ハイスクールD×D 満たされぬ欲に狂う者   作:山北深夜

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 サブタイトル入れようか悩み中です。……まあそのせいで更新下がりそうなんで多分入れませんけど。
 名前考えるのが一番難しいんですよね。


十二話

 主人公の素晴らしき技を知れて有頂天になっていたが、ライザーが引きこもっていることに変わりないことに気付いて若干がっかりしたのが……えーっと。何日前だったっけ? 多分十は超えてると思う。

 

 まあ乳語翻訳(パイリンガル)は欲しいっちゃ欲しいけどさ、見ただけでテンションだだ上がりだったけどさ、でもライザーの引きこもりが治ってくれたほうが嬉しかった。そして俺を押し倒してくれたらもっと嬉しかった。いまでももちろんそうである。

 

 せめてライザーが俺をもう一回だけでも抱いてくれたらなあ。焦らしすぎなんだよね。ライザーって放置プレイとか焦らしプレイとか好きなんだろうか。俺はあまり好きじゃない。いや、見る分には好きなんだったんだけどさ、実際に受けてると本当にきつい。いやプレイしてはないけどね。

 

 とりあえず性交は後でもいいからライザーに構って欲しい。レイヴェルとの会話はなんか物足りない。せっかく喋れるんだからライザーと話したいのにライザーは全然反応してくれないし。ライザーと話せないならなんのために話せるようになったのか。

 

 ……あれ? これじゃあなんか俺がライザー好きみたいじゃね? いや好きだけどさ。この好きってのはなんていうか執着的な好きだからね。完全な下心ありきのやつだよ。結婚したいわけじゃないし、仕事したくないから愛人くらいがいいし。

 

 キスしたいとかそういうわけじゃないんだよね。いやディープなのは気持ちいいからいいんだけどさ。でもやっぱりキスよりは普通に愛撫してほしいし普通に挿入してほしい。そう気持ち良くなりたい。

 

 そんな訳でライザーには部屋から出て来てもらわないと困るのだ。でもどうすれば出て来てくれるのかさっぱり分からん。ていうか引きこもりの解消手段とか知るわけねえだろ。無理やり連れ出せばいいの? でもそれやって嫌われたら嫌だしなあ……。

 

 ていうか子供の名前考えるくらいでなんで引きこもるんだろうか。なんなの? 誰か知らんやつを孕ませたことがショックなの? でも責任は取ろうと思うけど、やっちゃったぜっていう自己嫌悪なの?

 

 ……なるほど、そうなのか。うーん。そういう気持ちは分からん、っていうか妊娠させた経験とかないからなあ。レイヴェルに聞いたらいいのかな。……うんそれがいいね。聞こう。

 

 一人で悩んでも解決しないものは解決しないのだ。レイヴェルならライザーの妹だし、ライザーを出す方法の一つや二つ知ってるだろう。

 

 そうと決まれば善は急げ。石橋は叩かず急がば回らず。この広い屋敷の中、広いからこそレイヴェルを探すのは難しい。ライザーならその気配がなんとなく、少しだけ分かるけど。どこに居るかな、と探すとすぐ分かる。が、レイヴェルはそんなことない。

 

 まあ適当に探せば見つかるだろう。そんなこんなで探しはじめてレイヴェルが見つかるまでなんと三十分かかった。かかりすぎだ。っていうか敷地が広すぎるのた。三十分でも短い方である。

 

 俺が近づいたことに気がついたのか、

 

「あら? どうかしたのですか?」

 

 なんて聞いてくるレイヴェル。その通り。どうかしたのである。

 

「ライザー」

 

 取り敢えず用事あるという意味を込めてそう言う。まあレイヴェルがどっかに行かないようにってやつだ。

 

「お兄様? お兄様がどうかしたのですか? ……ま、まさかついに出てきたとか!?」

 

「ちがう」

 

 興奮したレイヴェルだったが、俺の否定の声に消沈する。……ていうかさっきの言い方だとライザーがレアキャラみたいな感じだな。まあ最近は引きこもってばっかだからレアキャラっちゃあレアキャラなんだけど。

 

「そうですか……では、お兄様がどうしたのですか?」

 

「へや、だす」

 

 俺の言葉に、レイヴェルは首を傾げた。

 

「えーっと、お兄様を部屋から出したいってことですか?」

 

 その通りである。頷くと、レイヴェルはうーむと考えはじめた。

 

「確かにお兄様もずっと引きこもる訳にはいきませんからね……。どうにか出さないととは私も思っていたのですが。しかしイッセー様との決闘の際ならまだしも、今回は原因がさっぱりですわ」

 

 なんと。レイヴェルにすら原因が分からないらしい。これではさくっとライザーの引きこもり治して俺を凌辱させよう大作戦が始めから失敗してしまう。どうしよう。

 

 助けてとレイヴェルを見つめると、ふふんとドヤ顔をされる。どうした。

 

「安心なさい。解決策はちゃんとありますわ」

 

 さすがはレイヴェルである。ライザーの妹なだけはある。すごいぞレイヴェル。やったぞレイヴェル。これで晴れて俺はライザーの処理ができるのだ。

 

「まあ、向こうの都合に合わせる必要があるでしょうし、もう少し先の話ですけどね」

 

 と、ここまで上げられて少し落とされる。しかし大丈夫だ。レイヴェルもなんか自信満々だしいけるいける。もう少し先の話がいつなのかは知らないけど、多分そんなに先じゃないだろう。でもできれば今日がいいなあ。

 

 まあいいや。だってずっと待ってたんだから、あと少しぐらいなんでもないし。いや本当はなんでもなくはないんだけど、でも相対的? には短いだろうし。

 

 しかし助かったなあ。原因不明だけど解決策はあるなんてさすがレイヴェルだ。俺なんか原因はもちろん解決策なんか思いつきもしなかったし。どんな解決策なんたろうか。人に頼るものであることは分かるんだけど……。

 

 うん。考えても分かんないことをずっと考えるより、普通にその時を待ったほうがいいよね。それがいい。そうしよう。

 

 というわけで俺はライザー復活までの間、身体あっためておくから。ほっかほかのあっつあつにしておくから。

 

 さあ部屋へ戻ろう。レイヴェルへ礼を言おうと口を開きかけて――

 

「それはそうと」

 

 嫌な、予感。

 

「今日も、リアス様たちがレーティングゲームを行うそうのなですが」

 

 ……なんてことだ。前回のレーティングゲームから一月も経ってないと思うんだけど早すぎないかな。たしか王様たちルーキーだよね?

 

「行きますわよ」

 

 せめてそこは『一緒に行きませんか?』とかそういう問いを投げかけてきて欲しかった。

 

 気分はドナドナである。

 

 

 

 

 

 

 俺が出荷されたのは当然ながらレーティングゲーム会場の客席である。できればライザーの部屋が良かった。もっと言えばベッドの上、そして運動会がしたかった。

 

 今回の主人公たちの相手はデオドラ? とか言うやつらしい。前評判をひっくり返して自分より強かった奴を倒したらしい。どうでもいいね。そんなことよりおふとんいきたい。

 

 ていうかレーティングゲームって長いときは本当に長いからね。三時間が短期とか言われるレベルだからその長さは推して知るべし。ちなみに俺が出ると割と早く終わる。フラッグとるのとか俺の神器と相性がいいし、俺の価値は駒一つだからサイコロの目が何でも出れるし。

 

 早く終わらせてもライザーは何もしてくれなかったけど。でも最近思ったんだけどさ、ライザーは長期のゲームがしたかったんじゃないかな。短期ばっかで飽きてたんじゃないだろうか。だから俺に何もしなかったのだ。……初期の頃は俺は何もできなかったからなあ。

 

 うーん。きっと俺は焦ってたんだろう。ちょっと欲求不満すぎてアレだったんだろう。でもいま気がつけてよかった。ライザーも言ってくれればいいのに。

 

 まあせっかくだ。主人公たちのレーティングゲームを見て長期決戦のなんたるかを学ぶとしよう。勉強とか大嫌いだけど。

 

 と、目を向けると、あれ? 対戦相手いないじゃん。なんで? なんかめっちゃざわざわしてるし。主人公たちしかいないし。んー? 逃げたのかな。まあ主人公たちの火力ちょっとヤバイからなあ。

 

 気持ちは分かるけど敵前逃亡とかどうなのよ。いややっぱり気持ち分かんないや。だって俺怪我とかすぐ治るし。痛みとか気にしないで突っ込めるし。突っ込まれたいし。

 

 っと、ん? なんかめっちゃ悪魔がいる。え? なにそのハメ技。まさかのリンチ。いくら勝てそうにないからってそれはないだろ……。なんなの? 人脈もまた力です! みたいな? それだと主人公たち魔王連れてこれるじゃねえか。

 

 ていうかアレありなの? いや他の人の騒ぎようからなしってことは分かるけどさ。どうやってやったんだあんなこと。なんか結界みたいなのがまたはられてるしさ。なんなの? 壊せばいいの? よし壊そう。

 

 禁手化(バランス・ブレイク)をしようとしたところで、中に入って行く眼帯お爺さんを発見。さらっと主人公とこの巫女さんにセクハラするそのスキルは、できればライザーが持っていてほしいものである。ていうか眼帯お爺さんの貫禄がすごい。めっちゃやばい。

 

 てか、あれ? 眼帯お爺さん普通に中に入ってんだけど。これ結界じゃないの? それとも眼帯お爺さんがすごいのかな。まあどっちでもいいや。魔王とかわたわたしてるし、多分この結界は壊していいものなんだろう。

 

 禁手化(バランス・ブレイク)

 

 禁手(バランス・ブレイカー)、以下略。

 

 よーしぶっ壊すぞー。と構えたところ、眼帯お爺さんがビームを発射した。なんということでしょう。空を覆い尽くさんばかりの悪魔の軍勢が、あっという間に削れていきます……て、おい。グングニルって。おい。グングニルってビームじゃないよね? 確か必中で、あと手元に戻ってくる槍だったよね。投擲するためのもので、決してビーム出すものじゃなかったよね。

 

 なんなんだこれ。ていうかグングニルってことは眼帯お爺さんってオーディンかよ。確か死んでなかったっけ。フェンリルに食われて。あれー? 俺の記憶違いかな。……まあいっか。

 

 俺が今やりたいことは結界を壊すことなのである。パリーんって音が聞きたい。どかーんじゃなくてパリーんね。ぶっちゃけ憂さ晴らしである。八つ当たり以外のなにものでもない。けどやりたいからやる。

 

 喰らうがいい……性欲溢れるこの一撃を!

 

 そんなかっこいい感じで殴ってみたけど、なにこの結界。硬くね? なんていうかこれパリーんって割れるの? ガラスじゃなくて壁を割ったみたいな感じにならないかな。割ったっつーか壊したみたいな。ドン、バキーンって感じの。

 

 いや、でもなあ。ガラス割るのって楽しいしなあ。やりたいなあ。ライザーがアレなせいで性欲は溜まる一方なんだし、別の欲ぐらい発散させたいしなあ……。でも性欲も発散させたいなあ。

 

 うん。よし決めた。とりあえず割れるまでは千発くらい殴ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場にいた禍の団(カオス・ブリゲード)の中で、異常に気がついたのは、ゲオルグただ一人しかいなかった。

 

 ――結界に、異様な負荷がかかっている。

 

 それも、たとえば魔術で干渉されてるとかそういう話ではない。もっと単純に、内部から破裂しそうになっているのだ。

 

 その場にいないゲオルグに分かるはずもないが、何者か、なんてことは他からして見れば考えるまでもないことだった。彼女は、隠すことをせずただ結界を殴り続けているのだから。

 

 そう。下手人の正体は空繰人形(パペット)である。

 

 何度も、何度も、何度も何度も何度も。その質量で、その威力で強引に結界を壊そうとしている。普通ならそんなことができるはずもない。結界というものは基点があり、そこから発生しているのだ。故に、いくら彼女が結界を殴ろうとも、基点からのエネルギーが結界の崩壊を防ぐ。

 

 しかし。彼女は関係なしに殴り続ける。彼女は知らぬことだが、彼女は今、基点からのエネルギーを上回る攻撃をすることで、攻撃のエネルギーを基点へと逆流させている。エネルギーが逆流すればどうなるかといえば、当然、基点のエネルギーは回復するが、しかし。

 

 過剰なエネルギーなど、毒以外のなにものでもない。

 

 単純な威力だけなら、単純な質量だけなら、そんなことができるはずもなかった。彼女の優秀極まりない体が、彼女の才気溢れる身体が、彼女の考えを無視して無意識に引力を発生させ、無理やり空間に干渉している。空間を捻じ曲げている。

 

 彼女が魔法を使えるなど、誰も思わない。だからこそ、彼女に空間への干渉を許してしまうなんて、主人公たちとヴァーリチームを除けば、誰もが思ってもいなかった。

 

 故に、襲撃した禍の団(カオス・ブリゲード)からして見れば、完全なる予想外、計算外。ゲオルグはそんな対策をしていないし、ディオドラも、シャルバも、曹操も。誰もが思いついてすらいなかった。

 

 そもそも空間への干渉というものはとても繊細な技術である。通常、引力や重力で捻じ曲げた空間から、基点へのエネルギー逆流なんてあり得るはずがない。

 

 しかし。

 

 思いつきこそ至高、無意識こそ最強、適当こそ究極。考えもなく最高を選び、特に意識せず最適を掴み、とりあえずで最善を尽くす。

 

 そんな稀有な才能なんて滅多にあるものではない。だからこそ、想定なんてしているはずもない。しかし、彼女はそれを持っていた。

 

 故に――結界が壊れるのはなんらおかしなことのない、必然の出来事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結界の壊れる音はパリーんでもどかーんでもなくて、というかなんの音もしなかった。つまんねー。わけわかんねー。ていうか結界壊したときにはお爺さんは既に悪魔の群れを殲滅させていた。すげえな。無双ゲーか。

 

 しかし随分硬い結界だった。何回殴っても壊れないし、正直千回とか言葉の綾っていうか本当にそんなに殴るわけないからね。そんなんするうちに日が暮れるわ。それまでライザーの部屋の扉を叩いてるほうがよっぽど楽しい。

 

 でも見事に結界壊れたなー。俺は一部が壊れればそれはそれで良かったんだけど。ただパリーんっていう音が聞きたかっただけだし。結界が壊れないから意地になってただけだしなあ。

 

 まあいいや。俺ってすげえってことで納得しよう。ライザーはやく出てこないかな。結界壊したんだから凄いなーみたいなご褒美ないのかな。

 

 と、むにゅりと胸を揉まれる感覚。あと尻もさすられている。

 

「ほぉ……お主、ええ乳しとるのぉ。尻もええ。肉付きがええのお」

 

 そうだろう。そうだろう。ライザーもこれくらい普通にやってくれたらいいのにね。というか主神なにやってんだ。確かに偉い人って好色家が多いとは聞くけど、さすがに、えー……。

 

 というか胸を揉むのは構わないんだけど、ちょっと欲情するからやめてほしい。多分そろそろスイッチが入る。下手に触られると収まりつかないんだよね。

 

「何をやっているんですか!」

 

 お、ナイスタイミング。……ってレイヴェルかと思ったんだけど誰だ? 白髪ってことは……ずいぶん若いおばあちゃんだな。そうか、主神の妻か。浮気は許しませんよ! ってことね。なるほど。

 

 なにやら主神と口論を始めて、勝手に落ち込む主神妻。何を言われたんだろうか。ちょっと聞き逃した。まあ多分お前はもう飽きたとかそこらへんかな。ライザーに言われたら俺もへこむし。っていうか飽きるほど食ってねえだろ。食わず嫌いか。

 

 しかしなんで主神がレーティングゲーム見に来てるんだろ。天使とか堕天使なら分かるんだけど、確かオーディンって聖書の勢力じゃないよね。北欧神話だったけ? そこらへんだよね。

 

 ま、どうせ暇つぶしかなんかだろ。そんなん俺が考えたって仕方ないし、興味もないからどうでもいい。ていうかこんなんに興味持つやつなんかほとんどいねえだろ。俺じゃなくてもどうでもいいわ。

 

 あ、どうやら主神とその妻の痴話喧嘩が終わったみたいだ。主神妻が立ち直っている。良かった良かった。離婚とか悲しいからね。まあ多分主神はハーレム作ってるだろうけど。離婚して困るのは主神妻だけだろうけど。

 

 そういえば神とか仏って結婚式とか挙げるんだろうか。俺もライザーと初夜とか迎えたいなあ。もう犯してくれるなら結婚でもいいや。何でもするから押し倒してほしい。頑張って愛するから。多分全然いけるから。ライザーなら愛せる気がするからやってほしい。

 

 いいなあ。夫婦って毎日盛るんだよね。仕事とかもあるだろうけどそれでもヤレるんだよね。どうしよう。プロポーズってどうしたらいいのかな。ライザーが手に入るならもう何でもいいや。

 

 やっぱ扉蹴破って押し倒すのがいいかな。既成事実作ってしまえばいいよね。だってライザーは子供の名前考えるために引きこもるくらい責任感あるもんね。だから俺が押し倒せばライザーは俺のものになるよね。

 

 なんで今まで思いつかなかったんだろう。なんで今までやってこなかったんだろう。そうすれば簡単だったのに。ああ。ライザー。ライザー、ライザーとの子供なら多分愛せるかもしれないから気持ち良くなりたいなあ。

 

 うん。大丈夫。そうだ子供生まれても男の子ならきっとライザーと似て上手だよね。俺が気持ち良くなれるよね。3pだねいいねそれ。いいよ開発してくれどんどん俺を気持ち良く――

 

「聞いておるかの?」

 

 どおおおぉおおううっ!? なんか今すげえ思考してたどうした俺!? なんかすげえ発情してるんだけど……ってそうか。そういえば俺ってライザーに犯されてから他のやつに胸とか尻とか触られた覚えがない。

 

 つまりあれだ。久しぶりに他人の手で愛撫されちゃったもんだから発情してんのだ。いや、発情っていうかスイッチ自体は入ってないけど後一歩で入る。間違いなくやばい。抑圧して来た欲求が解放されてしまう。

 

 ……まずいな。これ自分で処理しきる自信ないんだけど。こんなんどうしろっていうんだ。今の状態でさえこんななのにスイッチ入ったらどうなんだ。

 

 あ、やばい。主神がこっち来てる。なんだろう。

 

「先ほどの結界の破壊、見事じゃった」

 

 お、おー。さすがは俺。主神の目からしてもその優秀さは溢れ出ているものらしい。うん。ライザーに伝えたら触ってくれないかなあ。

 

 なんていうか褒められたのにどうでもいい。やばい。これやばい。ちょっと本当にやばい。このままだと十八禁になってしまう。望むところなんだけど、俺が望んでたのはこんなんじゃない。っていうかこんなん望むわけねえだろ。

 

 主神がなんか言ってるような、言ってないような。ちょっと疼くのを我慢するのに集中してるせいで全然聞こえない。っていうか喋るときに集中必要で良かった。おかげでまだなんとかなってる。ギリギリだけど。

 

 こんなときにも無駄に呼吸が正常な自分の体が恨めしい。熱を吐き出せない。声も出ないからずっと溜まり続けるからやばい。そりゃあ十年近くも欲求不満だったら大変なことになるよね。今大変な状況です。

 

 力を入れて拳を握るだけでぞわぞわと全身に物足りなさが広がる。なにこれ。なにこれ。痺れたように気持ちよさが広がるのに全然収まらない。全然物足りない。

 

 どうしよう。こんなん初めてなんだけど。なったことないんだけど。誰か俺に媚薬でも盛ったの? まずい。同人誌で屈服する気持ちがよく分かる。もともと屈服してたのにこの仕打ちとかなんなんだよ。

 

 手が勝手に動きそうになるのをなんとか抑える。座り込みそうになるのをどうにか堪える。せめて屋敷に戻るまでは我慢。それだけを念頭に置く。大丈夫、まだ大丈夫。まだなんとかなる。

 

 けどまずい。快楽に溺れた経験はあるけど、焦らされた経験なんてない。こんなに辛いなんて知らない。知ってたまるか。こんなん同人誌の中だけでいいんだよ。なんで発散できないんだよ。

 

 まあこれ多分焦らしっていうかライザーが欲しいだけだろうけど。うん。だってライザーがほしいし、今なら多分ライザーが目の前にいれば恥も気にせず押し倒してると思うし。

 

「そのまま成長していくとよい。精進せよ」

 

 あれ? おー。なんか主神帰ってくれるらしい。良かった。これで帰れる。レイヴェルには悪いけど先に帰って少しでも落ち着かないと取り返しのつかないことしそうでやばい。いやでも良かった。ようやく帰ってくれる。

 

 なんて、安心してたのがまずかったのか。

 

 ドンっ、と俺の体に何かがぶつかる。

 

「あ、申し訳ありません」

 

 そんな主神妻の声は、俺には届かない。

 

 ぶつかったときの衝撃が脳天を突き抜ける。それだけでない。その衝撃で太ももを伝う液体に、ぞくぞくと背筋が震える。

 

 あ、と思ったときには、もう遅かった。

 

 どうやら、スイッチが入ってしまったようだった。




 ここからしばらく主人公発情期です。えろえろです。

 ……予定だとオーディンに遠距離のコツを教えてもらうはずだったんですけどね。どうしてこうなった。

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