ぶっちゃけただのお眠キャラだと思っていた彼方が意外としっかり者でビックリしたのがアニメの感想です(笑)
てなわけで今回は彼方登場回です!
璃奈の暴走というまたしても余計な騒動に巻き込まれた俺たちだったが、なんとかその場を収めて学校案内を再開した。あのまま廊下で乳くっていたら確実に校内から追い出されていただろうから、誰にもバレなかったのは僥倖だったかもしれない。俺が常日頃からコイツらを性的に満足させてあげりゃこんなことにはならなかったのか……?
そんなこんなでいつものメンバー+璃奈で校内探索を再始動。エマは衣装部の手伝いがあるらしくてパーティから抜けてしまった。
「ふわぁ~なんか眠くなってきたな。そりゃあれだけ飯を食わされた挙句、その後あんなに騒いでたらこうもなるか」
「ゴメンなさい。私の作ってきたお弁当まで召し上がっていただいて。多かったですよね……」
「いや、男の胃を舐めるなよ。むしろいい感じに満腹になったから気にすんな」
「その後は私でいい運動ができたはず。感謝して欲しい」
「お前は乳くる乳くられるのが運動だと思ってんのか……」
そりゃいきなり胸を触れと暴走されたら抑え込むのに体力も精神も持ってかれるけど、それが運動と見なされるなら苦労しない。だって日頃からそういった生活を送っているんだからさ。
「お兄さん、だったら次は中庭に行きません? あそこ日当たりも良くて、お昼はそこで休憩を取っている人も多いんですよ。私たちもそこで休みましょう」
「あぁ。ずっとお前らに巻き込まれっぱなしで疲れたから、ちょっくら休憩してくか」
「えぇっ!? 私たちのせいですか!?」
「じゃなきゃ学校案内ごときで何時間も費やすのはおかしいだろ。まだお前らの部室にすら案内されてねぇのに」
「みんな零さんに迷惑を掛け過ぎ。テンションが上がるのは分かるけどもっと落ち着かないと」
「お前がトップクラスで落ち着いてなかった気がするけど……?」
自分のことを棚に上げて歩夢たちを咎める璃奈。相変わらずボードを着けると饒舌になり、それだけでなく煽り性能まで付与されている。発言がブーメランにしかなっていないので大した性能ではないんだけども……。
高咲の提案で中庭に行くことになった俺たち。早速行ってみると、確かにお昼休みだからかそれなりに人はいる。日当たり抜群で休憩するなら絶好の場所なのだが、程よく暖かいせいで昼寝が捗ってしまいそうだ。流石に客人としてこの学校に来ている身として寝るわけにはいかないので、ここは眠気を堪えて耐えるしかないか。そうなるとさっきまでの騒がしい時間が恋しくなるな。
「ていうかコイツ……」
「すぅ……すぅ……」
案の定と言うべきか、虹ヶ咲の眠り姫である近江彼方がベンチで気持ちよさそうに眠っていた。スカートが捲れかかっているので目線をズラせば余裕でパンツが見えそうだ。こんな無防備な状態で寝ているとは、どこぞにいる悪い男に襲われても知らねぇぞ?
「うにゅ……あれ、零さん……?」
「よぉ。てかぐっすり眠っていたのにどうして起きた……」
「零さんの香りと気配で分かるよ~」
「寝てるのに分かるとか地味にこえぇよ……」
彼方は俺が近づいた瞬間に目を覚ましてむくりと起き上がる。睡眠中なのにも関わらず俺の匂いと雰囲気を察して起きたようだが、それってもはやエスパーの類を疑いたくなる。まぁ俺の周りの女の子たちはそういった特異体質持ち(脳内お花畑、歩く猥褻物、妄想ラブホテルetc…)ばかりなので、今更驚くことでもないけどな。
「おはようございます彼方さん。相変わらずお昼休みはお昼寝タイムなんですね」
「あれ~歩夢ちゃん? 侑ちゃんに璃奈ちゃんも。そして零さん……えっ、零さん?? どうしてここにいるの~?」
「今頃気付くのか……。歩夢たちに学校案内をしてもらってるんだよ」
「みんなは驚いていましたけど、彼方さんは全然いつも通りだね」
「いやいや彼方ちゃんも物凄く驚いてるよ~? 寝起きだからまだ夢見心地なだけで……ふわぁ~」
相変わらずマイペースな奴で、俺が来てやったのにも関わらずまた寝ようとしてやがる。いや別にいいんだけど、せめて寝ている間に乱れた服を整えてからにして欲しい。傍から見たら怪しい男が夢見心地で思考回路が満足ではない女の子を脱がしている構図と捉えられなくもない。この学校に来てからやれ略奪愛だの、やれレズの間に割って入る男だの、やれ乳くり合戦だのに巻き込まれてるせいで、周りの生徒たちからの評価がガタ落ちしてないか気になるんだが……。
「そうだ、零さんもこっちに来て一緒に寝ようよ~。この中庭とっても暖かいからお昼寝に丁度いいんだよ~」
「いや人様の学校で寝るわけにはいかねぇだろ……」
「えぇ~? だったらこっちから行っちゃうから。え~い!」
「うぉっ!? いって……急に抱き着いてくんな!?」
「すぅ……」
「寝んな!!」
「大丈夫ですか零さん!?」
「あ、あぁ、コイツがめちゃくちゃ軽くて助かった……」
彼方って如何にもどんくさそうだが、スクールアイドルをやっている以上は一定の運動神経は身に付いている。そして今回無駄にその身体能力を活かし、俺が受け身を取る前に懐に抱き着いてきやがった。そのせいで思わず尻もちをついてしまうが、本人は意に介さず俺を抱き枕にして眠ろうとしていた。
「零さんの香りだぁ……すんすん」
「嗅ぐな!! ったく気持ちよさそうな顔をしやがって……」
「久しぶりによく眠れそうだよ~。最近少し寝つきが悪くって……」
「お前が? 珍しいな」
「バイトとか掛け持ちしてるし、疲れが溜まり過ぎて逆に寝られないのかも……」
そういやコイツ、忙しい母親や愛しの妹のために家事も家計も支えてるんだっけ? そのためにバイトを掛け持ちして家の収入を増やしたり、毎日3食の食事を作ったり、特待生として勉強も頑張り、しかもスクールアイドルまでやっている始末。そりゃ疲れすぎて逆に気持ちよく眠れないのも無理はないだろう。
「彼方さん、私にいい考えがある」
「およ? なになに璃奈ちゃんいい考えって……?」
「私が独自ルートで開発したこのインディアンポーカーのカード。これを額に張って寝れば同じカードを持つ他の人と夢が共有できて、かつぐっすり眠れる効果付き」
「何それ凄い!! 璃奈ちゃんって何でも作れると思ってたけど、そんな凄いのまで作れるの!? 夢を共有なんてどういう仕組み??」
「それは教えられない。ある人の協力で開発したもので、極秘情報だから」
「その人ってアイツだろ絶対」
「…………ノーコメント」
こんな役に立ちそうで無駄なことにリソースを費やすのは
璃奈は俺たちに1枚ずつインディアンポーカーのカードを手渡す。カードはトランプよりも少し大きめであり、星型だったりハート型だったりの模様が描かれているだけで特に目立つ変な部分はない。そこらのおもちゃ屋で売られていてもおかしくなく、これを額に張るだけで効果が発揮するとは到底思えない。だが秋葉と璃奈の共同開発したこれのことだ、見た目がカモフラージュなのは確定的に明らか。あまりにも怪し過ぎるから使うのは控えた方が――――
「これみんなで使ってみようよ! 私、歩夢の夢を見てみたいなぁ~」
「えぇっ!? そんなの恥ずかしいよぉ……」
「彼方ちゃんもみんなと同じ夢を見られて気持ちよく眠れるのなら使いたいかな~」
「彼方さんまで……」
「歩夢はお兄さんの夢、見たくないの? もしかしたら夢の中でとっても愛してくれるかもよ?」
「ふえぇぇぇっ!? そ、それは……み、見たいかも……」
「よしっ、じゃあ決まりだね!」
意志が弱い歩夢は俺をエサにまんまと高咲の策略に乗せられてしまった。これでカード使用の流れとなり、俺が抵抗する間もなくみんなでのお昼寝タイムとなる。
もうこうなったら覚悟を決めるしかないか。何か起こっても夢の中ならノーカウント扱いにできるし、もしかしたらそこまで気負う必要はないかもしれないしな。
俺たちはベンチに座りカードを額に張る。張ったのはいいのだが――――
「おい、どうして俺にもたれ掛かって寝る……?」
「だって零さん抱き枕気持ちいいんだも~ん……」
「私も便乗する」
「あ~あ、お兄さんの隣どっちも取られちゃったよ歩夢。だったら前から抱き着いて寝るしかないよね!」
「そんなの逆に寝られないから!!」
高咲の奴、何かにつけて歩夢を俺に抱き着かせようとしてるよな……。俺たちの距離を縮めようと画策しているのかは知らないが、ここまで強引だと逆に煽りに見えてきちゃうぞ。
そして俺は彼方と璃奈に両方から抱き枕にされている。さっき彼方が俺の香りがイイと言っていたがそれは俺もそうで、女の子特有の甘い香りが鼻孔を唆るため心地よいアロマのようだ。2人の体温も暖かく、抱き枕にされているが逆にコイツらが俺の布団になってくれているとも言える。しかしこれだけですぐに熟睡できるとは思えないんだが、こんなことで本当に夢を見られ――――――zzz
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なんか周りが異空間のようだ。まさか本当に夢の世界に来てしまったってのか……? この空間にいるだけで心地良いので璃奈が言っていた『快適な眠り』ってのは満足に満たされそうだ……今のところは。
もしここが夢世界なんだとしたら、インディアンポーカーの効果で誰かの夢に入っているってことになる。夢というのは見ている本人は別の意志とされているため、普通に現実と変わらぬ意志を持っている俺の夢ではないことが分かる。だったら一体誰の―――――
「れ、零さん……」
「こ、これキツい……」
「歩夢と高咲か――――って、どうしたその胸!? でかっ!?」
「下着のサイズが合わないどころか、制服がはち切れそうなんです!!」
「Fカップ? Gカップ? いやもっと……」
「彼方ちゃんのもほらほら見てみて~。これなら零さんにおっぱい枕してあげられるね~」
「うぷっ!? おい苦しいって!!」
「元気でちゅね~~いい子いい子~」
「普通に気持ちいいのがムカつく……」
歩夢と高咲がかなりの巨乳に、そして元からそこそこあった彼方も胸が一回りどころか二回りも大きくなっていた。そして俺は彼女に顔を引き寄せられ胸に谷間にダイブさせられると、赤ちゃんをあやすように頭を撫でられる。年下の子にこんなことをされるのは屈辱だとは思いながらも、母性を感じ気持ちよくなってしまうのが男の性というもの。しかも彼方のふんわりとした声色で囁かれたら甘えたくなる衝動に駆られてしまう。ここは夢の中、多少自分のプライドを傷付けてでも女の子に甘えることは許されるのではないだろうか……?
「待って彼方さん、それは私の役目」
「璃奈お前は――――えぇっ!? 何その胸!?」
ロリ巨乳が目の前にいた。元から胸が小さかったためか歩夢たちよりも特に大きくなったように見え、まさにコイツの欲望が夢の中で具現化している。薄々勘付いてはいたがやっぱり璃奈の夢だったか……。
「さぁ零さん。今度こそ私の胸を揉みしだくチャンス。気に入らないのならもっと大きくできる。夢の中だから何でもあり」
「夢の中で揉んでも仕方ねぇだろ。やっぱ現実じゃないと……」
「むぅ……。だったらおっぱいの良さを零さんの身体に分からせる」
「えっ? 身体が勝手に……」
「わわっ、お、お兄さんにぶつかっちゃう!」
「うぐっ!? お、お前ら……」
大きくなった自分の胸に困惑していた歩夢と高咲は、何故か勝手に身体が引っ張られて強制的に俺に抱き着かされた。しかも俺の顔面を胸で抱え込む形で。気付けば璃奈も正面から抱き着いている。4人の女の子の大きくなった胸、それに顔を挟まれるなんて男なら歓喜するところだがなんか違う。そうだ、やっぱり俺は女の子の天然モノのおっぱいが好きなんだ。例え夢の中であろうと作られたおっぱいに興味はない。だからこそ今の状況はただただおっぱいで窒息死するのが怖い! 夢だけど!!
「ちょっとお兄さん! 変なところ触らないでください!!」
「動けねぇんだから仕方ねぇだろ!!」
「零さん……むにゃむにゃ……」
「コイツ夢の中でも寝てやがる……!!」
「ひゃっ!? 零さんそんなところを触られると……」
「夢の中で感じるなって!!」
「もっともっとおっぱいを知ってもらいたい。だからもっともっと堪能してもらう。そして私にメロメロに……」
「ふええっ!? また胸が大きくなってる!? これも璃奈ちゃんの夢のせい!?」
「こ、これ以上大きくなったら本気で窒息するって―――――――!!」
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「あれ……? 別の世界に来てる……?」
「どうやらそうみたいだねぇ~」
「いい夢を見ていた気がするけど……よく思い出せない」
「やっぱり夢を見ている本人は覚えてないのか……」
いつの間にか別の人の夢にジャンプしていたようだ。近くには彼方と璃奈が意志を持っているため、ここは歩夢か高咲の夢なのか……?
「ちょっ、ちょっと侑ちゃん勘弁してよぉ~!?」
「あゆぴょん可愛いよぉ~♪ ほら写真撮るからこっち向いてぇ~♪」
「変態さんになってるよ侑ちゃん!! 涎垂れそうになってるから!!」
見ればバニーのコスプレをした、いやさせられた歩夢が高咲の欲望に振り回されているようだ。つまりここは高咲の世界ってことか。
歩夢のバニー衣装はエロ目的のモノではないので露出は少ないものの、ピンクのフリフリスカートだったりもふもふのロップイヤーだったりと、如何にも可愛いモノ好きの高咲が好きそうな衣装だ。てかカメラを持ちながらニヤニヤしやがって、普通に変態オヤジだなアイツ。自分のことを棚に上げるが通報してしまいそうだ。
「次は少しスカートを捲ってみよう! このままでも歩夢は可愛いけど、恥じらってる姿も可愛いから大丈夫!」
「全然大丈夫じゃないよ!? ちょっと勝手に捲らないで!!」
「歩夢って本当に綺麗な脚してるよね。こんなにきめ細かな肌でシミ1つない。それにこの健康的な太もも! 同じボディソープ使ってるのにどうしてこうも差が出るんだろう……」
「そんなところに顔近付けないで――――やぁ……んっ、息がくすぐったいよぉ……」
「さっきの喘ぎ声可愛い! もっと聞かせて!」
「い、嫌に決まってるでしょ!?」
な~にやってんだアイツら。幼馴染同士で仲が良いと片付けるには無理がある光景に、俺も璃奈もただ見ていることしかできない。ちなみに彼方は俺の肩にもたれ掛かって寝ている。
高咲が歩夢のことが好きなのは良く伝わってきたが、これ以上アイツの変態オヤジ化はアイツ自身の尊厳に関わる。うん、ここは何も見なかったことにしてスルーした方が良さそうだな。
「零さん璃奈ちゃん! 見てないで助けて!!」
「幼馴染にそこまで愛してもらえるなんて微笑ましいなー」
「そんな幼馴染がいるなんて羨ましいなー」
「棒読み!? 早くしないと侑ちゃんに私の身体が――――――!!」
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「あ、あれぇ?? ここは……? 制服に戻ってる……」
「どうやらまた誰かの夢に飛んだみたいだな。てか高咲、お前大丈夫か……?」
「あまり思い出せないけど思い出したくない何かが頭に……」
「あそこに彼方さんがいる。それにその周りにいるのって――――」
珍しく彼方が起きていると思ったが、それ以上に気になるのはアイツの周りにいるたくさんの女の子たち。見た目が全く同じで明るい茶髪のツインテール、ヘアピンは彼方とは反対の右に付けており、水色の瞳をしたロリ顔の女の子。正直言って俺好みで妹キャラ的ポジションに配置したい人材なのだが、あの子は一体誰だ……??
「「「「「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」」」」」
「わぁ~遥ちゃんがいっぱいだぁ~♪」
「お姉ちゃんってことは、彼方の妹か……?」
「近江遥ちゃんですよ。それにしても数が多いけど……」
「アイツが相当シスコンだとは聞いてるけど、夢の中にまで妹に囲まれたいのか……」
まぁ気持ちは分からなくもない。俺だって世界最強の最可愛の妹がいるからな。でも同じ顔に囲まれるのは幸福よりも狂気の方が勝ると思うのだが、どうやら彼方はそうではないらしい。妹の遥に『お姉ちゃん』を連呼されて今にもヘブンに昇りそうになっていた。
「お兄ちゃん!!」
「えっ、こ、近江遥!? どうして俺のところにも!?」
「「「お姉ちゃん!!」」」」
「わわっ、こっちにも! 遥ちゃんがいっぱい!?」
「ここ、彼方さんの夢の中だから……」
「彼方さんが大好きな遥ちゃんがたくさんいるってこと……!?」
いつの間にか俺たちも近江遥の軍団に包囲されていた。遥たちは屈託のない明るい笑顔で俺たちを『お兄ちゃん』『お姉ちゃん』と呼び慕う。彼方の夢の中の彼女なので着色はされているだろうが、この時点で近江遥の妹キャラとしての強さが現れていた。見た目がロリ顔の子に上目遣いで『お兄ちゃん』なんて呼ばれた時の心の高ぶりは半端ない。こりゃ彼方がデレデレなのも分かる気がする……。
そしてそれは歩夢たちもそうで、最初はたくさんの遥の圧力に戸惑っていたものの、上目遣い+笑顔+甘い声のトリプルコンボで『お姉ちゃん』と呼ばれた瞬間から頬を赤くして照れていた。
「お姉ちゃん!!」
「お姉ちゃんだよ~えへへ♪ 歩夢も可愛いけど遥ちゃんもやっぱり可愛いなぁ~」
「お姉ちゃん!!」
「はわっ!? お、お姉ちゃん……同好会の中で最年少の私がお姉ちゃん……うん、いい」
「お姉ちゃん!!」
「は、は~い……って、そんな笑顔で見つめらると……うぅ可愛い……」
コイツら、見事に彼方の夢の中に引き摺り込まれてるな……。実妹がいる俺でも心を動かされそうになったのに、妹がいないコイツらは遥の笑顔で完全にノックアウト状態だ。聞くところによれば近江姉妹は双方でシスコンを患っているので、こうやって遥の方から自分たちに懐いてくれるのが歩夢たちにとっては嬉しかったりするのだろう。
だがそうやって幸せな時間が流れている中で、次々と近江遥が増殖していることにそろそろ目を向けた方がいいか。彼方の夢の中のせいで遥好きの欲望が止まらずこのような事態を招いているのだろう。流石にここまで同じ顔の妹が増えるとこえぇよ……。
「おい彼方、もう俺たちの目の前が遥で埋め尽くされそうなんだが……」
「遥ちゃん遥ちゃ~ん……しあわしぇ~……」
「あぁこりゃダメだ。次行こう次――――――!!」
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「遥ちゃ~ん――――あれ?」
「残念、もう次の夢だ」
「「遥ちゃ~ん――――あれ?」」
「璃奈、高咲……。お前らもかよ……」
いい感じに妹色に染まっているところ悪いけど、遥軍団で全てが埋め尽くされる前に次に行かせてもらった。
このメンツがここにいるってことは最後は歩夢なんだろうけど、どうも見覚えのある場所なんだよな。いや見覚えがあるとかそんな次元じゃない。ここって――――俺の部屋だ!! そして俺のベッドに上にいるのは――――歩夢!?
「零さん、いつもここで寝てるんだよね……。すぅ~はぁ~……零さんの香りだぁ~……。毛布も暖かい……零さんの温もりを感じちゃう……」
「…………おい高咲、幼馴染なんだったら何とかしろ」
「あれお兄さんのベッドですよね? だったらお兄さんが何とかするべきですよ」
「お前、歩夢のことが好きなんじゃなかったのか?」
「好きですけど、今の歩夢はちょっと近寄りがたいと言いますか……。お兄さんのことを嬉しそうに話して暴走する歩夢があんな感じなので……いやそれ以上かも」
「とか言ってるけど、さっきのお前もあんな感じだったけどな」
「え゛っ!? なんのことですか!?」
さっきのは高咲自身の夢だったから本人は覚えていないらしい。まぁ知らぬが華という言葉があるように、覚えていない方が幸せなのかもしれないが。
「毛布にくるまっていると零さんに抱きしめられているみたい……。あっ、んんっ……!!」
「おいなんださっきの声!? やたらエロかったぞ!?」
「カードの見せる夢はその人の欲望を見せる。だからこれは歩夢さんの欲望のはず」
「ということは歩夢ちゃん、もしかして夜な夜な零さんのことを想って……? 健気だねぇ~」
「えぇい、もうやめだやめ!! みんな目を覚ませ――――――!!」
~※~
「ふわぁ~。よく眠れたよぉ~」
「そうかぁ? むしろ余計に疲れたぞ……」
「お兄さんに同じくです……」
「最後の私、とんでもないことをしていたような……。全然思い出せない……」
「これは実験成功。私の開発スキルも大幅レベルアップ、えっへん」
俺たちは夢の世界から脱出し、何とか現実へと帰還する。
彼方と璃奈は満足しているようだが、俺たちはむしろ夢の中まで騒動に苛まれ疲労が溜まったように感じていた。ただでさえ午前中からずっと騒ぎに巻き込まれてるのに、休憩目的の睡眠でさえ満足にできないとそりゃこうもなるって。
「そういえばお兄さんだけ夢の世界がありませんでしたよね? どうしてだろう」
「あれ~? 零さんのカードが壊れてるよ? ほら傷が入ってる」
「ホントだ。どうして?」
「恐らく零さんの欲望が強すぎて、カードが耐え切れなくなったんだと思う。つまり、私たちの誰よりも業が深い欲望を抱いているということ」
「えぇ……どんな夢なんですか……」
「引きながら聞くんじゃねぇよ……」
俺の額に張り付けてあったカードはド真ん中に大きな傷が付いていた。璃奈からその理由を聞いた高咲はドン引きするが、夢の中でのみんなの欲望以上のことを俺が抱えてるってことだからそりゃ気持ち悪がられても仕方がないか。高咲自身も相当気色悪いことになってたしな。
「ま、いつか話してやるよ。あの歩夢の醜態よりも物凄い夢をな」
「聞きたくないけど気になりますね……」
「ちょっと待ってください!! 夢の中での私って何をしていたんですか!? 零さんも彼方さんも璃奈ちゃんも黙ってないで答えてくださいよ!! 侑ちゃんも目を逸らして……一体何が起こったの!?」
言ったら言ったで歩夢の精神が崩壊しかねないので黙っているのはむしろ正解だろう。てかもうあれだけの欲望を抱いている時点でそれなりに理性が崩壊しかかっている気もするが、まぁ何も言うまい……。
To Be Continued……
実は零君の夢をオチに持ってくるつもりだったのですが、1話完結の都合上により没になりました。そこにたっぷりのハーレム要素を入れるつもりだったので残念ですが、今回のネタは個人的にかなり気に入ったのでまたいつかやってみたいと思っています。
よろしければお気に入り、感想、高評価をよろしくお願いします!
今後の小説執筆の糧となります!