ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 歩夢回にしようと思ったらいつの間にか侑もいい感じに活躍してしまったでござるの回。
 恐らく公式で侑がピックアップされることはあまりないと思うのですが、この小説ではヒロインの1人として扱っていく予定です!


※虹ヶ咲編から読んでいる方からキャラ設定が知りたいというお声をいただいたので、後書きに虹ヶ咲編の設定を追記しています。ただ虹ヶ咲編から読んでいる方のためにその設定が活かされることはないので読み飛ばしOKです。


幼馴染は魔法少女!?

「あのさ、どうして俺の歓迎会なのに本人が買出しに付き合わされてるわけ?」

「お兄さん、か弱い女の子に荷物を持たせるんですか?」

「よく言うよ。スクールアイドルの練習で鍛えてるくせに……」

 

 

 同好会メンバー全員とエンカウントした後、歩夢たちの提案で突発的に俺の歓迎会を開くことになった。そのせいで急遽買出しをする必要が出てきたのだが、何故か俺まで連行されている。その理由はさっき高咲が言った通りだけど、そりゃ納得はしてねぇよ。この世のどこに自分の歓迎会の準備を自分でやる寂しい奴がいるんだって話だ。残念ながらその誰かさんが俺になってしまったわけだが……。

 

 そんな感じの流れで不本意ながらも歩夢、果林、高咲の買出し組に付き合うことになった。まぁ何もしなかったらしなかったで学校で待ちぼうけになってただろうから仕方なく付き合っているわけだが……。

 

 

「このままだと歓迎会は夜になるんだろ? そんな時間にギャーギャー騒いでいいのか?」

「ちゃんと栞子ちゃんに許可を貰ったので大丈夫です。栞子ちゃんに零さんの歓迎会をやりたいって言って連絡したら二つ返事でOKしてくれましたよ」

「あの堅物で真面目な栞子ちゃんが()()()()するようなパーティを承諾するなんて、一体彼女にどんなことをしたのかしら? ねぇ零さん?」

「なんだニヤつきやがって。ただ()()って言葉を知らないアイツに()()を教えてやっただけだ。ちなみに変な意味じゃないから」

「どうだか。もしかして本格的に手を出した……とか?」

「そこはご想像にお任せだな」

 

 

 夜にパーティをするなんて学校側からしたら迷惑極まりないが、俺が生徒会長の三船栞子を懐柔しておいたおかげであっさり承諾されたらしい。確かに規律を重んじて正論こそが正義だと思ってるアイツだったら夜に騒ぎ立てるなんて不純行為は本来なら禁止にしていただろう。そう、本来であればな。今のアイツは俺と文字通り遊んで心の余裕もできたので、時間外にちょっと歓迎会をするくらいの融通は効かせてくれたようだ。

 

 

「俺は栞子よりも高咲が歓迎会に乗ってくるとは思わなかったよ。俺のこと嫌いじゃないのか?」

「別に嫌ってはないですよ? ただ変な人だなぁと思ってるだけで。それに歩夢たちがこんなに楽しそうにしてるのに、私だけ水を差して不参加とかできるわけないじゃないですか」

「俺が来てやってんだからそりゃそうだ。だからお前もじゃんじゃん歓迎してくれよ」

「相変わらず俺様系ですね……。でも急なことなんで飾り付けとかはできないことだけは許してくださいね」

「そうね。零さんが来るって知っていればあらかじめ飾り付けを買えたし料理も豪華にできたんだけど……」

「私がみんなにサプライズにしたいと思ったばっかりに!? ゴメンなさい!!」

「謝らなくていいのよ。そもそも零さんを連れてきてくれたこと自体がグッドなんだから。みんな会いたくて会いたくて飢えていたもの」

 

 

 今でもみんなが俺を見た時の驚きとその表情をよく覚えている。俺が来ることを伝えられていなかったからこそ自然体のアイツらのいい反応を見られたから、俺としても収穫はあった方だ。それでもアイツらのハイテンション具合には疲れたけど……。

 

 そんなやり取りをしながら街中を練り歩いていると、ふとコスプレが立ち並んだ店を見かける。そして何やら俺のお目に敵うようなイベントをやっていることにも気付いた。

 

 

「おいあれ。あのイベントに参加すればパーティグッズが貰えるらしいぞ」

「あれって――――コスプレ試着会!?」

「参加してくれた方には漏れなくパーティグッズを進呈って書いてあるわね。飾り付けの装飾品一式も入ってるみたいだし、確かに今からあちこち回って買いに行くよりもこれに参加した方が効率はいいんじゃないかしら」

「ってことだ歩夢、参加してこい」

「えぇえええっ!? どうして私なんですか!? コスプレを着るならいつもモデルをやっている果林さんの方がいいんじゃ……」

「でも飾られているコスプレって可愛い寄りじゃない? だったら歩夢の方が似合うわよ」

「そうだよ歩夢! ピンクの可愛い衣装大好きでしょ? それならいつもライブで着慣れてるから大丈夫だよ!」

「ライブの衣装とコスプレは違うよぉ……」

 

 

 コスプレイベントだが別にステージに立つわけでもなく、ただ単にコスプレの体験ができるだけだ。大勢の前に立ってわざわざアピールする必要もなく、ちょっと着るだけでパーティセットが貰えるんだからハードルは低い。それにイベントに参加している人はたくさんいるから自分だけコスプレで浮く心配もなければ注目されることもないだろう。コイツがコスプレイヤー顔負けの着こなしをしなければの話だがな。

 

 よし、そうと決まれば後押しをしてやろう。

 

 

「そんなに緊張するなら高咲も付けてやる。幼馴染が隣にいれば心配ねぇだろ」

「はぁ!? どうして私まで!?」

「お前いつも歩夢の背中を押してばかりだから、たまには横に並んで一緒の景色を見てみろ。それに幼馴染なんだったら一心同体にならなきゃな」

「そ、そうやって言われたら断るに断れない……」

「それに見てみろあれ。今流行りの2人組の魔法少女のコスプレだ。2人でワンセットなんだから歩夢だけに着させるわけにはいかねぇだろ」

「ちょ、ちょっと待ってください零さん! あの衣装そこそこ露出多くないですか!? 私の知ってる魔法少女とは違う……」

「そうですよお兄さん!! もっと別の無難な衣装があるのにどうしてわざわざあれなんですか!!」

「そんなもの俺があのコスプレをしたお前らが見たいって理由だけで十分だ。お前らに拒否権はない」

「零さんの独裁政治が始まった以上もう逆らえないわね。歩夢、侑、とっても可愛い魔法少女のポーズ、期待してるわよ♪」

「果林さんまで……」

 

 

 歩夢も高咲も俺に反抗しても無駄だと知っているため、渋々ながら魔法少女コスを手に取って試着室に入っていく。衣装の際どさや果林の煽りもあって相当緊張している2人だが、スクールアイドルたるものこの程度で羞恥を感じているようじゃダメだ。それに一生俺の隣にいたいのであればそんな恥辱を感じている暇さえないからここで慣れておいて欲しいもんだ。1人はスクールアイドルでもなければ俺の隣にいたいとも思っていないだろうが、まぁ道連れってことで。

 

 

「知ってると思うけど、あまり歩夢をイジめちゃダメよ? 歩夢ってば零さんの話題になるだけで極度にアガっちゃうんだから、本人が目の前にいるとなればいつ気絶してもおかしくないわ」

「お前も煽ってたけどな……。それに歩夢のことなら心配すんな。俺がどれだけの女の子と付き合ってきたと思ってるんだ? 女心がどう揺れ動いてるかなんて全部お見通しだよ」

「でしょうね。だからこそ私たちはあなたに弄ばれてしまっているもの。私も壁ドンされたり抱きしめられた時はどうなることかと思ったわ……」

「ああやってお前らは俺のモノなんだって自分で自分に教え込みたいんだよ。異常性癖者で悪かったな」

「そんなことないわよ。あなたに求められれば求められるほど心が高鳴るから……」

 

 

 果林は自分で言っておいて恥ずかしくなったのか、頬を染めたままそっぽを向く。果林ですらこんな感じなんだからずっと俺の隣にいた歩夢は極限までアガっていただろう。しかも事あるごとに自分の痴態を晒し続けたので黒歴史に呻る気持ちも分かる。それだけ緊張が高ぶってしまうほど俺のことを想ってくれていたってことだ。もちろん俺もその想いには気付いてたし、今日はバタバタと騒がしいながらも俺のやり方でコイツらに応えてきたつもりだ。

 

 そこそこ真面目な話をしていると、歩夢と高咲が入っていた試着室のカーテンが開く。そこから出てきたのは――――――

 

 

「この衣装可愛いけど、やっぱり露出が多くて恥ずかしよぉ……」

「私はスクールアイドルじゃないからフリフリで可愛い衣装なんて似合わないと思うけどなぁ……」

 

 

 開口一番に不安を口にする2人。だがそんな懸念など一瞬で払拭されていることに気付いていない。

 歩夢はピンクを基調とした魔法少女衣装である。胸元には大きなハートマークのリボンがあり、スカートは可愛さ重視のフリフリが付いている。深夜アニメのキャラだから肩や太ももなど露出は多く大きなお友達向けのデザインだ。探偵をモチーフにしている魔法少女だからか虫眼鏡などの小道具も身に付けており、右手にはステッキを持ち如何にも魔法少女さを演出している。

 高咲が来ている衣装は緑を基調としており、胸元にクローバーのマーク、露出が多いのは歩夢の衣装と同じだ。だが持っている武器は弓矢であり、狩人の魔法少女である元ネタのキャラそのまんまだ。狩人意識だからか衣装は薄着で歩夢のよりも身体のラインが良く出るものであり、彼女のスレンダーな体型が浮き彫りとなっている。

 

 

「2人共とっても似合ってるわよ! 想像以上に可愛らしくて写真が止まらないわ!」

「わわっ、果林さん写真は早いですって! まだ心の準備が……」

「魔法少女はそんな後ろ向きじゃないはずよ。もっと堂々と振舞って、人前に現れる時はポーズを取るものでしょう?」

「そんな突然言われても無理ですって!? それにこの魔法少女が出てくるアニメのこと知らないですし……」

「はいこれ私のスマホ。あなたたちが着替えている間に調べておいたからこれを参考にしなさい」

「えぇ、余計な気遣いを……」

「名前はキャラの名前じゃなくて自分の名前にしてリアリティを出すんだぞ」

「注文が多い!!」

 

 

 ただキャラの衣装を着るだけではコスプレではない。そのキャラになり切り、自分をキャラとして昇華させてこそ真のコスプレイヤーなのだ。つまり今のアイツらはちょっとばかり可愛らしい衣装を着て恥ずかしがっているだけの少女に過ぎない。そしてここに来ている奴らはそんな生温いキャラの演じ方を見に来ているのではない。一端のコスプレイヤーであればギャラリーの血の気が上るほど興奮させてやるべきだろう。歩夢たちはコスプレイヤーじゃない? コスプレをしたらみんなコスプレイヤーなんだよ。

 

 歩夢と高咲はしばらく渋っていたものの、このまま粘っていても状況は変わらないことを悟ってか遂に諦めたようだ。2人は魔法少女の登場シーンと同じくお互いに背中合わせになり、大きく深呼吸する。せっかく演技をするからには本気という気概が2人から伝わってきており、笑顔も作ったものではなく本気のものだった。

 

 2人はその状態で決めポーズを取る。

 

 

「愛の力で闇を拘束! 魔法使いピュアリー☆歩夢! 卑劣な悪は逃がしません!」

「あなたのハートをロックオン! 魔法使いマジカル☆侑! 邪悪な闇に愛の矢を!」

 

 

 2人が決めゼリフを放った瞬間、周りから歓声が上がる。想像以上の出来に俺も果林も満足したのだが、それは周りの人たちも同じ気持ちだったらしい。最初は恥ずかしがっていたが決める時は堂々と振舞うのはスクールアイドルとその幼馴染と言ったところか。そもそも人気の魔法少女キャラのコスプレを現役女子高生がしているってだけでも得点が高いからな、注目されても仕方がない。

 

 

「お兄さん!? 一気に注目され始めたんですけど!?」

「もう着替えてもいいですか!? いいですよね!?」

「いや店の人もいい被写体だって褒めてるぞ? ほら、ポスターにしたいから写真を撮りたいってさ」

「ポスターって私が!? だったらスクールアイドルの歩夢だけに……」

「ここで裏切るの侑ちゃん!? 私を1人にしないで~!!」

「いや歩夢の方が可愛いから!!」

「侑ちゃんの方が可愛いよ!!」

「いやどっちも可愛いわよ♪」

「「うっ……」」

 

 

 果林の言葉に嘘はないのだが、笑顔の圧が凄まじくて2人はこの場を去ることができない様子だ。お互いに謙遜し合いつつ逃げようとしていたのでよっぽど注目されているのが恥ずかしいらしい。確かに生きてて露出の高いコスプレなんてする機会はないし、そもそもこういったキャラの衣装ってコスプレしてもらうために一般大衆に媚びるようなデザインだからスクールアイドルの衣装とは可愛いの毛色が違う。だからこそ慣れてない2人は余計に恥ずかしいのだろう。

 

 すると、歩夢がもじもじしながら俺のことを見つめていることに気が付く。

 

 

「あ、あの……零さんはどう思いますかこの格好……? やっぱりプロのコスプレイヤーさんが着た方が可愛いですよね……」

「そんなことはない。今のお前は世界の誰よりも可愛いぞ。いや、()()()って言った方がいいか」

「ひゃっ!? そ、そうですか……えへへ♪ 零さんに褒められるとやっぱり嬉しいです。ありがとうございます……」

「ちょっと待ってください! 今『お前ら』って言いました? わ、私もってそんな……」

「そうだが? てかお前も歩夢たちと並んでスクールアイドルできるほどの可愛さがあるだろ。なぁ果林?」

「えぇ。いつもマネージャーとしてサポートしてくれるのももちろん嬉しいけど、今からでもグループとして一緒にライブに参加してもいいのよ?」

「えぇぇえええっ!? そ、そんな……ええっ!?」

 

 

 歩夢が頬を赤らめながら嬉しそうにしているのに対し、高咲は自分の容姿を褒められ慣れていないのか歩夢以上に顔を沸騰させている。いるんだよなこういう奴。いつもはみんなに『可愛い可愛い』って持ち上げてるけど、実際に自分が褒めちぎられると何も言えず恥ずかしがっている奴。同好会のマネージャーである高咲はまさにそのポジションで、こうして派手な衣装を着るのもスクールアイドルの歩夢とは違って初めてだろう。慣れない環境、慣れない衣装、慣れない褒め言葉に羞恥心が爆発しそうになっている。

 

 

「ほら見て。さっき同好会のグループチャットに歩夢と侑のコスプレ写真を送ったんだけど、みんな大絶賛よ!」

「ちょっと勝手に送らないでくださいよ!? あぁ今からチャットを覗くのが怖いし、みんなと会った時になんて言われるか想像するのも怖い……」

「俺は好きだけどな、お前らのその衣装。次は魔法少女モノでライブなんてどうだ?」

「零さんが期待してくれるのであればそれもやぶさかではないと言いますか……」

「ダメだよ歩夢流されちゃ!! スクールアイドルってもっと清楚なモノでしょ!?」

 

 

 その言い方だと魔法少女が穢れてるってことか……? まぁ魔法少女のキャラってエロ同人のネタにもされやすいし、何かと二次創作で敗北絵なんかで脱がされたりエロいことをさせられているイメージが強い。そういった意味では確かに穢れてるのかもな。深夜アニメ枠の魔法少女だからお察しなところもあるが……。

 

 

「とにかくお前らどっちも似合ってるから大丈夫だ。色んな女の子の色んな姿を見てきた俺のお墨付きなんだから、もっと自信を持て」

「歩夢ってばライブの衣装が出来上がるといつも『零さんに似合ってるって言ってもらえるかな』とか『零さんに可愛く見てもらえるかな』とか心配してるものね。もう好き好きオーラが隠せていないのよ。だから零さんに褒められるのが歩夢にとっての一番なのよね?」

「ひゃあっ!? そ、それは言わない約束だって……。そんなことを言ったら果林さんだって新しい衣装を着るたびに『どの角度から写真を撮れば零さんに美しく見られるかしら』って悩んでいますよね!?」

「そ、そんなこともあったようななかったような……」

「お墨付きとはこういうことだ高咲。俺のお目にかかれて良かったな」

「べ、別にお兄さんに褒められたって嬉しくもなんともない……ですよ」

 

 

 高咲は俺に対して悪態をつくが自分の心に嘘は付けないようで、頬を染めながらも満更でもない表情をしている。ここに来てツンデレ属性まで発揮するとか、やっぱりコイツもスクールアイドルの奴らに負けず劣らずいいキャラしてるじゃん。無理矢理でもいいから可愛い衣装を着させてステージに立たせてライブをさせてやりたい。それくらい高咲には歩夢たちと同じ魅力があった。

 

 

 そんな感じで突如として始まったコスプレイベントは終了し、歩夢も高咲も無事に羞恥の渦から解放された。最終的には2人共ちょっと名残惜しそうにしていたので、多少なりとも魔法少女コスに思い入れはできたかもしれない。幸か不幸か俺と一緒にいる以上は恥ずかしい衣装を着ることなんていくらでもあるから安心してくれよな。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 そして歓迎会の買出しを終えた帰宅途中――――

 

 

「どっと疲れた……。いつも観客席でみんなを見てるだけだったけど、周りから注目されるのって思った以上に疲れるんだね……」

「分かってもらえたのなら、今日みたいな無茶振りはやめてもらえると嬉しいかな……。『やります! 歩夢が!』っていうあの流れのことだけど……」

「そうだね、善処するよ……」

 

「結構魂が抜けちゃってるわねあの2人。全く、零さんが無茶振りするから……」

「お前も相当煽ってたけどな。それに俺はアイツらの魔法少女コスを見たいからやったんだ。後悔はしていない」

 

 

 俺は俺の欲望に従ったまでの話だ。いつも女の子たちの暴走を止めたり欲求不満に応えてやったりしてるんだから、これくらいのワガママは許してもらいたい。それに可愛い女の子の可愛い姿を見たいのは男として当然の欲求だろ? 俺はそれを真っ向から見られる立場にいるからその特権を活かさずどこで活かすって言うんだ。これぞたくさんの女の子を囲ってる醍醐味だな。

 

 ま、俺の欲望を満たすためだけじゃなくて今回は副産物としてパーティセットが――――って、あれ……?

 

 

「そういえばコスプレイベントの特典のパーティセット、誰か貰ったか?」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 あっ……。

 

 

「ちょっと!? 私たちの苦労は一体なんだったんですか!? どうして受け取らなかったんですかお兄さん!!」

「お前らが衣装を返す時に貰ってると思うだろ普通! 俺は観客、メインはお前らのはずだ!」

「ということは私たち、ただ恥ずかしい思いをしただけってこと……?」

「骨折り損のくたびれ儲けがこれほど体現されてるのを見るのは初めてね……」

「うがぁあああああああああああああお兄さん!!」

「だから俺のせいにすんな!! つうか疲れてたんじゃねぇのかよ元気じゃねぇか!!」

 

 

 怒りに身を任せるとはまさにこのことか、高咲は今にも襲い掛かってきそうだった。

 ていうか悪いのは俺でも高咲たちでもなくて、特典を渡さなかったイベントスタッフじゃね? とか言ってももはや聞く耳をもたない高咲と、またしても黒歴史を刻んで嘆く歩夢を宥めるのに相当の時間を要したのだった……。 

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 アニメでは歩夢⇒侑の構図が前面に押し出されていて若干ヤンデレENDになりそうな予感もしましたが、この小説では完全に歩夢⇒零なので逆に侑が嫉妬しちゃいそうな気がします(笑)

ちなみに今回モデルとなった某ゲームの魔法少女ですが、原作の著作権意識で敢えて2人のモチーフと技を逆にしてます。

 よろしければお気に入り、感想、高評価をよろしくお願いします!
 今後の小説執筆の糧となります!



【知らなくてもいい設定集】
・虹ヶ咲編の時系列は某年10月
⇒Aqours編が同年6月、スクフェス編が同年8月なので203話から200話以上にわたり4ヵ月くらいしか経ってません(笑)

・零は大学4年生、同好会メンバーは原作同様
⇒Aqoursと同好会メンバーは同年代、μ'sは零と同年代なので先輩スクールアイドルです

・零と侑以外の同好会メンバーは幼い頃からの知り合い(メンバー同士もその頃からの知り合い)
⇒スクフェス編の端々でその経緯が語られていますが、今から見返すのは大変だと思うのでスルーしていいです。多分ほとんど使うことのない設定です。

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