ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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今回はμ's、Aqours、虹ヶ咲から3人のリーダーが集結!
でも内容は真面目だったりおふざけしてたり……


リーダーズ・ミーティング

 

 遂に明日、μ'sとAqoursの合同合宿が始まる。どちらのグループも相手グループと一緒に練習できることを心待ちにしており、最近の練習は連日暑い日が続くのにも関わらず合宿のモチベのためか、みんなのやる気が段違いだった。μ'sはスクールアイドルとして今度こそ最後のライブであり、Aqoursは廃校阻止をかけた全国生中継のライブ。お互いに深刻ながら様々な思いを秘めつつも、まず第一に自分たちがライブを楽しむというスタンスは日頃のやる気を見ても誰も忘れていないようだ。

 

 そんな楽しい楽しい合同合宿が目前に控えているのだが、何故か俺は女性モノの水着コーナーにいた。

 男にとって何が苦痛かって、女の子と一緒に水着を買いに行くのはいいんだけど、試着室の前で1人ぼっちで待たされることが何よりも気まずいんだよ。別に女性モノの水着を見ているからって変なことは考えておらず、試着室の前で待っている=女の子の試着待ちってことくらいは周りの人も察することができる。しかしその状況であっても女性モノの水着が色華やかに並んでいる真ん中で、こうして待ちぼうけをくらうのはやはり気まずい。まあ下着コーナーじゃないだけマシだと思って我慢するか……。

 

 ちなみにデート相手はご存知Aqoursのリーダーである高海千歌だ。どうして合宿前日になって水着を買いに来ているのかと言うと――――また追々説明しよう。

 

 

『せんせーーい! カーテン開けてみてください!』

「どうして俺が……。それにここで先生呼びはやめてくれ。生徒と一緒に水着を買いに来てるヤバい奴だと思われるからさ」

『え~? じゃあなんて呼べばいんですか?』

「普通に名前でいいだろ」

『む、無理です!! そんなの恥ずかしすぎますって!!』

 

 

 コイツ、バスの中で上半身を脱いで俺に迫ってきたくせに、名前呼びすることの方が恥ずかしいのか……。コイツの羞恥を感じる基準が分からん。胸を見せるのはその時だけだけど、名前で呼び始めたらこの先もずっとその名前で呼び続けなければならない、つまり一瞬と永遠の差か? いや大したことねぇだろそんな差なんて。思春期の乙女心ってのは本当によく分からん。

 

 

『いいからこのカーテン開けてください!』

「はいはい……」

 

 

 女性更衣室のカーテンを男が開けるなんて光景を誰かに見られたりでもしたら、それこそ店員さんがやって来て事務室に連行されかねない。だから開けることに躊躇していたのだが、頑固ちゃんの千歌のことだから俺から動かないと更衣室に永久就職するだろう。

 

 仕方ないと割り切り、カーテンに手をかけたその時だった。後ろから突然肩を掴まれ、身体が反射的に大きくビクつく。危惧していたことが現実になったのかと思い一瞬で大量の冷汗が溢れ出す。店員か警備員か誰かは知らないが、こんなに早く俺の行動を止めることができたってことは、もしかしてずっと監視していた……とか? 店に入る前から『あっ、コイツいかにもやりそうだな』と俺に目を付けていたのかもしれない。

 

 身体を震わせながらも、恐る恐る首を回して俺の肩を掴む者の正体を確かめてみると――――――

 

 

 …………ん? あれ?

 

 

「ほ、穂乃果!?」

「たまたま零君を見つけたから声を掛けようと思ったんだけど、まさか堂々と覗きなんて……」

 

 

 振り向いてみると、穂乃果がジト目で俺を見つめていた。さっきの台詞から察するに、コイツ勘違いしてやがるな……。まあ事情も知らない人から見たら、俺が女性更衣室のカーテンを無言で開けている怪しい奴にしか見えなかっただろうが。

 

 

「いやいやしてねぇよ! これから開けるところだったんだ!!」

「やっぱり覗こうとしてたんだ……」

「いや、中にいるコイツが開けろって言ってくるからさぁ……」

「自分から更衣室を覗かせようとする人なんて、ことりちゃん以外にはいないよ!」

「お前の中でのことりの扱いって……」

 

 

 穂乃果も大概淫猥な思考の持ち主だったりするのだが、そんな奴から見てもことりは別格のような扱いを受けている。もちろん言うまでもなくアイツは別格というか、生きていること自体が性犯罪なのでどこかに島流ししてやった方がいいんじゃないかな……? いや、島流しをしても次の朝には笑顔で俺の隣にいそうで怖い……。

 

 

『穂乃果さん? 穂乃果さんが一緒にいるんですか!?』

「この声って、もしかして千歌ちゃん!?」

『はいそうです! お久しぶりですね!』

「うん久しぶり! 会ったのがAqoursのみんなが東京に来てすぐくらいだから、2週間以上は経ってるのかぁ」

『そうなりますね。いやぁ時が流れるのは早い!』

「もう千歌ちゃんったらおばさん臭いよ!」

『あははっ! まあウチには二十歳越えの姉が2人もいますから、口癖が移っちゃったみたいです。あっ、今のは2人に内緒ですよ?』

「え~どうしよっかなぁ~?」

『ええっ!? 穂乃果さんの意地悪……』

 

 

 いやね、とっても仲がいいのは2人の会話とテンションから熱烈に伝わってくるんだけど、未だに更衣室のカーテンが閉まったままなのが気になってならない。そのせいで穂乃果と千歌はカーテン越しに会話をしており、もちろんだがお互いにまだ姿を確認し合っていない。それでも2人はまるで隣同士で仲睦まじく喋っているかのようなノリで会話している。でもこの2人は非常にウマが合うため、相手の声色だけで楽しく会話ができるのだろう。つうか、いつの間に仲良くなったんだ穂乃果と千歌って。

 

 

「とりあえず、カーテンを開けて対面で会話してくれ。他にもお客さんから変な目で見られちまう」

「あっ、そっか」

『それは盲点でした……』

「馬鹿なのかな?」

 

 

 性格も雰囲気も似たり寄ったりの2人だが、同時に欠点も似た者同士なのが余計な点だ。しかしそういった長所だけでなく短所までもが同じだからこそ、穂乃果も千歌も感覚的に相手とウマを合わせられるのかもしれない。

 

 しばらく待っていると、ようやく更衣室のカーテンが開く。

 だが千歌の格好は水着ではなく、私服姿に戻っていた。

 

 

「お待たせしました!」

「あれ? 水着はどうした?」

「穂乃果さんもいますし、どうせ披露するなら当日までのお楽しみにしておこうかと」

「だったらどうして俺を水着選びに誘ったんだよ……。しかも合宿前日に」

「えっ、それじゃあ穂乃果の電話に出なかった理由って……」

「電話?」

「1時間くらい前に零君に電話したんだよ。一緒に水着を買いに行きたいってね。でも出てくれなかったらこうして1人で来たんだけど、まさか更衣室覗きの現場に出くわすとは……」

「せ、先生!? 私の着替えを覗こうとしてたんですか!?」

「してねぇから!! 穂乃果も適当なこと言うな!!」

 

 

 そう、俺は千歌に誘われてこの水着コーナーに来たんだ。最近では花陽と水着コーナー(どちらかと言えばエレベーターでの監禁が印象強いが)に来たのだが、実はアイツ以外にも他の子に誘われて何度かこの店には足を運んでいた。でも合宿前日に急いで水着を選んで欲しいと言ってくるあたり、千歌の用意の遅さが伺える。それは穂乃果も同じであり、合宿前日なのにも関わらず水着を新調しようとしているあたり、大人になっても合宿を学生の遠足気分で考えているのだろう。実際にこの2人は合宿の目的を既に見失っており、一緒に遊ぶことに重きを置いているから仕方ないと言えば仕方ないが。いや、仕方ないで片付けちゃダメだろそこは。しかもこんなのでもμ'sとAqoursのリーダーだからな。馬鹿と才能は紙一重ってか。

 

 よくこんなリーダーでグループの一体が保てると逆に感心していると、少し離れたところで水着を選んでいる女の子に目が行く。

 髪色は鮮やかな赤。髪の長さは肩に掛かる程度の短髪気味で、右側の髪を丸めてまとめているため一種のデコレーションのようになっている。見た目的には千歌たちと同じ高校生であり、胸の大きさも千歌や曜と同じくらいだ。雰囲気は清楚でお花畑が似合いそうな美少女で、パッと見で目立った特徴はないものの、それをカバーできるほどの容姿と清純さを持ち合わせていた。

 

 

 ――――って、あれ? 前にも同じ内容で紹介したことがあるような気が……?

 

 

 あっ、こ、コイツ……!!

 

 

「歩夢……?」

「えっ……? あ、零さん!?」

 

 

 上原歩夢。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーであり、リーダーでもある。彼女とはこれで2度目の再会で、以前はお祭りの会場で(恐らく)偶然出会った。その時はいきなり抱き着いてきたり、別れ際には頬にキスしてきたりなど大胆な行動を取っていたことは記憶に新しい。これまで虹ヶ咲の子たちと数人で会ってきたが、その中でも一番彼女が積極的だったと思う。見た目の清楚さとは裏腹に、己の魅力を自覚して存分に俺へぶつけている。そういう子こそ案外腹黒かったりするんだよな……。

 

 

「えっ、誰その子?」

「先生って本当に女性のお知り合いが多いですよね」

「お前らも見たことあるはずだぞ。ほら、スクフェスの事前投票の番組でテレビに出ていただろ?」

「あっ、もしかしてあの時センターにいた子? 虹ヶ咲スクールアイドルの代表としてインタビューを受けてた人だよね?」

「確かに言われてみれば。まさかこんなところで会えるなんて……」

「上原歩夢です。よろしくお願いします!」

 

 

 歩夢は穂乃果や千歌に負けないくらい明るい笑顔で挨拶をし、先輩たちに深々とお辞儀をする。2人と同じグループリーダーなのにここまで律儀だと、やはり事前投票王者としての貫禄を感じられる。穂乃果も千歌も目上の人に対してそれなりに敬意を払える性格ではあるのだが、普段のダラダラとした素行を見ているとどうしてもね。

 

 そして今ここに、俺と密接に関係のあるスクールアイドルのリーダー3人が集結した。集まろうと示し合わせていた訳ではなくたまたま偶然、思いがけずリーダー3人が一堂に会したのだ。まるで吸い寄せられるように集まったので、この邂逅は偶然ではなく彼女たちによる必然なのかもしれない。この3人が同じ場所に集まったところで一体どんな会話が繰り広げられるのか、俺には想像もつかなかった。

 

 

「歩夢ちゃんかぁ、可愛い名前だね! それじゃあ――――」

「知ってますよ、高坂穂乃果さんですよね。あのμ'sのリーダーさんときて、知らない人なんていませんから」

「そ、そう? えへへ、有名人は辛いねぇ~」

「全然辛そうには見えないが……」

「それとそちらの方はAqoursの高海千歌さんですよね?」

「私のことをご存じなんですか!? Aqoursなんて知名度がないに等しいのに……」

「そんなことありませんよ。少なくとも虹ヶ咲の中では有名ですから」

「事前投票1位の人たちに覚えてもらっているなんて……。でもそういえばあの時、Aqoursの名前が出ていたような……?」

 

 

 事前投票の番組に生出演していた歩夢が放った衝撃的な言葉。『スクフェスでμ'sとAqoursと戦いたい』と、1位のくせに挑発とも取れる宣戦布告をしたんだ。その言葉にμ'sもAqoursも衝撃を受けたようで、まさか全国放送のテレビで、しかも名指しで自分たちが戦いの相手に選ばれるとは思ってもいなかったのだろう。しかもその番組の後で視聴した虹ヶ咲のライブを見た彼女たちは、自分たちより明らかに上である実力を思い知らされ更に言葉を失っていた。

 

 まだ出会ってもいないのに因縁がある中で、遂にこうして虹ヶ咲のリーダーと対面することになった穂乃果と千歌。空気が悪いとまでは行かないが、少々張り詰めており緊張感が漂っていた。

 

 

「私、穂乃果さんと千歌さんに会いたかったんですよ」

「え、どうして?」

「私の目標であり、そしてスクフェスでライバルとなる方々ですから。それに……」

「それに?」

 

 

 しかし歩夢は穂乃果の問いかけに答えず、何故か俺の元へと歩み寄ってくる。

 そして目の前までやって来ると、間髪入れずに全身を使って俺を抱きしめてきた。高校生にしては発達し過ぎている胸が潰れるほどに押し付けられたと言えば、彼女がどれだけ俺に密着してきたのかが分かるだろう。

 

 ……って、冷静に解説してる場合じゃねぇ!! コイツ一体なにしてくれちゃってんの!? ここデパートの水着売り場だし、しかも穂乃果と千歌が見てるんだぞ?!

 

 

「ちょっ、お前……!!」

「やっぱりこの感触、温もり、香り、すべてが私を包み込んでくれます。気持ちいい……」

「れ、零君!? いつの間にこの子とこんな関係に!?」

「デパートの中でこんなことをするくらいですから、も、もしかしてお付き合いをしている……とか!?」

「違うんだ!」

「零さんヒドい! お祭りの時にあんなことやこんなことをしておきながら……」

「零君……? これはμ'sのみんなを呼んで謝罪会見かな? かな?」

「夜のお祭り会場で、女子高生に手を出した教師……うん、浦の星のSNSに拡散しなきゃ!」

「おいやめろ」

 

 

 やはり見た目の清楚さとは真逆で、自身の欲望を大っぴらにすることになんの躊躇いもないのが歩夢だ。しかも恐らく穂乃果と千歌が俺に好意を抱いていると知ったうえでのこんな行動をしているのだろう。実際に歩夢の表情を見てみると、悪戯そうな笑顔でウィンクをしてきやがったから確信犯に違いない。ただでさえμ'sとAqoursに宣戦布告をしているのに、どうして俺に抱き着いて煽るような真似をしてんだコイツ……。清楚さがありお茶目さがあるのは可愛いと言えば可愛いけど、このままだと穂乃果と千歌を通してμ'sとAqours全員から尋問され兼ねない。

 

 虹ヶ咲の子たちが襲来すると、いつもこうやって彼女たちのペースに巻き込まれちまう問題を早く解決したいもんだ。

 それ以前にこの状況を打破したい! だって穂乃果と千歌から滲み出る嫉妬のオーラが俺を蝕むから!!

 

 

「零君と歩夢ちゃんってどういう関係なの……?」

「えぇっと、関係と言われてもどこから説明していいのやら……」

「将来を誓い合った仲です♪」

「え……え゛ぇえええええええええええっ!? 先生、Aqoursというものがありながら……」

「なにそのヤンデレオーラ!? お前らももちろん大事だけど、コイツも放っておけないから許してくれ!」

「零さん……!! そのお優しさで私の胸が熱く高鳴っちゃいます」

「零君ってば本当にす~ぐ女の子を惚れさせて将来を誓うんだから……」

「いやそれは語弊があるぞ!? 結婚詐欺師じゃあるまいし、そうポンポン未来を約束するかっての!」

 

 

 夜のお祭り会場で初めて出会い、その日中に抱き合ったりキスをされたりして将来を誓い合うって、即堕ち2コマ系の同人誌でも中々見られない。つうかそんなシチュエーションの時って、大抵チャラい男や汚いオッサンが女の子を襲って快楽堕ちさせるパターンがほとんどな気がする。対して俺たちは普通にお祭りデートを楽しみ、川に架かる橋の上、星空の下でロマンチックなキスをしたのでそんなアブノーマルなシチュエーションではない。そもそもそれらの行動は全部歩夢から俺に向けられたもので、俺自身は彼女に一切手を出してない。まあ誘惑をされて卑しい感情を抱かなかったと言えば嘘になるけど……。

 

 

「ゴメンなさい。また零さんと会うことができて、思わず舞い上がっちゃいまして……」

「舞い上がってもいいけど、ありもしないことをさも事実かのように話すのはやめような」

「それもゴメンなさい。穂乃果さんと千歌さんが零さんととても仲良しに見えたので、ちょっと悪戯したくなっちゃいました♪」

「おうおう、遊び心が旺盛なことで……」

「なんだ冗談かぁ~ビックリしたよぉ……」

「私もです。置いていかれないよう私も将来を誓うところでした……」

「そんなに軽いもんだっけ告白って……?」

 

 

 誰かが告白したから流れで自分も告白するって、そんなハーレムモノのギャグアニメじゃないんだから……。

 でもおかげで張り詰めていた空気が一気に和らいだので、空気の入れ替えという点では歩夢がグッジョブなのかもしれない。この中では一番後輩のくせにして、俺たちをここまで自分のペースに巻き込めるのはある意味恐ろしいけどな。

 

 

「スクフェスではもちろん負けませんけど、零さんを好きって気持ちも負けませんから。そのために生きていると言ってもいいくらい……」

「わ、私だって先生にAqoursの魅力を思い知ってもらうために頑張るもん!」

「凄い、2人共本気だ……。こりゃ穂乃果たちも負けていられないね!」

「私たちが勝ちますよ、絶対に。今までこの時のために自分を磨きに磨いてきたんですから……」

 

 

 歩夢の宣戦布告にめげず、逆に布告し返した千歌と穂乃果。なんかいいよな、こういったライバル関係って。仲のいい先輩と後輩でありながらも、お互いに見下すことなく認め合う。これはもしかしなくても、3グループ共スクフェスの決勝に上がることができるかも。μ'sとAqoursに至っては明日からの合宿も控えてるし、更にお互いのモチベと実力を伸ばせそうだ。まあこの2人は水着を新調していることから、海で遊ぶ気満々なんだろうけど……。

 

 そういや、どうして歩夢は水着コーナーにいるんだ……? 虹ヶ咲の子たちも海に合宿でも行くのかな?

 

 

「あっ、もう少しで練習の時間なので、私はこの辺で。楽しみにしていてくださいね♪」

「えっ、あっ、あぁ……」

 

 

 歩夢は選んだ水着を見せびらかせながらニッコリ笑うと、そのまま会計へと向かった。

 楽しみにするって何を?? まさかとは思うがアイツらも……いや、流石にそれは偶然すぎるか。

 

 

「あ~ドキドキしたぁ~。初めて生で見たけど、歩夢さん凄く綺麗だったなぁ……」

「そうだね。清楚だし笑顔も可愛いし、スタイルもいいし優しいし、非の打ち所がないね。それでいてスクフェスに込める情熱も凄いから、5年前の自分を見てるみたいだったよ」

「ま、愛は重いけどな。色々と……」

 

 

 穂乃果と千歌は歩夢のインパクトに感銘を受けていた。

 彼女が抱いているのは、ただ1人の男性に捧げる愛のみ。むしろその愛だけであれだけ全国を魅了するライブができるんだから、彼女、そして同じメンバーが抱いている愛は相当濃密なのだろう。どうして己の人生を全てたった1人の男に注ぐことができるのかはまだ分からないが、想いの強さは間違いなく本物だ。そして現時点では、その強さはμ'sやAqoursを圧倒的に凌駕している。PVだけでμ'sとAqoursメンバー全員を圧倒し黙らせることができたのがその証拠だ。

 

 だが、そんなことで屈する穂乃果と千歌ではない。むしろ今日、歩夢に出会ったことで2人の志も大きく変化したことだろう。ライブを楽しむことはもちろん重要だけど、誰かに負けたくないという対抗心は向上心にも繋がる。こりゃ今まで以上に楽しみになってきたぞ、スクフェスの本選がな。

 

 

「そうだ、そういえば水着を選びに来たんだった! 零君、穂乃果の水着も選んでよ!」

「先生! やっぱり私も先生に選んでもらいたいです!」

「お前ら遊ぶ気満々かよ……。合同練習が目的だろ?」

「「それはそれ、これはこれ!」」

「俺のワクワクを返してくれない!?」

 

 




歩夢の圧倒的な強キャラ感( )
4コマでも性格が黒かったりハジけていた時期もありましたので、そこまで原作ブレイクはしてないかと。

次回は『新日常』3周年記念として、ちょっとしたifストーリーを描いてみようと思っています!

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