もし聖天子がヘルシング一族の末裔だったらという内容の二次創作です。

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プロローグ【出逢い】

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

「(よりにもよって菊之丞さんが留守にしているこの時にまさかこのような事態に陥るとわ…ッ!)」

 

齢にしてまだ13の少女は1人、聖居の鎖された地下道の通路を走っていた。

 

「はぁ…はぁ…たしかこの先にお父様が亡くなる寸前に仰っていたモノがあるはず…」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「いいかいお前は次の聖天子となる者だ。いづれお前には大きな困難が立ちはだかることだろう。しかし私達は由緒あるヘルシングの血を継ぐ者だ。もし何か絶体絶命の状態に陥った時、聖居の鎖された地下の部屋に行きなさい。そこに我々一族の結晶が…困難を打ち砕く希望がそこにある。」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「(今はお父様の事を信じるしかありません!)」

 

次期聖天子となる予定の彼女は父の遺言を信じて必死に走る。しかし所詮は子供の体力、彼女の命を狙う暗殺者に追いつかれるのは時間の問題であった。

 

「(はぁ…はぁ…やっと着いた!この扉の先にお父様が仰っていたモノが!)」

 

少女は藁にもすがるような気持ちで扉を開けるとその先は長年放置された為か部屋中埃まみれになっている。部屋の中には2つの棺桶が置いてあり近くに干からびた死体が2つ放置されているだけだった。

 

「・・・・え。これは……。」

 

目の前にあるのは干からびた2つの死体そして背後からは自分の命を狙う暗殺者達が刻一刻と接近してきている。そんな状況下に陥った少女はただただ乾いた笑いをしながら泣いていた。

 

「お父様…最後の最後にこれは酷すぎます。こんな冗談…一つも…笑えませんよ…。」

 

少女は涙を流しながら干からびた死体に近づいていきその隣に座ると自らの運命を受け入れ、最後の時を静かに待った。

 

すると幾分もしないうちに開け放たれた扉から計6

名の武装した覆面の暗殺者達がやってきた。

 

「思ったより手間を掛けさせて貰ったがこれで終わりだ。恨むなら俺らの依頼主に恨むんだなお嬢さん。」

 

暗殺者のリーダー格と思しき男が少女に銃を向けその穢れを知らない純粋無垢な少女にその銃弾を叩き込む。撃たれた傷口からは出血しその血は近くにいた死体に多く降り注がれた。

 

しかし偶然か必然か放たれた4発の銃弾は全て肩や腕に着弾はしたもののどれも致命傷にはいたらなかった。しかし、それでも幼い少女には耐え難い激痛でありそこには苦悶に満ちた表情を浮かべていた。

 

「おいおい。この距離で仕留め損ねるなよ。遊んでる暇なんてないんだぞ。」

 

「少しくらいいいだろう?こんな少女を殺せるなんて滅多にないんだから少しは楽しませもらっても罰は当たらんさ。」

 

「"殺し"をしてる時点で十分罰当たりだっつーの」

 

「ちげえねえや。んじゃそろそろ仕事終わらすか。」

 

だが男が再び銃を構えた瞬間異変は起きた。

 

"ピチャピチャピチャ"

 

瞬間、部屋にいた者全員がある光景を目にして氷ついた。先程までただの死体だった男が床に垂れ落ちた血を啜っていたのだ。

 

「ピチャピチャピチャピチャ…はぁ…」

 

「な、なんだこいつは!?死体が蘇るだと!?俺はこんな話し聞かされてねぇぞ!」

 

目の前に起きる現象を当然理解することができず、暗殺者達は一心不乱に少女とその男を仕留めるべく銃を乱射する。

 

「・・・・効かない。」

 

男は少女を庇うように前に立ちふさがり暗殺者達の首をもぎ取り血を啜る。そうして数分のうちに暗殺者達を全員殺してしまった。

 

男は少女の方に振り返りこうべを垂れる

 

「ご無事でしたかヘルシング卿。」

 

「…え、ええ。ところで貴方は一体…?」

 

「私は吸血鬼と呼ばれる化け物。先代は私の事をアーカード。そう呼ばれておられました。」

 

「アーカード…。私の事を助けて下さりありがとうございました。」

 

「ふっ…当然の事をしたまでだ。」

 

「ところで婦警?お前はいつまで寝ているつもりださっさと起きろ」

 

「・・・・えへへ、バレちゃってたんですね」

 

少女の背後から左腕が影のように仄めいている女性がバツが悪そうに現れた。

 

「なんか起きたらあらかたマスターが片付けちゃってたので起きづらかったんですよ」

 

「アーカード、この方は?」

 

「あ!挨拶が遅れました。私の名前はセラス=ヴィクトリア。私も吸血鬼です」

 

「そうでしたか。」

 

「あれ?全然驚かないんですね」

 

「いえ、今地上はガストレア達で溢れているので悪い意味で化け物には慣れているのですよ。それに次期国家元首になろう者が取り乱しては国民に示しが付きません。私は国民に不要な混乱を与えない為にも常に冷静でいなければならないのです。」

 

「あ、あのー、ガストレア・・・・ってなんですか?」

 

「ガストレアというのは・・・・」

 

~幼き聖天子説明中~

 

「なるほどな、つまりはその化け物どもに人間の領土を驚異的なスピードで奪われていったがバラウニムという鉱石のおかげでその進行を食い止めているわけか。」

 

「えぇ。そういうことです。」

 

「ククク…似ている実に似ている。私がインテグラと出会った時と実に似ている。驚異の規模は違うがあの時と同じだ。」

 

「ヘルシング卿、今から私は貴女(おまえ)のモノだ。私の力は貴女(おまえ)の力だ。さぁ!ご命令(オーダー)我が主(マイマスター)。」

 

「わ、私も貴女の影です!マスター程の力はありませんが貴女を絶対に守り通してみせます!」

 

「貴方達…分かりました。では命令します。アーカードとセラスあなた方は以後私のことを護衛、東京エリアにガストレアが出現した場合即刻処理するのです」

 

「認識した。我が主(マイマスター)。」




投稿日を御確認のうえ二話目をお待ちください。(暗黒微笑)


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