」

 

 

 送ってから数十秒しか経ってないんだが!? 俺からの連絡を確認し、エロい自撮りをどう撮ろうかを考え、そして実際に写真を撮ってこちらの携帯に送る。凄まじいスピード感だが、まさか日頃から俺にエッチな自撮りを送るためのシミュレートをして訓練してたとかじゃねぇだろうな……?

 

 楓が俺のスマホの画面を見せつけてくる。そこには服をまくり上げて今にも下着が見えそうになっているかすみの写真、そして極限まで太ももとおしりの肉を見せつけている彼方の写真、上半身半裸で背中を見せながら艶めかしいうなじを見せる果林の写真があった。

 まず思ったのは、1人どころじゃなくて3人が速攻で送って来ていることだ。まるで今まで送りたかったけどタイミングがなく、何故か唐突にそのチャンスが巡ってきて歓喜してるとか? うん、ありそう。

 

 

「おおっ、凄い! どんどん送られてくるよ!」

「マジ……? アイツらに羞恥心とかないのか……って、まぁないか」

 

 

 普段の押しの強さを見るに、アイツらにそんなものがあるはずがない。唯一そういった恥じらいがあるのは保健体育が苦手なせつ菜とまだちっぽけな純情さが残っている歩夢くらいであり、他の連中は揃いも揃って脳内痴女だらけだ。

 写真は続々と送られてきているようで、胸の谷間を強調しているエマ、風呂上りの火照った様子を見せつける半裸の愛、ちっぱいが見えるか見えないか焦らしプレイをしているかのような璃奈、寝間着の浴衣を開けて肌を大きく露出するしずく。

 

 こんな写真、思春期男子が見たら勢力が枯れ果てるまで自慰行為を繰り返して廃人になるだろう。全国で活躍するスクールアイドルがこんなあられもない姿を自分だけに撮影して送ってくれる。この状況だけでも興奮モノだ。俺なら耐えられるけど他の男なら絶対に性欲に耐えられない。しかも相手は全人類のトップクラスに立つほどの美少女ばかりなのだ。

 

 

「現役女子高生でスクールアイドルのエロ自撮りだなんて、スキャンダル以外の何物でもないねぇ~♪」

「お前まさか、それをネタにアイツらを揺すろうとか思ってねぇだろうな?」

「そんな小さい人間じゃないよ~。それに私だったら真っ向勝負であの子たちに勝てるしね。歌もダンスも、美少女力も何もかも」

 

 

 だったらこんなみみっちいイタズラすんなよな……。

 ただ、楓は美少女の中でも規格外だ。あまりも容姿端麗すぎて観ている側の目が焼き切れるとまで言われている。実際に侑もそう感じたと言っていた。

 それだけの魅力があるのなら読者モデルをやっている雪穂と亜里沙と一緒に仕事をすればいいと思うかもしれないが、俺のお世話をしたいという一点のみで楓は専業主婦の道を選んでいる。だがお遊びでたまに参加してシスターズ3人で撮影することがあるらしいのだが、雑誌に楓が登場すると紙媒体と電子書籍共にその雑誌の売り上げが大きく上がるらしい。元々雪穂と亜里沙だけでも人気の雑誌なのだが、それだけコイツの魅力が規格外なのが分かるだろう。

 

 

「あとは2人か……とか言ってる矢先に来たみたいだね」

「速攻で9人揃いやがったよ……。まだ5分も経ってねぇんだけど」

「それだけあの子たちが淫欲に溺れた哀れなメスだってことだよ。私が相手とも知らずにこんな裸の写真を送りつけちゃって……フフフ♪」

「頼むからそれでアイツらに嫌がらせするのはやめろよ……?」

 

 

 送られてきたのは残り2人の自撮り写真。自撮りに慣れていないのか、少し恥じらいを見せながらも脱衣所で脱いでいる途中を撮影したであろう歩夢と、完全に顔が真っ赤になりながらも自分のパジャマを捲って胸の南半球を見せているせつ菜。他の奴らとは違って羞恥心に苛まれている様子がこれまた良き。この前ライブの慰安旅行で混浴温泉に入ったときもコイツらだけ少し恥ずかしがってたからな、当然の反応だろう。

 

 

「それにしてもお兄ちゃん勝ち組だよね~。一言お願いすればこれだけたくさんの女の子からエッチな自撮りが送られてくるんだから。ポージングとか毎日変えるように命令することもできるし、1人でヤるためのオカズが大量に手に入っちゃうよ」

「俺を性欲塗れのサルみたいに言うなよ……」

「そうだよね~。ムラついたら一緒に暮らしている私がすぐに相手してあげられるもんね~。コンビニ感覚で私の部屋に来てパコれるもんね~。なんなら私の方から行っちゃうけどね~」

「今日はやたらベッタリ来るな。どうした?」

「お兄ちゃんにキスされてるあの子たちに対抗するためです!」

「俺の前だとまだまだ子供だな……」

 

 

 年下の女の子たち(Aqoursや虹ヶ咲)相手だとスクールアイドルの先輩としてイイ感じの強者感丸出しなのに、俺の前だと小さい頃から変わらないウザ絡み小悪魔系の妹へと変貌する。むしろこっちの方が素と言った方がいいか。まあどちらにせよ俺の周りにいる女の子にちょっかいをかける悪趣味を持ち合わせてるのは変わらないけど……。

 

 

「みんなのこの写真、エッチではあるんだけど日々淫欲の奴隷となってる私()()からすると物足りないんだよね」

()()って……。だから俺まで性欲に負けてるみたいに言うなよ」

「近親相姦の背徳感が最高とか思ってるでしょ? 私は思ってるよ?」

「妹プレイなら璃奈とかともやってるけど?」

「それってシチュエーションじゃん? 義妹扱いじゃん? それって他人じゃん? こっちは実妹だよ? 同じ血が身体にドロドロ流れてる、正真正銘の家族なんだよ??」

「そう思うと俺って大変なことしてたんだなって……」

 

 

 そう改めて実感するほど楓からの言葉の圧が強い。女子高生たちから無料で迅速にエロ自撮りを貰える身分ってのもそうだし、実妹と何の躊躇いもなく身体を重ねられる。もはや大変なこととか言うレベルじゃねぇなこれ……。

 

 

「次は『は? この程度で興奮すると思ってんの?』っと。強めの言葉で、かつ敢えて具体的な指示をしなかったらどんな写真を送って来るのか検証だよ!」

「楽しそうだなお前」

「すっっっっごい楽しい♪ こんなに楽しいオモチャがあるなんて……」

 

 

 手が震えるほどに楽しいのか……。やはり大人になっても根底となる人を見下して遊ぶその腐った性根は変わらないようだ。

 そして楓がスマホに打ち込んだ命令がまた歩夢たちに送信された模様。常日頃からエロ自撮りを求められているのならまだしも、人生で初めてそんな命令が飛んできたのにも関わらずあの反応速度。アイツらの忠誠心には驚かされるばかりだ。ただ今度はさっきよりも過激な依頼になったので、流石にすぐには対応できないと思うが……。

 

 

「あっ、来た来た。相変わらず早いねぇ~」

「はぁ!? 痴女かよアイツら……」

「愛する人には自分の全てを見てもらいたいんだよ。私みたいにね」

「お前は曝け出しすぎだから……」

「そんなことより見てよこれ」

 

 

 楓はスマホの画面を俺に見せつける。

 そこにはSNSの裏垢に投稿するような際どい写真ばかりが並んでいた。もう言葉で言い表すのがアウトなくらいの肌色ばかりであり、服を着ておらず自分の大切なところが見えそうになっている子もちらほらと……。放送コードに引っかかるからあまり言及はできないが、愛や果林のように自分のカラダに自信がある子は全てを晒しており、歩夢やせつ菜のように恥じらいが残っている子は着衣しているものの恥部が見えそうに……やっぱ言えねぇなこれ。かすみや璃奈みたいにカラダが未成熟な子の裸も背徳性があるし、エマや彼方の肉付き良いカラダや、しずくの上品に脱いでいる姿など、もうそこらのAVよりも断然に淫猥だろう。

 

 

「で? お兄ちゃん的にはどの子の写真が好み? いや、どの子が性欲に来たの?」

「言い直さなくていいから。それに誰がいいとか俺には決められない。多分目の前でコイツらの誰が脱いだとしても俺は興奮する」

「だろうね。優劣を付けないのがお兄ちゃんだもん」

 

 

 分かってるのなら聞くなよ……。

 ただ俺は女の子の裸に興味があるってよりかは、()()()女の子の裸だから興味があると言った方がいい。巨乳や貧乳、スタイルがイイとか貧相とかどうでもよく、好きな子のカラダであればそれでいいんだ。まあ虹ヶ咲の奴らは巨乳と貧乳、アダルティとロリ、つまり全ての属性をカバーしているからスタイルの問題は心配する必要ないけどな。どの属性の女の子もバイキング感覚で堪能できる。って、この発言も相当危ないか……。

 

 

「あっ、間違えてあの子に送っちゃった。ほら、最近金魚のフンみたいにお兄ちゃんにくっついてるあの子」

「侑かよ!? 栞子たちには送るなとは言って侑にはダメとは言ってなかったけど、大体察せるだろ……」

「てへ♪」

「狙っただろ……」

 

 

 おいおいこの前せっかく電車内で好感度が上がってることを実感できたばかりなのに、ここで下げるような真似しやがって……!!

 侑のことだから歩夢たちみたいに送られてきた内容をそのまま受け取らず、俺に毒づいてくるに違いない。それだけだったらまだマシだが、流石にドン引きされるかな……。

 

 

「あっ、あの子から返信が来た。『楓さんですよね? こういうことするのって』……は?」

「えっ、アイツまさか察してるのか?」

「なにこの返信。まるで自分がお兄ちゃんのことを一番分かってるみたいな……」

「ヤバい、楓から負のオーラが……」

「また返信が来た。『お兄さんは変態さんですけど、こういうことをする人ではないので』って……。は? なにコイツ、お兄ちゃんと一番深く繋がってますよアピール??」

「違うから! 曲解すんな!」

 

 

 侑からのまさかの返信内容に静かにキレる楓。もちろん侑にマウントを取っているつもりなんて一切ないだろう。だが最近俺と虹ヶ咲の面々がキスしまくっていることを快く思っておらずピリピリしている楓にとって、侑のこの発言は起爆剤となってしまった。笑顔ではいるがそのオーラは真っ黒であり、怒りのあまり今にも俺のスマホが破壊されそうだ。

 

 

「こうなったら対抗してやる。『いや俺だから。早く自撮り送って来い』っと。これで送信!」

「おい、俺の株がどんどん下がるんだけど……」

「返信来た。『お兄さんって、相手が本気で嫌がることは絶対にしないんですよ。だから私にそんなことは言わないんです。そう信じてますから』だって。ほぉ~ん……」

「侑、そこまで俺のこと……」

「ちょっと!! なにあの子との信頼を感じてるの!? まさか本当に私よりもあの子との絆の方が強いってこと!?」

「違うって! アイツいつも素直じゃないから、本心を聞けて嬉しかっただけだ!」

「ふ~ん……」

 

 

 あ~あ、不機嫌さが最高潮に達してるなこりゃ。自分で嫌がらせを仕掛けておきながら自爆して不快になるって、それはもう自業自得のなにものでもない。外では完璧超人のスーパー美少女なのに、家だと墓穴を掘るくらいにワガママになるんだもんな。そういうところが可愛かったりもするのだが、それで不機嫌になって俺に矛先を向けるのはやめてもらいたい。

 

 楓の負のオーラがどんどん強くなる。明らかな嫉妬。しかも俺の妹様の嫉妬はそこらの女性が抱く嫉妬のパワーとは訳が違うぞ……。

 楓は俺のスマホを放り捨てると、ドス黒い威圧と共に俺と向き合った。そして俺の身体をベッドの押し倒し、自分も乗り込んで来た。

 

 

「えっ?」

「もうこうなったら分からせるしかないよね。誰がお兄ちゃんの一番なのかを……」

「風呂に入ったばかりだろ。汚れるぞ」

「風呂に入ったばかりだから綺麗なカラダなんだよ。いくらお兄ちゃんも汚い女を抱きたくはないでしょ?」

「本気かお前!?」

「そうだよ! あんな女にマウントを取られて黙っていられるかぁあああああああああああああああああああああああああ!! こうなったら私たちのベッドシーンを録画してアイツに送りつけてやるぅううううううううううううううううう!!」

「ちょっ!? それはマズいって!!」

 

 

 その後、実の妹とベッドで――――なんて展開は何とか阻止し、今晩は一緒に寝てやるという条件でなんとか機嫌を宥めることができた。いつもは兄を慕ってくれる可愛い妹なんだけど、たまにこうして狂犬になるから頃合いを見てエサはしっかり与えてあげないとな。

 

 そして後で歩夢たちにも一言謝っておこう。送られてきた自撮りは消しておくから安心して欲しいと。これでアイツらが味を占めてなければいいのだが、これを機にまた送ってきそうな気がする。

 ただ一番の被害者は、楓に勝手に恨まれて勝手に敵にされてしまった侑なのかもしれない。アイツも後でフォローしておこう……。

 




 なんか思ったよりも楓の回になってしまいました(笑) 本来はみんなの自撮りシーンとかを細かく描写するつもりだったんですけど、明らかにR-18になるので描写を避けたら楓の大活躍(大暴走?)回になってしまい……。



 そういえば先日の公式発表でにじよんのPVが公開されたり、アニガサキの映画公開が決定したりと、まだ虹ヶ咲も終わらないコンテンツになりそうですね! ただそうなるとこの小説でも虹ヶ咲を扱う回数が増えることになって、まだ小説を終われそうにないです(笑)


 

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