学園黙示録:Cub of the Wolfpack   作:i-pod男

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何時も竜次の方しか書いていませんが、合流するまでのウルフパックにもスポットライトをちょくちょく当てて行きたいと思います。

後ウルフパックの呼び名ですが、竜次と合流するまでは本名で呼び合わせます。


Snake Bite

世界がひっくり返って地獄と化したと言うのに、空も海もむかつく位に清々しく透き通った青色をしていた。四方を見渡せば二つの青に挟まれた曖昧な地平線が続くばかり。その限り無く高い空と限り無く深い海に挟まれて、一機の飛行艇 HU-16通称アルバトロスが飛んでいた。

 

「床主管制塔、こちらフェンリル269T(タンゴ)。我々は数時間前にグアムから離陸した。緊急事態故に目的地に到着するまでの燃料が不足している為、着陸の許可を要請する。到着予定時間(ETA)まで一時間を切った。空いている滑走路はあるか?どうぞ。」

 

『フェンリル269T、こちら床主管制塔。現在空いている滑走路は無い。だが間も無く警視庁のSATが安全を確保したD滑走路からJX089便が離陸する。上昇が終わり次第追って伝える。』

 

『床主管制塔、了解した。Over and Out』

 

通信が終わるとヴラディミールはヘッドセットを外し、隣に座っていたヘクターに操縦を任せた。座席のすぐ後ろにあるドアを開くと、簡素なベンチ型の座席しかない客室で四人の仲間がタクティカルギアに身を包み、マガジンの弾込めや装備の最終チェックを行っていた。AK47やグロック、G36CにM1911A1、シュタイヤーAUGやFNブローニングハイパワー、果てはM79GLグレネードランチャーや各種榴弾までがテーブル代わりに鎮座しているフットロッカーの上に積み重なってある。

 

「ミカエラ、これで足りるのか?セーフハウスに辿り着くまで。」

 

「無駄に弾を使いさえしなければ充分の筈よ。折角最後まで取っておいた大物の麻薬王の組織を壊滅させたんだから、使わなきゃ損じゃない。それにセーフハウスにも沢山あるんだし。」

 

鉈を研ぎ直しながらミカエラは歪んだ笑みを口元に浮かべた。

 

「ああ、一ヶ月前にロシアンマフィアの運び屋に運ばせた。ミカエラのツテで安く買えたH&K XM8とベクターが選んだFN FNP45、そしてその為のサイレンサーを人数分だったな。後はショットガン、狙撃ライフル、RPG、更にC4爆薬、手榴弾、スタングレネード、スモークグレネードを二ケースずつ、プレートキャリアーにポーチ、防弾ベスト、対EMP用の高機動車を二台、電子機器を保管する為のファラデーケージ、イリジウム携帯にコンピューター、抗生剤や麻酔などの医薬品と手術道具各種、後は合流先のセーフハウスだ。少しずつ買い溜めして来た弾薬も合わせると久々にお目にかかる高額になった。この数年で中々に高い買い物をして来たよ。」

 

「その買い物の資金は私が主に出してるって事忘れないでよ?アンブレラに組する企業や組織、政治家の秘密を値引き無しで売り捌くのってヴラディミールのネゴ無しじゃ大変になってきてたんだから。でも命を永らえさせる『手段』がお金で買えるだけ安い物よ。」

 

勿論それだけでここまで生き延びて来れた訳ではないが、それも要因の一つでもある。社会のインフラを根底から揺るがす様な非常事態が発生した場合、必要になる物は沢山あるのだ。既にそれが揃っている場所がある今は、この嵐が通り過ぎるのを待つしか無い。

 

「ヴラディミール、竜次はどうしていた?」

 

「パソコンでCIAの衛星をハックして見ていたが、建物のフロア一つを爆破した後、誰かのレクサスをかっぱらってセーフハウスに向かっている。彼以外に四人だ。一人はミカエラとクリスティーンの教え子、もう一人は竜次に興味を持っている生徒、後の二人は知らん。」

 

「竜次なら、きっと問題無い。私達の自慢の息子だぞ。」

 

AKのマガジンの弾込め作業を終えたカリーナは微笑みを浮かべていた。満面の笑みを我慢しているのか、口元の両端が引くついていたが。

 

「あら、カリーナ。ホントは私の息子、って言いたい癖に。」

 

それを見抜いたミカエラは彼女の脇腹を指先で小突きながら茶々を入れる。

 

「ミカ、彼女をからかうのはよせ。着陸すれば軽口を言えるだけの余裕はヘクターでもなくなる。」

 

コルトM1911A1をホルスターに入れながらベクターはミカエラを窘めた。

 

「そうね、考えてみれば私達全員もう中年の集団だものね。」

 

この場にいる彼らの中で最年少のクリスティーンですら既に四十なのだ。一目見ただけではそうとは分からないが、最年長のカリーナに至っては既に齢五十である。勿論訓練は欠かさず続けているがそれでも寄る年波には勝てない。皆も明らかに己の力が全盛期より衰えている事を嫌でも自覚せざるを得なかった。

 

「おいミカ、そうは言うがクリスもお前もカリーナも充分別嬪だと俺は思うぜ?」

 

機体をオートパイロットに設定して出入り口から頭を突き出したベルトウェイが煙草をくわえながら励ます。

 

「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない。ねえ、クリスティーン?」

 

ヘクターの賛辞にクリスティーンは良い歳してそんな事を言われたのが恥ずかしく、そっぽを向いた。小さくありがとうと呟いたが、エンジンの音で掻き消えた。

 

 

 

 

 

 

 

ある程度運転してから竜次は静香と運転を交替した。慣れない車だったからか少しばかり彼女の運転は危なっかしかったが、慣れて来ると安定し始めた。

 

「あー、こむ・・・・じゃなかった、御影。何でこんな事が急に起こったのか分からないか?」

 

「何で起こったか、ねえ。故意であるにせよ無いにせよ、経験から言えば間違い無く人災だと言う事は断言出来る。」

 

コータの質問に答えながら竜次は助手席でリュックに入れていたパソコンを操作して各国の状況がどうなっているのかを確認した。これが日本だけで起こっているならまだ手の打ちようはある。

 

だがその期待は早々に裏切られた。日本だけでなく、ロシア、アメリカ、中国などでも同じ現象が起こっていると報道されていた。BSAAも対処や原因解明の為にてんてこ舞いらしい。

 

「人災?」

 

沙耶は眉を顰めた。

 

「そうだ。2004年にアンブレラと言う製薬を生業とする国際企業が倒産したニュースは知ってるか?」

 

「あ、聞いた事があるわ。確か、BOWがどうのこうのって・・・・BOWって、なんだっけ?」

 

社内にいた皆が静香の言葉に思わずがっくりとした。竜次は溜め息をつきながらも答えてやる。

 

「Bio Organic Weapon。生物兵器だ。アンブレラは風邪薬やビタミン剤、頭痛薬以外に生物兵器の研究開発を行っていたんだ。国際企業だから、札束(しゅうにゅう)で高級官僚の横っ面も引っ叩ける。その賄賂で黙認させていたんだ。」

 

竜次の言葉に皆は息を飲んだ。

 

「作ったウィルスの名はT-ウィルス。ちなみに、Tは暴君(タイラント)のTだ。スペイン風邪や黒死病みたいなパンデミックが引き始めの風邪に思えて来る位に質が悪い。」

 

「ウィルスについて知っている事、全部教えなさい。質が悪いってどう言うこと?」

 

後部座席から身を乗り出した沙耶は有無を言わせぬ声音で竜次に迫る。迫られた竜次は別に断る理由も無い為、説明を続けた。

 

「感染力は九十パーセント以上で感染経路も幅広い。空気はウィルスが解放された初期段階で懸念しなきゃならないが、その他の感染経路は水や感染者の体液、そして感染者から受けた傷だ。一番の問題は幅広い感染対象だな。」

 

その意味を汲み取った沙耶は恐怖で顔からみるみる血の気が失せて行く。

 

「幅広い感染対象って・・・・・まさか、人間以外にも・・・・?」

 

「感染する。動物は勿論、植物にもな。感染してからゾンビになるまでの時間は人によって違うが、体が弱ければ弱い程変化は早くなる。」

 

クリスティーンが初めてTウィルスの研究を始めた時に感染者の諸症状や発症後の特徴を纏めていたのは遥か昔だが鮮明に覚えていた。

 

初期症状は全身の痒み、発熱以外に意識レベルの低下。徐々に知性や記憶が消え、代謝の異常によって食欲が増大する。完全に発症すると感染者は食欲を中心とした本能に基づく行動を始める。餌を与えずに二週間程放置したが、人体が夏に腐って白骨化する期間よりも遥かに早く肉体が崩れ落ちて行った。

 

栄養失調で細胞の分裂と壊死のバランスが崩れているらしい。だがそれでもまだ生きているのだ。

 

「なによそれ・・・・・・?」

 

「別に悪いニュースばっかじゃないぞ?倒す方法は映画と同じだ。頭を、脳を破壊すればいい。それか死体を消却するかだ。まあ、これはよっぽど強い火かナパーム、後はサーモバリック爆弾でも無きゃ出来ないがな。それとあくまで直感なんだが、もしこれがウィルスによって引き起こされているのだとすれば、Tウィルスとは似て非なる物である可能性が高い。」

 

違和感を覚えたのは屋上にいた時からだ。体育の教師が腕を噛まれて感染者になるまでおよそ四十秒かかり、彼を助け起こそうとした女教師は約一分だった。Tウィルスでも個人差はあったが、完全に発症するまでは短くても十五分を要する。幾らなんでもあれは早過ぎる。それに学園にいた感染者達は平均の歩くスピードよりも遥かに動きが鈍かった。健康な人間がTウィルスに感染したならば走る事だって出来ると言うのに。

 

だが一番の要因は車窓から見た光景だった。犬などのペットが感染者の群れを通り過ぎても全く気に止めず、彼らは飼い主とその周りにいた人間だけを狙った。人間よりも俊敏に動ける動物や空を飛べる鳥が感染対象でないだけT-ウィルスより幾分かマシだろうか。

 

後は感染した人間が突然変異をしてリッカーなどに進化しない事を祈るばかりだ。

 

「しかし、一体誰がこんな事を?」

 

木刀に付着した血糊をようやく拭き終えた冴子の質問に竜次はさあねと、肩をすくめるしか無かった。

 

「今は重要じゃない。世界規模のパニックが起きてるんだから見つかる筈も無い。この嵐が通り過ぎてから考える。」

 

国際ウィルステロの可能性もあるが、その線は考え難い。世界同時多発なんて事を出来る様な大規模な組織だったらとっくの昔にBSAAが対応している筈だ。ウィルステロであるなら、ターゲットはもっと絞られる。犯人だって自分が起こしたテロに巻き込まれたりウィルスに感染して死ぬなんて間抜けな死に方はしたくない筈だ。

 

再び車内に沈黙が訪れた。ずっとそれを維持するのは重苦しい上退屈なので、竜次は常備している音楽プレイヤーを車に差し込み、音楽をかけた。シャッフルモードにかかっていた所為で勝手に曲が選定される。再生されたのはアロー・ブラックの『ティッキング・ボム』と言う曲だった。

 

バックグラウンドのボーカルとリズムは気分を落ち着かせる反面、どこか不気味だった。そしてどう言う訳か歌詞はこの世界の状況にぴったり一致しているのだ。

 

世界は時限爆弾の上に座っている

世界は時限爆弾の上に座っている

だから冷静に続けろ

世界は時限爆弾の上に座っている

太陽はもう昇らない

問題は『もし』ではなく『何時』

海は嘆き、空は落ちるだろう

太陽はもう昇らない

 

静かな戦争が始まり

装填された銃を見つめる

この地に安住の地は無い

このレースにゃ勝てない

 

さよならと言う間も無く

時が尽きて行く

何を信じようと

見るのは簡単

 

「ちょっと何よこの曲?陰気にも程があるでしょ?!」

 

歌詞を聞いていた沙耶が元々高い眦が顰めっ面で更に吊り上がる。

 

「他の曲を聴きたきゃ自分のMP3プレイヤーを使うんだな。ビートルズの黄色い潜水艦(イエロー・サブマリン)はどうだ?現実逃避の為にあるみたいなもんだからな。『ティッキング・ボム』は良いぞ。原発と言う時限爆弾を抱え、核兵器やICBMと言う銃を国同士が牽制の為に互いに向け合う膠着状態(メキシカン・スタンドオフ)。この世界を形容するにはぴったりの曲じゃないか。」

 

竜次からすればこの世界の縮図を歌詞にした曲で、現実に目を向けるのにぴったりだった。集団であろうと個人であろうと、人間の本質は闘争にある。成績、就職、昇進、訴訟、選挙、そして戦争。

 

どれを取っても隣にいるどこかの誰かに負けない為、自分が蹴落とされない為に更なる高みを目指しているのだ。国もまた例外ではい。

 

「先生、今どこに向かってる?」

 

「ナビじゃ床主大橋だけど・・・・?」

 

教頭は機械類が苦手なのか、ナビも旧式のシンプルな奴だった。パソコンで衛星カメラを通して床主大橋を確認すると、そこかしこが人と車でごった返していた。

 

「渋滞してるな。今日、明日でどうにかなる様な物でも無さそうだし、どこか適当に止まって一旦休もう。腹が減ってイライラしてきた。」

 

「賛成です!僕も、もうお腹が・・・・」

 

ぐぅ〜〜っとコータが撫でる腹が空腹を訴えた。

 

「だろうな。静香先生、西方向二キロ先にガソリンスタンドかあるから、運転よろしく。」

 

「は〜い!」

 

突如リアウィンドウが破裂した。後部座席にガラスの欠片が散撒かれる。ルームミラーを見ると、スクーターやオフロードバイクなどの低出力の自動二輪に二人乗りをしている集団が手近な感染者を引き寄せているとは知らずにエンジン音を響かせて近付いて来た。その内の何人かの手には銃が握られている。恐らく死んだ警察官か誰かから取った物だろう。

「な、何なの!?」

 

「敵襲だよ。コータ、割れた穴からあいつらのタイヤの前輪を狙え。他は頭下げてろ。流れ弾当たっても知らないからな。」

 

レッグホルスターのP14.45とサイレンサーをコータに差し出した。

 

「こ、これはぁぁぁ〜〜〜〜!!!カナダのパラオーディナンス社のコルトM1911クローン P14!45ACP弾を最大十五発撃てるモンスターハンドガンだ!レールにはライトと、あ、トリガーとハンマーも徹底的にカスタマイズされてる!スライドの銃口付近が削ってあるって事は・・・やっぱり!!マズルジャンプ抑制のマグナポートを開けてある!」

 

まるで芸術品でも取り扱うかの様に気を付けながらその銃をあらゆる角度から見て目を輝かせた。

 

「説明は良いからさっさと撃て。無駄撃ちはするなよ?」

 

竜次はドアを開けて近付きながらスクーターの前輪をMP7A1で狙い撃った。まず先行しているバイクの後ろにあるスクーターの前輪がバーストし、乗っていた二人が投げ出された。こちらが銃を持っている事に気付いた相手は狙いをつけ難くしようと蛇行を始め、更に撃ち返して来る。

 

だが竜次からすれば無駄な抵抗でしかなかった。蛇行しながら銃を撃つなど、彼ぐらい射撃の腕が良くなければ弾を無駄に消費しているだけだ。身を隠す必要も無い。それに加えバイクよりも遥かに俊敏に、変則的に動けるBOWをナイフで葬った事すらある。蛇行するバイクの前輪などそれに比べれば止まって見える。MP7A1を拳銃の様に片手で構えながら前進し、トリガーを絞る。一台、また一台とバイクはひっくり返って大破して行く。

 

竜次達一行を襲った者達は全員骨折や脱臼、裂傷などの重軽傷を負ってはいた物の、奇跡的に生きていた。銃を向けて脅し、蹴ったり引っ張ったりしながら一カ所に固める。

 

「さてと、このファッキン糞豚野郎ども。折角気持ち良くプランが出来上がって実行に移そうとした所で現れやがって。」

 

一番近くにいた男の胸に前蹴りを食らわせた。踏み抜き防止の鉄板により威力が上がった蹴りは男を激しく咳き込ませた。更に鳩尾を何度か踏みつけると男は口から血の泡を噴き出し、白目を剥いて事切れた。

 

「銃弾も消費は最小限に抑えられたが残念ながらゼロではない。お前らに使った事を考えると勿体なさ過ぎて反吐が出る。よって、今この場でお前らにその償いをして貰おう。その命で。」

 

頭がヘルメットのお陰で守られていたお陰で死にはしなかったが重傷を負った体では碌に動けない。逃げる事など到底無理だ。竜次はまるで既に毒に犯された獲物に止めを刺しに行く蛇の様に彼らゆっくりとした足取りで追い縋る。そして一人ずつ確実に(ナイフ)を彼らの体に食い込ませ、始末して行く。

 

ナイフは抵抗無くするりと柔らかい皮膚を突き破り、肉を裂いた。敵を、獲物を仕留めたと言う快感は久し振りな所為もあるが、凄まじかった。脇腹を抉り、胸を貫き、腹部大動脈を裂き、頸動脈を搔き切り、盆の窪を抉って相手を征服するのは筆舌し難い快感を齎す。刃がゴリゴリと骨と擦れる度に心が踊る。痛みに歪んだ顔や恐怖に引き攣る顔、困惑した表情を浮かべたまま死んで行く獲物を見て、肌が興奮で泡立った。

 

運悪く一撃で死ねなかった者は幾度と無く急所から数ミリ程外れた所を幾度と無く刺され、ようやく死ぬ事を許された。

 

最後の一人は竜次のニィッと三日月の形に広がる恐ろしい笑みと冷たい眼差しを見て寒気を感じた。それも肝試しで背筋が薄ら寒く感じると言う様な生易しい物ではない。今感じているこれは、まるで心臓を直接冷水の入ったバケツに突っ込まれたかの様な恐怖だ。真の恐怖だ。呼吸は乱れに乱れて過呼吸にまで陥ってしまう。訳が分からない。

 

何だ、コイツは?

 

何だ、あの笑みは?

 

何で、あんなに楽しそうなんだ?

 

何で、笑ったまま自分達を殺せるんだ?

 

理解出来ない。だからこそ余計に恐ろしかった。毒蛇に睨まれた獲物は、こう言う恐怖に塗れ、毒に命を蝕まれる激痛に身を捩って死んで行くのだろうか、などと考えてしまう。脳は体に早く逃げろ、殺されるぞと言う警報をけたたましく鳴らしているのに、体が動かない。既にどこかで諦めがついてしまっているのだ。

 

ヘッドロックにかけられても全く抵抗出来ず、枯れ枝が折れる様な音と共に視界が百八十度回転し、更に暗転した。首を捻られて頸椎を破壊されたのだ。

 

「藪をつついて蛇を出すからその出て来た蛇に噛まれるんだぜ?」

 

ぐにゃりと首が背中の方を向いている死体を路肩に蹴った。ふう、と返り血で汚れた顔を拭い、ナイフを先程仕留めた相手のシャツで拭う。彼らのポケットを探り、ライターと紙マッチ、煙草、そして使っていた銃が四丁手に入った。殺戮の一部始終を見てあの男同様、固まってしまったコータの手から自分の銃を奪い取り、新しく手に入った銃を彼に渡した。

「よしと、行くぞ。久し振りに人を殺せて良い気分だ。」

 




今回は竜次のヤバい一面をお送りいたしました。ここら辺が冴子さんに似てるんでヒロインにしましたハイ。

Ticking Bombの歌詞ですが、英語の歌詞を出来る限り直訳した物です。不自然な所があればすいません。

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