ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 遂に虹ヶ咲編の本当の最終回です!
 最後の1人、侑が彼への想いを告白する時――――!!


【最終話】恋色passions!(後編)

「侑」

「お兄さん……」

 

 

 屋上に到着すると、外は既に夕暮れだった。そして屋上のフェンスにもたれかかって俺を待っていたのは呼び出し人の侑。夕日をバックに美少女が佇んでいるとか何とも風情のある絵だ。普段何気なく接している女の子も、こうしたロマンティックなシチュエーションだと一回りも二回りも綺麗に見えるのはどうしてなんだろうな。

 

 

「ゴメンなさい、今更改まって呼び出しちゃって……」

「いいよ別に。改まりたいくらいの話があるんだろ?」

「はい」

 

 

 雰囲気が厳粛なためかこちらの身も引き締まってしまう。侑の表情を見てみると何かを決意したような真剣な面持ちだった。俺を呼び出すまでにどんな心境の変化があったのかは知らないが、こうしてわざわざ呼び出すあたり自分の中で抑えられない気持ちがあり、それを俺にぶつけたい衝動があるのだろう。告白……ではないと思うけど、俺とコイツの関係が大きく変化する何か。そう思っている。

 

 侑のもたれかかっているフェンスにまで歩み寄り、下の様子を眺めてみる。ここからであれば虹ヶ咲の校庭や運動場が一望でき、夕方もいい時間なので帰宅している子たち、部活の後片付けをしている子たちでいっぱいだ。こうして遠目からでも分かる美女美少女たち。みんな俺のことを好きで恋焦がれる子ばかり。そんな子たちを上から見下ろして、しかも合法的に眺められるなんていいスポットだな。まるで学園の主にでもなった気分だよ。まあ実際にそうなんだけどさ。

 

 

「何を笑っているんですか気持ち悪い……」

「いや俺も来るところまで来たなぁと思ってさ。まさか学園の女の子を丸ごと手に入れることになるとはな」

「楽園計画……」

「そうだ。お前が忌み嫌う、秋葉が勝手に俺たちを巻き込んだ計画だよ。思ったよりその前準備が壮大で、最初計画の概要を聞かされた時はビックリしたよな」

「はい。今聞いてもとんでもないことに巻き込まれたなぁって思いますよ。しかも私には特別な役割まで振られていて……」

 

 

 まさかこの虹ヶ咲学園自体が俺のたの女の子を集める目的で設立され、入学する女子生徒たちは学力はもちろん、容姿の良さや健康状態、秀でた才能、そして何より俺を好きになる素質のある子を秋葉が引き抜いていたなんて、最初聞かされた時は信じられなかった。でも現にこの学園の女の子たちはみんな容姿端麗で何かの能力が突出している子ばかりだ。それに俺の顔を見るだけでも嬉しそうに話しかけてくれたりする愛嬌の良さもある。一歩この学園に踏み入るだけでも自分のためだけの学園なんだと実感することができるくらいだ。

 

 ちなみに侑だけは他の子たちとは違う理由で入学させられていた。それはこの学園で唯一俺を好きになる素質がない子として、俺がこの学園の頂点に立つための補佐係としての役割を与えられている。俺のことを好きにならないから恋の盲目になる心配がなく、第三者視点で俺をサポートできる――という秋葉の狙いがあった。もちろん侑はそれを拒絶。その時から俺との接し方について色々悩んでいたように思える。

 

 

「悪かったな。身内のやったこととは言え謝るよ」

「いえ、もうこの環境にも慣れちゃいましたから。むしろいっそ受け入れちゃったことで逆に居心地が良くなった気がします」

「なんだ? お前もこっち側の空気に染まったのか」

「それでもお兄さんのことを好きになったりはしませんけどね」

「どうかな? 恋愛ゲームのように誰かを好きになるのにイベントは必要ない。一緒にいるだけで意識しちまうかもしれねぇぞ」

「ま、もう意識はしてますけど……」

「あれだけ一緒にいればそうなるだろうな――――って、え゛っ!? おい今なんつった??」

 

 

 同じくフェンスから学園の外を眺める侑の横顔を目を丸くして見つめる俺。

 俺の聞き間違いでなければ『もう意識している』って言ったか? 自分で言うのもアレだが、コイツとの出会いは最悪だった。電車内の痴漢が初対面なんて女の子側からしたら消し去りたい過去だろうが、そんなことがあったのにも関わらず今は俺を意識してるだと? さっきも言ったが元々コイツは俺を好きになる素質がない子だ。今までも冗談で『俺のことを好きになるぞ』ってからかったことがあったけど、その時は決まって軽くあしらってきた。そんな奴が唐突に告白紛いな発言してきたんだからそりゃ驚くだろう。

 

 

「私、お兄さんにずっと不信感を抱いていたんですよ。まず複数の女の子と付き合っている時点で非常識じゃないですか。そして傲慢で自意識過剰。唯我独尊で高飛車。自己顕示欲の塊で自分が世界で一番偉いと思っているナルシスト。あと変態さん」

「お前その罵倒セリフ、言い過ぎてもう早口で言えるようになってるじゃねぇか……」

「どうしてこんな人がみんなから慕われているんだろうってずっと考えてましたから。スクールアイドルのマネージャーとしては頼りになる人、とは思ってましたけど、な~んか私とは合わない気がしたんですよね」

 

 

 理由は分からないけど何となくコイツとは反りが合わない、なんてのはよくある話だ。コイツ的には自分の身近に突然浮気上等の変態野郎が来て、しかも歩夢たちがその男のことを慕うものだから環境の変化に戸惑っていたのだろう。まあ俺の考え方に同調できる奴の方が異常だし、コイツが抱く不信感の方が一般的なんだけどさ。

 

 

「でも、お兄さんと一緒に過ごしていくうちに分かったんです。楽しいって」

「えっ、それだけ?」

「決定的だったのは一緒にお出かけした時です。あの時は歩夢に騙されて成り行きでデートしましたけど、お兄さん、ずっと私のことを気遣ってくれたじゃないですか? 自分で言うのもアレですけど、私っていつもお兄さんを腫れ物扱いしたり、年上なのにからかったりしていました。でもお兄さんは私を楽しませてくれた。それに恋人の演技をする時も、緊張する私を励まして抱きしめてくれた。そんな男らしいところを感じて私思ったんです。あぁ、歩夢たちが惹かれてるのはこういうことなんだって。自分を守ってくれる、大切にしてくれる、幸せにしてくれるというのをお兄さんから伝えてくれる。そういうところに惚れたんだろうって」

「別に普通のことをやってるつもりなんだけどな」

「普通のことをサラッとできるところにときめいちゃったんだと思いますよ、歩夢たちは」

「なんだ、お前は違うのか?」

「私はまぁ、この人となら一緒にいてもいいかなって思っただけです」

 

 

 好きではないけど一緒にいてあげてもいいって、それは告白……ではないのか? コイツが違うと言い張るのであればそれ以上言及するつもりはない。ぶっちゃけここまで親密な関係になれただけでも奇跡みたいなもんだしな。最初の出会いが最悪だっただけに、こうして2人きりで自分たちの関係を隠さず話す仲にまで発展したんだから。

 

 コイツと2人でデートした時のことはまだ記憶に新しい。歩夢に騙されてセッティングされたデートだったから侑も俺もどことなくぎこちなかったけど、いつの間にかお互いの歩幅が合っていた。どうしてあのとき俺はあそこまで侑に寄り添ったのか。俺はそこまで優しくもなければお人好しでもない。自分が好きになった女の子のためなら全力を出すが、それ以外は省エネの人生だ。だけど俺はコイツに本気を出した。つまり、俺はコイツのことを――――

 

 

「そのデート以降ですかね、お兄さんを見る目が変わったのは。この人なら歩夢たちを任せていい、学園の女の子たちも幸せにしてくれる。そうやって自分の中でお兄さんが徐々に信用に値する人になったんです。むしろこの人じゃないとダメだとも思うようになってました」

「その時点で相当毒されてるな、俺の世界に」

「そうですね、もうお兄さんに引き込まれて帰れなくなっちゃいました。だからその責任を取ってもらおうと思って」

「なんだ、脱ぐのか?」

「見たいんですか? 私のカラダ……」

「えっ、あっ、あぁ、まぁ……」

 

 

 おかしい。いつもならセクハラ発言に厳しいツッコミを入れるか顔を真っ赤にして恥ずかしがるのに、なんで今日はこんな冷静にカウンターしてくるんだ?? 驚きすぎてこっちが取り乱しちまったじゃねぇか……。

 

 思わず(ども)りながら侑の問いかけに同意してしまったが、そりゃ見たいか見たくないかで言えば見たいだろう。同年代の思春期女子と比較して虹ヶ咲の子たちはスタイルが良いが、侑もそれに漏れずいいカラダをしている。コイツも一応秋葉が俺のために集めた女の子の1人だからスタイル自体は良く、男の欲情を誘える健康的なカラダと言えば聞こえはいい。本人の前でそんなことを言ったら絞殺されそうだけど……。

 

 

「時には強引に引っ張る男らしさ、時には優しくしてくれる暖かさ。その愛情を誰か1人だけではなくてみんなに向けている。お兄さんこそが楽園の主になるって秋葉さんの言葉、最近ようやく理解できました。こういうの、頂点の雄(アルファオス)って言うらしいですよ」

「群れの中でトップ君臨する雄のことか。俺にピッタリの言葉だな。そんな俺の側にいられるなんて幸運だぞ」

「そうやって無駄に自信満々なところも女の子にとっては安心できるのかもしれませんね。私もそうですし」

「おいおい今日どうした? やけに俺に対して肯定的っつうか、まるで認めてるみたいじゃねぇか」

「認めてますよ」

「えっ……?」

 

 

 今日の侑はやけに素直だ。恐らく自分の中でもう答えが出ているのだろう。これからの俺との関係をどうしていくのか、自分の進むべき道が分かっている様子だ。歩夢たちと普通の日常を送っていたのに突如として俺という不穏因子が紛れ込み、自分の人生が大きく狂った。そのせいで最初は自分の置かれている環境に戸惑っていたが、俺と日常を過ごしていく中で必死に考え抜いて決めた1つの答え。侑はもう決意している。だから今日は何事にも動揺せずに落ち着いているのだろう。

 

 侑はフェンスから離れ、俺と正面から向き合う。普段は可愛い女の子なのに、雰囲気が雰囲気だからか超絶イケメンに見えた。流石は俺と同じ『主人公』ってだけのことはある。

 

 

「私、お兄さんのお側にいます。これからも」

 

 

 秋風が吹き抜ける。

 これが侑の決意。今まで俺や歩夢たちの関係に疑問を呈し、それを咎めていた彼女が辿り着いたのが今の答え。

 

 

「お兄さんのお手伝いがしたい。私の夢は色々な人のトキメキを見ること。そしてお兄さんは女の子の笑顔が見たい。だから似てるんですよ、私たちの夢って。だからお兄さんと一緒にいれば色んな人の笑顔やトキメキがいっぱい見られると思ったんです。もちろん同じ夢を持っているからと言って誰とでも一緒にいたいだなんて思いません。お兄さんだからです。傲慢で自意識過剰。唯我独尊で高飛車。自己顕示欲の塊で自分が世界で一番偉いと思っているナルシスト。でもそうやって自分を強く魅せる男らしさに惹かれちゃったんです、悔しいですけど。だからこの人の側にいたい、尽くしたい、お手伝いしたいって思うようになっちゃいました。この人と一緒に入れば自分の夢も叶えられるし幸せにもしてくれる、そんな最高なことって他にありますか? ないですよね? だったら私の答えは1つ。お兄さんについて行くことです」

 

 

 『そんな最高なことがあるか?』と問いかけるのは元々は俺のセリフだ。自分に恋心を抱く女の子全員を手に入れ、全員と幸せな日常を送る。それ以上の幸せがこの世に存在するか……ってな。コイツと出会った日にそんなことを言った気がする。でもまさかその言葉を相手から投げかけられるとは思ってもなかったよ。俺と一緒にいた時間が長くて思考回路が伝染したのかもしれない。

 

 

「ダメ……ですかね?」

「いや、全然。むしろ大歓迎だ。俺もお前のこと好きだしな」

「えっ、す、好き!?」

「おっ、今日初めて取り乱したな。お前はそっちの顔の方が似合う」

「それ褒めてるんですか……」

 

 

 コイツと一緒にいることは多かったけど、お互いに異性として意識したことはなかった気がする。初対面がアレだったってのもあるが、俺の出会った女の子の中では珍しく長い期間俺に不信感を抱いていたってのもあるだろう。だけどそれすらも時が解決してくれた。当たり前だが一緒にいる時間が長いほど相手の魅力をたくさん目のあたりにできる。侑がさっきの決意に至ったのも俺という人間を隅々まで理解したからだろう。

 

 そして、それは俺もそうだ。

 

 

「俺は女の子をただ可愛いってだけで好きになることはない。ある程度一緒にいて、ソイツの魅力を知って、初めて好きになるんだ。ま、お前の場合は最初から好印象だったけどな」

「あんな出会い方だったのに?」

「まあ出会いはアレだったけど、お前から自分の夢を聞かされて親近感が湧いたよ。そしてその立派な夢を叶えさせてやりたいと思ったんだ。それにそんな夢を抱くお前と一緒にいれば女の子の笑顔がたくさん見られるとも思ったしな。そう考えると奇しくもお前と同じ理由を俺も持ってたってわけか」

「なるほど、その時から私たちはお互いを求めていたんですね。この人と一緒にいれば自分の夢も叶うって」

「そういうこった。それに夢を叶えてやることでお前の笑顔も見たいしな。可愛いし」

「ぶっ!? いつもいきなりですよね!?」

「好きになる理由なんてそんなもんで十分だ。お兄さんお兄さんって呼んで慕ってくれるところも妹みたいで可愛がりたくなるしな」

「ちょっ、もういいですって身体痒くなる!!」

 

 

 自分から真面目な話を振っておいて俺からはダメってそりゃねぇだろ……。

 侑の表情を見てみると最初のド真面目な面持ちはどこへやら、夕日に照らされているのも相まっていつも以上に顔が赤く見えた。やっぱり女の子は羞恥に悶え苦しんでいる姿が一番愛おしいと思う。その姿が好きなのも、多分女の子を自分の手で辱めているという快感が得られるからだろうな。

 

 それは抜きにしても、俺が侑に惹かれているのは事実だ。どんな夢であれ、何事も一直線で突き進む女の子に魅力を感じる。これも侑の言うトキメキってやつなのだろう。俺がスクールアイドルの子たちを次々と好きになったのもそれが理由かもしれない。スクールアイドルをやってる奴はみんなで1つの夢を叶えようと自らを磨き、努力し、輝こうとするからな。今回はそれが侑だったってだけの話だ。

 

 

「でも良かったよ。お前は彼女や恋人ってより相棒って感じだからな。これから存分に楽園計画を手伝ってくれ」

「はぁ? イヤですけど」

「えっ、いや『はぁ?』はこっちのセリフなんだけど!? さっき俺に尽くすって言ってなかったか!?」

「う~ん、捉え方の問題ですかね? 私が尽くすのはお兄さんであって、別にその計画に加担しようとは思ってないです。私が惹かれたのはお兄さん自身なんですから」

「あっそ……」

「もし私がトキメキを見たいって女の子が現れたら、その子を自分のもとに引き込めばいいんじゃないですかね。私の夢を叶える手伝いをするのであれば、これからたくさんの女の子に出会うと思うので」

「女の子を売るのか。お前意外とワルだな……」

「自分を好きになった子はみんな幸せにするんですよね? もちろん私のことも忘れないでくださいよ♪」

「へいへい……」

 

 

 もう俺の側にいる気満々じゃねぇか……。

 お互いの想いを伝え合った俺たち。その結果、意外なことにこれからもずっと一緒にいることになった。出会ってから今まで、侑とは同じ虹ヶ咲のマネージャーとして一緒にいることが多かった。そのせいで隣にいるのが当たり前となっていたが、これからもこうして側にいてくれると思うと心強い。コイツとの関係は他の子たちとは違う。女の子としても好きだけど、俺をサポートしてくれる相棒のポジションでもある。だからなのか隣にいてくれると安心するんだ。それも侑が俺に抱いている想いと一緒だな。抱いている夢といい相手への想いといい、色んな所で俺たちは似ている。もしかしたら最初から相性が良かったのかもしれないぞ。

 

 さて、いい感じにまとまったことだし、さっきからずっと聞き耳を立ててる()()()()を引きずり出してやるか。

 

 

「おいお前ら。もう話は終わったからコソコソしてないで出てこい」

「えっ、お前らって……」

 

 

 屋上の扉に向かって話しかけて見ると、その扉の隙間から何やらコソコソと声が聞こえてきた。やれ〇〇の声がうるさかっただの、やれ後ろから押すなだの、あの扉の向こうで有象無象が騒いでいるのが分かる。やがて大多数が扉に寄りかかる形となり、そうなれば半開きの扉がどうなるかはもうお察しのこと。俺たちの会話を盗み聞きしていた女の子たちが屋上へと雪崩れ込んで来た。

 

 

「歩夢!? みんな!?」

「あ、あはは、ゴメンね侑ちゃん……」

「あれだけ分かりやすく聞き耳を立てられてたのに気づいてなかったのかよ……」

「だってお兄さんに想いを打ち明けるのに全力で、他のことなんて気にしていられなかったんです!」

 

 

 決意を固めて落ち着いているように見えたけど、本心では俺と対面するだけでいっぱいいっぱいだったのか。つまりそれだけ本気で俺に向かい合ってくれたってことだから、そう考えると嬉しくなってくるな。

 

 それに対して興味本位で盗み聞きをしていたコイツらと来たら……。まあ分かりやすく俺に不信感を抱いていた侑が俺を呼び出して2人きりになるなんて、コイツらからしても珍しいことだから気になりもするか。それにしてもバレバレな盗聴だったけど……。

 

 

「零さん零さん! 侑先輩も囲うことができて、遂に零さんとかすみんのラブラブ新婚生活が始まるんですね!」

「いや気が早い!!」

「でもさっき言ってたっしょ? 愛さんたちみんなを幸せにするって!」

「そうだね~男に二言はないよね~?」

「みんなで幸せになる。アニメや漫画の世界では定番ですが、零さんこそそれを現実にしてくれるお方です! 私、期待しちゃいます!」

「私もみんなも零さんのことが好き。だからみんな一緒に幸せになれるなんて、大歓迎」

「みんなで幸せになることができたら、スイスにいる家族も喜びます!」

 

 

 コイツらここぞとばかりに退路を断ちやがって……!! いや逃げるつもりはないが改めて思う。コイツら押しが強すぎる!! てかいつの間にかまた四方八方から抱き着かれてるし!!

 

 

「まるで物語のヒロインになったようです。これからもたくさん愛を伝えせてください!」

「これだけたくさんの女の子を自分のモノにしたんだもの、責任はしっかり取るわよね?」

「分かった! 分かったからいったん離れろ!! おい歩夢、ちょっとコイツらを――――」

「私の夢も、侑ちゃんの夢も、みんなの夢も、ぜ~んぶ叶えてくださいね♪」

「ちょっ、お前まで!? 栞子も侑も、見てないで助けてくれ!!」

「ど、どうしましょうか……?」

「いいんだよ助けなくて。これがお兄さんが作り上げた楽園なんだから、自業自得♪」

「おいっ!?」

 

 

 これが楽園。俺が望んだ、自分のことが好きで好きで堪らない女の子たちに囲まれる生活。絶えず女の子たちからの愛を感じられる至福の日常。そんなことが現実的に有り得るのかと思うが、今まさに現実にしたんだ。俺の手で、俺の力で、遂に楽園を作り上げることができた。周りの女の子たちはみんな美女美少女。手を出そうが何をしようが咎められることはない、まさにご主人様。最高じゃないか。

 

 もちろん男としてみんなの愛に応え、夢を叶えさせてやる義務がある。だが焦る必要はない。一時期はコイツらと離れ離れになってしまったが、もうこれからはずっと一緒なんだから。今まで寂しい思いをさせてしまった歩夢たちに、そして新しく繋がった栞子や侑にも、たっぷりと夢を注いでやろう。もちろん愛も結んでいく。今も、これからも、ずっとな。

 




 虹ヶ咲編は他とは違って珍しく最初からハーレム全開のシチュエーションでしたが、最後の最後でより一層そのハーレムのレベルが上がった気がします。それもこれも侑が本格的に味方になってくれたからであり、零君ワールドがより盤石になってしまいました。

 ちょうど1年間の連載でしたが、虹ヶ咲編はどうだったでしょうか? 今までのキャラとは違いみんな押しが強かったり、愛が重かったり等々、よりハーレム具合を感じられたのではないかと思います。この1年を通してのご感想を是非いただけると幸いです。

 虹ヶ咲編を終えて色々語りたいことや裏話もあるのですが、それは後日活動報告にて投稿しますので、そちらにも目を通していただけると嬉しいです。

 これまで感想やお気に入り、評価をくださった方、毎週読んでくださった方、本当にありがとうございました! 毎週の投稿の励みになりました!

 最後になりましたが、虹ヶ咲編お疲れ様でした! またお会いしましょう!












 とは言ってもあと数話だけ特別編を投稿する予定です。
 恐らく皆さんが見たかったであろうお話になると思います。



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