夢を掴む、その瞬間まで・・・   作:成龍525

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皆様、おばんでございます!
前回更新が去年の大晦日――orz
こんな超絶遅筆な作者でほんとごめんなさい。゜(゜´Д`゜)゜。
この更新を機に、これから執筆活動頑張っていきます!

さてさて、今回はちょっと外伝的なお話?になっております。
舞台も恋恋ではありません←タイトルでバレそうですが…。

かなりの長い期間を掛けて書いたものなのでところどころ文体がおかしくなっていたり、途中で書き方が分からなくなってしまったりと色々あったので読みにくくなっているかもしれないです><

ではっ、文量少し多めですがごゆるりとお読み下さいませ(*^o^*)


第12話~日が昇らぬ暁~

 合宿の日程も無事に決まった七月下旬、矢野達は合宿に備えて日々の練習に精を出していた。

煌めく太陽の下、一心不乱に白球を追っていく。

大会に出場出来ない思いを、悔しさを胸に秘め練習に打ち込んでいた矢野達。

人数不足の問題が無ければ恋恋高校も出場出来たであろう夏の甲子園行きの切符を懸けた予選大会――いわゆる夏季都道府県大会である。

矢野達が夏休みに入って数日が経った今日、その大会は佳境を迎えようとしていた。

 

 夏季県大会決勝戦。

 

 勝った方が甲子園へと進むことが許されるこの試合、矢野達が練習に汗を流している丁度その頃、頑張市民球場にて執り行われていたのだ。

ここまで勝ち上がってきているのは安定感ある投手陣を有しているそよ風高校、エースは三年生の阿畑やすし。

変化球を得意としている阿畑の最大の武器は独自に編み出したナックル、その変化は既にプロの域に達していると言われるほどに千変万化。

 そんなそよ風高校に対するは言わずと知れた県内最強校、あかつき大学附属高校。

絶対エースの一ノ瀬塔哉を筆頭とする選ばれし九人(ロイヤルナイン)が居る今のあかつきは間違いなく歴代最強メンバーと言えよう。

 

 故にこの試合を見守っているほぼ全ての人はこう思っていたに違いない。

決勝戦もあかつきが勝利を収めるだろうと。

だが、彼らの中に不安材料が全く無かったのかと言えば――。

 

「ボール、フォアボール!」

 

 そう言う訳でもなかった。

今の“あかつき一強”を象徴する存在、一ノ瀬塔哉。彼だけが本来の実力を未だ出し切れていなかったのである。

実力を十二分に発揮している一ノ瀬はまず失点しない。

それこそ甲子園常連校レベルであっても容易に得点を望めない、それほどの実力を持っていた。

一ノ瀬が入学したその年、あかつきは夏季選手権ベスト4、春のセンバツは準優勝。二年目の夏はベスト8、春は優勝。

あかつきのここ二年間の大会成績からも、幾度もマウンドに立っていたのが一ノ瀬だったことから彼が優れたピッチャーだということが窺い知れるだろう。

 しかし、今マウンド上に居る一ノ瀬は少なくとも圧倒的な威圧感を纏ってはいなかった。

寧ろどこか焦っているようにも見えた。

試合も既に中盤に差し掛かっていて五回表、この回の先頭打者から連続で四球を出してしまいノーアウトながらも満塁という、あかつきにとって本日三度目のピンチをその焦りから招いてしまう。

本来の一ノ瀬であれば精密機械と称される抜群のコントロールで四球はおろかヒットすら滅多に出さないはずなのだが、今日はここまでで既に5被安打9四球2失点――。

完投出来るだけのスタミナは十分に持ち合わせていたものの打ち込まれ、自らの手でランナーを何度も出してしまった一ノ瀬の息は既に上がりかけていた。

肩で息をする一ノ瀬は額から滴る汗で滲む目を軽く手で吹き、キャッチャーの出すサインを確認しようとした、その時――。

 

「……タイムお願いします」

「タイム!」

 

 一ノ瀬の乱調を見ていられなくなっのか、自らタイムを申告してマウンドへと駆け寄ってきたのはあかつきのキャッチャーだった。

赤い髪をキャッチャーヘルメットから覗かせて目の前の一ノ瀬を心配そうに見つめるあかつきの正捕手、二宮瑞穂(にのみや みずほ)

「一ノ瀬さん、まだ本調子出せそうにないっすか?」

「……ちょっとキツイ、かな」

お互いそよ風側に見えないようミットとグローブで口もとを覆い隠しながら言葉を交わしていく。

が、懸命に抑え込もうとも一ノ瀬の異変は隠せない。

女房役である二宮にもそれは伝わっていた。

「やっぱりまだ――」

と言うより寧ろ二宮はその異変の原因が何なのか、乱調の理由がどこにあるのか。それを知っていた。

 

「――まだあの時のことを?」

「かも……しれないな」

 

 二宮が“まだ”と何度も口にしたのには理由がある。

実は一ノ瀬のこの乱調は今急に始まったものではない。もっと前からのものだった。

特に酷かったのは春季県大会、その頃の状態は今よりもずっと酷かったのだ。

一ノ瀬の真骨頂とも言える狙ったところに寸分違わず投げることが出来るコントロール。そのコントロールがベースにあるからこそ真価を発揮出来る多彩且つ高レベルな変化球。

だがある日を境に投げてもコーナーに決められない、これまでほぼすっぽ抜けたことのない変化球も失投するようになった。

 一ノ瀬と二宮、球場全体からの声援が立ち上っていく空を見上げ、それぞれ思い出す。

調子を崩すきっかけとなった“あの日”のことを。

そして“あの日”から続く今日までのことを――。

 

(――巴)

 

 

 今から三ヶ月ほど前、春季県大会が目前まで迫ってきていたこの日。

この日も穏やかで清々しく晴れた、とても野球日和な日だった。

 

「巴……」

 

 しかし、頑張市内にある総合病院のとある一室、その室内の空気だけがそんな空模様とは対照的に重苦しく沈んでいた。

病室前に書かれていたこの部屋の患者名は“一ノ瀬巴(いちのせ ともえ)”。

一ノ瀬――あかつきの絶対エースと同じ苗字であるが、それは偶然でも何でもない。

そう、この病室に居る患者というのは一ノ瀬塔哉の妹なのである。

 兄である一ノ瀬は部活を特別に早退させてもらい入院中の妹、巴のお見舞いにこの総合病院へと来ていたのだが、この時二人の間には和やかな雰囲気など存在していなかった。

「どれだけここで苦しい思いしてるかなんて……誰もわかってくれないじゃない!」

「そ、それは誤解だ巴! 誰もそんな事思っちゃいないさっ」

ベッドの上で上体を起こしていた巴は何故か激昂していた。

そのすぐ横で慌てる一ノ瀬、マウンド上であっても普段であっても冷静で、余裕を常に持てていた一ノ瀬からすればそれは異例な事態。

何故一ノ瀬がそこまで取り乱さなければいけなかったのか――。

「それにだ、昔ならともかく今の医学ではちゃんと治せるんだぞ?」

「治ったってまた別の病気にかかるだけ、なら……治す意味なんてあるの!?」

そこには巴の過去が関係していた。

これまで巴は生まれつきの病弱体質から幾つもの病を患い、その度に入院と治療、そして退院を繰り返していた。

更に治療のために服薬していた薬の副作用や様々な合併症等も相まって、巴は自身の人生の大半を病院内で過ごすしかなかったのだ。

 そして巴もまた、そこまで実の兄に怒りを露わにさせたのは何故なのか。

 

「――兄さんも知ってるでしょ? 私の結核は他とは違う、治療も難しいんだってこと」

「……」

 

 自嘲とも、諦めとも取れる、先程とはトーンの違う声で巴はそう話し、一ノ瀬の表情も曇っていく。

巴自ら口にしたように巴は現在、結核を患っている。

しかも多剤耐性結核という世間一般で言われているような結核とは少し違うものだった。

一ノ瀬が新三年生として春のセンバツに出場していた頃、体の具合が芳しくないと診察を受けていた巴は結核だと診断され入院することになった。

その時はまだ結核だったが、入院後程なくして結核菌に抗結核薬が効かなくなる多剤耐性結核へと悪化してしまったのだった。

 一ノ瀬の言うように医学の発展した現代ならば結核は治療率八割と治せる可能性は昔に比べれば高いと言える。

しかし、巴の患っている多剤耐性結核の場合は治療率は五割程まで落ち、結核菌に抗結核薬への耐性が付いてしまうえばしまうほど治療は困難になり、最悪の場合もあるとも言われている。

その昔この病がまだ“労咳”と呼ばれていた時代では、人々はそれを近付くだけで伝染する不治の病、死病と恐れ忌むべき存在としていた。

勿論、これらは当時の間違った知識による若干誤った認識ではあるのだが――。

幕末の世を儚くも力強く駆けた天才剣士や、国の行く末を憂えた英傑もこの結核が元で命を散らしている。

 

「確かにそうだが……諦めない限り希望はあ――」

「諦めるな? 希望はある!? そんな言葉もう聞き飽きた!」

 

 一ノ瀬から贈られたものなのだろう、巴は手元に置いてあった花束をぎゅっと掴み叫んだ。

次の瞬間、巴の言葉と共に投げつけられた花束は一ノ瀬の左肩に当たり床へと落ちていく。

埃一つ無い清潔感ある白い床に散らばっていった色とりどりの花。

巴が投げたのは正確には一ノ瀬なりの気遣いの込められたフラワーアレンジメントだった。

花瓶が置いてない病室もあることと、水やりなど負担にならないようにと、一ノ瀬は巴が今まで様々な病で入院していた時はその度に馴染みのある野咲青果店にフラワーアレンジメントを作ってもらい、それを持ってお見舞いに来ていた。

そんな今回アレンジに用いた白や黄色やオレンジのガーベラと、青とピンクの薔薇が一ノ瀬の足下に哀しく横たわる。

視線を落とす一ノ瀬の瞳も切なさで溢れていた。

「この狭い病室だけがわたしにとっての世界、ずっとここで……」

周囲の時間がゆっくり流れていく、その感覚の中で一ノ瀬は俯くことしか出来ない。

巴も言葉に詰まり、ほんの一瞬目を伏せた。

そして窓の外に視線を移し、ゆっくりと、淡々とした口調で言葉を結んでいった。

「――ずっとここで生きていかなきゃいけない、どんなに頑張ったってわたしの世界には絶望しかないんだ…」

「…………巴」

時間だけが刻々と空しく過ぎていく。

それきり会話もないまま、二人の視線も交わることはなかった。

 

「……もう面会時間も終わりそうだし、兄さんそろそろ帰るよ」

 

 一ノ瀬は精一杯の笑顔でそう言って入ってきたドアの方へと踵を廻らせる。

その笑顔が届かなくとも、最後くらいは明るい雰囲気を残していってやりたい。

また一人にさせてしまう巴のためにと、そう思って一ノ瀬は退室した。

 廊下へ出ると深いため息を一つつき、気持ちを整えていく一ノ瀬。

「一ノ瀬さん、何かあったんすか……?」

「あ、う、うん大丈夫、何もなかったし妹は元気だったよ」

 病室を出て最初に声を掛けてきたのは二宮だった。

彼もまた一ノ瀬に誘われる形で総合病院を訪れていて、一ノ瀬の招きがあれば中に入るつもりであったが室内の雰囲気を察してずっと通路の方で待っていたのだ。

二宮の問いに笑って答えた一ノ瀬だったが、二宮にはそれが空元気だと解った。

「――すまないな瑞穂、ボクから誘っておいて」

「オレはオレの意思でここに来たんですから気にしないで下さい」

だからこそ一ノ瀬のその思いを無駄にはしたくない。

待っている間に病室から二人の会話が聞こえてきていたこともあったのだが、普段からバッテリーを組んでいる二宮だからこそ一ノ瀬が見せないようにしている哀しみを感じ取ったのだろう。

「時間もまだあることですし、これからバッティングセンターでも行きましょうか」

「そうだな、大会も近いし……よし、行くか!」

 哀しみの原因については深く触れずに次の目的を示して、そちらに誘導していく。

一ノ瀬の気が少しでも紛れるのならばそれでいいと二宮は思い、二人は病室の前から離れることにした。

 一ノ瀬が閉め忘れていたのか、ドアに少し隙間があったため二宮は通り際に横目で中を窺った。

 

(まったく、実の兄に酷い言い様だったが――これは一ノ瀬さんの家庭の問題だしな)

 

 無表情のまま外を見つめている巴と、そして自分の隣に居る空元気の一ノ瀬。

二人の事が気懸かりでも、二宮は部外者が立ち入ってはいけない問題なのだとその思いをこの時は抑え、一ノ瀬と共にその場を後にすることに。

 一方、小さな世界に独りぼっちになってしまった巴はまだ窓の外を見つめていた。

鬱屈した思いをぶつけるように、晴れ渡る空をきつく睨んだ。

 

(晴れの日なんて……嫌いだ)

 

 窓の外に広がる自由な世界を最初のうちは睨んでいた、だが兄に激しく当たってしまった事が今更になって心を締め付けてくる。

気付けば尖りが消えた力無い眼差しでぼんやりと外を眺めていた。

色白な頬に伝う一筋の悲しみの雫。手元に零れ落ちた、その時――。

「……?」

雫が弾ける音で、手や毛布に落ちた音とは明らかに違う、本来は聞こえるはずのないその音で我に返る。

そして、ゆっくりと手元を見てみた巴は更に驚いた。

「こ、これって兄さんからの……」

そこにあったのは一枚のメッセージカード、涙は“巴へ”の文字の上に落ちていた。

恐らくガーベラと薔薇のアレンジメントに添えられていたカードだろう。

一ノ瀬にそれを投げつけようと持ち上げた時に手元に落ちてきたのかもしれない。

震えだした指先を懸命に動かし、二つ折りになっていたカードを開いていく。

 

「――――ばかだよ、ほんとに…兄さんも、わたしも……うぅ」

 

 カードの中に書かれていた一ノ瀬からのメッセージを読み終えた巴の両目からまた熱いものが込み上げてきた。

自分の意志では止められず、止めどなく涙が溢れ、ぽろぽろと零れていく。

胸の前で両手に包まれていたカードはくしゃくしゃになってしまったが、巴はそれでもカードを手放そうとはしなかった。

一ノ瀬が伝えたかったこと、それを知り、涙声になりながら巴は口にした。

「ありがとう」と――。

 

 その頃バッティングセンターへ向かっていた一ノ瀬は、自分の思いがこの時既に巴へと伝わっていたことを知る由もなかった。

 

 

 その日を境に一ノ瀬は周囲に巴のことを話さなくなった。

これまで周囲にシスターコンプレックスじゃないかと言われてしまうほど一ノ瀬は巴のことを話していたが、それがぴたりと止んでしまったのである。

時を同じくして極度のスランプに陥ることとなった一ノ瀬。

開催を迎えた春季県大会は一ノ瀬にとって苦戦を強いられるものとなった。

140キロこそ出ていたもののストレートの球威は落ち、針の穴を通すコントロールは影を潜め、多彩な変化球は精細を欠き、その豹変したピッチングは最早別人。

それでも、そんな状態でもエースナンバー“1”を背負い一ノ瀬は投げ続けた。

一ノ瀬が打ち込まれたり追い込まれるような展開になった時は二年程前の一ノ瀬と同じく、入部して早々に一軍入りを果たしていた猪狩守がリリーフ登板という形を取り、一年とは思えない並外れたピッチングで好救援。

一ノ瀬の粘投、猪狩の快投、そして歴代最強メンバーの攻守に渡る援護もありこの春季県大会をあかつきは無事制する事が出来たのだった。

更に少し間を置いて開催された春季地区大会、こちらもベスト4と結果を残している。

 春季地区大会も終わり、一ノ瀬達三年生にとって残るは夏の大会のみ。

後一ヶ月ほどもすれば夏季県大会、刻一刻と大会開催の日が迫ってきていたが一ノ瀬はまだスランプから抜け出す糸口すら見つけられないでいた。

 

 

 そして、とうとう夏季県大会が、一ノ瀬にとっての最後の夏が始まり――。

スランプ真っ直中の一ノ瀬であったがその背に背負っていたのはやはり背番号“1”。

不調から未だ抜け出せていない、そう分かってはいたがあかつき野球部の監督である千石忠(せんごく ただし)は一ノ瀬の本当の実力と部員全員が慕うその人望を信じ、敢えてエースナンバー“1”を一ノ瀬に託したのである。

 調子を崩し始めた三ヶ月ほど前に比べれば復調の兆しを見せていた。

猪狩に助けられ、メンバーに支えれらながらも初戦、続く第二回戦も無失点では切り抜けられなかったが何とか勝ち進んでいった。

 そうして“あかつき一強”は勝利を重ねていき、決勝戦前日となる休暇日の早朝。

この日あかつき野球部は翌日の決勝戦に備え、一軍のみであるが専用グラウンドにて朝から最終調整する予定となっていた。

とは言え千石監督も流石に鬼ではない。お昼前には終了する予定の軽めの調整だった。

主力メンバーということもあったが一ノ瀬や二宮、他の選ばれし九人(ロイヤルナイン)達はそれ以外の一軍部員達よりも早めにグラウンドに入りストレッチを既に始めていた。

「オレ達高校球児にとっては怪我は大敵! 入念にストレッチはやらんとな」

「それは分かるけどさー、ちょっとやり過ぎなんじゃない?」

親子程の体格差でペアを組み体をほぐしていく二人。

大柄でとても高校生には見えないが、ストレッチの重要性を説いているのは五十嵐権三(いがらし ごんぞう)。一方、呆れ顔で話を聞いている小柄な部員は八嶋中(やじま あたる)

「何を言う! それでは40歳になってもベストパフォーマンスを出せる選手に――」

「まーた始まったよ、五十嵐の長話……」

「あの武蔵雷蔵選手のような選手にはなれんぞっ」

最早反論することすら面倒臭いかのように八嶋は目を細め、まるで機械になったかのように無言でストレッチを行っていった。

 

 しかし、五十嵐がそこまで口うるさく語ってしまう武蔵雷蔵(むさし らいぞう)という選手。実はとんでもない存在だったりする。

四十歳にして超一流プレイヤー、それが武蔵雷蔵。

プロ選手としての実働年齢や実年齢、色んな要素が絡むので全ての選手に当てはまるものではないが、大抵は三十代前半からベテランと呼ばれるプロ野球界。

その世界に於いて四十代ともなればいつ引退していてもおかしくなく、例え現役であっても当に全盛期の能力は色褪せ一軍で活躍するのに人の何倍も、何十倍も努力しなければならない年齢。

だが、武蔵は違った。齢四十にして現役、一年間スタメンであり続け、成績も落ち込む時はあれどシーズン終わってみれば打率は3割を超え本塁打は20本前後、打点も90以上の成績を毎年のようにキープしていた。

この年齢で毎年当たり前のように高い成績を残し必ずと言っていいほどオールスターにも選ばれている。

最早ここまで来れば鉄人である。

 加えて武蔵は優勝請負人という異名も持っていた。

優勝請負人――それは優勝の二文字をチームへともたらす存在。

ここ数年は武蔵本人の希望で単年契約となっていて同じ球団に二年在籍したことはない。そして武蔵の居た球団はその年必ずリーグ制覇を果たしていたことから、巷では“優勝請負人”と呼ばれ畏怖の念を抱かれている。

正しく誰もが認める超一流プレイヤーと言えよう。

 因みに武蔵雷蔵という一風変わった名前が本名なのか、単なる登録名なのか、その真相については誰も知らない。

気にはなっても誰も実名を追求しない、出来ないのは武蔵の非の打ち所のない成績と彼が非常に寡黙な性格のためだろう。

何より同じチームの者で合っても近寄り難い雰囲気が武蔵にはあるのだ。

それ故に、武蔵の詳細についてはごく一握りの球界関係者しか知る者はいないだろうと専らの噂である。

 

 ――と、五十嵐は八嶋へ憧れの武蔵について“いつものように”熱弁したのだった。

 

「全く、五十嵐もあの熱く語る癖が無ければ本当に良いヤツなんだがなあ」

「オレもそう思ウ、ああいうの玉に瑕って言うネ」

 そんな二人を尻目に黙々とストレッチをしていたのはあかつきが誇る主砲二門だった。

身長こそ五十嵐より若干低いががっちりとした体格を持つ三本松一(さんぼんまつ はじめ)

日に焼けた肌の三本松とは対照的に色白で一見細身だが筋肉質な体型をしているのはアメリカ人と日本人のハーフである七井=アレフト。

三本松と七井はあかつきの打線の主軸を担うパワーの持ち主、同じスラッガーとしてライバル心をお互いに持っていた。

二人共チーム内で1、2を争うほどのスラッガーだが三本松は力の、七井は技のバッティングを信条としていた。

バッティングスタイルは真逆な二人でも、ライバルとして、また良き友として日々切磋琢磨出来る竹馬の仲。それが三本松と七井である。

「そういえば六本木の姿が見えないガ……」

「ああ、六本木なら病院らしい。間に合えば顔を出すと昨日言ってたからな」

七井が気に掛けていた六本木というのは、ショートを守っている六本木優希(ろっぽんぎ ゆうき)のことだった。

エリート揃いの選ばれし九人(ロイヤルナイン)、その中でも六本木は守備の名手と言われるほどで、事実その抽ん出たフィールディング能力は九人の中でもトップレベル。

また線が細く丸みのある輪郭と中性的な顔立ちで校内の男子女子問わずに人気も高い。

ただ、本人曰く虚弱体質であるため今回のように通院等の理由で練習に遅れて来たり早退したり、場合によっては休んだりすることもたまにあるとか。

 

 そして二宮はといえば――。

こちらもペアを組んでストレッチをこなしていた。

「二宮、ちょっとええか?」

「ん? どうかしたか九十九」

二宮と共にいるのは九十九宇宙(つくも そら)

得意分野に於いてはそれぞれ突出した能力を持ち、その他の能力も一般的な選手の平均を上回っている選手が多くいる選ばれし九人(ロイヤルナイン)だが、九十九は少し特異な存在だった。

突き抜けた能力というのは特に無いが、その代わりに全ての能力が一般選手の平均レベルを大きく上回る形で纏まっている。言ってしまえば弱点らしい弱点が無いという事。

「一ノ瀬さんホンマに大丈夫かいな? オレら来る前からずっとああなんやろ?」

「大丈夫――じゃないな。たぶんずっと休んでない感じだな、あれ」

そんな九十九が指差しながら、心配そうな視線を向けるその先には一ノ瀬の姿。

神妙な面持ちで走っていた。レフトからライトの間、外野ポール間を黙々と走っていた。

九十九にも雰囲気から察するところがあったが二宮は既に勘付いてた。

絶対的エースのスランプの訳に、一ノ瀬の辛そうな表情の理由に。

 

(それしか、考えられねえよな……)

 

 と、二宮が思った瞬間、一軍専用グラウンドの入り口から人影が出てきた。

「――みんな集まってくれ! これから特別ミーティングを始めるぞ!」

人影が発した声にグラウンドでストレッチをしていた六人はその下へと駆け寄っていく。

「ん? 六本木はまだ来てないようだが、仕方ないな。この八人でやろう」

「オー、分かったネ」

「もうそんな時間かいな」

「おいら頭で考えるのは苦手だけど…勝つためには必要だよね」

ある者は口々に答え、またある者は無言で頷き意思を示した。

「一ノ瀬さんは――まいったな、オレの声が聞こえなかったんだろうか」

「みたいだな、四条先に行っててくれ。一ノ瀬さんはオレが呼んでくる」

二宮がそう告げた、人影の正体は選ばれし九人(ロイヤルナイン)の一人、四条賢二(よじょう けんじ)だった。

四条はその冷静沈着な頭脳と、高い情報分析能力を千石監督に評価されて二年生でありながら副キャプテンに就いている。

選手としても九十九に次ぐバランスタイプであり、堅実な守備は先輩後輩問わずにお手本とされるほどである。

「すまない、そうしてくれると助かるよ」

そう銀縁眼鏡を光らせながら言った四条は他の五人を連れて、一軍専用グラウンドの出入り口通路の一角にあるミーティングルームへと歩いていった。

そして外野ポール間をただひたすらに走り続けていた一ノ瀬を何とか呼び止めた二宮、疲れよりも焦りに表情を曇らせていた一ノ瀬を心配しつつも二人はミーティングルームへ向かうのだった。

 

 明日の決勝戦についてのミーティングが終わり、六本木や他の一軍メンバーも合流して行われた最終調整は予定通りにお昼を前に無事終了。

各自思い思いに汗を流したその表情は爽やかなものだった。

ただ一人、一ノ瀬だけを除いて――。

 解散となり手早く支度を済ませ帰宅する者、仲の良い数人で町に繰り出す者。

それぞれの方法で鋭気を養おうとしているその中で、一ノ瀬は一人ロッカールームで考え込んでいた。

その様子を二宮はミットの手入れをしながら見守っていたがそれももう限界だった。

(ダメだ、このままオレが考え込んでても事態は良くならねえ……!)

呼び掛けたが反応が薄く、せっかくの勢いが空回りしてしまった二宮、一方の一ノ瀬、そんな決意など知る由も無いからか不思議そうな視線を送っていた。

呆気に取られた表情を見ているうちに「はぁ……」と、二宮の口からため息が漏れる。

気を取り直して二宮は一ノ瀬に気取られないように言葉を繋げた。

「一ノ瀬さん、明日決勝戦なのを承知の上でお願いがあります」

「お、お願い? いつになく畏まってるな瑞穂」

普段であっても一ノ瀬に対しては尊敬の念を抱いて接することが多い二宮だったが、今の雰囲気はそれに真剣さが加わったもの。

二宮は困惑気味な一ノ瀬を見据えて更に続けた。

「オレ、明日の対戦校のエース打ち崩せるか不安で、だから……」

勿論、バッティングに不安があるというのは嘘である。

いや、確かに多少の不安はあるが本題は別にあるのだ。

「だからこれから一緒にバッティングセンター行ってオレに指導してくれませんか?」

「……なんだか突拍子もないけど、瑞穂がここまでするのも何か訳があるんだろう」

そう、二宮にはそうまでして一ノ瀬と二人きりになりたい訳があった。

「オレでよければ付き合うよ」

「ほ、本当っすか!? あ、ありがとうございますっ」

その理由はまだ言えない、そう思いながらも二宮は深々と頭を下げる。

既に室内には二人だけ、二宮達は戸締まりをしてロッカールームを後にするのだった。

 

 こうして一ノ瀬と二宮は学校近くにある行き付けの“豊夢(ほうむ)バッティングセンター”へとやって来た。

ここはよくある町の小さなバッティングセンター、ではあるが一風変わったところがある。

常連客の間では“豊夢センター”の愛称で親しまれていて、取り揃えているマシンはアーム式とホイール式が主。

タイミングの取りやすいアーム式はストレートのみ、逆にタイミングの取りにくさはあるがホイール式はサイドやアンダーの球筋も再現出来て変化球も投げられる。

球速設定も70キロから130キロと、子供から大人まで幅広く楽しむことが出来るようになっている。

――と、ここまでは一般的なバッティングセンターと同じ感じなのだが本題はここから。

それらのピッチングマシンに加えて全国的にまだ認知度の低いエアー式のピッチングマシン、それがここ豊夢センターにはあるのだ。

このエアー式、最近開発されたばかりで知名度は高くないが性能は寧ろ高い。

アーム式やホイール式に比べて格段にコントロールが良くなっていて暴投も殆ど無く、機種にもよるが球速や高低内外角の調整も簡単、ボールの縫い目による変化も人が投げるのと同じくなるように工夫され、様々な変化球にも対応していてナックル等も投げられたりする。

またゴロやフライ、ライン際の際どい打球も再現出来たりとノックマシンとしても優秀。

加えてエアーで打ち出す仕組み上消費電力も少なくメンテナンスのし易さ、金属的な疲労やホイール等の可動部分もほぼ無いためにマシン自体の耐久性も高くとっても経済的。

球給時なども事故が起きにくいと、正にマシンを使う側マシンを使って練習する側、両者にとって夢のようなマシンなのである。

欠点があるとすれば高低内外角の調整機能がある最高級品になると二百万円前後になることぐらいだが、長期間メンテナンスフリーで大丈夫な事とコストパフォーマンスを考えるとやはりアーム式やホイール式よりも一歩も二歩も先を行っているのは否めない。

 

「それで瑞穂、今日はやはりエアー式の方にするのかい?」

「ええ、明日のために少しでもナックルに慣れておきたいですからね」

 

 話をしながら二人はセンター内の通路を歩いていく。

エアー式のピッチングマシンのあるケージの前に辿り着くと中で既に先客がバットを振るっていた。

「ちっ、今日に限って先客がいるとはついてね――ん?」

ここまで来て待たされるのかと面倒臭がるように頭を掻いた二宮。だったのだが、バットを振るう人物を見た瞬間、出かけた言葉を噤んでしまう。

「なんだ六本木か」

「――――え?一ノ瀬さんに……それと二宮さん?」

二宮と一ノ瀬の目の前でシャープなスイングを見せていたのは同じく選ばれし九人(ロイヤルナイン)の六本木優希。

幸いあと1、2球で終わるところだったらしく、安打性の当たりを最後に出して六本木はケージの外へと出てきた。

「たく、それはこっちの台詞だぜ、お前こそ何故ここにいるんだよ」

二宮のその問いに六本木は頬笑みながら理由を話した。

今日行われた一軍のみの最終調整に始まりから参加出来なかったこと、結果何だか不完全燃焼で終わってしまったこと。

そういう経緯があって自分が納得出来るまでここで打ち込みしていたのだという。

「けどよ、六本木は一体を何を打ってたんだ? お前にしちゃあ珍しくフォーム崩されてただろ」

「流石はあかつきの正捕手、よく見てたね。打ってたのは――」

六本木は右手をひらひらさせながら前に出しつつ徐々に下げていくような、そんなジェスチャーで答えていく。

「……もしかしてナックルかい?」

「ご明察です」

どうやら六本木も特別ミーティングで説明のあった明日の対戦校のエースが操るナックルを警戒しなければと思ったらしく、この近辺で唯一ナックルを投げることが出来るピッチングマシンがある、ここ豊夢センターを練習の場に選んだらしい。

「ふむ、二宮もナックル対策したいらしいし……六本木もまだ帰らないようなら一緒にどうだろう?」

「僕なんかでよければご一緒しますよ」

「明日は決勝戦だ、あんまり無理して倒れたりしないようにな」

 同じ場所に来て同じ目的を持っているのなら一緒にやった方が効率的。

(……まぁ、入院通院歴長い六本木なら別に居ても構わなねえか)

一ノ瀬の提案に六本木は柔らかな笑顔で頷き、二宮はここに来た当初の目的を考えると釈然としないところもあったが六本木なら大丈夫だろうと頷いた。

 

 それから二宮と六本木の二人はあかつきの中でもトップクラスのバッティングセンスを誇る一ノ瀬から指導を受けながら打席に入りマシンと対峙していく。

マシンから放たれる予測不能な軌道を描くナックルを、的確で解りやすい指導を受けながら打ち続けること暫く……。

 六本木は少し前から練習していたこともあり、それなりの確率でナックルを捉えられるようになっていた。

そして今ケージの中に入りナックルを打っていたのは二宮だ。

ケージの外からパン、パンッという手の叩く音が二宮の耳に届く。

「よしっ、もうこの辺でいいだろう。瑞穂も大分ナックルの感覚を掴めんたんじゃないかな」

「一ノ瀬さんありがとうございました!」

通路に立っていた一ノ瀬に深々と頭を下げる二宮。

通路を挟み反対側にあるベンチに腰掛けていた六本木も、ケージの前に立っていた一ノ瀬も笑顔で二宮を見つめていた。

二宮も六本木も何とかナックル打ちのコツを掴めたようである。

「二人共、何か飲むかい? おごるよ」

「遠慮するのも悪い気がするのでいただきます」

「オレもゴチになります」

爽やかな汗を流しながら一ノ瀬の後を付いていく二人、少しすると自動販売機が数台置いてある休憩スペースに着いた。

 

「特にリクエストが無ければオレと同じのにするけど――」

 

 そう訊かれた二宮と六本木は温かな視線を返すことで了承の意を伝えた。

一ノ瀬は宣言通りアクエリエットというスポーツ飲料のボタンを三回押した。

自動販売機から取り出した500ミリリットルのアルミ缶を二宮達に手渡し、三人はベンチに体を預けて一斉にプルタブを開けそのまま勢いよく飲んでいく。

グレープフルーツを薄めたような酸味と、程良い甘みが運動した後の体にじんわりと浸透していくようだった。

 缶の容量の残り半分を切ったところで飲むペースを落とし、残りを雑談しながら飲むことにした三人。

「一ノ瀬さんって打ちますよね。それこそ本当にピッチャーにしとくの勿体ないくらいに」

「そうそうっ、ここの最高飛距離の記録保持者も何気に一ノ瀬さんですしね」

二人が口々に言うように、一ノ瀬はバッティングに於いても並々ならぬ実力を持っていた。県内でも屈指の打線を有しているあかつき、特に二宮や九十九、更には三本松や七井といった他校であれば確実に4番であろうパワーや技術に優れたバッター達がいる中で4番を務める程である。

その実力は豊夢センター内の最高飛距離の記録143メートルという、一般の高校球児のそれを大きく上回っている数字にも現れていた。

「おいおい、そんなに誉めたって二本目は無いぞ?」

 一見すると和やかな雰囲気でのやり取りが続いていく。

二宮が気に掛けていた一ノ瀬もロッカールームで見せていた重苦しい表情ではなく、今は穏やかな笑みを浮かべていた。

だが、それが心からの笑顔ではないと二宮は感じ取っていた。

“あの日”見た、空元気な笑顔と同じ表情をしていたから――。

 それ故に二宮はこの瞬間、意を決する。そして決断する。

 

 訊くなら今しかないと。

 

「ん? どうした瑞穂、渋い顔して」

「……」

 他の利用客の話し声、打球音が響く中、二宮は一ノ瀬を無言で見つめていた。

この沈黙は二宮の決意の現れ、やがて重々しく口が開かれる。

「単刀直入に訊きます」

「……」

二宮の畏まった態度に今度は一ノ瀬が沈黙するしかなかった。

一呼吸の後、この三ヶ月間あかつき野球部の誰もが訊こうとした、けれども結局誰一人として触れることが出来ないでいたスランプの原因を訊いた。

「一ノ瀬さんの不調の原因、そこには妹さんとの事が絡んでいるんじゃないですか?」

俯くこともせず、ただ真っ直ぐに訊いていた一ノ瀬。“あの日”を思い出すかのように両目をそっと閉じていく。

「まぁ……そういうことになるのかな。自分自身でもよく分からないけど」

そう言葉を紡いだ一ノ瀬、ゆっくりと目を開けるもその視線は地面に向けられていた。

二宮もある程度は予想していたが、いざ本人の口からそれを認めるような発言を目の前でされると困惑の色を隠せないでいた。

「なるほど、巴ちゃんかぁ、また“いつものアレ”出ちゃったのかな」

「いつもの、アレ? って、何故六本木が一ノ瀬さんの妹さんのこと詳しそうなんだよっ」

 すると今度は六本木から思ってもみなかった言葉が飛び出す。

あまりに唐突で、予想外な発言に二宮も思わず聞き返してしまった。

呆気に取られた二宮に笑顔を返し、六本木は二宮の疑問に答えていく。

「僕は数年前から中学卒業するまでの間入院してた、というのは知ってるよね?」

そして、そのまま続ける。

その数年間、六本木が入院していたのは巴と同じ総合病院。病院での生活は幼い頃から心臓の病で度々入院していたがそれでも巴の方が長く、時には同じ病室になることもありその時は色んな話をお互いにしていたという。

兄である一ノ瀬がお見舞いに来ると大抵は喜び、笑い声の絶えない会話を交わしていたが、一旦激情してしまうと周囲に、例えそれが家族であっても実の兄であっても手が付けられないほど当たり散らしてしまう。

そうなってしまう本当の理由がどこにあるのか――巴以外に知る者はいないのだとか。

 

(……つまりは癇癪(かんしゃく)持ちってことか)

 

 六本木は知っていることを話し、一ノ瀬が所々付け足していき、二宮はそれを黙って最後まで聴いていた。

 聴き終えた後、一つの結論を出し二宮は決心する。

「一ノ瀬さん今日は答えにくい事を訊いたりしてすみませんでした。六本木も参考になる情報ありがとな?」

「いや、家族の事とはいえここ数ヶ月みんなに迷惑掛けてしまってるからね……瑞穂がオレ達兄妹の事を心配してくれていた、その気持ちだけで嬉しいよ」

「巴ちゃん、誤解されやすいところもあるけど本当は優しい娘だよ?」

六本木の“優しい娘”に頷きながら苦笑する一ノ瀬、その表情はその通りだと言いたそうでもあった。

「さてと、そろそろ帰ろうか」

 休憩スペースに来てからどれだけ話していただろうか。

備え付けられている掛け時計を見るとその短針は既に“3”を指していた。

「もう15時過ぎてたのか――全く気付きませんでしたよ」

「明日は決勝戦ですし、真っ直ぐ帰ってゆっくり休みましょうか」

 その六本木の言葉をきっかけとして豊夢センターを後にし、各々の帰路へと就くのだった。

だが――。

 

(若干面倒だが……しょうがなえ、他ならない一ノ瀬さんのためだ!)

 

 二宮だけは違っていた。

ただ一人、決意を胸に自宅とは反対の方向へ歩いていく。

 




――はい!

今回はあかつき回でございました(・∀・)
そして、都合により次回に続きます←
原作のゲーム(パワ11)の方にも一ノ瀬さんの妹さんおりましたが、この作品では二宮さんとの出逢いを自分なりに考えてみました。
二人はこれからどうなっていくのか……次回をお楽しみに♪

因みに、あかつきレギュラー陣の名称ですが、もうあれ、厨二病全開なネーミングでどうもすいません(^0^;)
どこかでかっこいい名称を見たことあり、自分も考えてみたい! と作ってみたらこうなった件←


えー、なんか本当に脈絡のない後書きとなってしまいました。
ここまで読んで下さった皆様方、ありがとうございました!!
次回の更新もなるべく早くしたいと思います。


~ちょっとした余談~
書けなかった時期にパワプロ2013をやっていた作者はこちらです!
サクセスシナリオも今月で出揃いましたね。(しみじみ)
んが! パワプロオールスターなのにロイヤルナインがいないでやんす!!
阿畑っち絡みで九十九さん、は分かるのですが…一ノ瀬さんはおろか六本木さんまでいないとか(困惑)
仕方ないのでちまちま再現してますが、一ノ瀬さんはハードル高杉(;.;)
せめてパワターだけでも追加してもらえないかしら…。
てか、涼風くんいるなら黒珠くん星空くんもですね(以下略

でも、ちーちゃん可愛い!
ソフト部と野球部掛け持ち、夢が広がる設定ですね☆
いつかちーちゃんをこの夢つかに登場させたいものです!!

ではでは、心の叫びでした^.^;

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