Plongez dans le "IS" monde.   作:まーながるむ

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たいっへん、お待たせいたしました。
最後の更新がちょうど二年前。
そしてプロットだけでも公開します!といってから半年!

アリサの物語がここに粛々と完結します。

プロットをまとめ直してると「あれ、やっぱ続きかけるんじゃね?」とか錯覚したのが最大の原因です、はい。


fin. 無限の成層圏

 アリサの話

 記憶を引き継いだ人格(アリサA)と感情だけを引き継いだ人格(アリサB)に分離中

 日常生活では感情だけを引き継いだアリサBとして過ごしているため他社からは記憶喪失のように映る。

 意識の切り替えはカゲロウ(ミラージュ・ガルゥ)の待機状態であるアンクレットの装着によって起こるが、アリサは任務時以外ではアンクレットを『興国の志』預けており、アリサが望もうとも好き勝手に装着することはできない。

 理由としてはアリサの生存は秘匿されるべきものであり、アリサ専用機として作られたミラージュ・ガルゥがたびたび人前に現れてしまうとアリサ生存が露見する可能性があるため。

 それでも稀にアリサがISに搭乗する理由は『亡国機業』を潰したいスコールがそのための協力者として篠ノ之束に連絡をつけたがっており、ミラージュ・ガルゥが起動している間の位置情報を束に探知させて誘い出そうとしているため。

 互助組織としての興国の志へアリサが望んだことは二つあり、一つは『亡国機業からシャルロットの身を守ること』、もう一つは『不破アリサとしての記憶を取り戻す』ということである。前者はアリサAの願いであり、後者はアリサBの願いである。

 サナトリウムを飛び出す際に、アリサAは興国の志の構成員として、アリサBの願いを叶えるため記憶を受け渡し表舞台から去る(正確にはアリサの能力『並列処理』によるバックアップ人格の座に収まる)。

 一方、記憶を回復したアリサBだが分離前のアリサと違ってその記憶に対しての実感が沸かず、シャルロットを一目でも見るため『興国の志』の面々の反対を振り切ってIS学園へと赴く。

 しかし前年度のキャノンボールファストでの惨事により生徒の一部はアリサを見るだけで恐慌状態となり、当然ながらセシリア、ラウラと刃を交えることとなる。その戦いの中でISの操縦の勘を取り戻していくアリサは完全ステルスというセシリアとラウラの二者にとっては鬼門ともいえる特徴により最終的には圧倒することになるが、とどめを刺さずに撤退。

 

 リリティアの話

 サナトリウムを飛び出したアリサを追って学園まで行ったリリティアはアリサの撤退までの顛末を見て当然だとは思いつつ同情をする。

 そしてアリサのイメージ回復のために学園で動こうとしたが「それは意味がない」とスコールと、よりによってアリサ本人から一蹴される。ならばどうするのか、というリリティアの答えに対して返ってきたのは『アリサを殺したと思っていることで消沈している織斑一夏を学園に復帰させること』であった。

 一夏が毎日のように学園を抜け出しており、そのことは既に把握していたため接触は容易だったが何を言っても一夏は立ち直らず、仕方なくアリサと対面させることになる。

 はじめは信じられないといった表情の一夏であったが話していくうちにアリサが本当に生きていたことを実感し、それでも確かにアリサを刺したということに対して謝罪する。それに対してアリサは

「背中のやけどに脇腹の刺し傷。太ももに銃創ときて、またお腹に刺し傷が遺っちゃいました。これじゃもう新しい恋は探せないので、是非ともシャルとよりを戻すのに協力してください」と発言。一夏はこれに対して納得できない命令には従わない、という条件で承諾する。

 アリサがより詳しく『興国の志』について一夏に説明しているところでリリティアが気を失い倒れこむ。

 すぐに目を覚ますが、その口から出てきた声はリリティアのものではなく篠ノ之束のものであり、その声が「これから二人を迎えに行く」と告げるのと同時に『興国の志』のアジトが束本人により襲撃を受ける。

 その戦いの中で明かされたのは束とリリティアの関係。

 もともとリリティアは束が何の気なしに気まぐれで開発した『人工DNA』により作られた人間もどきであり、リリティアがPMCに所属する以前の記憶はすべて束による捏造であること。また、アリサの記憶を持っていたことについてもアリサが行方不明になった際に思い付いたプランであり、その記憶を持たせてIS学園に送れば勝手にアリサを探し出そうとするだろうと期待していたという。リリティア専用機であるクイーン・オブ・スノウも専用機持ちというある程度の立場があった方が動きやすいだろうからという理由だけで作られた機体であった。

 戦いの中で真実を知ったリリティアの悲しみに呼応したクイーン・オブ・スノウは第四世代型へと進化する気配を見せたが、それすらも束による外部からのアクセスで強制的に止められてしまう。しかし機体の進化は束にとって予想外のことであり、それに対応したために生まれた隙をついてアリサと一夏が束を取り押さえる。

 二人の説得により大人しくなった束の前にスコールが現れ、束は彼女に「雨ちー、久しぶりー♪」と和やかに声をかけ、スコールもそれに対して「束……相変わらずね」と言葉を返す。

 話によると二人と織斑千冬を合わせた三人は小学校時代からの幼馴染であり、スコールは束と千冬の調整役のような役割を兼ねていたという。

 スコールは一夏の携帯電話から千冬へと連絡を取り、束と千冬の二人にそもそもの原因でもある亡国機業をつぶそうと持ちかける。

 

 スコールと亡国機業解体の話

 亡国機業はそもそもスコールが昔からの習慣の延長として、ISという兵力を得た束と千冬の二人が何かのきっかけで仲違いをしたときに争いを止められるようにと設立した団体であった。

 いくつかの噂(第二次世界大戦時から存在する、など)を利用して規模を大きくしていくうちに世界への影響力を持つようになったが、その物騒な噂によりならず者やマッドサイエンティストが集まるようになり、スコール自身が機業内での身分を隠していたこともあり兵器部に代表される他の過激な派閥が力を持つようになり、いつしか亡国機業は噂通りの組織になってしまっていた。

 そこで身から出た錆を削ぎ落すことと、機業によって人生が狂ってしまった人々を少しでも救うということの二つの目的のために互助組織としての『興国の志』を立ち上げる。

 スコールが面倒を見ている浦霧はもの(=黒谷双音=バックナイフ)はその初期からのメンバーであり、彼女の姉の仇であるアーダルベルト・フォン・クルーガーは兵器部の主任であると同時に現在の亡国機業の中枢でもある。

 国際指名手配犯であり亡国機業の一員であることも判明しているアーダルベルトをはじめとする過激派一派を『興国の志』の名で下すことができれば、双音の復讐と同時に『興国の志』が亡国機業を内部から打ち崩したいわば“正義の集団”であることを印象付けられるだろうと目論んでいる。

 結果としてスコールと束、千冬が主導して亡国機業の兵器部を壊滅状態へと陥らせ、アーダルベルトはその戦闘の最中に建物の倒壊に巻き込まれたとされ、頭部以外は人としての形すら残っていなかったという。

 

 アリサのその後

 キャノンボールファストの際のアリサの行いも実際には専用機持ち以外の一般生徒を傷つけていないということ、そしてなにより兵器部とIS委員会の間につながりがあったこと(キャノンボールファストの際に教員に告げられた戦闘への不介入指示など)により世論の見方がかわり、何よりフランス政府とデュノア社がすぐさま「ミラージュ・ガルゥは不破アリサのために調整された機体であり、私たちは正しき目的のために彼女を送り出した」とアリサが亡国機業へのスパイであるかのような声明を出したことでアリサの行いにも一定の正当性があると受け止められる。

 ただし、その事実があったとしても学園の生徒に刻まれた心の傷は癒えるようなものではなく、アリサの通学は難しいと見なされ自由通学という名で実質的には卒業措置が取られた。

 しかし亡国機業がIS委員会と繋がっていたこと、そしてそのIS委員会が世界で唯一のIS学園に対して強い権限を持っていたことが問題となり、IS学園の管理体制は一度はパワーバランスの関係で危惧され実現しなかった各国の政府による連盟へと路線変更となり、その主導的な人物として束と千冬、スコールが参加、まず最初の改革としてヨーロッパに第二のIS学園を作り、定期的にお互いの学園にいる各国の代表候補生や専用機持ちを交換留学生として交流させるという方針が打ち出され、それは約一年後、アリサ達の学年が三年生となる年に実現された。

 アリサはヨーロッパ校の生徒として卒業を果たし、それと同時に専用機であるミラージュ・ガルゥのコアの所持権を放棄するが、世界で唯一である自律進化プログラムが組み込まれたコアが奪い合いになる可能性を危惧し、本来の持ち主である束に返却する。

 さらに第三世代型IS以降の機体を開発しないと明言したフランスにとって最大の戦力であるシャルロット・デュノアと結婚、もとい民事連帯契約(PACS)を結び同居を開始。一方でパティシエとしての修業を始めるが、その様子がセシリア・オルコットが代表を務めるイギリスのIS専門雑誌『IS TIMES』にたびたび登場し、巨悪を打ち倒した英雄の一人として本人も知らない間にファンが増えていく。

 

 リリティアのその後

 自らが束の手によって作られた存在であると知ったリリティアは一時期、ひどく憔悴し日常的な行為にすら手が付かなくなっていた。

 しかし、友人である黒谷双音(浦霧はものという名前はアーダルベルトへの復讐を果たすと同時に捨てた)が人体一体型ISへの拒否反応による高熱に倒れたことをきっかけに気を持ち直し、友人を救う手立てを探すが、人体一体型ISのメンテナンスは開発者でもあるアーダルベルト以外には未知の領域であり、その資料もアーダルベルトの死亡とともに行方知らずとなってしまっていた。

 双音が倒れた数日後、一向に体調がよくならないためにリリティアは覚悟を決めて自らの創造主である束に連絡を取り、ISの第一人者としての知識で双音を救ってほしいと依頼する。

 束は持ち前の自由さでこれを一度は拒否するが、リリティアが負けじと「私を造ったんだから、あなたは私のお母さんなんでしょ! たまには優しくしてよ!」と言い、それが『興国の志』のネットワークを介してアリサに伝わり、アリサからも依頼されたことで束はしぶしぶ承諾、ものの十数分でメンテナンスを終える。さらに「私も暇じゃないんだから、早く覚えてよね」とリリティアにメンテナンス方法も教えた。

 これがきっかけでリリティアはもとからあまり適性の高くなく、こだわりもなかったISの操縦者としての道を捨て、黒谷双音専属の整備士としての道を歩む。

 

 さらに四年後

 そもそもの篠ノ之束の夢である宇宙開拓用の人型装甲機『アウトサイダー』が披露され、その搭乗者としてアリサが選ばれる。

 無限の可能性を秘めながら武力へと利用されてしまったことで、その名の通りの無限の成層圏(インフィニット・ストラトス)を作り出してしまった人類が、とうとうその外側(アウトサイド)――宇宙へと進出した瞬間である。

 




第一話の投稿がおそらく6年前。
第二部完結まではすらすあと行きましたが……
……打ち切りだと思ってた原作に最新刊が出たことになんともアレな気分になったのを思い出します。

ちなみにこのプロットもMF文庫版の7巻までの情報をもとに書かれているので、亡国機業周りの設定は原作とは全然違いますね。
個人的に原作よりも自分の設定のほうが好きでした(当たり前

ちなみに一応は完結した今だから言えますが実は百合はどちらかというと苦手だったりします。
恋愛描写とかちゃんと書けてたんかなーと思ったりもしますが、ちょっと読み直して文章に恥ずかしくなったので確認はもう少し大人になってからに(
公開していませんが手慰みにオリジナルを書いてたりするのでまたお世話になるかもしれません

(いまは細々とクトゥルフTRPGシナリオ書いたりしてます)

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