ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回はタイトル通りの絵里回です!
 そして舞台は電車内ということで、電車内と言えば……そう、痴漢ですよね!(笑)


※今回は元ネタありです


零と絵里のパニックトレイン!

 11月。秋の寒さもいよいよピークに達し、厚着の女性が多くなってきて落ち込む一方で、俺は言いたいことがある。

 もうこんなこと周知の事実だし、今までも散々言ってきた。だがもう一度、執拗いかもしれないが敢えてもう一度言わせてもらう。

 

 

 俺は、人混みが嫌いだ。

 

 

 別に学院内だったら平気なんだけど、不特定多数の人が集まるショッピングモールや電車などはかなり煩わしい。こんな時に自分の隣に可愛い彼女がいてくれたら心も休まるのに、今日は生憎ぼっちで買い物だ。

 

 彼女が9人、彼女候補が3人もいるこの幸福なポジションの俺がぼっちで休日に買い物だなんて、悲しくなるね全く。

 

 

 駅のホームで電車を待ちながら、俺はぼぉ~とそんなことを考えていた。

 この駅は大型ショッピングモールの最寄駅ということもあり、休日は特に混雑する。今もホームには多くの家族連れやリア充カップルなど、老若男女問わずひしめき合っていた。

 

 本来ならこんなところに駆り出される依頼なんて断るに決まっているのだが、俺の可愛い彼女の1人である花陽から頼まれたらイヤとは言い出せない。本来は彼女が一緒に来てくれるはずだったのに、急な用事で来られなくなったとは……人混み以前に彼女とデートできなくなったことに意気消沈してしまうよ。

 

 

 軽く溜息を付いていると、ホームに電車到着のアナウンスが流れた。

 これから地獄の満員電車の旅が始まると思うと、意気消沈するどころか廃人になってしまいそうだ。でもこの駅から家まで歩いて帰ろうとは流石に思わない。ここは覚悟を決めて乗り込むしかなさそうだな。どうせ満員電車に乗るなら、周りが全員美少女だらけの電車に乗り込みたいものだ。

 

 

 電車が到着し、俺は渋々ながらも車両に乗り込む。

 乗り込んだ車両は一番後ろ。人が少ない訳ではないが、最後尾の車両は体感だけど一番乗車客が少なく思えたからだ。今の俺のように気持ちがブルーになっている時は、まずちょっとした心の安らぎを見つけることが重要なんだよ。

 

 そして最後尾の車両に乗り込んでみたのだが、意外にも乗車客は少なかった。席は空いてないものの、立っていても人辺りのスペースは十分確保できる。この後の駅でたくさん人が乗り込んでくる可能性もあるけど、今はとりあえず安心だ。

 

 

「あら、零じゃない」

「絵里!」

 

 

 名前を呼ばれたので振り向いてみると、乗車した扉の反対側の扉の角に絵里が立っていた。

 一瞬別人だと思ってしまったのは、今日の彼女の髪型がいつものポニテではなく、普通にストレートだったからだろう。彼女の学生離れした体型と相まって、大学生というよりかは社会人っぽく見える。

 

 

「零が1人で出かけてるなんて珍しいわね。楓に家から追い出されたの?」

「そんなことが起こりそうだったら、俺は命を捨ててでも抵抗するぞ」

「どれだけ家から出たくないのよ……それで、本当の理由は?」

「おもちゃの買い出しだよ。この前μ'sに幼稚園から、こっちに来て園児たちと触れ合ってやってくれって依頼があってな、それで俺、花陽、凛、にこが出向くことになったんだ」

「その依頼なら昨日にこから聞いたわ。なるほど、その時に使うおもちゃをね」

「そうそう。ガキでもできるようなゲームでもしようってことで買いに来たんだけど、生憎一緒に来るはずの花陽が急用でな」

「それであなた1人が買い出しに来ていたのね」

 

 

 絵里が"お疲れ様"と声を掛けてくれたのだが、彼女がいなかったら俺はこの後の満員電車でグロッキー状態になっていたかもしれないと考えると、俺から彼女にお礼を言いたいくらいだ。俺を地獄から救い出してくれた女神様として。

 

 

「絵里は何してたんだ?」

「私も買い物。秋葉先輩、またここのところ研究室に篭ってるのよ。だから先輩のために日用品をね」

「アイツ、自分の後輩をパシリにしてんのかよ……」

「違う違う!私が勝手にやってるのよ。先輩には入学当初からお世話になってるし、μ'sの面倒も見てくれているしね」

「それならいいんだがな」

 

 

 普段からイタズラしてばかりだから勘違いするかもしれないが、秋葉を指導者の立場として見れば、アイツほど優秀な人材はいない。現にこうして絵里が自ら身の回りの世話をするくらいだし、大学ではかなり可愛がられているのだろう。そういうところがあるせいで、憎みに憎みきれないんだよな。

 

 

「そういえばお前、髪型がいつもと違うとは思ってたけど、今日はスカートなのか」

「えぇ。制服や衣装以外で着るのは慣れないんだけど……」

「だけど?」

「そのぉ、ほら、零ってスカートの女の子好きじゃない?だから慣れておこうかなぁって思って」

「絵里……」

 

 

 そう言うと絵里は俺から目線を外し、頬を染めたまま電車の窓の外を眺めてしまった。どう考えても慣れないスカートとさっきの恥ずかしい発言のせいだろうが、本人は何とか誤魔化そうとしているようだ。全然できてねぇけど……。

 

 普段大人びている彼女にこういった仕草をされると、いつも以上に彼女を愛おしく感じてしまう。子供を抱きしめるように、優しく抱きかかえてあげたいと思ってしまうくらいに。

 

 

「と、ところで、どんなおもちゃを買ったの?」

「上手く話を逸らしたな」

「も、もうっ!」

「ハハハ!ゴメンゴメン!!おもちゃは色々買ったよ。ほら」

「こんなに入ってたの!?どれだけ買ってきてるのよ……」

 

 

 俺が持っている紙袋の中には、子供用のおもちゃがぎっしりと詰め込まれている。

 このおもちゃたちを買う時は割と苦労したんだぞ。男子高校生が1人で、子供のおもちゃをカゴ一杯に片っ端からブチ込んでいるシュールな光景だったからな……。

 

 

「あら、これは……猫の手?」

「あぁこれか。このボタンを押すと、猫の手が猫まねきをするんだよ、ほら」

「本当だ。可愛いわね!」

「あれ、もしかしてお前意外とこういったもの好きだったりするの?可愛い趣味あるんだな」

「か、可愛いってそんな……小さい頃、亜里沙と一緒にそのようなおもちゃで遊んでいた時の記憶が蘇っただけよ」

「亜里沙のせいにしなくてもいいのに~」

「れ~い~!!」

「悪い悪い!」

 

 

 絵里はツリ目でこちらを睨んでくるものの、猫まねきをしている猫の手のおもちゃにチラチラと目線が行っていることから、興味がない訳ではないようだ。女の子が可愛いものに惹かれるのなんて当然なんだし、別に隠そうとしなくてもいいのに。

 

 

 俺が猫の手のスイッチを切って紙袋に戻すと、何故か絵里の惜しそうな顔が……どれだけハマってんだよ!!可愛いところあるなオイ。

 

 

 そして気分が落ち着いた(であろう)絵里と世間話をしている内に、電車が次の駅に到着した。

 

 

「あぁ、結構人が乗ってきそうだな……」

「見るからにイヤそうな顔ね……ほら、もっとこっちに来ないと他の人が乗れないでしょ」

「おっと!」

 

 

 絵里に手首を掴まれ、俺の身体が彼女の方へと引き寄せられる。

 人が乗り込んでくるため仕方なくだが寄り添う形になってしまった俺たち。だがこんな人混みで周りの目がある状況だからこそ、彼女とこうしてくっついているのは相当恥ずかしい。それは絵里も同じのようで、自分から引っ張ってきたくせに、顔を真っ赤にさせて目が泳ぎに泳いでいる。

 

 そして次から次へとなだれ込んでくる乗車客たち。

 これだから休日の電車はイヤなんだよと愚痴を垂れ流す間もなく、あっという間に車両が満員になってしまった。俺と絵里もその人混みの波に揉まれて、お互いの距離がどんどん近くなっていく。気付いた頃には、既にお互いに正面から抱き合う形となっていた。

 

 

「え、絵里……窮屈じゃないか?」

「満員電車なんだから窮屈に決まってるでしょ」

「それもそうだな……」

 

 

 とりあえず、絵里を他の男に触らせないようにしないと。そのためには、もっと絵里を俺の方へ抱き寄せて……。

 

 

 そう思って手を動かそうとしたのだが、身動きすら取れないこの満員電車の中では満足に手を動かすことができなかった。そして俺の右の手のひらに伝わってくる、この柔らかな感触。このすべすべぷにぷにの感触は、この前μ'sのみんなと温泉へ行った時に味わったことがある。これは間違いなく――――――

 

 

 

 

 絵里の、おしりッ!!!!

 

 

 

 

 人混みでぎゅうぎゅうなせいで手をどけようと思ってもどけることができない。むしろ電車の揺れと手の揺れがシンクロして、絵里のおしりを意識せずとも勝手に撫で回してしまう。彼女も声を上げないように頑張っているみたいだが、俺としてはその我慢する顔を見ているだけで気持ちが高ぶってきてしまう。

 

 うっ、絵里の奴、すげぇ睨んでくる……でも仕方ないだろ!!この状況で下手に動けばそれこそ痴漢と勘違いされてしまう!!いやもう完全にやってることは痴漢そのものだけれども、一応恋人同士なんだし許されるよね?よね?

 

 

「ちょっと!もうそのままでもいいから!!あまり動かれると……んっ!」

「ちょっ、こんなところでそんな声出すな!興奮すんだろ!!」

「あなたが手を動かすからでしょ!!」

「電車が揺れるんだから仕方ないだろ!!」

 

 

 俺たちはお互いにしか聞こえないように小声で会話をするが、たまに絵里が気持ちよさそうな声を上げるため、俺の感情も次第にヒートアップしてしまう。周りに気付かれないように何とか声を抑えているが、正直手の揺れだけは電車のせいで抑えることができない。

 

 だから『電車に揺られて俺の手が絵里のおしりを撫でる』⇒『絵里が気持ちよさそうな声を上げる』⇒『俺の欲求が高まる』のループ現象から、一切抜け出すことができなくなってしまっていた。

 

 

「零、そろそろいい加減にしないと……」

「待ってくれ!これは不可抗力なんだって!どうせお前も次の駅で降りるんだろ?それまでの辛抱だ」

「そうだけど……ひゃっ!!」

「わ、悪い!!」

 

 

 またしても電車が揺れることによって、俺の手が絵里の桃を大きく撫で回してしまう。

 しかし今度はそれだけではなかった。何やらさっきから人差し指に布の感触がしてならない。おしりを触って布の感触がするって、もうそれってパンツじゃねぇか!?

 

 待てよ……ということは、俺は今、絵里のパンツの中に人差し指が入ってるってことなのか!?確かに俺の右手人差し指は今、柔らかい桃の感触とパンツの感触に挟まれている。これってもう少し指を伸ばせば、彼女の大切な部分を弄ることができるのでは……?

 

 

 ここでドス黒い欲望が、俺を侵食し始めた。

 いつもとは違う状況だと分かっている。いつもは自宅か誰かの家、それか学院内のいずれか。だけど今回は不特定多数の人がひしめき合って、しかもぎゅうぎゅう詰めになっているというこの状況。もし女の子の大切なところをまさぐっているなんてバレたら、例え恋人同士の営みであっても連行ものだ。

 

 だがしかし、そんな状況だからこそ興奮できる何かがある。快感を必死で我慢する絵里の表情、声、姿、ありとあらゆる彼女をこの目に焼き付けたい。

 

 

 スイッチは入った。もう誰も俺を止められない。

 

 

「零、あなた息荒くなってるわよ!?あまり耳に吹きかけられると……ふあっん!」

「しっ!静かに!」

「あなたがしたんでしょ――――って、ちょっと!どこ触ってるのよ!?」

「あまり大きな声を出すと、周りに気付かれるぞ」

「そんなこと言われても……んんっ!」

 

 

 他の乗客に気付かれないよう、必死に声を抑える絵里が可愛いのなんのって!!

 さっきから何度も言っているように、俺たちはぎゅうぎゅう詰めで車両に押し込められているので、手を動かそうと思ってももう彼女のおしりから動くことはない。手が動かないのはもちろん絵里も同じで、手で口を抑えて声を漏れないようにすることもできない。

 

 

 抵抗できない女の子を攻めるっていうのは、これほど興奮できるものだったのか。

 今までに感じたことのない欲求が、みるみる俺を支配していく。もう触るだけなんて我慢できねぇ、いっそのこと指に力を入れてしまうか……?この人差し指に軽く力を込めるだけで、彼女の柔らかなおしりなら簡単に指が沈むだろう。それにあわよくば、彼女の大切なところをクリクリっと……。

 

 

 そう思った瞬間だった、電車がカーブに差し掛かったためか、車両全体が大きく揺れ動いた。

 その反動で俺の指に強制的に力が入り、そのまま絵里を――――――

 

 

「ひゃっ!!あ、ん……」

 

 

 もはや周りに聞こえているんじゃなかこの声……絵里の頑張りの甲斐もなく、自分が乱れていくところを他の乗客に見られるしかないという……うん、とてもいいシチュエーションだ!もちろん彼女を誰にも触らせる気はないけどな。

 

 

 だけど1つ気になるのは、俺が指を意図的に動かしていない時でも、彼女はずっと快楽を我慢しているようなのだ。確かに彼女のおしりに俺の手が当たってはいる。だが俺は指に力を入れていないどころか、撫で回してすらもいない。

 

 まさか、俺以外の誰かに触られていたりしないだろうな!?満員電車のせいで絵里の下半身を見て確かめることは不可能なため、その場で軽く周りを見渡してみるが、特に変態な顔をした男の姿は見受けられない。男がいないというか、周りにはほぼ女性しかいない。一瞬女性専用車両かと勘違いしてしまったぞ。

 

 だが安心はできない。この世には女性同士、つまりレズ属性というものも存在する。例え女性であろうとも、俺の絵里に手出ししようなんて許せねぇ。誰だ……誰が俺の絵里を発情させているんだ!!

 

 

 するとここで、何やら機械音のようなものが鳴っていることに気が付いた。

 だけどこの音、どっかで聞いたことがあるような?しかもつい最近……。

 

 

「れ、零……」

「どうした絵里、誰にやられているんだ!?」

「ね、猫……んっ!」

「猫……?あっ!」

 

 

 この微かに聞こえる機械音の正体を今思い出した。さっき絵里に見せていた猫の手のおもちゃだ!電車に揺られた弾みでスイッチが入ってしまったのか。

 

 しかし猫の手のおもちゃに目を輝かせていた絵里であっても、こんな子供騙しのおもちゃの音で興奮するほど変態ではないだろう。だが彼女の表情はさっきよりも格段に艶やかになってる……おもちゃの音だけで発情できるってレベル高すぎだろ!!

 

 

 だが俺が異変に気付いたのはすぐだった。右手は相変わらず彼女のおしりに当てられているのだが、紙袋を持っている左手は絵里の脚と脚の間に挟まれている。そして紙袋の口の部分が丁度彼女の大切な部分に当たっていて、そこら辺から例の機械音が聞こえてくる。

 

 

 これは……もしかしてもしかしなくても!!猫の手が絵里の秘部を――――!!

 

 

「零……あまり左手動かないで、その猫の手が私に……ひゃ!んっ……!」

「分かってる。分かってるけど動かすに動かせねぇんだよ」

「でもさっきから押し上げられて……あ!んんっ!!」

 

 

 どうやら猫の手のおもちゃの猫まねきによって、絵里の下半身が思いっきりまさぐられているのだろう。俺からその場面を見ることはできないが、想像だけは大いに捗る。猫の手がゴソゴソと彼女の大切な部分を弄るたびに、彼女の喘ぎ声が可愛く俺の耳に響く。

 

 他の誰かに触られていないことが分かって安心はしたが、今度は絵里が玩具によってイキそうになっている表情を見て、さっきまで抑えられていた興奮が再び蘇ってしまう。

 

 

「はぁ!んん、あっ♡」

 

 

 とうとう絵里の喘ぎ声がガチでエロくなってきやがった。そんな声を目の前で聞かされて、欲求が高まらない男はいないだろ!!

 

 本当は紙袋を彼女の下半身から離さなければならないんだけど、痴漢電車という背徳的興奮を味わいたい俺は、逆に紙袋を持っている左手を、更に彼女の大切なところへ、敢えて近付けた。

 

 

「れ、零……さっきよりも猫が……近くに……んんっ!あっ♡」

「電車が揺れるせいだ、もう少し我慢しろ」

「だ、ダメ、ダメなの……」

 

 

 もう絵里の我慢は限界のようだ。もし彼女の抑えていた理性が崩壊した場合、彼女の淫らな声が車両全体に響き渡ることになるだろう。玩具の猫の手に大切なところをまさぐられて、満員電車内で盛大にイってしまう。もしそんなことになったら人生の汚点としか言い様がない。

 

 

「零……」

「絵里……」

「もう、もうダメ……!!」

 

 

 そして、電車内に絵里の喘ぎ声が――――――

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「はぁ、ようやく人混みから脱出できたぁ~!!」

 

 

 なんとか地獄の人混みに耐え、ようやく家の最寄駅へと辿り着いた。電車の中では、人混みの息詰まる空気と絵里からの淫猥な空気の板挟みになっていたから、なおさら息苦しかったぞ。

 

 でも今はそんなことより、アイツの心配をしてやるか。

 

 

「お~い絵里ぃ~、大丈夫かぁ?」

「はぁ、はぁ……」

「興奮しすぎて息を切らしたか。それに汗びっしょりだぞ、11月なのに」

「あなたが調子に乗るからでしょ!!」

「いやいや、猫の手に関しては完全に不可抗力なんだって!!」

「ホントにぃ~?突然キスまでしてきたのに……」

「ホントだって!それにキスのおかげで助かっただろ」

 

 

 まあ正確に言えば、最後以外は完全に不可抗力だったな。正確に言ったら確実にお説教タイムになるので絶対に言わないが。

 

 ちなみに絵里が電車内で淫らな声を上げることはなかった。流石にあの状況でそんな声を出させる訳にはいかないので、あの場で唯一動かすことのできた部位、つまり自分の顔を絵里の顔に近付けて、彼女にキスをする形で声を防いだのだ。声は防げたが、周りの目は痛かったけどな……。

 

 

 そして猫の手のスイッチを止める時に気が付いたんだけど、猫の手のおもちゃの先端が微かに濡れていた。これは絵里の汗なのか、それとも大切なところから漏れ出したアレなのか……さっきこっそり匂いを嗅いでみたけど分からねぇんだよ。

 

 

「零!!」

「うおっ!な、なんだ!?」

 

 

 絵里は俺の手首を力強く握り締め、上目遣い――――と言っても俺を睨む形でこちらへ詰め寄ってきた。

 

 

「今日はこれからずっと私に付き合ってもらうから」

「おい待て、俺はさっき人混みに揉まれていたせいでヘトヘトなんだ!」

「へぇ~そんなこと言うんだ~。へぇ~」

「な、なんだよ……」

「電車の中で零に痴漢されたって、みんなに言いふらしちゃおうかなぁ~?」

「な゛っ!?お、お前!言っていいことと悪いことあるだろ!!ブラックジョーク過ぎるぞそれは!!」

「海未や真姫、笹原先生に言いふらしたらあなた、どんな仕打ちを受けるのか楽しみだわ♪それに穂乃果やことり、にこに言ったら間違いなく無理矢理襲われるわよ。色んな意味で♪」

「お前なぁ~……」

 

 

 海未や真姫はまだしも、笹原先生を引き合いに出されたら、もうこっちが従うしかねぇじゃん!!それに穂乃果たちに知られるのもマズイ。一日中交代交代で痴漢電車ごっこをさせられてしまうぞ……。

 

 

「はぁ~……分かった付き合うよ。だからせめてこのおもちゃたちは家に置いていってもいいか?」

「まぁそれくらいなら。今日は私と一緒に……ね!」

「なんかお前嬉しそうだな」

「これは罰よ罰!あなたが私にした仕打ちの分だけ、今日はたっぷりと償ってもらうんだから♪」

「…………」

 

 

 本人は反論しているようだが、言動や表情はとても嬉しそうだ。別に絵里と一緒にいることが苦な訳じゃないし、こうなったら徹底的にこの陰険なお嬢様を楽しませてやるか!!

 

 それにさっきの出来事の反動からか、絵里の頬がほんのり赤くなっている。

 ま、まさか!!未だに少し興奮が残っているんじゃ……ということは、もしかしてあ~んな展開を期待してもよかったり!?

 

 

「言っておくけど、あなたが期待しているような展開はないわよ」

「お前、人の希望を簡単に打ち崩すなよな……ていうか、どうして俺の考えが分かった!?」

「変態の顔してたから」

「マジで……?」

「フフッ、冗談よ」

「絵里ぃ~覚えとけよ」

 

 

 かくして俺と絵里の痴漢電車の旅は、俺が出し抜かれるというある意味いつもの結果で幕を下ろした。

 なんか最近、自分の彼女たちに押されることが多いような……彼氏としての威厳が台無しになってない!?

 




 抵抗できない子を攻めるのは楽しいですね!!(笑)


 今回は零君の痴漢プレイに絵里が犠牲になる回でした!
 実は痴漢プレイ自体は穂乃果で一度書いているのですが、元ネタを見ていたら私も同じシチュエーションで書きたくなってしまいまして、今回は絵里に犠牲となって書かせてもらいました。

 やはりこのような話は執筆中に妄想がどんどん肥大化しちゃいまして、文字数が多めになってしまうんですよね。『日常』の頃は4000字書くだけでも精一杯だったのに、今では7000字、8000字はもはや普通に……私の妄想力も着実に進化しているようです(笑)


 次回は木曜日か金曜日辺りに真姫回、それかそのまま日曜日まで飛んでコラボ回のいずれかになります。また段々と投稿ペースは落ち込んできそう……


たーぼさんの小説『ラブライブ! ~奇跡と軌跡の物語~』とのコラボは2月7日(日)投稿予定です!


 先日『ご注文はうさぎですか?』の小説を投稿しました!少なくとも3話、続けば5話くらい執筆してみようと思うので是非ご覧下さい!
ちなみにノリは完全に『新日常』と同じですのでご安心(?)を。またあちらの小説にも感想や評価をくださると嬉しいです。


Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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