ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は執筆するすると言ってきたサンシャイン編の第二弾です!
 メインは先日の放送でも主役を務めた花丸とルビィの2人。そしてこの小説の舞台で電車と聞いて、嫌な予感しかしないのはお察し……


【特別編】るびまるとの満員電車物語

 

 電車の中ってのは、女性絡みの様々なハプニングが起こることで有名だ。座っている女性のスカートの中が見えたり、背丈の差で胸の谷間を覗いたり、満員電車になれば合法的に身体にも触れられる。特に都会であればそういった機会に巡り会える可能性も高い。日常に溶け込んだ可愛い私服の女の子、ちょっとファッションやオシャレに背伸びをし始める中高生、パンチラしそうでも無防備な体勢となる幼女、スーツで大人びた魅力を醸し出す大学生や社会人――――ただ視姦するだけなら、見てるだけで飽きることはない。

 

 ちなみに、俺はμ'sといったこの世で一番可愛い彼女たちがいる。もちろん12人全員愛して止まない存在なのだが、だからと言って別の女の子に目移りしないとは言い難い。だって俺、男だもん。男だったら可愛い女の子、綺麗な女性に目が惹きつけられるのは仕方ないだろ。しかもその人の胸が大きい、パンツが見えそうなどのエロい事項があれば、男なら本能的に見続けてしまうものだ。

 

 だからさ、俺が今やっている行為に関しても許してくれよ、な?

 

 

「やっぱ都会は電車も人多いね」

「うん。電車に乗るだけで緊張しちゃうよ……」

 

 

 俺はドア付近でもたれ掛かりながら、1つ前の駅で乗車してきた女の子2人組を観察していた。観察って言い方は犯罪者みたいで語弊があるな、たまたま目に入ったと言っておこう。

 

 1人は茶髪で全体的に丸っこい。でも胸の大きさだけは格別で、小柄だけど巨乳の花陽みたいな体型だ。もう1人はルビー色の髪をツインテールにした子。傍から見てもかなりオドオドしていて、話を盗み聞きした限りでは電車の人の多さにビビっているらしい。

 

 2人共揃ってちびっこいが、彼女たちを初めて目にした途端、俺の美少女センサーがビンビン反応した。こんなに俺の心を惹きつけるなんて、今までμ'sとA-RISE、そして以前出会った千歌と梨子ぐらいしかいねぇぞ――――って、結構いるな……。

 

 

 そんなこんなで俺はその場で立ち止まって彼女たちの様子をまじまじと眺めていると、電車が次の駅に到着した。俺と反対側のドア付近にいたその2人組は、駅からなだれ込んでくる乗客の波に巻き込まれぬよう辺りをキョロキョロ見渡しながら空いているスペースを探す。しかし元からそこそこ乗客がいたためか、座席も座席前の釣り革も完全に占領されていて、空いているスペースと言えば俺の傍くらいしか――――え!?俺の!?

 

 自分で言ったことに自分で驚きながらも、その間に茶髪とルビー髪の子が何の躊躇いもなく俺の元へと近寄ってきた。この俺が君たちのことを「微笑ましい目線:下衆な気持ち=3:7」の割合くらいで見てたっていうのに、そっちからのこのこと寄ってくるとは愚かな奴らめ。俺の華麗で卑しい手付きで、お前らの身体を快楽のどん底に――――

 

 と、そう思っていたのだが、人が多い割に満員電車と言う訳でもないため、これじゃあ合法的に女の子の身体を楽しめねぇじゃん!!満員電車なら身体を触れ合うのは仕方がないので触ることはできる。だが今は普通に1、2歩程度は余裕で立っているポジションを直すスペースはあるので、こんな状況で手を出したら速攻でお縄だ。

 

 いくら痴漢と言っても捕まってしまう痴漢は雑魚、究極の痴漢プレイを目指すなら、誰にも気づかれぬよう、そして相手の女の子すらも許してしまうような快楽を与えてこそのモノホンの痴漢なのだ。

 

 

 しかし改めて2人を見ると、まだ何もしていないのに余裕がない表情をしていた。

 

 

「うぅ、どこかに掴まってないと身体が……まる、バランス感覚ないから」

「大丈夫花丸ちゃん?ルビィの肩に掴まる?」

「ありがとう。でもそれだとルビィちゃんも危ないかも……」

「あはは、ルビィもあまり電車には慣れてないから。でも座れもしなければもたれ掛かかれるところもないし……」

 

 

 花丸と呼ばれた子とルビィと呼ばれた子は、どうやら電車の揺れが苦手らしく、さっきから車両が振動するたびに何度も足を着き直している。若干1人あたりのスペースに余裕があると言ってもそれは1歩程度、これ以上の大きな揺れが来たら他の乗客の身体に倒れ込んでしまうぞ。

 

 そして周りを見てみれば、その子たちの周りは野郎しかいない。こんな可憐な子たちを、どこの馬の骨とも分からない野郎に触れさせてたまるかってんだ。それにだ、一番初めにこの子たちに目をつけたのは俺なんだよ。だからこの子たちは俺のモノ。何事も早い者勝ちと言うしな。

 

 

「おい」

「「ひゃぁっ!?」」

「ちょっ!?そんな大きな声出さなくてもいいだろ!!」

 

 

 一声掛けただけなのにこの驚かれようかよ……。俺ってそんなに悪人面してるのか?そういやさっきのこの2人の会話を聞いてると、たかが電車なのに妙におどおどしてたな。

 

 とにかく、周りの乗客が横目で不審がって俺たちを見ているし、早く俺が無害だってことを証明しないと通報されてしまいそうだ。このご時世、小中学生の女の子に挨拶をしただけで通報される極悪な世の中だからなぁ。ナンパも最近じゃ流行らねぇし、どこからどう見ても俺が不審者と思われてもおかしくないぞこれ。まあちょっとは邪な気持ちがないかと聞かれると、それはNOなんだが……。

 

 

「何も掴まらずに立ってるのがツライんだろ?だったらこっちに来い。ここなら壁に寄り掛かることができるから」

「あ、ありがとうございます!それではお言葉に甘えて」

「この先結構揺れるところあるから、手すりもしっかり握っておいた方がいいぞ。それと……君はいいのか?」

「ふぇっ!?は、はい、私は……」

「そ、そうか……」

 

 

 ルビー髪の子は小柄な身体を更に縮こませて、何故かずっと萎縮している。

 そこまで怖がられると俺が悪いみたいになってるけど、別に変なことはしてないよな!?そりゃあ気持ちにはちょっと黒があったけど、傍から見たらいいことしかしてない善人なんだし、何も俺が引く必要はない。むしろ誇ってやろう。

 

 

「悪気はないんです!ルビィちゃんはかなり人見知りなので……」

「なるほど。別に座席の角に追い込んで、取って食おうとする訳じゃないから安心しろ。俺は人畜無害だから」

「取って食べる!?」

「そこだけフィーチャーすんな!それこそ痴漢に見えるからやめてくれ!」

「あぅぅ、す、すみません……」

 

 

 こりゃあ出会って初期の花陽以上に扱いが難しいかもな。ここで「シュンと落ち込んだ表情も可愛いよ」とか言ったら、更に火に油を注ぐだけか。彼女はたくさんいても女性経験の短さが短さだから、こんな時になんて声を掛けていいのやら。もしかしたら俺は、とんでもない難攻不落の少女に目をつけてしまったのかもしれない。

 

 とりあえず、場の空気とルビィと呼ばれた子の気を落ち着かせるためにも、ここは手堅く当たり障りのない会話から切り込もう。それこそ俺が今までの拙い女性経験から学んだ技の1つだ。

 

 

「お前ら、東京には旅行で来たのか?」

「は、花丸ちゃんこれって……」

「うん、聞いたことがあるよ。都会に行ったらイケメンのお兄さんだけには気をつけろって。声を掛けられたら、間違いなくナンパだから……」

「えぇ!?る、ルビィたちがナンパに!?」

「おい!だから勝手に変なレッテル張るなよ!お前らが何も掴まらずに突っ立ってるのを見かねて、その場所を譲ったってのによぉ」

「ご、ゴメンなさい!男性とお話するのは慣れてなくて……」

「ルビィもです。でもお兄さんは優しそうな人なので少し安心しました」

「そ、そっか」

 

 

 驚いた、意外とあっさり信用してくれるんだな。まあ実際に俺が()()()()()()()だからよかったものの、チャラい優男に声を掛けられてもホイホイ信じ込みそうだもんなぁこのツインテガールは。警戒心は強いけど、ちょっとでも心に入り込むことに成功すれば案外チョロそう――――なぁーんて、失礼すぎるな俺。

 

 

「さっきの質問にお答えしますと、その通り旅行でこっちに来ました」

「やっぱりな。会話を聞いてたらまるで田舎者みたいに挙動不審だったからさ」

「あはは……東京に比べたら、まるたちが住んでいるところなんて田舎みたいなものですよ」

「まる?あぁ、自分の名前か」

「はい、国木田花丸と言います。そして……ほら、ルビィちゃんも」

「う、うん。黒澤ルビィです。よろしくお願いします」

「花丸にルビィか、珍しい名前だな。俺は神崎零、何かのご縁ってことで覚えておいてくれ」

 

 

 花丸とはえらく和風というか、昔ながらの名前してんな。少なくとも現代ではあまり見ない。そしてルビー髪の女の子の名前が、そのままルビィだったことに内心驚きを隠せない。2人共名前のインパクトが強すぎて、一生忘れられそうにないなこれ。

 

 

「それにしても女子中学生が2人で旅行だなんて、俺が親だったら心配で送り出せねぇわ」

「中学生……?おらたちは高校生ずら!!」

「えっ、マジで!?お前ら背丈低いからてっきり中学生かと――――って、おら?ずら?」

「あっ、いや、噛んだだけです!!」

「でもさっき――」

「噛んだだけですから!!」

「はい……」

 

 

 さっきまで俺に怯えてるかってくらい大人しかったのに、急に迫ってくるくらいの威勢になりやがった。でも確かにさっき自分のことを"おら"って言ってたし、語尾が"ずら"になってたんだよなぁ。もちろん馬鹿にするつもりは一切ないのであしからず。

 

 

「まあそれはいいとして、どうして東京へ?」

「それはもちろん、あの秋葉原へ行くためですよ!!」

「おぉう、今度はお前かよ……。秋葉原っていうと、アニオタちゃん?」

「もちろんそれも楽しみですが、ルビィたちの一番の目的はスクールアイドルショップと聖地巡礼です!!あそこには今なお活躍する生きる伝説、μ'sやA-RISEなどの有名スクールアイドルの活動拠点でもありますから!!そこに行ってたくさん写真を撮って、いっぱいグッズを買って―――う~ん!今から想像するだけでも楽しみです!!」

「そ、そうか……旅の目的がよ~く分かったよ」

 

 

 コイツも花陽やにこと同じく熱狂的なスクールアイドルのファンらしい。目を太陽以上に眩しく輝かせながら、花丸と同じく俺にグイッと迫ってくる。コイツら恥ずかしがり屋なんじゃなかったのかよ。その点はずっと頭に花陽がチラついてならない。

 

 そして思い出したのだが、確か以前にも同じような展開があったような気がする。そうだ、あの時も静岡から来たって言っていた女の子2人組、千歌と梨子に出会ったんだった。そしてその中の1人が全く同じことを叫んでいたな。秋葉原は全国のスクールアイドル憧れの聖地でもあるから、こうしてファンが来ることも珍しくない。もちろん千歌たちのように他所からスクールアイドルが来ることもある。

 

 

「最近増えたんだよな、スクールアイドルのファンでここへ来る人が」

「確かにルビィはμ'sやA-RISEのファンですけど、それ以前にスクールアイドルとして伝説の聖地は回っておきたいなぁと思いまして」

「えっ、じゃあルビィはスクールアイドルなのか?」

「はい。それにルビィだけじゃなくて花丸ちゃんもそうですよ」

「ま、マジで??」

「不束者ながら、まるもスクールアイドルとして頑張ってます」

「へぇ、またスクールアイドルに出会っちまったよ。世の中は狭いのか、それともスクールアイドルの数が多いのか……」

 

 

 どうやら俺はスクールアイドルの女の子たちとよほど縁があるらしい。毎回毎回、秋葉原に出向くたびにスクールアイドルの子たちと会っている気がする。それにこれだけ女の子と出会っていたら、μ'sのみんなが嫉妬しそうで怖い。逆にわざと嫉妬させてアイツらの反応を見るのも面白いが、そんなことをしたらヤンデレ気質のあることりや楓から本気で刺されそうだからやめよう。

 

 

「あのぉ~、身体が震えてるようですけど大丈夫ですか?」

「あ、あぁ平気。それよりなんて名前なんだ、お前らのグループ名は?」

「Aqoursです。ルビィたち、あまり有名ではないですけど……」

「Aqours?その名前もどこかで――――――あ、思い出した!それじゃあ千歌や梨子と同じグループなのか!?」

「えっ、千歌さんたちを知ってるんですか?」

「知ってるよ。まあアイツらが一度ここへ来た時に、たまたま顔を合わせただけだけどさ」

「じゃ、じゃあ千歌さんが言っていた『秋葉原に行った時に、イケメンで優しいけど変態な人に会ったよ』と言っていた人はまさか――――」

「神崎さんのことずら!?」

「あのオレンジ頭、なんてこと口走ってんだ……」

 

 

 "イケメン"と"優しい"で上げるだけ上げておいて、最後は"変態"で急降下させるとか、流石あの時の悪賢さが際立ってるな。グループのメンバーにまだ見ぬ俺の悪評を広めるのだけはやめてもらいたい。ま、"変態"なのは間違ってはねぇけど。

 

 

「まるたちがここへ来たのは、スクールアイドルとして人に慣れるための特訓でもあるんです」

「特訓?」

「はい。ルビィも花丸ちゃんも小心者で、ライブ前も大勢のお客さんを見ると決まって緊張しちゃって。だから秋葉原に来れば人がたくさんいるので、そこでAqoursの宣伝をしつつ緊張も解して来いって千歌さんが……」

「で?これまでの成果は?」

「ぜ、全然……」

「やっぱりか。こんなこと言っちゃアレだけど、積極的にビラ配りするお前らを想像できねぇもん」

「「ですよね~……」」

 

 

 自分たちが変に他人の目線に敏感だと自覚しているからこそ、余計に目立ちにくいってのもあるのだろう。でも名が通っていないスクールアイドルだからこそ、ライブの宣伝は頑張らないといけない。俺はそれほどスクールアイドルに詳しくはないが、どうやら現時点で5000以上のグループがいるらしいし、とにかく名前を知ってもらうことから始めないと大量の中に埋もれてしまう。そんな状況で羞恥心MAXのこの2人に宣伝を任せるとか、千歌の奴も相当鬼だな。

 

 

 しょうがねぇ、ここは俺が一肌脱いでやるか!

 

 

「それじゃあ特訓だ。湧き上がってくる羞恥心を押さえ付ける、効果的な特訓をお前らに施してやる」

「えっ、それって――」

「声を上げるなよ。特訓だからな」

「「ふぇっ!?」」

 

 

 俺は2人の正面から、左手を花丸の右肩、右手をルビィの左肩に置くと、そのまま2人をまとめて座席の角へと追い込んだ。もちろん花丸もルビィも、突然訳の分からない行動をされて目を丸くして驚いている。恐らく彼女たちの性格上男性と接したことがあまりないのだろう、俺に半ば抱きつかれる形となって、2人の顔がみるみる内に真っ赤になっていく。

 

 電車内の空気がそこそこ籠っているからか、少女たちからはむわぁっとした暖かい熱気と鼻をくすぐる女の子特有の甘い匂いが伝わってきた。そして2人共小柄なように見えるが流石スクールアイドルと言うべきか、案外肩幅もしっかりとしている。俺が肩から徐々に二の腕に手を下ろして撫で回すと、2人は目を瞑ってその愛撫に耐えていた。

 

 

「ん……んっ」

「ふぁ……あっ」

 

 

 二の腕を触っているだけなのに、なんでエロい声を上げてんだコイツら。でもオナニーの"オ"の字も知らないような可憐な少女たちだから、出会った男に突然こんなことをされたら声を漏らしてしまうのも仕方ないのかもしれない。

 

 そんな彼女たちの表情が可愛くてもっと眺めていたくなる。だから俺は二の腕から脇、そして脇腹に手をねっとりと肌に沿わせた。もちろん胸横に手を当てれば、その子の胸に手が僅かに当たるわけで……。ルビィはそこそこの大きさでレギュラーサイズなのだが、花丸は予想通りこの体型にしてかなりのボリュームがあった。親指が触れただけだけど、2人の身体から感じる"ふにょん"として柔らかい感覚。おっぱいマイスターの俺が言うんだ間違いない。

 

 普通ならこんな暴挙に出るなんてありえない。だが花丸とルビィが羞恥心に弱いという点を逆手に取れば、痴漢プレイをすることなぞ容易いのだ。今までμ'sのメンバーと痴漢プレイをしたことはあったが、やっぱり痴漢は見知らぬ女の子を襲う方が背徳感が半端ない。2人はこれが特訓だと思い込んでいるので、そういった素直で騙されやすい純粋な子を襲うのは全身がゾクゾクとしてくる。

 

 しかし、直接おっぱいを触るような真似はしない。あくまで紳士的に、特訓の範囲を超えない程度で楽しむのが痴漢通だ。そして俺は待っていた。痴漢プレイなんて模倣じゃない、マジモノの痴漢ができる時を!!

 

 

「か、神崎さん?これ特訓なんですよね……?まる、そんなに近付かれると恥ずかしいずら……んっ」

「そう特訓だ。スクールアイドルのファンには男もいるんだから、俺で慣れておけ」

「な、なんだかドキドキして……。それに手が……ひゃっ」

「手がなんだって??」

「い、いやなんでも……これも特訓なんですよね?ルビィ頑張ります!!」

 

 

 電車の車両の隅っこで、女の子2人を抱きしめるかのような体勢で追い込む変態の図である。

 しかもこんな素直な子たちを騙して、心にひしひしと感じる罪悪感と言ったらもうそれすらも快感だ。2人の胸にはガッツリ触れないよう指で軽く触れる程度に抑えているので、2人は不審に思っても俺が善意で特訓してくれていると思って口には出せない。それこそが俺の狙いなのだ。まあ、俺に目をつけられた時点で諦めるんだな。

 

 

 しかし、ここで電車が大きく揺れた。

 座席の隅の壁にもたれ掛かっている2人は無事だが、なんの支えもなく立っていた俺の身体は突然の揺れに対応しきれず前のめりになってしまう。そしてあまりにも揺れの勢いが強かったため、俺は自分で自分の身体を制御できずにそのまま花丸とルビィ目掛けて――――

 

 

「うぐっ!!」

「ひゃっ!!」

「きゃっ!!」

 

 

 気が付くと、顔に何やら柔らかいモノが当たっていた。顔の左半分はふかふかとした布団のような、右半分はぷよぷよとしたプリンのような感覚。どちらにも言えることは、俺にとって馴染みありまくりの感触だってことだ。

 

 そう、これはどう考えても花丸とルビィの胸。俺は電車の揺れに足を取られて、並んでいる2人の胸元へと綺麗にダイブしたらしい。顔に伝わってくるふかふかとぷよぷよの暖かい感覚にただならぬ母性を感じ、しばらくこのままでいようとも思ったが、2人が身体を震わせていることに気付き即座に胸から顔を話した。

 

 

「「きっ……」」

 

 

 マズイ!このままじゃ数秒後には叫ばれ、周りから冷たい視線の集中砲火に遭うのは確実だ!何か対策を考えねぇと!!

 

 

 するとここで天からの声が聞こえた。電車のアナウンスによると、もうすぐ秋葉原の駅に着くらしい。

 ここだ。逃げるならここしかない!!電車が止まる時を見計らって、最速でこの車両から抜け出すんだ。

 

 俺は電車が止まりドアが開く時間を逆算して、まず2人に奇声を上げさせないために両手を花丸とルビィ2人の口にそれぞれ当てる。すると奇声を発しようとしていた声が、俺の手に邪魔されて小さな呻き声に変わったため、まだ周りには気付かれていないだろう(多分)。そしてその直後に2人の手首を掴むと、そのまま一目散に人混みを掻き分け電車のドアへと向かう。俺の予想通り、ドアの前に到着した頃には丁度ドアが開いている最中だった。

 

 

 勝った!!

 

 

 そう心の中でガッツポーズをしながら、俺は2人の手を引きながらダイナミックに下車をした。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「はぁはぁ、あっぶねぇ~もう少しで人生終了するところだった……」

 

 

 とりあえず乗車口から離れたところで休憩することにした。花丸もルビィも、いくらスクールアイドルとはいえ準備運動なしの全速力では流石に息は切れている。はぁはぁと息を吐くそんな姿が色っぽいなどと劣情を抱きながらも、一応フォローはしておこう。

 

 

「悪いな急に走らせて」

「どうしていきなり走らされたのかは分かりませんが、あれも特訓なんですか?」

「えっ、あぁ……そ、そうだな!これくらいで息が切れてちゃまだまだだぞ」

「神崎さんの特訓はキツイずら……」

「キツくないと特訓にならないだろ?そして、このことを誰にもはなさないようにな」

「千歌さんたちにも?」

「あぁ。お前らも電車内で奇声を上げそうになったって、知られたくないだろ?」

「で、ですね……」

 

 

 よしっ、これで口封じも完璧だ!さっき起こった、いや引き起こした痴漢は俺たち3人の中に封じ込められた。俺としては2人の可愛い表情と微量ながらも喘ぎ声も聞けたし、初めての痴漢としては満足満足!この調子でもっと戦術を極めていくとしよう。

 

 

「それじゃあここでお別れだな」

「はい。ありがとうございました、まるたちに付き合ってもらっちゃって」

「しかもルビィたちのために特訓までしてくれるなんて、感謝します!」

「そ、そうか……まあいつでも頼ってくれよ!あはは……」

 

 

 なんか私利私欲のために痴漢をしていたのに、こうして純粋にお礼を言われると普通に罪悪感が……。花陽や亜里沙並に純粋か、もしかしたらそれ以上かもしれない。とにかく不審に思われていないだけマシか。

 

 そして俺たちはここで別れ、それぞれの日常へと戻った。

 その後、俺の知らぬところでこんな会話が繰り広げられていたらしい。

 

 

「今日の特訓で少し自信が付いたよ!ね、ルビィちゃん!」

「うん!それに神崎さんに抱きしめられている時、緊張じゃない別のドキドキがあったんだけど、あれってなんだったんだろう?」

「あ、それまるも同じだ。上手く言葉にできないけど、暖かかったよね♪」

「そうそう!電話番号ももらったし、また会えるかな?」

「今度会ったらまた特訓してもらおう!」

「うんっ!」

 

 

 う、嬉しいけど……純粋すぎて心が痛む!!

 




 サンシャイン編をずっと楽しみにしてくれていた人も結構いらっしゃるみたいなので、その方はお待たせしました(笑) アニメの放送も始まりましたが、やはりキャラが可愛くイキイキとしている姿はいいですね!ストーリーの内容よりもキャラの可愛さに目が行く人間なもので!

 ちなみに今回の話の内容は、若干ですが実体験に基づいた内容だったりそうでなかったり……。まあそれもこれも花丸とルビィの乙女な表情を見られればチャラってことでどうか1つ!

 次回はありゆき回かもしれない。


 前回のにこ回の感想もまだまだ募集中!もちろん今回のサンシャインの感想も是非に!


新たに高評価をくださった

タコ村さん、kuri☆さん

ありがとうございます!
リクエストにあった秋葉ちゃんの恋愛も……そろそろかな?



Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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