ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回から新章『虹ヶ咲編2』が始動します!
 この章の時系列は『虹ヶ咲編1』のあと、アニメ2期の最終話後のお話となります。そのため『Liella編』は未経験です。
 時系列の詳しくは後書きに記載していますので、まずは1発目のお話をどうぞ!




虹ヶ咲編2
湯けむり桃源郷 新生ニジガク同好会!


「お兄さん」

「なんだ?」

「どうしてこんなことになってるんですか?」

「そりゃ慰安旅行だからに決まってんだろ」

「いやそうじゃなくて―――――どうしてみんなで一緒に露天風呂に入ってるのかって聞いてるんですよ!!」

「うっせーな。あまり喚くな」

 

 

 月明かりが差し込む天然温泉。俺と虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーは、部員が13人となった初めてのライブの成功記念として温泉旅館に来ていた。

 なんといっても目玉はこの夜空が一望できる露天風呂。しかも部屋に備え付けだから誰かと八合う心配はなく、完全に俺たちのプライベート空間となっている。もちろん露天風呂付きの部屋なんてとんでもない宿泊代になるのだが、そこは金が無尽蔵に有り余っている俺の姉・秋葉の預金から拝借した。アイツ金には一切興味がないから、預金が増えようが減ろうが気にしないだろうしな。

 

 そんな感じで慰安旅行に来た俺たちなのだが、現在絶賛その露天風呂を堪能中だ。もちろん全員で、俺を含めてな。そして俺の隣にいる同好会のマネージャー・高咲侑はそれにご不満らしい。

 

 

「つうか今更裸を見られたところで何が起きるってんだ? そもそも一緒に風呂入ったことあるだろ」

「あれは雰囲気と言いますか流れと言いますか……。ていうか恥ずかしがってるの私以外だとせつ菜ちゃんくらいだし……」

「それだけお前が異端だってことだ。世の中は同調圧力、多数決で決まるからな」

「いやお兄さんの世界がおかしいだけですよねそれ!? お兄さんの世界を基準なんかにされたらこの世の決まり事も法律もあったものじゃないですよ……」

「お前はそういう世界に生きてるんだ、諦めろ。それにお前は俺の相棒、パートナーなんだ。この独特の世界観に慣れてもらわないと困る」

「一生慣れそうにないですけどね……」

 

 

 喚くのをやめてため息を吐いているところを見るに、どうやら抵抗するのを諦めたようだ。もう逃げられない立場にまで到達しているってのに諦めの悪い奴だな。

 それにしても、侑も侑でそれなりにいいスタイルをしている。さっきから抵抗のために湯をばしゃばしゃしている時にうっすらと胸が見えそうになったのだが、女子高校生としては妥当な大きさだと思う。まあ歩夢たち2年生組のスタイルが抜群なせいで、比較的貧相に見えちまうのは可哀想なところだ。だがそんな奴を相棒として俺に隣に置くことができたのは僥倖、いや俺からしたら必然か。

 

 そんなことを考えていると、少し離れたところで湯を堪能していた新入部員の1人が興味津々そうな顔でこちらに近づいてきた。

 

 

「えっ、相棒? パートナー? もしかして零と侑って付き合ってるの!?」

「な゛っ!? それだけは決して、断じてないから――――ランジュちゃん!!」

 

 

 鐘嵐珠(ショウ・ランジュ)。虹ヶ咲の新メンバーの1人。最初は同好会メンバーと色々とすれ違うことが多かったけど、なんやかんやあって和解して今に至る。

 香港出身で中国人と日本人のハーフであり、どうやら歩夢たちの活躍を見てわざわざ日本へ来たという根っからのスクドルオタク。しかもただのオタクではなく、スクールアイドルとしての実力はそこらの奴らとは桁違いに高く、ダンス力、歌唱力、パフォーマンス力、持久力、どれを取っても秀でている。

 

 性格は天真爛漫でとてもパワフルな性格。加えて超が付くほどの自信家でもあり、幼馴染の栞子や共に海外からやって来たもう1人はその猪突猛進な性格を評価しつつもツッコミに辟易している。

 

 そして一番目に付くのはそのカラダ。一応高校2年生に属しているコイツだが、そのスタイルはもはや高校生のものではない。胸のサイズはE、F、いやもっと。しかもこんなワガママボディをしているくせにスキンシップがコミュニケーションと言わんばかりにベタベタしてくるので、それはもう男の性欲に悪いのなんのって……。現に今も無防備で、温泉に浸かっているからと言ってカラダを少し湯から出せば上が丸見えになりそうだ。もう北半球が浮いちゃってるし……。

 

 

「違うの? でも零と侑っていつも隣同士にいてすっごく仲が良いじゃない?」

「そ、それはお兄さんのもとで色々学ぶことがあるからで……」

「だったらランジュも零に教えてもらう立場だわ! ランジュが同好会に入ったんだもの、このランジュを最高にプロデュースしてみなさい!」

「「な゛っ!?」」

 

 

 見えてる――――下乳が!!

 ランジュのいつもの大口叩きが始まったかと思ったら、唐突に湯船から立ち上がって胸を張ってみせた。髪を靡かせて自身のパワフルさを存分にアピールしているつもりだろうが、性的概念がなさすぎて今起こっていることに疑問すら抱いていない。俺の目の前で立ち上がったものだから、見上げるとその巨乳の下乳が丸見え。あまりに近くで立ち上がるものだから先端とかは見えないが、それでも大ボリューム過ぎる。幸いにも下半身は侑が咄嗟の反射神経を発揮してタオルで隠したため事無きを得ている。本当に貞操観念がねぇのかコイツ。俺からしたら役得と言えばそうなんだけどさ……。

 

 

「プロデュースって、アイドル事務所じゃねぇんだから。ま、なんにせよ俺に任せておけば大丈夫だ」

「そうやって常に自信満々なところ、ランジュは好きよ! やっぱりランジュとアナタは似た者同士、相性いいかもね!」

「うぉっ!? 急に抱き着いてくんな裸だろ!!」

「ちょっ、ランジュちゃん!!」

 

 

 やわらかっ!? もう全身が柔らかい!! 女の子の生肌の感触は虹ヶ咲の面子でたっぷり堪能しているが、コイツはコイツでまた別格。肌の艶、程よく鍛えられたハリのある筋肉、そして胸の柔らかさ。そんなのが一斉に押し寄せてきたら男がどうなるのかコイツ分かってんのか!? いや分かってねぇから全裸で抱き着いてきてんだろうけど……。

 

 

「ランジュ、零さんが困っているでしょう」

「わっ、栞子!?」

 

 

 危うく極楽浄土に召されようとしていたその時、栞子がランジュの肩を掴んで俺から引き剥がした。同時に湯船に浸からせたために裸を拝むことはできなくなる。

 

 

「すみません、零さん。またランジュがご迷惑をおかけして」

「いやいつも抱き着かれてるから別に今更だよ」

「そうよ! ランジュと零は一心同体なんだから、これくらい当然よ!」

「零さんは良くも悪くも寛容なだけなので甘えないでください」

「悪くもってなんだよ悪くもって……」

「あはは、栞子ちゃんランジュちゃんのお母さんみたいだね……」

「侑さん、それだけは勘弁してください。ランジュの保護者なんて身が持ちません」

 

 

 三船栞子。コイツも同好会の新規メンバーの1人だ。新規と言ってもランジュたちより加入は早く、俺がこの同好会のコーチになる前からの加入だ。

 性格は生真面目で誠実。1年生ながらにせつ菜から生徒会長を任されるくらいの責任能力と管理能力の高さは素直に評価できる。そう聞くとお堅い奴だと思われがちだが、意外と天然ちゃんでウソにコロッと騙されて本気にするところが可愛かったり。

 

 スタイルの方は……まぁ1年生だし今後の成長に期待かな。そもそも2年生以上が規格外のカラダをしているせいで霞んで見えるが、1年生もいいカラダ付きしてるからな。スレンダー&ロリっ子がいる時点でそれだけで他の学年では発散できない欲求を満たせるんだよ。

 

 

「話は変わるけど、栞子ちゃんは恥ずかしくないの? お兄さんと一緒に露天風呂に入ってること……」

「そ、それは恥ずかしいですよ! でも零さんであればいいかと思ってしまって……」

「あぁ、もう毒されてたか……」

「それに抵抗しても零さんからは逃げられないので、いっそのことこの状況を受け入れた方が良いかと思いました」

「おっ、分かってるじゃねぇか。どこかにいる緑ツインテは諦めが悪くて困ったもんだ」

「それは誰のことですかねぇ……。ていうか今はお風呂なのでツインテじゃないし……」

 

 

 自分の中で折り合いをつけてスパッと割り切れるのが栞子のいいところだ。最初は歩夢たちを誑かす輩だと物凄く警戒されていたが、一緒にデートっぽいことをしたことで俺のことを知ってもらうことができた。そういう理解力の高さがコイツの特徴でもあるな。どこぞの緑ツインテは俺という人間を知ってもなお毎回苦言を呈して来るからそろそろ学んで欲しいよ。

 

 

「全く、本当にこの同好会って変人ばかりだな……」

「それなのにどうして私の後ろに隠れてるの――――ミアちゃん?」

「か、隠れてない! 余計なこと言うなよ璃奈!」

 

 

 確かに男と一緒に風呂に入って羞恥を感じない女子高生の方が珍しいか。そう考えるとこの同好会は変人ばかり。というか、歩夢たち初期メンバー9人は俺に裸を見せるために自分を磨いているみたいなところがあるから、変人っつうかそれが同好会の基準になってるんだけどな。

 

 そんな枠組みから外れた1人、新規メンバーのミア・テイラーが璃奈のカラダを隠れ蓑にしていた。

 年齢は14歳。もう一度言う、14歳。いや特別俺に変な性癖があるわけじゃないぞ? それに本人のスタイルは別に璃奈のようなロリ体型ではなく、意外にも高校生程度の丁度いいカラダ付きをしている。流石はアメリカンの血を引いているだけのことはあるな。

 

 学年は14歳ながらに3年生であり、侑と同じ音楽科。俺は興味がないので知らなかったが、どうやら音楽で有名なテイラー家の娘らしい。そして本人もその音楽の才能を買われてか、アメリカでは飛び級により既に大学生である。そしてランジュに強引に日本へ連れてこられ、虹ヶ咲でも飛び級制度を活かして3年生となっている。

 

 

「やっぱり私の気持ちを分かってくれるのはミアちゃんだけだよ」

「ミア先輩だろ。それに気持ちを分かるって言うか、侑も十分そっち側だと思ってるけど」

「えっ、全然違うよ!! 誰が好き好んでこんなのと一緒にいると思ってるの!?」

「こんなのって、俺のことかよ……」

「零も零だ。ボクがいたアメリカは挨拶にハグをしたりスキンシップする習慣も根強いけど、日本は割と他人行儀だろ。なのにお前は何の躊躇いもなくみんなと混浴している。しかも何も言わずにナチュラルに。アメリカでも流石にそこまで男女の仲に溶け込んでる人はいないぞ」

「いつも言ってんだろ、ここは俺の世界だって。他の世界の常識を持ち込まれても困る。お前も早く慣れるんだな」

「あたかもボクがおかしいみたいな言い方やめろって……」

 

 

 人生経験豊富で飛び級もできる14歳と言えども、まだ14歳。精神年齢っつうか、俺の常識に足並みを揃えるのは無理だったらしい。まあこれが思春期女子としては当然の反応っちゃ当然なんだけど、同好会では歩夢たちが俺に対してフルオープンすぎて常識もへったくれもあったものじゃねぇからな……。

 

 

「別にお前のカラダは年の割に貧相ってわけでもないし、むしろいい感じに成長してる方だから別に恥ずかしがることではないだろ」

「どうしてボクがスタイルにコンプレックスを持ってるみたいになってるんだ……。そういう問題じゃない」

「ミアちゃん、だったらもっと零さんの近くに行ってみるといいよ。きっと分かってくれる」

「何が『だったら』!? って押さないでよ璃奈!! 裏切るの!!」

「零さんがミアちゃんのことをもっと知りたいって」

「なんか璃奈が怖い!! 無表情なのが逆に怖い!!」

 

 

 無表情で男の前に全裸の自分を差し出そうとしてくる奴、そりゃ恐怖を感じて仕方ないか……。ミアと璃奈は仲良しで、勝気でプライドが高い彼女も璃奈の前では純粋な少女と化す。それ故に今璃奈に裏切りとも言える行為を受けてショックを受けているのだろう。まあ璃奈も璃奈で自分のロリボディをアダルティックにするために、俺との性交で女性ホルモンを増殖させようとすることを常とするやべぇ奴だけどな……。

 

 

「零さぁ~ん! ほら見てくださいよかすみんのこのお肌! 温泉のおかげでピッチピチですよ艶やかですよ! 興奮しますよね! ねっ!? だったら早くお部屋に戻りましょう! 2人きりで!」

「いきなりどうしたお前。つうか2人でってやる気満々じゃねぇか……」

 

 

 何の脈略もなくかすみがにじり寄って来る。自分の二の腕、うなじ、ふくらはぎを見せつけるという特殊性癖にはガン刺さりな行動を取るが、女の子がそこまで曝け出すってことは誘ってると言うことに他ならない。まあコイツの場合は裸を見せつけなくてもいつも誘ってくるのだが……。

 

 

「かすみさん、ランジュさんたちに零さんを取られそうで慌てているんですよ。だからこうして色仕掛けで誘惑しているんです。可愛いですよね♪」

「な゛っ、しず子!? ち、違いますからね零さん!! 今日はたまたまお肌の調子がいいので、零さんに見てもらおうかなぁ~っと」

「そんな抜け駆けしようとしたかすみさんは放っておいて、零さん、今日は私と……」

「しず子も抜け駆けじゃん!!」

「おいお前ら……!!」

 

 

 両隣からかすみとしずくが腕に絡みついてくる。そして湯船の中なので当然だが裸。夜の露天風呂なので胸は湯に隠れて見えなくなっているものの、その柔軟な双丘がモロに俺の腕を挟んでいる。1年生だから小さいかと言われたら別にそうではなく、しっかり男を誘えるくらいの質量を持っているのはコイツらの日々の努力の賜物と言えよう。

 

 ちなみに歩夢たち初期メンバー9人は、過去に俺となんやかんやあったせいで俺に心酔と言っていいほどの愛を抱いている。そのため自分のカラダを磨いて俺に相手をしてもらうのは当然のこと(せつ菜だけは羞恥心持ちだが)になっているんだ。こう淡々と勝ってるけど相当淫乱性能が高いからまともではないがな……。

 

 

「相変わらず1年生たちは積極的ね。これだとお姉さんの枠がなくなっちゃう」

「果林ちゃんそんなこと言いながら、さっきカラダを入念に洗ってたのはなんでかな~?」

「ちょっとエマ!? それにエマも同じことでしょう?」

「ふふっ、やっぱり考えることは同じみたいだね♪」

「結局お前らもかすみとしずくと考え一緒じゃねぇか……」

 

 

 果林とエマは温泉ではなく石でできた温泉の淵に座りながら、足湯感覚で湯に浸かっている。改めて見ると、この2人のスタイルも抜群にやべぇな。流石はモデルと海外の血筋、もはや高校生レベルではない。タオルで大切なところを隠してはいるものの、そんな布切れでは覆えないほどの淫猥なカラダ付きをしている。湯に浸からせている生脚も蠱惑的で、綺麗で長いその脚が温泉の効能により更に艶やかになっており、これは舐めたくなる感情に囚われても許されるだろう。

 

 

「零さ~ん。彼方ちゃんのお相手も忘れてもらっては困るぜよ」

「なんだその語尾……。つうかお前いつの間に後ろに!?」

「フフフ、彼方ちゃんの忍びの術を十分に堪能させてあげるよ~。後ろからぎゅ~っ!」

「ど、どこが忍びだどこが!!」

「あっ、カナちゃんズルい!! 愛さんもぎゅってしちゃうよ♪」

「お前もいつの間に……!!」

「愛さんたちはいつでも零さんを狙ってるからね! いつでも準備OKにしてもらわないと!」

「俺に変化を求めるより、どこでもヤろうとするその淫猥思考をなんとかしろよ……」

 

 

 いつの間に俺の背後に回り込んでいた彼方と、それを見て便乗してきた愛に前から抱き着かれたことによって、遂に四方八方を囲まれてしまった。しかもこの2人も多分に漏れずに胸が大きく、同好会の面子を見ているともう一般女子高生のスタイルの基準が曖昧になるな……。

 

 

「せつ菜ちゃんは零さんのところへ行かないの?」

「歩夢さん……。い、行きたいのは山々ですが見ての通り全裸なので……」

「せつ菜ちゃん相変わらずだね。零さんのこと大好きなのに、こういうことは苦手だなんて」

「むしろ歩夢さんこそ、そういうことが苦手そうなイメージがありますが……」

「確かに今の愛ちゃんたちみたいに裸であれだけ密着するのは恥ずかしいかもね……。でも零さんが求めてくれるなら……♪ うん、せつ菜ちゃん……一緒に零さんのところへ行こ♪」

「えぇっ!? それに零さんはもう皆さんにおしくらまんじゅうされていますが……」

「大丈夫。零さんは女の子の肌に触れただけで誰が抱き着いているのか分かるから、心配ないよ」

「抱き着いていることに気付いてもらえないことを心配してるわけではないです!!」

 

 

 声だけ聞こえてくるが、なんか歩夢のサイコパスな一面が垣間見えてる気がするぞ……。つうか肌に触れただけでどの女の子か分かるって、そんな肉の卸売り業者じゃないんだから流石にそれほどまでのスキルを身に着けてはいない。胸や尻を触ればその大きさで判別はできるんだけど――――って、この発言も相当やべぇな。でもそれくらい初期メンバー9人との関わりは強いってことだ。

 

 そんな感じで同好会のメンバーは侑を入れて総勢13名と大所帯になった。μ'sの12人もそれなりに多かったが、絵里たちが大学に行ってからは基本活動は大学組を除いた9人だったので、13人が同時に活動するグループはかつて見たことないし聞いたこともない。その大所帯をコーチするこっちの苦労も考えてくれよ……。

 

 もちろん美少女3人が追加メンバーとなってくれたことには好意的だ。むしろ男として新たな美少女が自分の傘下に入ってくれたらそりゃ嬉しいだろ。なんにせよ歩夢たちと比べると交流の頻度が少ないので、これからはもっと積極的にコミュニケーションを取っていこうと思う。こんなこと言ってるから攻略RTAだって言われるんだろうな……。

 

 だけどその前に――――

 

 

「ちょっと愛先輩! かすみんまで一緒に押し潰さないでくださいよ!」

「いやいや、かすみんも一緒に抱きしめてあげてるんだって!」

「月明かりの露天風呂で想いの男性の肩に頭を乗せながら温泉を堪能。いい演技のシナリオが浮かびそうです」

「彼方ちゃんのカラダを枕にして温泉に浸かりながらぐっすり眠っていいんだよぉ~」

「もう抱き着く場所がない。かくなる上は温泉に潜って下から行く。零さんの、下を」

「せつ菜ちゃん、まだ抱き着ける場所あるよ。そのぉ……胸を顔に押し付けるとか!」

「自分で言っておいて恥ずかしがってるじゃないですか歩夢さん!!」

「全く、温泉ではしゃぐなんてまだまだ子供ね。本当に節操がないんだから」

「そう言いながら果林ちゃん、混ざりたそうな眼をしてるけどね♪」

 

 

 どうにもこうにも騒がしいねぇ……。もうコイツらの肌色に阻まれて月明かりの景色とか見られなくなっている。逆に裸の女の子がたくさんの桃源郷が目の前に広がっているのだが……。

 つうかコイツらヤる気満々だけど、これライブの慰安旅行だからな。気持ちよくはなれるかもしれねぇけど、温泉でリラックスした後にまた汗を流して体力を消費するってなに考えてんだ。常識外れの男を好きになる女の子も常識外れだってことか。

 

 しかも今まではコイツらだけだったが、今だと――――

 

 

「みんな楽しそうね! ランジュも参加させてもらうわ!」

「ランジュ!? それ以上押しかけたら、零さん本当に潰れてしまいますから!」

「本当に変人ばかりだなこのグループ。これもスクールアイドルに必要な要素……ではないか。ボクは毒されないようにしよう」

 

 

 追加メンバーを含め、今後は更に騒がしくなること間違いなしだ。

 

 

「おい侑、助け――――」

「私、そろそろ上がりますね」

「どうして俺の言葉を遮る……」

「助けませんよ。これがお兄さんの望んだ世界なんですから」

「お前は俺の相棒じゃなかったのか……」

「どうぞごゆっくり♪」

「おいっ、なんだその笑顔――――ア、アイツ、本当に上がりやがった!?」

 

 

 こんな色とりどりのメンバーと共に、これからの虹ヶ咲生活を堪能しよう――――って、俺の体力枯渇しないよな……。

 




 そんなわけで『虹ヶ咲編2』がスタートしました!
 ランジュとミアの2人を加えた新体制ですが、『虹ヶ咲編1』ではあまり活躍のなかった栞子にもスポットを当て、この章では新キャラ3人を色濃く描いていければと考えています。もちろん既存メンバーも蔑ろにするつもりはないので、どんな話が展開されるのか乞うご期待で!



【付録】
『日常』シリーズ時系列を古い順から並べました。
同時に主人公の零君がそれぞれの作品、章で何歳になったのかも掲載します。

・『日常』シリーズ(前作)
・『非日常』シリーズ(前作)
  前作からの年数:―
  神崎零の年齢 :16歳(高校2年生)

・『新日常』シリーズ(μ's編)
  前作からの年数:1年
  神崎零の年齢 :17歳(高校3年生)

・『新日常』シリーズ(Aqours編)
  前作からの年数:4年
  神崎零の年齢 :21歳(大学4年生)

・『新日常』シリーズ(スクフェス編)
  前作からの年数:1ヶ月
  神崎零の年齢 :21歳(大学4年生)

・『新日常』シリーズ(虹ヶ咲編その1)
  前作からの年数:1ヶ月
  神崎零の年齢 :21歳(大学4年生)

・『新日常』シリーズ(虹ヶ咲編その2)
  前作からの年数:2ヶ月
  神崎零の年齢 :22歳(大学4年生)

・『新日常』シリーズ(Liella編)
  前作からの年数:1年
  神崎零の年齢 :22歳(社会人1年目)


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