ソードアート・オンライン~竜殺しの騎士~ 作:nozomu7
剣を求めて
「「こんにちはー」」
2024年6月24日。第48層主街区《リンダース》。
街のそこらかしこに水車があり、のどかな風景を感じさせるこの街にユウとシリカが来たのは、この鍛冶屋《リズベット武具店》が目的であった。
《圏内事件》の後、付き合い始めた2人であるが、彼らはそれでもすぐに恋愛に没頭するようなことはなく、今まで通りシリカはユウに追いつくことを目標として、毎日経験値集めに精を出していた。それは結構なことであるのだが、そのおかげでシリカの武器が、今までに使用してきたモンスタードロップのダガーでは間に合わなくなってきたのだ。
また、ユウもそろそろ自分の防具を更新したいと思っており、そのため困っていたところ、《血盟騎士団》副団長であるアスナにメッセージで相談をして、彼女がご用達であるという鍛冶屋を紹介してもらう運びとなった。最も、『行く前にお手軽なクエストでも』などと言っていたら、すっかり夕方になってしまったのであるが……。
そのため、具体的な依頼は明日ということにして、この日は予約だけでも入れておこうと考えたのだった。
さらにアスナは、キリトも同じように魔剣クラスの愛剣、第50層LAボーナスの漆黒の片手剣《エリュシデータ》と並ぶ剣を求めているらしく、『運が良ければ会えるかもね』とは、確かに言っていた。
しかし――件の店に入ったその瞬間、すれ違いざまに少女が飛び出して行った。
「悪い! 3人とも、店番頼む!」
「は? キリト、何があったんだよ」
だが、ユウの質問に答えずに彼はそのまま走って行ってしまった。
その場には、ユウとシリカ、そしてアスナが取り残される。
「えっと……どういうことですか?」
シリカが訊くと、アスナは首を傾げた。
「ごめんね、私もよく分からないの。メッセージを飛ばしても返事が来ないと思って心配して来たら、キリト君とリズがここにいて……そしたら、リズが『仕入れの約束があるから、2人で留守番よろしく』って言って出てっちゃって……」
「その後をキリトが追いかけた、と」
ユウが言うと、アスナは頷く。
「アスナがここに来た後にすぐ、出て行ったのか? 会話とかは?」
「えっと……初めはリズのことが心配で、ここに戻ってきたことに安心したんだけれど、その後はキリト君と話していたかな……」
彼の質問に対する彼女の答えを聞いて、ユウはなんとなくわかった気がした。
(つまり、ああ……なんとなく、分かったかもな……)
ユウが適当に推測を考えていると、シリカが隣で小さく言った。
「ユウさん、もしかしてあの人も、キリトさんのこと」
「……だろうな」
つまり、彼女は恐らく剣に必要なインゴットをキリトと取りに行って、その間に彼に対して特別な気持ちを抱いてしまったのだろう。しかし、その後アスナと話している様子を見て、悟ったのだ。
自分が、この2人の間に入り込む余地はないことを……。
(全く、どうして俺の親友はここまで女性攻略組としても一流なのかねえ)
ユウはため息をつくが、実際のところユウも《攻略組》から中層プレイヤーに至るまで《竜騎士》の名で広く知られており、(元々《アインクラッド》に女性は少ないのではあるが)女性からの人気は決して少なくない。
決して人のことを言えない彼であるが、そのことはつゆ知らず、今となっては既に1人の女の子のものである。そこだけははっきりと異なる点だ。
「明日には立ち直ってくれていると嬉しいけどな……」
ユウがそう言うとシリカも頷き、今日のところは引き上げることにした。
翌日。
「リズベット武具店へようこそ! ……って、あんたたちね」
前日のことを思い出したのか、彼女は少しばつの悪そうな表情をした。
「短剣があったら、見せてくれないか? 刺突中心のダガー系。あ、ちなみに、使うのはシリカな」
「分かっているわよ。そもそも、アンタって《竜騎士》のユウなんでしょ? 自分の注文はないの?」
「ある。体防具があったら、見せてくれ。ちなみに《軽金属装備》のやつな」
彼女は頷くと、まずはダガーを机の上に並べた。
「ダガーだと、今並べた商品以外には、そこのショーケースに飾っているものだけね」
「うーん……どうだ、シリカ。使い心地は」
シリカは得意技の1つである《ラピッド・バイト》で使い心地を試しているが、どうも慣れない感覚があるらしい。
「どうにも、手に重量感があるといいますか……」
「……短剣って、ものすごく軽いと思うわよ?」
「今までに使ってきたものに比べれば、ってことだろ。メイスや両手剣みたいな重量のある武器とは、また勝手が違うだろうしな」
それもそうね……とリズベットは考えると「オーダーメイドにする気はある?」と尋ねてきた。
「むしろ、そっちの方が早いかもな」
「で、でも、そんなお金ありませんよ……」
「金なら、俺が出すよ。彼女が頑張ろうとしているんだから、応援くらいさせてくれ」
ユウはそう言ってシリカの肩を抱くと、シリカは顔を赤くして身を委ねた。
そんな恋人の愛しい様子を見ていたユウであったが、はあ、と前から大きなため息が聞こえてくる。
「……あんたたち、ここに武器を買いに来たの? それとも、いちゃつく様子を見せに来たの?」
「い、いちゃついてなんかいませんよ!」
シリカは顔を真っ赤にして言うが、全く説得力がなかった。
ユウが「すまん、すまん」と言いながら、一歩前に出る。
「まあ、そんな訳だから金のことは心配しなくていい」
「分かったわ。インゴットを取りに行くとなると……第53層かしらね。スピード系のインゴットが取れるって情報があるわ」
「じゃあ、決まりかな」
シリカもレベルが60を越えたところであるので、ユウがついて行く分には問題ないであろう。最も、レベルの急成長もそろそろ限界が近づいているが……《攻略組》のレベルに近づいていることは確かなので、それは仕方のないことではあった。
そんな訳で、彼らは53層にある高原地帯へと赴いたのであった。
マスタースミスであるリズベット(通称、リズ)がいう事には、この高原地帯のフィールドと《迷宮区》の間にある峡谷で、良質なスピード系のインゴットが採取できるらしい。
しかし、インゴットの採取には基本的にそれ専用のスキルを持っている人間がいかなければならない。したがって、今回はユウ、シリカにリズベットが加わり、さらにアスナの「折った剣の弁償はしたのかな、キリト君?」の一言でキリト、アスナ両名までわざわざ手伝ってくれることとなった。
「涼しいよなー、ここ。個人的には、結構好きだったわ」
「ユウの場合は装備も厚い分、暑い場所で見ると、余計に暑苦しいんだよな」
「色は寒冷色の青中心なのにね……って、ポップしたわよ」
目の前に、3体のトナカイ型Mobが現れたのを確認すると、全員が各々武器を手に握る。
「キリトとアスナ、シリカとリズ、で、一番防御力が高い俺が1人って感じでどうかな」
「「「「了解」」」」
各々が敵のタゲを取り、戦闘が始まる。最も、レベル的にもあまり問題はなく、特殊攻撃もないのですぐに片付いた。
その後も、同様にサクサクとフィールドを突破していき、場所はひとまず高原地帯から峡谷の中へと移る。
「ゴーレム系のMobが増えてきたな」
「確かここ、なんかの遺跡だったと思うわ。一応」
アスナが言った。そういえば、確かにこの層の攻略をした時にそんな情報もあった気がする、とユウは思い出す。
「遺跡って感じは皆無だけどな。ただの岩だらけの峡谷だよ、これじゃあ」
「それでも、代わりにゴーレムがたくさん……」
出てきたけどな、とキリトが言いかけた次の瞬間、大型のMobが2体現れた。
《ロック・ゴーレム》。文字通り、全身が岩でできたゴーレムだ。それを見て、ユウがため息をついてから言う。
「さあ、リズ。出番だぜ」
「何よ、その丸投げの感じ!?」
「俺たち、片手剣、両手剣、細剣、短剣だからなあ。打撃武器オンリーなのは、リズだけじゃないか」
ユウの言葉に、リズベッドはため息をついた。その傍らで、シリカは苦笑いをしている。
「ご、ごめんね、リズ」
「いいわよ。フォローよろしく頼むわよ、《竜騎士》さん?」
「それは、丸投げしようとした俺への当てつけか……?」
しかし、実際に前衛の役割をしているのはユウであるので、とりあえず彼は初撃を《ロック・ゴーレム》へと食らわせる。
「腕の攻撃を躱す! その後にスイッチいくぞ!」
「了解!」
腕の振り下ろし攻撃を回避したその直後、リズベットはユウと入れ替わり片手棍スキル《パワーストライク》を叩き込んだ。その傍らで、キリト、アスナ、シリカの3人がもう一体の相手をしている。
「ユウ、こっちのフォロー頼む!」
「打撃武器って、貴重だったんだな、っと!」
キリトの言葉に、ユウは滑らかな動きで彼と場所を交代すると、キリト&リズベットとユウ&アスナ&シリカの状態へと戦況が変化した。
「とどめ行くぞ!」
「「了解!」」
アスナとシリカが敵の攻撃を誘導し、その隙にユウが敵の懐へと潜り込む。そして、両手剣6連撃スキル《ファイトブレイド》を敵に叩き込んだ。
《ファイトブレイド》は両手剣スキルの中では珍しい、剣の鎬の部分で敵を『殴る』スキルであり、打撃系攻撃に分類される。この『斬撃だけでなく打撃もできる』というのも両手剣の長所なのであるが、この手の攻撃をすると剣の耐久力が一気に落ちてしまう上に、運が悪いと
敵2体が四散したのを確認すると、ユウは念のために手元の剣の耐久値を確認する。
「ユウさん、剣、大丈夫なんですか?」
「うーん、1回や2回ならそこまでじゃないけど、これから先何度も、となると、1回は剣を変える必要があるかもなあ……」
シリカの質問にユウは適当に呟くと、メニューウインドウを開く。《クイックチェンジ》の場所にいつもの
「耐久値が問題なんだよな……いっそのこと、《体術》の割合を増やしてみようかな」
彼がそんなことを呟くと、リズベッドがジト目でユウを見つめる。
「あのねえ……《両手剣》と《体術》の組み合わせって間合いの変化が激しすぎて、たいていのプレイヤーだったら普通使わないわよ?」
「結構便利だぞ? 相手に懐に入られそうになったときとか、《水月》を叩き込むだけで距離を保ちやすくなったりするし」
リズベッドのいう事はもっともなのであるが、ユウはまったく気にしていなかった。ちなみに、《両手剣》と《体術》を合わせて使用しているプレイヤーなど、少なくとも最前線においてはユウくらいのものである。
もっとも、《体術》スキル自体エクストラスキルであるだけあって、使用者が少ないということも原因の1つであると言えばそうなのだが。
「全く……壁を走るようなトンデモスキルプレイヤーは、キリトくらいで十分って思っていたけど」
「
《体術》スキル《ウォールラン》。その名の通り、壁を『走る』だけのスキルである。最も、使用する機会自体がほぼ皆無と言っても差支えない、おまけのようなスキルではあるのだが……。
「ちなみに、キリト、実際にどのくらい上ったんだ?」
「えっと……30メートルくらいかな」
「……出たよ、この天然チートめ」
通常は10メートルくらいが限界だが、ステータス次第と技術次第では3倍以上走ることも可能だ。最も、それを習得したところで「どれほど役に立つ機会があるの?」と聞かれてしまえば、それまでではあるのだが。
「それを言うなら、《ディスアーム》をあれだけ成功させるユウだって人のこと言えないじゃないか」
「《
互いに笑い合いながら軽口をたたき合っているが、話している内容を聞いてリズベットは真っ青な空を仰いでいた。
「ゲームシステムって、いったいなんだったのかしらね……」
「あの2人に対して、常識をあてはめない方がいいわよ……」
リズベッドに対して、優しく語り掛けるアスナ。
ちなみに、《武器破壊》というのは『相手の武器の弱点、あるいはソードスキルの『発生点』を『見抜き』することで、そこに剣を当て破壊する』という、キリトが独自に編み出した技術のことだ。
当然ながら《ディスアーム》よりも難易度は高いため、現在のところ使用しているのはキリトのみである。というか、キリト以外に今後、使用するプレイヤーが現れるとは誰にも思えなかった。
(まあ、あの公式チートならやりかねんかもしれないが……)
ユウが考えているのは、アスナの所属する《血盟騎士団》の団長ヒースクリフである。
《聖騎士》などという大層な二つ名を頂戴しているが、それに見合うだけの実力もある。それは、彼の持つエクストラスキル《神聖剣》の存在があった。
彼の持つそのエクストラスキルは、現在のところ出現条件が一切不明である。そのため、『《アインクラッド》の中で唯一無二のスキル』という意味で《ユニークスキル》とその男は呼んでいた。
《ユニークスキル》は、他にも存在する可能性があるらしい。
「ユウさん」
そんなことを考えていると、シリカに呼ばれたのでユウは意識を切り替える。
「どうした?」
「もう、いつまで考え込んでいるんですか。そろそろ到着したみたいですよ?」
あれ? とユウが見渡すと、確かにだだっ広い空間に彼らはいた。
辺りを見渡してみれば、確かに周囲に大量の鉱石が取れそうである。
「ここでいいのか、リズ?」
「確かめてみるわ。ちょっと待って」
彼女は、近くの鉱石を持ち上げると、メニューウインドウを表示してその中身を確かめている。
「確かに、これみたいね。案外、簡単に目的達成――」
そう言ったその次の瞬間、大きな音が響いた。
見れば、峡谷となっているこのフィールドの頭上から、大きな音を立てて巨大なMobが広場の中央へ落ちてきたのだ。
「……アルマジロ?」
外見を見る限り、そうとしか見えないMobがそこにはいた。
バーは5本。固有名が《アース・スケイル》。『大地の鱗』という意味であろうか。つまり、こいつがフィールドボスということになる。
「どうするの?」
「話し合っている暇はなさそうだ。もうすでに獲物にされている」
敵が自分にタゲを定めているのを見たユウは、すぐに背中から両手剣を抜いた。
(『あの剣』はまだ十分に使えないしな……)
ユウはしばらく前に手にした武器を思い浮かべながらも、今はこの剣で我慢するしかない。
そう。実際には今使用している剣を上回るものが
要求使用レベルも足りないのではあるが、それはもうすぐ突破できる予定だ。今は、スキルの熟練度を上げることに専念している。
(使えないものをこの場で考えても、意味はないか)
ユウは、ひとまず《アバランシュ》を発動して敵に斬りかかった。
「フォロー頼む!」
敵の硬い鱗に、ユウの剣が衝突する。やはりというか、打撃系の攻撃でなければ、あまりダメージがないようだ。
カウンターとばかりに横薙ぎに繰り出される爪を剣で受け止める。幸いにもあまりパワーは強くはないようだ。高いのはやはり防御力か。
「はあっ!」
「てやっ!」
そこにアスナとシリカが追いついた。細剣のなかでは珍しい威力重視の《デルタ・アタック》と、短剣5連撃重攻撃技《インフィニット》が同時に炸裂した。
「硬いわね……!」
「リズさん、お願いします!」
同時ソードスキルは1人よりもその威力がはるかに大きいはずであるが。しかし大したダメージが見られない。そこで、頼みの綱は彼女の打撃攻撃だ。
「分かっているわよ!」
片手棍3連撃重攻撃技《トリニティ・アーツ》が炸裂し、予想通り一気にダメージを通す。しかし、その結果敵の標的がユウからリズベッドへと切り替わってしまった。
「リズ、下がれ!」
キリトが素早く前に出ると、敵の爪攻撃を体術との複合ソードスキル《メテオブレイク》で相殺した。が、立て続けに出されたもう1つの前足に対してはソードスキルが間に合わず、なんとか《2
お返しに《閃打》を叩き込んでから敵の間合いの外へと逃れたが、そうすると今度は5人がいる方へと迫ってきた。
「どうする……?」
「やっぱり、リズにはどうにか頑張ってもらうしかないな……しょうがない、俺たちで何とか隙を作る」
このパーティーメンバーを考えると、STR重視・パワータイプの両手剣使い、STR重視・スピードタイプの片手剣使い、AGI重視の細剣使い及び短剣使い、そして鍛冶屋兼STR重視のメイス使いという構成になっている。
先ほども言ったように、効率よくダメージを与えることができるのはリズベッドなのだ。
「それは分かるけど、ダメージが通るたびに私にタゲが移っているんじゃあ、効率が悪いわよ!」
「じゃあ、リズさんにタゲが移った瞬間に、4人で同時にソードスキルを撃つのはどうですか?」
シリカの言うとおり、同時ソードスキルは尋常でなく威力が高い。が。
「4人は難しすぎるな……大体、同じ武器を持っている奴が1人もいないし」
2人であっても、異なる武器で同時に攻撃を炸裂させるのは、かなり息があっていないと難しい。それが4人ともなればなおさらだ。
作戦は当然ながら長時間考えてはいられない。
敵の攻撃をいなしながら、ユウは叫んだ。
「くそ、もう詳細な作戦は考えている暇はなさそうだ! まずは、リズに鱗を破壊してもらって、その後全員で総攻撃ってことで」
「ああもう、分かったわよ!」
リズベッドも答えると同時に、武器を構えなおして共に突進した。
「シリカ、リズのサポートを頼む!」
「分かってます! ピナ、バブルブレス!」
《フェザーリドラ》はブレス攻撃が可能である。その口から水が勢いよく飛び出し、敵のHPを大きく削った。
それに続いて、シリカも《ファッド・エッジ》を決める。
「リズさん、スイッチ!」
「分かったわよ!」
リズがシリカと前衛を入れ替わり、敵の胴体に3連撃技《トライス・ブロウ》を叩き込む。それによって、甲羅の一角が破壊された。
「アスナ!」
ユウが名前を呼ぶと、アスナがその細剣から、上位8連撃技《スタースプラッシュ》を放つ。《リニアー》や《フラッシング・ペネトレイター》と並んで彼女の得意技であるそれは、やはり《閃光》の名にふさわしい物であった。
「キリト君、スイッチ!」
「了解!」
キリトが《シャープネイル》を放ったその直後、1本目のHPバーが消滅すると同時に、《アース・スケイル》はその体を丸くした。
「退避!」
キリトが叫び、全員がその場から飛び去る。その直後、アルマジロの体が勢いよく転がり、彼らが先ほどまで立っていた場所を轢いて行った。
「くそ、鈍重な野郎だと思っていたのに、速いな!」
動き出してからでは、確実に間に合わないであろう。敵にも
ここは地形上それほど足を滑らせることはないので、
しかも、転がり攻撃の間は敵に攻撃することが不可能になる。これは思っていたよりも長期戦になりそうだな……とユウが考えたところで、再び敵が体を丸くする。
「距離を取っていると、転がり攻撃が来るっぽい! どうする、キリト!?」
ユウは剣を構えると、《アース・スケイル》に対して《イラプション》を放った。
「じゃあ、俺とユウで敵の爪攻撃を抑えるから、リズは背後から鱗を壊してくれ! アスナとシリカは、リズのフォローを頼む!」
彼の言葉を聞いて、4人は再び体制を整えるために動き出した。