ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 お待たせしました、今回は遂に最後の個人回となります!
 やはり最後なので、久々にどっぷりと……


みかん少女、痴漢魔に恋をする

 

「好きです、先生……」

「早いよ!! 展開が早すぎる!?」

 

 

 バスに乗るなり自然な流れで告白してきたから、一瞬空耳かと思ったぞ……。こんな真昼間から車内で告白だなんて、今からカーセックスをするカップルじゃないんだから変にいい雰囲気されても困る。

 

 俺と千歌はバスの後部座席を陣取りながら、開口一番カオスな会話を繰り広げていた。内浦は決して広い街ではないので、他の乗客に聞かれたら先生と生徒の恋愛報道が瞬く間に広がってしまう可能性がある。あと数日の任期で教育実習が終了するのだが、千歌のたった一言でまだ本職に就いていないのに経歴に泥を塗られるのは流石に勘弁だ。まあそうは言っても、バスの乗客は俺たちだけで他は誰もいないんだけどね。千歌もそれを踏まえてのド直球告白だったのかもしれない。乗客がいる中での告白なんて、公開処刑もいいところだからな……。

 

 ちなみにバスに乗っているのは、千歌がピクニックに行きましょうと誘ってきたからだ。どうやら海も緑も心地よく感じられる彼女イチオシのリラクゼーションスポットがあるらしく、俺が東京に帰ってしまう前に一度見て欲しいとのこと。あまり風景を堪能する方ではないのだが、千歌と2人きりになれるいい機会だと思い、むしろそちらを重視して彼女の提案を飲んだ次第だ。

 

 そうしたらいきなり『好きです』と無茶を言ってくるものだから、出発して早々調子を狂わされて一気にペースを持って行かれてしまった。やはり無邪気っ子は容赦ないから怖いよ……。

 

 

「そもそも、積極的になれって言ったのは先生ですよね? だから積極的になってみたんですけど、まだ押しが足りませんか?」

「あんなド直球な告白に更に押しを加えたら、俺の心が押し潰されちゃうからやめてくれ……」

「む~……先生言ってること矛盾してる」

「所構わずグイグイ来られても困るってことだ。それにお前はスキンシップが激しすぎて、抱きついてくるたびに周りの生徒たちからキラキラした目で見つめられるの知ってるか? 絶対に学内SNSでネタにされてるぞあれ。先生と生徒の禁断の熱愛きたぁああああああ!! とか言ってそう」

「いいじゃないですか別に。むしろどんどん見せつけちゃいましょう♪」

 

 

 こうやって周りに自分たちの関係が知られようともお構いなし、しかもそれを恥じることなく笑顔でいられるほどの精神を持っているのはAqoursの中でも千歌くらいだろう。果南や鞠莉も耐えられそうな気もするが、アイツらはああ見えて意外と羞恥心には弱いからな。迷わずに告白の言葉を口に出せる千歌が強すぎるだけかもしれないけど……。

 

 

「それに先生、女の子に抱きつかれるの大好きでしょ? 私が引っ付くたびに毎回反応が一緒だから、流石に分かっちゃいますよ♪」

「分かるも何も、可愛いくていい匂いがする女の子に密着されて嫌悪する男なんていないだろ普通」

「ですよね! だって先生に抱きついた時、先生の心臓が凄い早さでバクバク言ってるのが聞こえますから!」

「当たり前だろ。後ろからあれだけ胸を押し付けられたら、誰でも高ぶってくるって」

「こういう時は、えへへ、当ててるんですよ♪ って言えばいいんでしたっけ?」

「質問せずに自然に言ってくれたら少しはドキッとしたかもな……」

 

 

 千歌はAqoursの誰よりも俺に好意を伝えるのが早かった。まだ出会って間もない頃、部屋で2人きりになった時にいきなり好きだと告白してくるくらいだ。だから俺の恋愛に対する真意も早い段階で千歌に伝わっていたため、心と精神がvs神崎零用に育つのは誰よりも早かった訳だ。つまり俺へのハグ行為なんかで恥じることはもちろんなく、今も紛うことなき積極性を見せている。『見せつけちゃいましょう』とか『当ててるんですよ』とか言ったり、俺の好みを熟知しているような言い回しから、何気ない会話の端々で俺の心を掴もうとしていることが分かってもらえるだろう。

 

 

「それにしても、お前とバスに乗るのも出会った日以来だよな。まあお前は寝てたから、当時の状況は覚えてないだろうけど」

「あぁ、先生に身の毛もよだつほど身体中を舐めまわすように触られた痴漢のことですね!」

「その言い方だと俺が理性のない淫獣みたいじゃねぇか……」

「でもこの前、学校で私たちを襲った時はまさにそんな感じでしたよ?」

「あれは秋葉のせいだから。それに俺は芸のない力技なんかじゃなくて、女の子を的確に気持ちよくさせられるように攻めるテクニシャンタイプだぞ」

「…………」

「な、なんだよ急に黙って……」

「いやぁ私もかなり積極的になったなぁ~っと自画自賛する時があるんですけど、バスの中で堂々とセクハラ発言をする先生を見ると私もまだまだだなぁ~っと」

「あのさ、人を戒めの教訓みたいな目で見るのやめてくれる? 言ったこっちが恥ずかしくなっちゃうからさ……」

 

 

 もはや俺のセクハラ発言は、呼吸と同程度の自然なものとなっている。だから敢えてその発言に深く言及されても、反撃のツッコミなどいちいち用意していない。特に千歌みたいな無邪気っ子は、さっきみたいに斜め上の返答をしてくるため何故かこちらが惨めな思いをしてしまうことも多い。素直に顔を真っ赤にして恥じらっていればいいものの、俺と一緒にいた期間が長かったせいか無駄な耐性が付いてやがる。

 

 

「そういえば、あの時も後部座席でまさにこの位置じゃなかったですか? 私が先生に痴漢されたのって」

「確かに言われてみれば。しかもこの場所って……」

 

 

 俺と千歌が座っている席の位置は、痴漢現場となったバスの席の位置と全く一緒だった。そもそもこのバス自体が痴漢現場となったバスと全く同じ種類のバスであり、座席の配置などの内装が一緒だということにここで初めて気がついた。

 しかも、今日の千歌の服を改めて見て分かったことがある。夏だから薄着は薄着なのだが、半袖の丈といいスカートの短さといい、どこか制服姿の彼女を連想させた。この席配置を想像し制服姿の彼女を想像内の車内に当てはめてみると、まさにあの頃のシチュエーションがほとんど再現される形となる。これは偶然なのか、はたまた千歌が狙ってこのシチュエーションを作ったのか。もしかしたらピクニックというのはブラフであり、本番はこのバスなんじゃないかと悟ってしまうくらいだ。

 唯一当時の状況が再現できていないこととすれば、それは乗客が俺たち以外に誰もいないことだ。だが今回ばかりは逆に2人きりだけの車内なので、より甘いムードが漂っていた。

 

 ふと千歌に目を向けてみると、その視線に気付いた彼女が優しい笑顔でこちらに微笑み返してきた。この笑顔にどんな意味が込められているのか、幾多の女の子を手玉に取ってきた俺でも理解できない。元々俺に脅しという形で顧問を押し付けてきた計算高い彼女のことだ、もしかしたらこの状況再現も仕組まれたものなのかもしれない。俺の興味を引きたいならもちろんそんな手を混んだことをするよりかは持ち前の積極さで攻めてきた方が楽なはずなので、偶然に偶然が重なった結果の状況という可能性もある。どちらにせよ、当時の再現が行われていると分かった時点で俺たちの間の空気が変わったのは間違いなかった。

 

 

「…………私、先生といっぱい思い出を作りたいんです。この2週間の出来事は、今までの人生よりも遥かに濃密で楽しかった。だけど……まだ足りない」

「だから今からお前のオススメスポットに行くんだろ?」

「それもあります。ですけど……あのまま中途半端で終わらせちゃうのは、私も先生も心残りじゃないですか……?」

「中途半端って、もしかして……」

「はい……。やりませんか? あの時の続き……」

 

 

 千歌が俺の気を引くために自分の身体を差し出すことは以前にも何回かあったが、どれも話の流れを逸脱した無茶な提案ばかりだった。だが今回ばかりは彼女の気概が違う。この2週間で己の決意をしっかりと固め俺の隣にいる。更に自身の積極さを過信せず、闇雲に攻めるだけではない多少の謙虚さも持ち合わせていた。もうこの時点でも今の彼女が以前の彼女とは全く違うことが伺えるが、こんなものは序の口だろう。

 

 痴漢の続きをしようとしているにも関わらず、千歌の目には燃える意思が宿っている。今まで俺に断り続けられてきた悔しさや寂しさからか、今度こそは想いの人を逃がすまいとする力強い目線をしていた。

 

 彼女は本気なのだ。俺に振り向いてもらいたい焦りから、自分の身体を売るようなアプローチしてきた頃とは全くの別人。今は本心から俺とエッチなことをしたいと思っているのだろう。その証拠に、いつの間にか彼女と俺の身体が隙間なく密着していた。スカートからしなやかに伸びる太ももやふくらはぎが俺の脚に押し付けられる。だが彼女にとってはこの行為もまだまだ序の口に違いない。それに本番は俺から触ってきて欲しいはずだ。俺の身体にもたれ掛かるだけ掛かっておいて、それ以上の行動をしないということはつまりそういうことなのだろう。

 

 もはやいつものことだが、俺の中では教師と生徒の関係だからとか、大人と高校生だからとか、そのような葛藤は一切なかった。ただただ俺に本気でアプローチしてきてくれる女の子に惚れかかっており、また1人の痴漢のプロとしての意気込みがふつふつと湧き上がってきている。しかも今回は見ず知らずの女の子を襲うんじゃない、スクールアイドルとして輝く自分にとっても大切な子を襲うんだ。そうなるともはや痴漢ではなくただのイチャラブなのではと反論があるかもしれないが、だったらだったで純粋なエッチも痴漢も両方同時に体験してやろう。

 

 

「本当にいいのか……? あまり男を誘惑すると、後で痛い目を見るかもしれないぞ……」

「その点、先生だったら安心ですよね? 先生ってとっても優しいですから、私を傷付けることなんて絶対にしないはずです」

 

 

 コイツ、俺の性格をよく理解してやがる。確かにいくら女の子が臨戦態勢であろうとも、俺は自身の性格上彼女たちの嫌気に触れるような真似はできない。女の子が抵抗しているところを襲ったことがあるだろと言われるかもしれないが、その場合は女の子側が心の中では期待してることを俺が察しているので大丈夫だ。つまり何が言いたいのかと言うと、やっぱり千歌は計算高かったということだ。俺を痴漢の罪で顧問に抜擢したり、座薬を入れさせようとしておしりをチラつかせたりと、元々そういう奴だからな……。

 

 しかし女の子の準備もOK、シチュエーションも完璧、自分の興奮具合もバッチリと来たらやる気にならない方がおかしいだろう。俺自身責任感はあると言っても、こうやって本気で誘惑されたら我慢できなくなっちゃうから自分でも意思が弱いと思う。でもこの俺が今まで彼女たちに手を出さなかっただけでも褒めて欲しい。まあ座薬の件や秋葉の件についてだけは目を瞑ってもらうことになるが……。

 

 御託はさて置き、俺は意識を再び千歌に集中させる。もはや俺から近づくまでもないくらい彼女と密着しているので、あとはこちらが手を伸ばすだけで全てが始まる。いつもなら自分から2つの膨らみを俺の腕に押し付けてくる彼女だが、今回ばかりは完全に受けに回っていた。

 

 俺は堪らず腕を伸ばし、壁ドンならぬ座席ドン(?)で千歌の動きを封じる。バスの中で逃げ道などはなく、そもそもどこであろうが彼女は逃げるつもりは毛頭ないだろうが、こうして自分の腕に女の子を閉じ込めることで相手を好きにできると思う興奮が(はや)ってくる。突き出されて尚更大きく感じるその胸も、座席に押し付けられて歪んでいるだろうそのお尻も、全て俺のモノなんだ。

 

 もはや千歌に夢中になっている俺は、まず彼女の肩に触れる。すると、千歌はそれだけぴくりと反応を返した。いつもは無邪気で天真爛漫な彼女だが、今は借りてきた猫のようにおとなしくなっていた。だがそんな澄ました態度を取ったとしても、滾る欲求に満ち溢れた俺に手加減という文字はない。

 

 そして俺は、とうとう彼女の双峰に手を伸ばす。

 

 

「あっ……」

 

 

 もちろんだが、制止や抵抗などは一切ない。ただ自分の乳房に伸びる手を凝視していた。

 千歌の身体には何度か触れたことはあるが、自分から意思を持って触ろうと思ったのはこれが初めてだったりする。もう何度もこの胸を身体に押し付けられてきたが、自分で触ってみるとそのボリュームが読んで字のごとく手に取るように分かる。16歳のスクールアイドルの胸は指を押し返そうとする張りと、同時にそれを受け入れる柔らかさで満ちていた。

 

 

「んっ、ふぁ……あっ」

 

 

 千歌は熱い吐息を漏らし、艶やかな唇を卑しく濡らす。すると段々洋服の向こう側で、胸の先端がはっきりとした形で主張し始めた。俺は揺蕩う彼女の瞳を見つめながら、手のひらでその先端を転がし始める。

 

 

「ひゃっ……んっ」

「初めてだろ? こんな感覚」

「はい……。先生にしてもらっていると思うと……あっ」

 

 

 結局その先は何も言わなかったが、言ってしまうと更なる羞恥心でこれまでよりも一層感じやすくなってしまうので敢えて黙っていたのだろう。ただでさえ今の状況だけでも顔が蕩け始めているのに、これ以上の刺激が加わると吐息混じりの声だけでは済まなくなる。そう、乗客がいないとは言っても運転手がいるのだ。流石に吐息混じりの声は運転席まで届かないだろうが、そこに嬌声が加わると……もうお察しだろう。

 

 そもそもの話、乗客が誰もおらず、女の子側から誘惑してくるこの状況は痴漢していると言えるのだろうか。千歌はあの時の続きと言ったが、これはもはや自室に篭って2人で交わり合っている状況とあまり変わらない気がしてきた。しかし彼女との一番の思い出の場所がバスの車内なので、馳せる思いに浸りながら痴漢をすると背徳感を得るのは確かだ。そう考えると、スクールアイドルとして幾多の人間を魅了した千歌の声が、卑しい声としてこの閉鎖空間に響いているのは非常に嗜虐心を唆られる。

 

 堪らなくなった俺は、千歌の耳元に顔を寄せた。

 

 

「見せてくれ。まだ誰にも見せたことがない、お前の大切なところを……」

 

 

 僅かな間があったが、千歌は顔を真っ赤にして頷いた。

 彼女は服をゆっくりとたくし上げると、胸を包む下着に手をかけ、それをまた時間を掛けて降ろしていく。下着が胸から離れていくたびに、小柄な高校二年生にしては育ちすぎている双丘が顕になってきた。

 やがて、白い乳房の中に桜色の先端が現れ、とうとう千歌の双丘の全貌が明らかとなった。少女のそんな淫靡な姿に、俺は耐え切れなくなって手を伸ばす。

 

 

「舞台の衣装姿を見た時から思ってたけど、いい身体してるよお前。これなら男性ファンもたくさん付くだろうな」

「そんなこと……!! 先生だけ……先生だけのモノです――――ひゃっ!?」

 

 

 突然俺が胸を触ったものだから、千歌の口から車内に響くほどの嬌声が放たれた。でも仕方ないだろう、嗜虐心に満ちている時に女の子が自ら『私はあなたのモノ』宣言をしてきたんだから。俺は女の子のそういった忠誠心と奴隷精神が大好物なんだ。もちろん普段はそこまでサディストに女の子と接することはないが、女の子が自ら俺のモノになってくれるんだったら、こちらもそれ相応の態度でご主人様面をしてやろうと思っている。

 

 俺は微妙な位置までたくし上げられていた千歌の服を、少々強引に引き上げた。

 すると双乳が完全に解き放たれぷるんと揺れる。自然豊かな街で育った少女の健康的で艶やかな胸。自然の恵みを受けたかのような綺麗さ、誰にも触られたことのない純潔さ、それを今からこの手で穢すことができると思うと高揚感が収まらない。全国のファンたちが夢想することしかできないAqoursのリーダー、高海千歌の乳房がそこにはあった。

 

 薄い桜色に染まり、己の興奮を具現化する張り出した乳首。そして身体が揺れるたびにぷるぷると震える胸は、俺に弄られるのを誘いながら待っているかのようだ。いつも幼い子供のように元気いっぱいの千歌が羞恥に顔を染め、胸を曝け出している。手を出さずとも、この状況を見るだけで性欲が滾上がってきた。

 

 手に吸い付く少女のおっぱいは、身体の熱さを示すかのように暖かい。俺は手にやや力を入れて、両胸を寄せてみたり上下させてみたり、波立たせたりして16歳JKの胸で遊んでみた。

 

 

「はぁ……あっ、んっ……」

 

 

 千歌は手で口元を覆って漏れ出す声を少しでも抑えようとしているが、その姿がまた俺の野心をくすぐってくる。本来その口からは全国のファンを魅了する綺麗な歌声が流れてくるはずなのに、今は目の前の男を悦ばせるだけの淫声に成り下がっていた。現在人気急上昇中のAqoursにはもう既に何百人何千人、もしかしたら何万人ものファンがいるかもしれない。そんな大勢のファンのために歌う彼女は今、俺の前で乳房を晒して淫靡な声を上げる人形と化していた。

 

 

「せんせぇ……」

 

 

 思わず脳が溶けてしまいそうなくらいの甘い声。ただでさえ普段でも幼い声なのに、呂律まで回らなくなったらもはや何を言っているのか分からなくなりそうだ。だけど俺には察しが付く、彼女はまだ求めていると。既に口を抑えなければならないほど喘ぎ声を我慢できなくなっているみたいだが、そんなことはお構いなしにただ快楽を求めたいのだろう。

 

 だとしたら、それに応えてやるのが男ってものだ。

 俺は千歌の胸から手を離すと、すぐさまその先端を指で摘み弾いた。

 

 

「ひゃぁあああああっ!?!?」

 

 

 こんな下品な千歌の声、恐らく誰も聞いたことがないだろう。彼女もここまで強い刺激を浴びせられるとは思っていなかったのか、身体が弓型になって腰を震わせていた。口を抑えている手の指の間から、はぁはぁと卑しい吐息が漏れ出す。気を張っていたさっきとは違って今はぐったりしている様子から、もしかして千歌の奴……。

 

 

「イっちゃったか」

「そ、そんなことは……」

 

 

 何故か強がる千歌だが、顔を火照らせ蕩けた目をしながら反論しようとしても全く説得力がない。あまりの快感と羞恥心に身も心も奪われていることが丸分かりだ。

 いつも以上にサディスティックになっている俺は、悪戯に彼女の目と鼻の先に顔を近付けて問いかけた。

 

 

「イっちゃったか」

「………それは……………」

「言え」

「…………はい、先生の手で……イっちゃいました……」

 

 

 千歌は恍惚な表情をしながら答える。もはやスクールアイドルの仮面を捨て去った彼女は、身体に残る快楽の余韻に酔い痴れているようだ。こうして自分の手で女の子を堕とすと、とてつもない征服感で心が満たされ、これ以上ない愉悦を感じることができた。

 

 今までAqoursと過ごしてきた日々も当然大切な思い出だが、それと同等程度に今日のことは一生忘れることはないだろう。ここまで堂々とした痴漢は痴漢じゃないかもしれないが、公共交通機関での痴漢プレイはもうこれっきりだろうから最後に気持ちいい体験が出来てよかったよ。流石に大人になってまで車内で痴漢をしようとは思わないから、今日と千歌と出会ったあの日だけが特別だ。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 虚ろな目をして熱い吐息を漏らす千歌を見て、これ以上の追い討ちは彼女の身体の負担になると思ったのでやめておく。俺のせいで練習が出来なくなっても困るし、それ以前にここで腰を抜かして動けなくなったらピクニックという当初の目的が破綻してしまう。そう思っても淫猥な魅力を放つ彼女に欲情しそうになるのだが、ここで第二ラウンドをしたところで疲弊した彼女からは無理をした反応しか得られないだろう。それに快楽の余韻に浸る彼女を眺めているだけでも、こちらとしては大変眼福だ。

 

 俺たちの間に静寂が流れる。聞こえるのは千歌の小さな吐息とバスの走る音だけ。

 しばらくして、ようやく落ち着いたらしい千歌が俺の肩に頭を預けてくる。ちなみに、いつの間にかはだけていた下着も服も元に戻っていた。

 

 

「ありがとうございます。私のワガママに付き合っていただいて……」

「お前が本気でぶつかってきたんだ。それに全力で応えるのが男だろ」

「えへへ……好きです。そういった先生のカッコいいところも、教師として私たちに勉強を教えてくれるところも、ちょっぴり……いやかなり変態さんなところも、み~んな好きです。私バカなので、こんなありきたりな告白しかできませんけど……」

「十分だよ。俺の心で受け止められないくらい、お前の想いが伝わってきたから」

 

 

 確かに言葉はありきたりだが、それ以上に行動で自分の気持ちを示してくれたので、むしろ長々と言葉で語られるよりもよっぽど今の彼女の気持ちを知ることができた。()がっている姿で女の子の想いを汲み取るなんて相当変態的な手法だが、俺にとっては彼女たちの心を知ることができる有効的な方法なのだ。それに多分そんな俺の性格を千歌は分かっていたからこそ、こうして思い出の場所で自らの身体を差し出したんだと思う。

 

 

「お前の本気を見たら、むしろ付き合ってやらなきゃ男が廃るだろ。それに俺も久々に楽しませてもらったから、お礼を言うのはこっちもだよ」

「ノリノリでしたもんね、先生」

「好きだから仕方ないだろ。さっきのシチュエーションも、お前のことも」

「す、好きっ!? せ、先生が私のことを!?!?」

「今更そんなことで驚くのかよ……」

「だって私のことなんてAqoursのメンバーの1人にしか思われていないと思って……。それでも私は先生が好きなので、せめてお邪魔じゃないように先生の隣にいることができたらなぁ~っと」

 

 

 積極的に見えて、案外繊細なことも考えていたみたいだ。だがこの俺がモブキャラ扱いしている女の子に対して痴漢プレイなんてするはずがない。つまり、俺に変態プレイを仕掛けられている時点で認められた子なんだよ。本気でこの子の乱れた姿を見てみたいと思うということは、それだけお前が魅力的で俺の心を鷲掴みにしているということだ。

 

 

「私の気持ちは全部先生に伝えました。あとは先生からドキドキして身体が熱くなるような告白をもらうだけです」

「お前なぁ、そんなにハードル上げるなよ……」

「あはは……でも返事は今すぐじゃなくてもいいですよ」

「えっ、いいのか?」

「はい。先生は恋愛のことになるとすっごく悩んで考えて、納得のいく決断をした時じゃないと女の子に想いを伝えないって知ってますから」

「まあそうだけど、よく知ってたな俺の性格……。でも俺を待たせるとなると、もしかしたら返事は1日や2日待つだけでは済まないかもしれないぞ?」

「そこは先生、ファイトだよっ!――――です♪」

 

 

 どこかで聞いたセリフだと思ったら、なるほど俺の性格を千歌に入れ知恵してたのはアイツだったのか……。今日のコイツはやたら俺の性格や性欲を的確に突いてくると思っていたのだが、好きな人の情報は事前に隅から隅まで収集していたらしい。先輩に俺の情報を求めたってことは、それだけ俺という人間に入れ込んでいる証拠だ。そう思うと、彼女が俺にどれだけ一途な気持ちを持ってくれているのかが分かる。なんかもう嬉しすぎてこの場で告白しちゃいそう……。

 

 

 俺たちの席は隣同士、そして心も隣同士。そんな2人を乗せたバスは、俺の最後の思い出作りの地へと走っていく。

 教育実習の日数は残り僅か。もちろん悩んだり考える時間も残り少ない。

 だが、俺にはもう時間なんて必要なかった。

 

 

 俺の想いは、もう決まっているから――――――

 




 ちなみに私はバスの運転手さんに同情しています(笑) あんな大きな声で喘いでいたら、いくら運転席と後部座席が離れていようとも聞こえちゃいそうな気もしますが……。恐らく若い男女が青春をしていると思って、素直に聞き流していたことでしょう(笑)

 そしてこの話にてAqoursの個人回が全て終了した訳ですが、μ'sと比べてどうだったでしょうか? μ'sとは違ってヤンデレの修羅場を乗り切ったとか、そのような特別なことはありませんでした。しかし、そんな困難がなくても零君の女性捌きや恋するAqoursの可愛さや魅力が十分に伝わったと思います。元々この小説はキャラの可愛さを見せるのがウリなので、読者の皆さんに千歌たちが少しでも可愛いと思ってくださると本望です!


 次回はいよいよ最終回となります!
 零君とAqours、遂にお別れの時――――


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