ハイスクールD×D 満たされぬ欲に狂う者   作:山北深夜

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 休みの間に連続投稿しようとするのはとても疲れることは先週で分かっていました。そのため休み休みやろうとして休みすぎました。


第二章 欲望覚醒のニューパワー
十話


  ライザーがまた引きこもり出して何日経っただろうか。扉の前で居座っても、ライザーの名前を呼び続けても、壊す勢いで扉を叩いても、何をしてもライザーは出てこない。俺を犯しに出てこない。なんで引きこもってんだ。さっぱりだ。

 

 ドラゴン恐怖症で引きこもってたのは分かるんだけどなあ。今までの信頼やらが崩れたからショックだったってのは分かるんだけど。でも今回の引きこもった理由ばかりは分かんないし。ていうか原作になかったし。

 

 あーあ。大分集中もいるし長文は無理だけどせっかく喋れるようになったのに。……そういえばライザーって俺が喋ってから引きこもったよな。まさか……いやいやまさか。そんな筈はない。ない……よね?

 

 うん。だって他のハーレムメンバー喋れるし。というか俺が喋れるようになるイコール引きこもるという意味が分からないし。うん。ライザーはそんな趣味じゃないはずだ。

 

 じゃあなんで引きこもってんだろ。引きこもるなら俺と一緒に部屋にこもればいいのに。部屋にこもってずっと犯してくれればいいのに。大丈夫だライザー。お前の全てを受け止めてやるからな。俺の引力でお前の精を受けきってやんよ。

 

 そんなことを考えながらライザーがこもっている部屋の扉を壊しかねない勢いで叩いていると、ポン、と肩に手が置かれた。

 

 目を向けると、そこにはライザーの妹、レイヴェルの姿が。……なるほど、妹たるレイヴェルがライザーの引きこもる理由を聞くことで解決してやろうとかそういう感じなんだな。助かる。『なんで引きこもってんの?』っていう文字数でさえ俺には言うことが出来ないからね。しかも『?』とかつけれないし。

 

「あまり根を詰めすぎてもいいことはありませんわ。たまには息抜きしないと」

 

 なるほどその通りである。そういえば最近日課の自慰をあまりしてないせいで色々溜まってるんだよね。ああ、そこを見越してレイヴェルはそんなことを言ってきたのか。さすがはライザーの妹だ。惜しむらくはライザーにその能力が備わってないというところだけど。

 

 取り敢えず立ち上がる。このまま部屋に戻って今日一日くらいは心置きなく一人盛っているのもいいかもしれない。

 

 そう思って部屋へ向かおうとした矢先、肩をつかまれた。もちろん、レイヴェルにである。……なんぞ?

 

「ですから、気分転換にパーティーへ行きましょう!」

 

 おう?

 

「ちょうど明日、パーティーがあるのですわ。もちろん、フェニックス家も招待されていますの」

 

 ふむ。まあそりゃあ七十二柱に入ってるからね、フェニックス家って。しかしパーティーか……。乱交パーティーかな? いやまあ確かに単なる一人遊びよりは生産的だけど、一応俺はライザーがいいのであってそりゃあ気持ちいいことは好きだけどさ、やっぱ節操もたなきゃと思うんだよね。

 

 ちょっと気になるのは確かだけど、レイヴェルの誘いは断ろう。うん。やっぱ返事ができるっていいね。少しでも話を聞く気になるし、言葉を返そうと思える。総督さまさまだ。喘ぎ声は集中の関係上無理だろうけど。

 

 さて、断るために集中して――

 

「この調子ではお兄様は参加することは不可能でしょう。とはいえフェニックス家たる我々が欠席してしまうのはあまりよろしくありませんわ。そのために私もイザベラとともに参加しますが、しかし私はすでにお兄様の眷属を辞めフリーになった身、そしてイザベラもお兄様の眷属という形をとってはいますが、あくまで私のつきそいとなりますし、となるとお兄様の代わりとなる眷属が必要となります。まあそれはユーベルーナに任せておけばよいのですが、しかしお兄様の眷属で有名どころと言ったら当然それは空繰人形(パペット)たる貴女ですわ。ユーベルーナも有名ではあるのですが、知名度や評価で言えばあなたが上回りますし」

 

 集中して――

 

「もちろん貴女がマナーなどを身につけてないことは百も承知です。しかし必要なのはお兄様が欠席されるその代わりなのです。他の方々への挨拶などはユーベルーナが行いますし、貴女はその後にただついていくだけで構いませんわ。おそらくほかの方々も転生悪魔であることから貴女に過度の期待をかけることはないでしょう。パーティーには赤龍帝もいらっしゃると聞きましたから、貴女と初対面の方ばかり、というわけでもないでしょう」

 

 

 しゅ、集中して――

 

「私もお兄様も通常はリアスさまへのご挨拶もしなければなりませんし。ええ、まあリアスさまへのご挨拶のついでに、そうついでに! 赤龍帝にもご挨拶をしますけど、その場合、貴女だって赤龍帝やほかの眷属のみなさんと関わることもできますし、お兄様の不義理になりはしますが、貴女を出すことで最悪というものは免れるのですわ。なんたってお兄様の眷属と言ったら、という貴女やユーベルーナが挨拶や謝罪などを行っていけばお兄様は僅かながらにでも誠意を尽くしたと言えなくもありません」

 

 ……。さて、ここで総督からもらった俺が話せるようになる人工神器、王子の返り血(リバース・ボイス)の説明をしよう。

 

 この人工神器は、俺の声帯にうんたらかんたら総督が言ってたのだけど、まあそんなことは置いておく。で、この人工神器で喋るために、まず集中する必要がある。単に神器発動みたいなものと思えばそうではない。神器を発動させる要領で、しかしそれ以上に集中しながら、さらに喋りたい文字の発音を頭に思い浮かべる必要がある。

 

 そして、問題なのは呼吸した際、吐き出される時の息を使って声を出す、というもので、つまり長文は話せず途切れ途切れになる。さらには、神器は一度話すと効力が切れるというかスイッチが切れるので、俺はまた集中しなければならない。ついでに文字ごとになぜか難易度が違うし、発音はなぜか基本的に一緒。橋と箸の区別ができなかったりする。

 

 まあつまり。俺が話すためには集中しなきゃならなくて、そのために基本的に一拍どころか何拍もテンポが遅れることになる。

 

 そう。今のレイヴェルのようにまくしたてられるとどうしようもない。ていうか聞く限り俺もう参加決定じゃん。提案みたいな感じに言ってたけど強制じゃねえか! ていうか主人公も乱交すんのかよ!? お前確か自分の主一筋じゃ……なかったな、うん。俺みたいにライザーとの性交一筋になればいいのに。

 

 しかしレイヴェルは処女じゃなかったっけ? なのに乱交とかちょっと……。ていうか初めてを乱交で散らすってなかなかヤバいよね? 悪魔ならそれが普通なのかもしれないけどさ。ちょっと俺の価値観からしたら頭おかしいとしか思えない。複数でするよりライザーとスる方がいい。

 

 うーん。悪魔に転生してから十年くらいたちそうだけど、まだまだ不思議がいっぱいだなあ。さすがは悪魔だ。

 

 と感心していると、話をやめたらしきレイヴェルが俺の手をつかんでいた。また何かするのだろうか。マシンガントークは聞き流すけど。

 

 見ると、レイヴェルは真剣な顔をしている。緊張しているのかな。まあ処女だし仕方ないよね。大丈夫。俺も初めこそ嫌悪感とか恐怖やらでヤバかったけど今では病みつきだから。欲求不満になるほどだから。

 

 安心させるように声を出そうとして――

 

「まずはドレスですわね!」

 

 そんなレイヴェルの声に、思わずあっけにとられた。めっちゃ元気だコイツ。緊張してるんじゃねえのかよ。ちょっとだけ心配して損したわ。

 

 そんな俺を気にせず、いやまあ無表情だから気にならないんだろうけど、気にせずにレイヴェルは続ける。

 

「お兄様の眷属として恥ずかしくないよう、せめて外見だけでも着飾りますわ!」

 

 あ、もしかしなくてもドレス着るの俺なのね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空繰人形(パペット)と呼ばれるほどに人形のような彼女に似合うドレスを探しながら、レイヴェルは自身の兄であるライザーについて考えていた。

 

 昔――少し前までは胸を張って自慢の出来る兄であった。レーティングゲームの勝ち星も多く、またその眷属も優秀で、家柄相応には将来を期待された悪魔であった。

 

 しかし今はどうだ。たった一度の敗北で膝を抱えて引きこもり、ようやく立ち直ったと思ったら、何故かまた引きこもるのである。高かったはずのライザーの株は、あっという間に暴落した。ライザーの評価は、自慢の兄から根性なしへと成り下がっていた。

 

 もちろん、周囲からの評価も似たようなものであり、きっとまたゴシップに好き放題書かれるのだろう、とレイヴェルはため息をはいた。

 

 それに比べて、と彼女を見る。

 

 伝説の聖獣フェニックスであり、神器の究極系である禁手使いである彼女の評価は高まるばかり。その自然体であらゆることをこなす様は、まさしく天才の一言で、ライザーとは対照的に名声が上がっている。

 

 だが、とレイヴェルは思う。

 

 着慣れていないだろうドレスの裾を引っ張る彼女が、果たしてそれほどの存在なのだろうか、と。

 

 レイヴェルにとって、彼女の第一印象はダッチワイ●である。おかしな評価であるが、当時はそうとしか見えなかったのだから仕方ない。では他の、つまり第二の印象はなんであろうか。

 

 それは恐怖であった。

 

 幼かった彼女にとって、人形のようでありながら生物のように動く彼女は、それはそれは恐ろしかった。今でこそ慣れているし、彼女がはっきりと意思を持っているのは分かっているが、当時のレイヴェルには分かるはずもない。

 

 そして、その第二印象を抱えたがゆえに、その恐怖という先入観を残したままであったがために、レイヴェルは彼女が眷属として馴染んでいくのをずっと見ていた。怖いもの見たさに、また彼女からライザーを守るために、ずっと、ずっと見てきた。

 

 だからこそ、レイヴェルは彼女をよく知っている。彼女のライザーを見るその目に特別な熱いものが込められていることも、彼女がライザーのそばによると緊張によって僅かに体がこわばることも、彼女がライザーに触れられると何かを期待するような雰囲気を醸すことも知っている。

 

 彼女を何年も観察してきて、彼女に何年も接してきて、故に彼女のことを最も知っているレイヴェルだからこそ言える。

 

 きっと彼女は、ライザーに恋をしているのだと。

 

 だから、ライザーの為ならなんだって頑張るし、ライザーの前ではいいところを見せようと張り切る。好きな人たるライザーが傷つくことを嫌い、好きな人たるライザーの前で見栄を張る。彼女が評価されるときには、いつだってライザーがそばにいた。いつだってライザーが関わっていた。

 

 一時期は彼女の恋心を疑ったこともあった。何も話さず、表情も変えず、ライザーに何のアピールもしない彼女である。何をしているのだろう、とレイヴェルは思っていた。その恋を諦めているのならまだしも、彼女からそんな気配は見受けられなかった。

 

 しかし、レイヴェルも恋した今なら分かる。恋したからこそ分かる。その気恥ずかしさが、その見栄の張りたさがよくわかる。レイヴェルは恋したイッセーの前では気丈に振る舞い、そして恋心を気づかれたいと思いながら、同時に気づかれたくないとも思っている。

 

 きっと彼女も同じ気持ちなのだろう。ライザーのことが大好きで、恋もしていて、結ばれたいけど恥ずかしく、故に何の反応もできないのだろう。

 

 つまり、レイヴェルにとって、彼女は世間で評価されている素晴らしい眷属ではなく。

 

 単なる一人の、恋する乙女であるというわけだ。

 

 眷属と主という身分の差がありながら、彼女は恋するライザーのそばにいようとしている。あるいはライザーのそばにいれるからこそ眷属であるのかもしれない。

 

 けれど、とレイヴェルは思う。

 

 彼女が上級悪魔となって、ライザーと結ばれて。そしてレイヴェルの姉となるのもそれはいいかもしれない、と。少なくとも種族的には素晴らしいだろう。なんたってフェニックスとフェネクスだ。どちらも不死身でその特性が薄れることは多分ない。

 

 残るは身分の差だが……。

 

 まあそれは今後の話だ。功績は十分にある。あとは彼女も話せるようになったことだし、普通の悪魔の仕事をさせて、ゆっくりと昇格していけばいいだろう。

 

 そんな、身分差の恋という響きに、レイヴェルは魅せられていた。

 

 将来の話とはいえ、主と眷属であるという点で、レイヴェルが目指すのもまさにそれなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パーティーである。着飾った美女やスーツ姿のダンディやらがわらわらいる。机の上にも料理がたくさんある。うん。乱交パーティーじゃなかった。そりゃあレイヴェルが緊張しないわけだ。ていうかなんで俺はパーティーが乱交であるという考えに至ったんだ。まったく。ただでさえ欲求不満なんだし、やっぱりせめて一人で慰めるぐらいはした方が良かったみたいだ。

 

 まったくもって恥ずかしい。あとドレスって動きにくい。なんでみんなこんなん着けてるんだろうか。そもそもなんでドレス着なきゃなんないんだろうか。いや別に露出しているわけじゃないし、恥ずかしくはないけど、普通の恰好じゃ駄目だったんだろうか。……いやパーティーだし普通は駄目か。

 

 つっても俺パーティーなんて初めてだしなあ。ライザーたちが行くのを見送る立場だったし、見送って一人ライザーを想いながら部屋にこもる立場だったし、どうしていいか全然分からん。マナーとかさっぱりだから何もしない方がいいのかもしれないけどさ。

 

 とりあえずさっきからいろんな人に挨拶するユーベルーナの後ろについて回ってるだけなんだけどこれでいいのかね? ユーベルーナも注意したりとかはしてこないし、これでいいのかもしれない。ライザーとのセック●なら快楽を享受するだけだから楽なんだけどなあ。

 

 そして何回目かのお偉いさんらしき悪魔への挨拶を終えた後、主人公たちが入ってきた。主人公勢がなんかめっちゃ見られてる。とくに王様。あちこちからリアス様リアス様聞こえて正直気持ち悪いにもほどがある。

 

 どうでもいいんだけど。

 

「リアスさまに挨拶したらひとまず終わりよ。マナーを守るのなら自由行動にしていいわ」

 

 とユーベルーナ。まあマナーなんて知らないから自由行動なんてできないんだけど。でもいろいろ解放されるのはありがたい。さっさと行こうぜ、という意味も込めて頷く。まあ頷く以外に伝わらないけど。全部伝わるとしたらライザーへの劣情も伝わっちゃうしね。

 

「行くわよ」

 

 そう言って迷いなく王様の方へ歩くユーベルーナ。そしてなにやら挨拶し始めたけどよくわかんないし興味もないので主人公に片手をあげて挨拶する。

 

「よ」

 

「いや、”よ”って……そんな友達みたいに……」

 

 俺の挨拶は主人公には不評のようだ。いいじゃん。挨拶したらみんな友達だってなにかのCMで言ってたし。短くていいんだよこの挨拶。

 

「僕にはないのかな?」

 

 そんなことをのたまうイケメン。お前俺を殺そうとしたことを忘れてねえよな? なんでそんな奴に挨拶しなきゃなんねえんだ。喧嘩とライザーとのセック●なら大喜びで受け付けんぞ。

 

「きちんと挨拶なさい」

 

「ども」

 

 が、ユーベルーナに怒られたので観念して挨拶する。正直挨拶とか言われても何話していいか分かんないよね。そもそも俺長文とか話せないし。

 

「貴女はライザー様に恥をかかせたいのかしら? せめてお久しぶりですくらい言いなさいな」

 

 無理である。俺が話せるのは相当頑張って五文字だ。お久しぶりだけならまだしも、ですまでつくなら出来るわけがない。

 

 なので俺はユーベルーナの言葉を無視した。できないものはできないのだ。仕方ないね。

 

「……すいません。躾がなってなくて」

 

「いいわよ。別に」

 

 ユーベルーナは王様に謝りだした。王様は笑って許している。……この短い間でなにがあったというんだ。何を通じたというのだ。というか躾って俺か。俺を躾けるつもりか。ライザーになら是非やってもらいたい。調教である。

 

 ぼんやりと頭を下げるユーベルーナを見つめていると、主人公勢が離れていった。どうやら挨拶は終わったらしい。よし、じゃあユーベルーナの忠告無視して適当にぶらつこうかな!

 

「待ちなさい」

 

 歩こうとした矢先、ユーベルーナに肩を掴まれる。しかも結構強い力でつかんでいるのか、なんかギチギチいってる気がする。

 

「とりあえずこっちに来なさい。貴女にマナーというものを教えてあげるわ」

 

 な、なにするだー!

 

 

 

 

 

 

 ユーベルーナに説教やらをされること数十分。やれマナーが悪いだのライザー様の代わりなのだからだのうるさいものである。そんなん気にせずに生きてた方が楽なのにね。俺なんかライザーとの行為以外にほとんど何も考えてないよ。

 

 しかしようやく挨拶地獄から解放された。ご飯は食べたらきっとマナーが悪いとかでユーベルーナに怒られそうなので我慢する。言われただけでマナーが身につくほど俺の脳みそは優秀じゃないのだ。体は正直だけどね!

 

 ていうかこれ以上ここにいたらいろんなボロが出そうな気がする。そもそも待ち方とかも分かんないし、向こうから話しかけられるかもしれないし。

 

 というわけでパーティー会場の外である。ここなら誰にも会うことはないだろう。森やらなんやらあって、あとなんか騒がしい。声が聞こえる。ばっちり誰かいるじゃねえか。

 

 しかし何してるんだろうか。青姦かな。それなら俺もライザーとやりたいものである。いやでもまずは部屋のベッドでやりたい。ムードとかは気にしないけど万が一でも見られたくない。

 

 と思ってると、森が何やら変なので囲まれた。俺がいることに気づいたんだろうか。で、見られないように変なので囲った、と。うん。じゃあ始めから外で盛ってんじゃねえよ。嫉妬に狂うぞ。

 

 むかつくのでどうにかして覗いてやる。

 

 森を囲んでいる変なのに触ってみると、どうやら何か壁みたいなものらしい。ていうか結界? いやでもちょっと違うよね。空間がどうにかなってんのかな。分かんないから結界で通すけど。ていうか空間どうにかできるなら普通に透明化とかしてりゃいいじゃねえか。なんで妄想を煽るような隠れ方してんだよ。

 

 てか隠してるってことはやっぱり中で何かやっちゃってるということである。欲求不満の俺を差し置いてマイナーなプレイをしてやがるということなのである。俺なんかライザーに一回しかヤられたことないのに。しかもほとんど強姦だったし。いやまあ最後には和姦になったんだけど。

 

 しかしどうしよう。どうやって入ろうかな。……あ、結界っていうのはつまり壁である。ってことは壊せる力があれば簡単に壊れるのかもしれない。

 

 そう、俺の禁手(バランス・ブレイカー)なら多分壊せる。よし壊そう。すぐ壊そう。そして覗こう。

 

 禁手(バランス・ブレイカー)闇の惑星(ダークネス・リグル・プラネット)

 

 よし、じゃあいこうか。

 

 てい、と拳を突き出すと、ぱきんと音を立てて空間が割れた。俺一人くらい入れそうな大きさの穴が空いている。中はなんかよく分からない色をしているが、まあ外から見るからそう見えるのだろう。

 

 とりあえず覗きたいんでお邪魔します。と入っていくが、そこは森ではなかった。ていうか変な空間だった。なんだここ。もしかして森は幻覚かなんかか。

 

「こんな所に侵入してくるなんて……」

 

 ふと、声が聞こえた方を見る。

 

 そこには、一本の剣を持ち、もう一本の剣を鞘に刺した男がいた。

 

 一人である。男女ではない。つまりあれだ。こいつは覗いてたってことだ。俺が入ったのは森じゃなくて、森の中の情事を覗く変態がいる空間に入ったってことだ。

 

「朱色の髪に満月の瞳――なるほど、君がヴァーリの言っていた将来が楽しみなやつの一人、空繰人形(パペット)ですか。いい圧力ですね」

 

 いまさら格好つけやがって。この変態が。

 

 つーかなんで俺のこと知ってんだ。誰だよお前。ストーカーか?




主人公の感情を最も読み取れるのはライザーでなくてレイヴェルだったり。

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