おまけの後日談のエクストラ・エピソード六本目になります。テーマはハロウィン。そして今回の主役は…。それは本文を読んでのお楽しみで。
原作も本二次創作も、もう大分昔の作品になってしまいますが、今後もネタが浮かべば続きを書こうと思いますので、お待ちいただけるなら気長にお待ちください。
では、どうぞ。
追伸:先日、投稿をしていた際に気付いたのですが、ユーザー情報のメールアドレスが昔のままで更新されていませんでした。
メッセージ機能もありますし、感想や評価などもありますのでわざわざメールを使用する方がいらっしゃるとは思いませんが、もし以前メールを送られた方がいらっしゃいましたら誠に申し訳ございません。
メールアドレスの設定をし直しましたので、以降はちゃんと届きます。先述しましたが、わざわざメールを送ってくださる読者様もいないとは思いますけれど、万一そんな方がいらしたときのために念のためお知らせしておきます。
幾多の艱難辛苦を乗り越え、ノーマは勝利と自由を手にした。そしてその側には、彼女たちをいつも支え、導き、救ってきた一人の男の姿があった。
その男…皮肉な運命に弄ばれたシュバルツ=ブルーダーはこの世界で彼女たちと共に歩むことを選んだ。
だがそれは、シュバルツを巡っての女の戦いが始まるということに他ならなかった。シュバルツに想いを寄せる女性陣のアピール、そしてその純粋で真っ直ぐな想いをぶつけられ、シュバルツは大いに悩むことになる。
これはその最中のある一つの風景。そして、いずれ辿ることになるかもしれない一つの未来のお話。
「さて…」
招かれてきた喫茶アンジュ。その目の前でキョウジは一息ついていた。
(ここに来るのも久しぶりか…)
最近は研究室にこもりっきりだったからなと、不義理を申し訳なく思いながらも一方でキョウジは首を捻っていた。
(しかし…一体何の用だ?)
キョウジが首を捻る。というのも、何故招かれたのかわからないからだ。先日珍しくタスクが研究室を訪れ、一通の手紙を渡してきたのである。それは、アンジュからのものだった。
で、内容を見てみると、ある日付に喫茶アンジュにやってこいとのことである。
伝書鳩であるタスクにこの手紙の内容を知っているかと聞くと知っていると答えたので、何故日時を指定して招いたのかと聞いてみる。だが、その理由についてはタスクは知らないようだった。
…いや、本当はそれも嘘だとわかっていた。キョウジが尋ねたときにあからさまに顔色が変化し、態度や口調も変わっていたからである。素直なのは結構だが、それではまだまだ苦労するなと内心で苦笑しながら、キョウジは了承の意をタスクに伝えたのだった。そして今、この場ということである。
(はてさて…)
何を企んでいるのやらと思い、中を覗いてみようとしてみる。が、この日のために特別仕様にでもしたのか、磨りガラスになっており中は覗くことはできなかった。ただ、人影は見える。それも、いつもよりも人数は多いようだ。
(…あまりいい予感はしないが)
とはいえ、ここで踵を返して研究室に戻った日には、それはそれで後日…どころか今日にでも大変なことになるのは疑う余地のないところであった。その気になればいくらでも姿を消すことはできるものの、そんなことをしたらここの連中がどんなことになるか想像するだに恐ろしいので、その策は採れなかった。つまり…
(行くしかない…か)
わかりきっていた結論だが覚悟を決めるためにふう、と一息つく。そして、
「失礼」
ゆっくりとドアを開ける。と、直後にパンパンパンと破裂音が鳴り響いた。そして、自分の頭の上に紙吹雪や紙状のリボンなどが降ってくる。
(これは…クラッカーか?)
紙吹雪とリボンに加え、かすかに鼻にかかった火薬の匂いとうっすらと白い幕が張ったような視界がそれを認識させた。直後、
『Trick or Treat!』
そこにいた全員が声を合わせてそう叫んだのだった。
「ふぅ…」
エルシャやドラゴンの子供たちからようやく解放されたキョウジが、カウンターの隅に座って一息ついていた。と、その眼前にすっとアイスティーが差し出される。
「ん?」
誰だと思い見上げると、そこには少しばかり面白くなさそうな表情をしたアンジュの姿があった。
「お疲れ」
「ああ、すまんな」
サービスとしてか注文として処理するつもりかは知らないが、せっかくの厚意ということでキョウジはそのアイスティーを手に取る。そして、半分近くを一気に飲んだ。
「ふぅ…」
咽喉を潤し、溜め息をつく。
「落ち着いた?」
「ああ、まあな」
アンジュにそう答えると、キョウジは喫茶アンジュの中をグルッと見まわしていた。そこには見知った顔が思い思いの衣装を着て楽しそうにワイワイガヤガヤとやっている。
「ハロウィン…か」
キョウジが今日ここに呼ばれた理由を口にした。
「ん? どうしたのよ?」
「いや…そんなものもあったかと思ってな…」
キョウジが正直なところを口にした。
「? 何それ?」
今一つ言葉の意味が分からず、アンジュが首を捻る。
「あまり私には馴染みのないものだったのでな…その存在すら忘れていた」
「そうなの」
「ああ」
キョウジがゆっくりと首肯する。
「だから、ここにきて少しの間戸惑ってな」
「そうだったわね」
アンジュがそのときのことを思い出し、クスッと笑った。
「あんな顔したあんた、なかなか見ないもの。いいものを見せてもらったわ」
「茶化さないでくれ。ただでさえさっきまで子供たちの相手をしていたんだ」
「そうよね。大変だったものね、お菓子をせがまれて」
「ああ」
キョウジがまた頷いた。ハロウィンということで子供たちが次々にお菓子をねだってきたが、そんなことを知らないキョウジが勿論手持ちのお菓子など持ってるわけもない。ので、正直にそれを伝えたところブーイングと共に全方向から服を引っ張られたり身体をよじ登られたりして散々な目に遭ったのだ。
キョウジとしてはこれでもう十分イタズラしたからいいだろうと思っていたのだが、その後もお菓子のおねだり攻撃はなくならず、仕方ないのでここの厨房と材料を拝借して先ほどまでお菓子を作っていたのである。今はその出来上がりを待っているところであった。
「ま、しょうがないわよ。諦めなさいな」
そう言ってカラカラと笑うアンジュの表情からは、この状況…もっと言えば、キョウジの現状を心底楽しんでいるような様子が見受けられた。
「言ってくれる」
キョウジが苦笑しながら応じる。だがまあ、現在お菓子を作成中ということで次善の策はとれた。それよりも…
「それより、これからの方が大変じゃないの? あんたにはさ」
アンジュとしても同じことを考えていたようで、そのことを再確認させるかのようにアンジュがそう述べたのだった。と、何かに気付いたアンジュが底意地の悪そうな笑みをニヤリと浮かべた。
「早速きたみたいよ」
「何?」
「キョ・ウ・ジ~」
詳細を聞こうとした築後、誰かが背中に抱き着いた。その声色から判断して振り返ると、そこには予想通りの顔があった。
「ナオミ」
「ふふーん♪」
来るとは思っていたが、それでもいの一番に来るとは思っていなかった人物に、キョウジは驚きを隠せなかった。
「Trick or Treat」
そして満面の笑みで抱き着いたまま、その耳元にささやく。
「それじゃ、ごゆっくり~」
その様子を見たアンジュはそう言い残すとその場を去っていった。ここにこのままいたら面倒ごとに巻き込まれるかもと踏んだのであろう。要は逃げたのである。
とは言え、元からキョウジもアンジュにどうこうしてもらうつもりはない。では、この背中に引っ付いているナオミをどうしようかと考えた時だった。ナオミから、あまり漂ってほしくない匂いが漂ってくる。
「ナオミ…」
それに気づいたキョウジが口を開いた。
「んー? なぁに?」
「お前、アルコールを飲んだか?」
「んー? わかんなぁい?」
そう言ってケタケタ笑うナオミの姿に、ああ、これは完ぺきに酔っぱらってるなとキョウジが判断した。
(全く…)
未成年だから酒を飲むななどという堅苦しいことを言うつもりはキョウジにはない。大体、自分がそう考えるのはそのように教育されて生きてきたからだが、ここではその倫理が当てはまるとは限らないし、今までさんざん苦労してきたのだから自由を謳歌してほしいという考えもある。が、
(絡み酒は少しな…)
キョウジは少し辟易していた。しかも、ハロウィンの集まりというだけあって、そのことが頭になかったキョウジ以外の面々は皆何かしらの仮装をしている。その仮装が、子供たちはまだ微笑ましいのだが、大人組はずいぶんと大胆というか色っぽいというか、目のやり場に困る格好をしていた。布地面積が明らかに少なめなのが多いのである。
その思惑・理由に気付かないキョウジではないが、少しストレートすぎて困っているのも事実であった。現に今抱き着いてきているナオミも、かなり露出度の高い衣装なのである。それでもまだ他と比べて抑え気味なのが怖いところだが。そこへ、
「あー!」
新しい招かざる客の声がした。
「何してんのよー」
そしてその客も、ナオミと同じようにキョウジの背中に抱き着いてくる。こちらも声色で誰かわかり、振り返るとやはり予想通りの顔があった。
「サリア…」
「ヤッホー♪」
ニコニコ顔でサリアがキョウジに抱き着く。そしてサリアからもまた、ナオミと同じ匂いがしてきたのだった。
「Trick or Treat」
先ほどのナオミと同じくお菓子をねだってくるサリア。その様子に、これは間違いなく酔ってるなとキョウジは判断したのだった。
「アルコールを飲んだか?」
「そんなことないよ~」
キョウジの背中にスリスリと顔をうずめながらサリアが答える。普段のサリアを知っているだけに、説得力が欠片もない。
「お茶やジュースは飲んだけど、お酒は飲んでないもん。ねー?」
「ねー」
背中の上でサリアとナオミが確認し合っている。だが、酔っ払いの言葉などあてになるわけもない。とは言え、普段は真面目なナオミとサリアが嘘をつくとも思えない。とすると考えられるのは、
(アルコールだと知らずに飲んだ飲料がそれだったか、それともウイスキーボンボンのようなものでもあったのか?)
ありえるのがこの二択だった。と、
「ねえねえ、それよりさぁ…」
随分と悩ましげな様子でナオミが話しかけてきた。無論、キョウジの背中というベストポジションは維持したままである。
「何だ?」
務めて冷静を装い、キョウジが返答を返した。
「お菓子がないんならぁ、イタズラしてもいいよね?」
ニコニコ微笑みながらスリスリと身体に手を這わせ始めた。
「そうよね♪」
そして悪いことに、サリアも便乗してきた。
「わたしたちはぁ、お菓子よりもそっちの方が欲しいし」
「いいよね?」
「いいよね?」
同意を求めながらもナオミとサリアの手は休むことなくキョウジの身体を這っている。悩ましげな吐息といい、実に状況的には宜しくなかった。いや、男としては願ったりかなったりな状況ではあるかもしれないが、白昼堂々衆人の耳目のあるところでいちゃつくわけにもいかない。
「お前たち…」
少し頭を冷やせ…と続けようとしたところで、不意に二人の手がキョウジの身体から滑り落ちた。
「?」
どうしたのかと思って振り返ると、ナオミとサリアはキョウジの背中に身を任せたまま寝息を立てていたのだった。
「…全く、人騒がせな」
好き勝手やって後は夢の中かと思わないでもないキョウジだったが、まああらゆる意味で取り返しのつかなくなる前に終わってよかったと思いながら、さてこの二人をどうにかしてどこかに寝かせでもするかと思っていたところに、また新たな来訪者が来る。
「あらあら、ミスターったら」
「相変わらず、よくモテますね」
次にやってきたのはエルシャとサラだった。
「お前たちか。丁度いい、すまないがこの二人を引きはがしてくれないか?」
「はいはい」
「わかりましたよ」
エルシャがナオミを、サラがサリアを引き取り、それぞれソファの上に寝かせた。そして、こんなこともあろうかとのノリで用意していたのだろうか、毛布を掛ける。
「あらあら、随分楽しそうな顔してるわ」
「どんな夢見てるのかしら…」
そう言って、二人がキョウジに意味深な笑顔を向ける。キョウジはそれに気づきつつも顔には出さず、
「すまない、助かった」
と、礼を言うにとどめた。
「いえいえ」
「そういえば、子供たちはどうした?」
「カナメとナーガ、それにモモカさんたちが見ててくれてます」
ホラと手を差し出した先を見ると、成る程そこには子供たちに悪戦苦闘しているカナメとナーガ。そして、楽しそうに遊んでいるモモカとおっかなびっくりといったロザリーとクリスの姿があった。
「成る程。そういうことか」
「ええ、そういうことです」
エルシャは答えると、当然のようにキョウジの左に座る。そしてサラはこれまた当然のように右に座った。左右に座ったことで、彼女たちを直視しなくなったことだけはありがたかった。何故なら彼女たちもまた仮装をしており、ご多分に漏れず、きわどい格好だったからだ。だが、キョウジがホッとしたのも束の間。こういう場ではやはり彼女たちの方が一枚上手だった。
「ねえミスター、この格好どう思います?」
エルシャがそんなことを聞いてきて、キョウジの動きがピタッと止まる。
「どう…とは?」
ギギギという擬音が聞こえそうなぎこちない様子で顔だけ動かして首を捻った。そんなキョウジに、エルシャが口元に手を当ててクスクスと笑う。
「いやですわ、惚けちゃって」
「いや、その…」
意識して見ないようにしていたのだが、誘導されたような形になって思わずエルシャの身体に視線を落とした。先ほどのナオミとサリアは不意打ちであり、また背中に抱き着かれる格好になったためにそこまで意識しなくてもよかったが、今回はそうもいかない。エルシャは俗に言うバニーガールの格好で、申し訳程度に仮装要素なのかマントを羽織って三角帽子をかぶっていた。
「あの子たちが見繕ってくれたんですよ。どうです?」
エルシャがマントを開く。見え隠れする程度だったエルシャの豊満な肢体が晒された。アルゼナル勢の中では随一といっていいメリハリの利いた身体は男性にとっては非常に魅力的であり、それだけに目の毒であった。
「…ハッキリ言っていいのか?」
ここまできて格好つけても仕方ないと割り切ったのか、キョウジが覚悟を決めた表情でそう告げる。
「ええ、どうぞ」
エルシャがいつものようにニコニコ微笑みながら答えた。
「実に色っぽい。それだけに目のやり場に困る」
「あら♪ だったらこんな格好した甲斐はありましたね」
(ん?)
今のエルシャの一言に、キョウジは引っかかるものを感じた。
「どういうことだ?」
そのため、その意味を確認すべくエルシャに尋ねる。と、
「いやですわ、ミスターったら」
先ほどのように口元に手を当ててエルシャがクスクスと笑う。そして、
(ミスターを誘惑するために決まってるじゃありませんか♪)
そっとキョウジの耳元に口を近づけ、そう伝えたのだった。
「っ!」
ある程度はわかっていたつもりだったが、それでもこうしたストレートな返答にキョウジが言葉を詰まらせる。その反応にしてやったりといったエルシャは再びニッコリと微笑むのだった。と、
「ちょっと、私も忘れないでくださいな」
右からサラが拗ねたように割って入ってきた。
「すまん、忘れたわけではなかったのだが」
「どうだか…」
今まで放っておかれたからか、サラはずいぶんとおかんむりである。プイッと顔を逸らしたサラはまだ大人しめな衣装であるのでキョウジとしては助かっていた。ハロウィンの本分に則った、お化けの衣装である。但し、リアルさ追求したからか衣装の所々が切れており、そこから素肌が露出しているので露出度的には十分高いのだが。
(これはこれで、目のやり場に困るな…)
両手に花といえばそれは間違いないのだが、その花を手折る気は(少なくとも、未だ心を決めていないキョウジには)今はないのだ。故に目のやり場に困るというか持て余してしまう。
(好意自体は十二分に嬉しいし、ありがたいのだが…)
どうしたらいいものかと思っていたキョウジだった。そこへ、
「おやおや、楽しそうだね」
新たな来客の訪問があった。
「本当に。あたしたちも混ぜてもらわないと」
「てゆうかずるいぜ、エルシャ、お姫さん」
「ふふふ、早い者勝ちですよ」
「そういうことです」
「ケッ!」
面白くなさそうな表情で悪態をついたのはヒルダだった。残りの二人、アレクトラとゾーラはそれぞれエルシャとサラの首根っこを掴む。
「さて、それじゃあ」
「どいてもらおうか」
「嫌です…って言っても、聞いてくれませんよね」
「流石にこんな日に暴れるわけにもいかないし。仕方ないですね」
「でも、その前に」
「ええ」
キョウジから引きはがされるその寸前、二人はそれぞれキョウジの首に手を回すと、そのまま左右の頬にキスをしたのだった。
「ああーっ!」
そのシーンにヒルダが激高し、他の連中が何だ何だと声の発信源に首を向ける。が、そこにはいつもの顔ぶれが集まっていることに納得して再びワイワイガヤガヤと騒ぎ出した。ある意味、よく訓練されたものである。が、
「おやおや…」
「よくもまあ、あたしたちの前で見せつけてくれるもんだ…」
当事者としては看過できないのだろう。アレクトラとゾーラが青筋を立てて微笑んでいた。その口元もヒクついている。
「あらあら、すみません」
「ちょっと悪ノリが過ぎましたかしら」
無理やり移動させられるのだからその意趣返しだったが今はこれで満足し、エルシャとサラがそれぞれ一つずつずらして席を移動した。
「全く…」
「チッ!」
エルシャとサラの看過できない置き土産に、いささか面白くなさそうにアレクトラとゾーラがその開いた椅子に座る。そして、
「へへ♪」
ヒルダはどうしたかというと、先ほどのナオミとサリアよろしくキョウジの背中に身を預けてきたのだった。
「…ヒルダ?」
「何の真似だよ、おい」
「いいじゃんか。左右はあんたらに占領されてるんだ。このぐらいの役得があってもいいだろ?」
「何が役得だ」
「ずうずうしいな、全く」
「ふふーん♪」
今は何を言われても気にならないのだろうか、キョウジの背中の温もりを余すことなく感じ取ろうかとスリスリと背中に頬をこすりつけるヒルダ。キョウジは勿論その姿を見ることは叶わなかったが、その感触で何をやっているのか何となくだがわかったため、猫のようだなと思っていた。
「さて…」
着座早々、アレクトラがキョウジの顎に手をかけて自分の方を向かせる。
「!」
「随分と楽しそうだったじゃないか」
「いや、そんなことは…」
いきなりこう来るとは思わなかったキョウジが突然のことに驚いて言葉に詰まる。そして、顔を向けられたということは当然その姿を見ることにもなり、
「!」
再度、言葉に詰まったのだった。エルシャに負けずとも劣らずの豊満な肉体を包んでいるのはレオタードだったからだ。流石に年齢を考慮したのか大人しめのものであったが、それでも十分に色気があるものだった。
(仮装なのはわかるが、なぜレオタードなのだ。お化けに何も関係がないぞ…)
文句が言いたくもなったキョウジではあるが、そのレオタードと色香に戸惑っているのも事実。それに気づいたのか、
「ふふ、どうだ?」
アレクトラが楽しそうにキョウジに尋ねてきた。
「どう…とは?」
「わかっているだろう? しらじらしい」
そしてグイっと身体を寄せる。
「お菓子は?」
「いや…」
「そうか。なら、イタズラで我慢してやる♪」
そして、顎を固定したままキョウジの唇に自分の唇を近づけようとする。が、
「おっと」
そうはさせじとゾーラがキョウジの頭を包むと自分にと引き寄せた。自然、キョウジとアレクトラの距離は離れることとなる。
「チッ」
アレクトラが舌打ちし、不満ありありといった表情でゾーラを睨んだ。
「何のつもりだ、ゾーラ」
「おわかりでしょうに」
クスクスと含み笑いをアレクトラに向けるゾーラ。
「司令に独り占めさせるわけにはいきませんのでね」
そう宣言しながらますます強く抱きしめるゾーラ。そんなゾーラの格好はこれまた目のやり場に困る衣装だった。ボンデージである。その姿に、勿論キョウジは今までのように目のやり場に困ってはいるのだが、
(これはこれで、似合いすぎだな…)
ゾーラにピッタリの衣装にどちらかといえば感心していた。鞭とローソクを持たせて目の辺りを隠すドミノマスクでも装着した日にはどこに出しても遜色のない、立派な『女王様』の出来上がりである。とは言え、そっちの嗜好のないキョウジにはどうでもいいことなのだが。
そんな感想を抱いているなど知る由もなく、キョウジを覗き込んでニッコリと微笑むゾーラ。
「お菓子はないんだろ? それじゃ」
先ほどのアレクトラとのやり取りを聞いていたのだろう。一度髪をかき上げると目を閉じ、その顔が迫ってくる。
考えることは同じだなとぼーっと思っていると、そこに天の助けが入ってきた。
「キョウジさん、できたみたいですよ」
タスクがキョウジにお菓子の完成を知らせに来たのだ。しかし、
『あぁ!?』
キョウジを囲んでいる女性連中にギン! と睨み返され、タスクはひいっと悲鳴を上げてのけぞった。が、既に後の祭り。
「そうか」
そう答えると、シュバルツ時代のゲルマン忍法を駆使してキョウジがその場を難なく脱出する。そして、
「すまないが、後のことは頼む」
タスクの肩にポンと手をのせると、キョウジは厨房に向かい、そのままその場を立ち去ったのであった。
「え? 後のことって、待って…」
下さいと続けようとしたが、その襟首を誰かにむんずと掴まれた。嫌な予感をバリバリ感じながらも無視するわけにもいかず、ゆっくりとタスクが振り返る。と、
『何してくれたのかな?』
そこには五人の美女の笑顔があった。但し、その笑顔の後ろに修羅が見え隠れしている。
「や、あの…」
冷や汗をかき、一瞬で咽喉がカラカラになりながらもなんとかそれだけを咽喉から絞り出したタスクだが、反論はここまでだった。その後、強力な力で彼女たちに引きずり込まれたからだ。
それから少しの間、喫茶アンジュには男の悲鳴が鳴り響いたのだった。
「ふぅ…」
厨房にて。キョウジがエプロンを外すとそれをフックに掛け、椅子に座って溜め息をついていた。と、その目の前にお茶が滑り込んでくる。
「ん?」
顔を上げると、そこにはモモカの姿があった。
「お疲れさまでした」
にこっと微笑んで礼をするその姿は流石にアンジュの筆頭次女といったところだ。いや、今は筆頭ウエイトレスといったところか。
「ああ、すまない」
そんな、どうでもいいことを考えながらありがたくそのお茶をいただく。適度に冷えたお茶が咽喉と身体を潤し、絶え間なく胃の中へと落ちていった。
「ふーっ…」
一気にそのお茶を飲み干すと、先ほどより大きく長目に息を吐く。その様子に、モモカがクスクスと笑っていた。
「お疲れなんですね」
「ああ、まあな」
「ですよね」
そしてまた笑った。どうしてキョウジが疲れているかよくわかっているモモカには面白くて仕方ないのだろう。
「モテる男はつらいわよね」
アンジュも近くにいたのか、会話に入ってくる。
「何だ、お前もいたのか、アンジュ」
「失礼ね。いたわよ」
「姿が見えなかったのでな」
「ちょっと他の連中とお茶してたの」
「そうか」
店側の人間がそれはどうなのかとも思ったが、今日は通常営業ではなく貸し切りのパーティーみたいなものだから構わないかとキョウジが判断した。
「モモカ、飲み物やお菓子が足りないみたい。運ぶから手伝って」
「はい、アンジュリーゼ様」
「キョウジ、あなたの作ったお菓子も拝借するわよ」
「ああ。そうしてくれ」
「サンキュ」
アンジュはモモカにテキパキと指示を出すと、トレイにお菓子や飲み物をのせ、モモカを引き連れて厨房を出ていった。
「ご苦労なことだ」
二人を見送ったキョウジが苦笑する。そしてゆっくりと立ち上がると、自分の作ったお菓子の様子を見に行った。
「…予想はしていたが、ほとんど持って行ってくれたようだな」
自分が作って焼きあがったばかりだったカップケーキ、マドレーヌの類をあらかた持っていかれたキョウジは、その残骸に苦笑した。残っているのはカップケーキとマドレーヌが合わせて二・三個という有様である。
「まあ、元々あの連中のために作ったものだから構わないがな」
逆に、これだけサッパリとしていてくれると諦めがつくものでもある。とは言え、中途半端に残っているのもまた事実。
「さて…」
余ったお菓子を回収し、どうしようかと考えるキョウジ。
(ヴィヴィアンあたりに持っていくか)
あいつなら、たとえ満腹でも現物を見せたら噛り付くだろう。キョウジはそう判断してそれを手に取ろうとした。そこに、
「あ…」
遠慮がちだが、ハッキリとした誰かの声が聞こえてきた。
(ん?)
誰かと思って声のした方向に振り返ると、そこには珍しい顔があった。
「お前たち」
「あ、あははは…」
「あ、あの、こんにちは」
見つかってしまってバツが悪いのか照れ臭いのか赤くなってペコリと頭を下げたのは、ココとミランダだった。この二人もご多分に漏れず仮装しているが、先ほど絡んできた面々と違い、普通にお化けっぽい衣装に身を包んでいる。
(やはり、これが普通だよな…)
先ほどの、ある意味目の毒の仮装を見てわずかながらも毒されていたキョウジの意識だったが、今目の前の二人の姿を見てうんうんと内心で頷いたのだった。
「何か用か?」
そして、ここにやってきた用向きを尋ねる。
「あ…えっと」
二人の中でお姉さんの立場であるミランダが言葉を濁したが、
「Trick or Treat!」
ココは物怖じすることなくキョウジに近づくと、手を差し出したのだった。
「ちょ、ちょっと、ココ!」
慌ててミランダがココのところに駆け寄ってくる。
「やめなよ!」
「えー? 何で?」
「何で…って、だって…」
ミランダがチラチラとキョウジを見る。幼い、物怖じしないココはこうやって無邪気に踏み込めるが、ココよりも少しお姉さんであるミランダは、良く知らない他人と接するときに相手の立場とか自分たちがどう思われているかなど色々と考えてしまい、そのために一度線を引いてしまうのである。
「フッ…」
その対比が面白かったキョウジが軽く息を吐いて微笑み、残っていたカップケーキ・マドレーヌを二人の前に差し出した。
「これでいいかな?」
「わあ♪」
「美味しそう…」
目をキラキラさせているココと、思わず本音が出てしまったミランダに苦笑しながら、キョウジが椅子をすすめた。二人がそこに座っている間にお茶とフォークを用意して戻ってくる。
「召し上がれ」
「ありがとう!」
「あ、い、いただきます」
「どうぞ」
キョウジの許可を得たココとミランダはそれぞれカップケーキを口に運ぶ。
「んーっ!」
「凄い…美味しい…」
ココは表情で、ミランダは言葉で感想を述べ、その評価にキョウジは満足しつつもホッとしていた。こういう評価を得たのだったら、エルシャやドラゴンの子どもたちもおおむね満足してくれただろうことが予想できたからだ。と、余程美味しかったのかそれとも単に空腹だったのかは知らないが、カップケーキが二人の腹の中にあっという間に消えていく。そして、
「美味しかったー」
「ご馳走様でした」
ほぼ同時に、二人が食べ終えたのだった。
「お気に召したようで何よりだ」
キョウジが微笑む。そして、
「ふむ…」
一つだけ残ってしまったマドレーヌをどうしようかと持て余していた。と、視線を感じる。
(?)
見てみると、ココとミランダが目を輝かせながらそのマドレーヌを見ていた。その姿にまた苦笑すると、
「まだいけるか?」
と、マドレーヌを指さしながら尋ねる。
「うん!」
「大丈夫です」
ココとミランダが了承の意を伝える。ミランダもカップケーキを食べて落ち着いたのか、随分と肩の力が抜けているようだった。
「そうか。では、暫し待て」
キョウジは二人にそう伝えると、一度後ろへ引っ込んだ。そして、マドレーヌを二等分して戻ってくる。戻ってきたキョウジは、二等分したマドレーヌをココとミランダそれぞれの皿の上に置いた。
「どうぞ」
「はーい!」
「ありがとうございます」
そして二人はマドレーヌに噛り付き、あっという間にそれもそれぞれの腹の中に消えたのだった。
「はふぅ…」
「美味しかったぁ…」
「それは何より」
お茶を飲んで咽喉を潤し感想を述べたココとミランダにキョウジが微笑む。思えばエルシャの子供たちとアンジュたちのちょうど中間ぐらいな年齢ということもあり、子供とも大人とも言えるなかなか交流のない年代である。
(サイ=サイシーと同年代ぐらいか?)
ふとそんなことを考え、キョウジは少しだけ懐かしくなった。
「楽しんでいるか?」
だからこそか、キョウジは何の気なしに尋ねてみた。
「うん!」
「はい!」
それに対して二人がとてもいい笑顔でニッコリ笑って答える。
「私の望んだような外の世界…夢の世界じゃないかもしれないけど、それでもとっても楽しい」
「本当に。毎日、それこそ夢みたいです」
「そうか」
そう言ってくれるのであればあの時助けた甲斐もあったものだ。キョウジはそう思って軽く微笑んだ。と、
「あのぉ…そういえば…」
何かに気付いたミランダがおずおずと口を開いてきた。
「ん?」
「その…色々あって今まで言いそびれてたんですけど、私たち、助けてもらったお礼をしてなかったと思って」
「あ、そうだ!」
ココもそれに気づいて驚きで口元を抑える。そしてお互いの顔を見合わせるとうんと軽く頷いた。
「その、その節はありがとう」
「おかげで助かりました」
そしてココとミランダが深々とキョウジに頭を下げた。
「もういい」
その姿にキョウジが苦笑する。二人の心遣いにジンときたというのもあるが、それ以上にお化けの仮装姿で謝られるのが滑稽で笑いを抑えるのに一苦労だったのだ。むしろ感謝するならあの調律者に…と思ったが、手駒として生き返らせたのだからそんな必要など微塵もないかと、すぐにその考えを否定する。
「どうだ? あっちの様子は?」
そのことを紛らわせるためだろうか、キョウジは何気なくフロアの様子を聞いた。
「もう、大盛り上がりだよ!」
「ええ。子供たちもはしゃいでますしね」
ココが嬉しそうにニコニコしながらそう答えた。ミランダもココほどではないが嬉しそうに微笑んでいる。
「そうか。まあここからでは姿は見えないが声は聞こえるからな。楽しんでいるなら何よりだ」
「楽しんでる、楽しんでる」
「ええ。もうこれ以上ないほどに」
そこで顔を見合わせ、『ねー』と声を合わせるココとミランダの二人。その姿にまたキョウジが苦笑した。そして、そのフロアに同じくいるであろうあの連中の姿が浮かんでくる。
「…お前たちは」
「え?」
「ん?」
「…いや、お前たちはああはならないでくれよ」
「ああ…って?」
誰のことを言っているのかわからないのか、きょとんとした顔で首を傾げるココ。しかしミランダはわかったのか、苦笑しながらははは…と誤魔化すことしかできなかった。そこへ、
『あぁー!』
複数の女性の声がキッチンに響き渡り、ココとミランダがビクッと背中を震わせた。対照的にキョウジは、面倒なことになりそうだなと渋い表情だった。
「戻ってくるのが遅いと思って様子を見に来てみれば…」
「何やってんだよ!」
「あらあら、ココちゃん、ミランダちゃん? おいたは良くないわね~?」
「本当に」
「いい度胸してるよ」
「あ、あの…その…」
「別に、そういうわけじゃ…」
キョウジに思いを寄せる女性陣からの指摘にココとミランダが慌てて否定しようとする。だが、そんなものが今の彼女たちの耳に届くことがあるわけもなくニコニコしながら彼女たちが近づいてきた。
「…タスクはどうした?」
そんな中、キョウジが先ほどまで生贄になっていたであろうタスクのことについて尋ねる。
「あいつなら、とっくに轟沈してるさ」
「そうそう。あの坊やじゃあたしらの相手にならないよ」
「だから前菜でなくてメインのミスターを呼びに来たのに…」
「これだもんね?」
「全く…油断も隙もありませんわ」
「え、えと…えと…」
「あうう…」
諸先輩方に糾弾されて(もっとも、本人たちにその気はさらさらないのかもしれないが)ココとミランダがシュンとなってしまった。その姿に申し訳ないと思ったキョウジが、ちょっとした意趣返しを思い立った。
「Trick or Treat」
「へ?」
「え?」
「あら?」
「ん?」
「は?」
突然のキョウジの発言に驚く女性陣。が、キョウジはその手を緩めない。
「お菓子がないのなら、イタズラだな」
楽しそうにそう微笑むと、キョウジはココとミランダをその両脇に抱えた。
「えっ!?」
「ふぇ!?」
驚きと戸惑いを隠せないココとミランダ。そして、
「さらばだ」
それだけ告げるとキョウジはそのまま裏口から逃走したのだった。
「あ、あいつ、逃げやがった!」
「追うよ、お前たち!」
「ふ、ふふふ、ミスターったら…」
「面白いことをしてくれますね」
「さあて、どうやって落とし前をつけてもらおうか…」
酔っぱらってぶっ倒れていたサリアやナオミも叩き起こされ、そしてお化けたち(?)によるキョウジの捜索が始まったのだった。
「ここまでくれば」
一方その頃。当のキョウジは喫茶アンジュよりだいぶ離れたとある草原にいた。そしてゆっくりとココとミランダを下ろす。
「巻き込んですまなかったな、お前たち」
そう言って二人を覗き込んだが、何故か二人はポケーッとした顔でキョウジを見ている。
「? どうした?」
何故そんな顔になっているのかわからず首を捻るキョウジ。と、
「す…凄い凄い!」
いきなりココが破顔して感情を爆発させたのだった。
「?」
何のことかわからないキョウジが相変わらず首を捻る。と、
「ビックリしました…」
今度はミランダが口を開いてきた。
「私たちを抱えたまま、あんなに速く走って滞空時間の長いジャンプするなんて…」
「ね! まるでパラメイルで飛んでるときみたいだった!」
ココは興奮冷めやらず、ミランダは未だ呆然としながらキョウジを見つめている。
「そんなことか」
苦笑すると、キョウジは二人の横に腰を下ろした。
「まあ…昔取った杵柄というやつだ」
「でも凄かった! 魔法みたいだった!」
「それはどうかと思うけど…でも、本当に凄かったです」
「よしてくれ」
ココに羨望の眼差しを、ミランダからは尊敬のまなざしを向けられたキョウジはそのまま横になる。
「どうしたんですか?」
「少し休む。色々あって疲れたのでな。ここまでくればあの連中もそうは見つけられまい」
「いいの?」
「あの連中のことか? 後でいくらでも頭を下げるなり、わがままを聞くなりしてやるさ。とりあえず、今は少し休みたい…」
キョウジはそのまま目を閉じるとゆっくりと眠りに就いたのだった。
「寝ちゃった?」
「うん」
ツンツンとキョウジの頬を突いたて様子を窺ったココにミランダが尋ねる。
「ふふふ♪」
気に入ったのか、ココがそのままキョウジの頬を突いた。
「可愛い♪」
「やめなよ、ココ。目上の人相手に」
「ええ~、いいじゃん」
そのままキョウジで少し遊んでいたココだが、何を思ったのか不意にその隣に同じように横になった。
「こ、ココ!?」
何を!? という感じでミランダが尋ねる。と、
「私も眠くなっちゃった。ちょっと寝るね」
「眠くなっちゃったって…!」
「だって不可抗力とは言え、ここまで連れてこられたんだよ? 連れて帰ってもらえないと帰れないじゃん。だからと言って無理やり起こすわけにはいかないから、それまで一緒にお昼寝する」
「いや、それはわかるけど…」
「ミランダも一緒にお昼寝すれば? アルゼナルじゃないんだから襲われる心配もないし」
「ふえっ!?」
ココの提案に素っ頓狂な声を上げたミランダが固まってしまった。が、ほどなく再起動するとココに文句を言おうとする。しかし…
「ZZZ…」
そのときにはココもまたキョウジと同じく夢の世界の住人だった。
「…もぅ」
このやり場のない気持ちはどこにやればいいのよと、頬を膨らませるミランダ。そのまま少し風にあたってボーッとしてたが、二人が目を覚ます様子は一向にない。そうこうするうちにその姿に中てられてか
「あふ…」
ミランダの口から欠伸が出た。
「っと」
慌てて口を押えてキョロキョロと辺りを見渡すミランダ。が、当然そんな光景を目にしている者などいるわけもない。自分たち以外に人影もない。それを再確認したミランダは再びキョロキョロと辺りを見渡す。そして、本当に他の人影がないのを再確認すると、
「んっ! んんっ!」
頬を赤くして軽く咳ばらいをし、
「お、お邪魔しまーす…」
と、キョウジの横…キョウジを挟んでココの反対側に寝そべった。そして、
「♪♪♪」
キョウジの寝顔を少しだけ見上げてはにかむように微笑むと、そのまま二人と同じように目を閉じて夢の世界の住人になったのだった。
二人の可愛いお化けに挟まれた英雄が目を覚ましたのは、英雄に恋い焦がれる彼女たちに見つかる前のことだったかそれとも後のことになったか…それはまた、別の話。