Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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エピローグ:地獄にて

 

 

 

 

 

 

ここは地獄。

 

 

 

 

 

 

地上世界の崩壊も免れ、ゾンビピッグマンやブレイズも監視を終えて

いつもの仕事に戻っていた。

 

 

ゾンビピッグマンが十人の罪人達を歩かせる。

 

 

 

彼らが向かっている彼方には灼熱の炎があった。

 

 

ここで罪人達は身を燃やされ、魂はガストと化し地獄をさまようのだ。

 

 

 

 

 

その中にはフェリクスもいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャン…ガチャン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足かせが重く地獄に響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェリクスは苦悶の声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱い。苦しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてくれぇ…」

 

 

 

「…その痛みは、今までに犯した罪の大きさを表している。

 

お前は世界規模の罪を犯したのだからな。痛いのも当然だ。」

 

 

ゾンビピッグマンは冷静に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

バァアアアアン…!

 

 

ガラガラガラ…

 

 

 

 

「!?…地獄の天井が…!!」

 

 

 

 

地獄の天井が壊れ、赤い空が見えている。

 

 

 

 

天の声が響く。

 

 

 

「エーテル(天国)から一人の天使が…自ら堕天使と化して地獄を目指している…」

 

「なんですと!!!」

 

 

 

 

空いた天井から黒い羽根をした女の堕天使が舞い降りた。

 

 

 

ブレイズ軍団が動き出す。

 

 

 

ボッ!!           ボッ!!

      ボッ!!             ボッ!!

          ボッ!!

    ボッ!!           ボッ!!

 

 

 

炎の弾丸が堕天使を襲う。

 

 

 

 

シュゥ!

 

     シュィ!!

 

 

  シュゥウゥ!!

 

 

 

 

堕天使は機敏な動きでそのすべてを避け罪人に急接近する。

 

 

 

 

 

「この…!!」

 

 

 

 

ゾンビピッグマンが剣を振りかぶる。

 

 

 

ドン!!

 

 

 

堕天使はそのままゾンビピッグマンの顔に足蹴りをくらわす。

 

 

 

「ぶほぁ!!」

 

 

 

バタン!!

 

 

カララン…

 

 

金の剣が転がり、

 

 

ゾンビピッグマンは伸びてしまった。

 

 

 

堕天使は一度勢いをつけるため通り過ぎる。

 

 

 

そして罪人にむかって高速で飛ぶ。

 

 

 

そして一言叫んだのだった。

 

 

 

 

「フェリクス!!腕あげて!!」

 

 

 

 

 

罪人の中の一人が反応し、咄嗟に手を上げる。

 

 

 

 

 

堕天使はその手を掴んだ。

 

 

 

ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ…

 

 

 

しかし手かせが十人についている。

 

 

 

「おお!いいぞ!!姉ちゃん!」

 

 

「そのままここから連れ出してくれ!!」

 

 

 

他の罪人たちが騒ぎ立てる。

 

 

 

堕天使は倒れたゾンビピッグマンの金の剣を持ち、他の鎖を断ち切った。

 

 

 

 

チャキン!!

 

 

 

 

堕天使とフェリクスは赤い空へと向かっていく。

 

「こ…」

 

 

 

「「「「「「「「「この期待外れやろぉおお!!!」」」」」」」」」

 

             「ふざけんなああああああ!!!」

「ゆるさねぇぞ!!」

 

 

後ろの罪人達の怒号には目も触れず。

 

 

 

堕天使は地獄から脱出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

地獄の穴を移動中。

 

 

堕天使は泣いてつぶやいた。

 

 

 

「…ごめんね…ごめんね…

私が…あんなこと言ったから…」

 

 

「ヴェロニカ…」

 

 

「私は…あなたの人生を…狂わせてしまったのかもしれない…」

 

 

フェリクスは笑いかけた。

 

 

「君が、あの言葉をかけてくれたから。

 

俺はくだらないことやって、結局負けたんだ。

 

でもそのおかげで、俺はこの世界が素晴らしいって気付いたよ。

 

君には、最後まで助けられてしまったね。」

 

 

「…フェリクス…!!」

 

 

周りが光で包まれた。

 

 

 

 

 

そこにはエーテルの広大な空が広がっていた。

 

 

ヴェロニカは話す。

 

 

「…あなたと、この景色を一緒に見たかったんだ…」

 

「…そうだったのか。」

 

「この後は、私もあなたも、地獄へ落とされることになっちゃうけどね…」

 

ヴェロニカは悲しい表情を浮かべる。

 

 

 

「俺は、今が一番幸せな時間だよ。」

 

 

 

ヴェロニカはフェリクスを見る。

 

 

 

「世界一素晴らしいものを、僕にとって世界一きれいな人と一緒に見られるんだからね。」

 

 

ヴェロニカはフェリクスの笑顔に、つられて笑う。

 

 

 

 

 

 

「私も!」

 

 

 

 

 

 

分厚い雲に、くっきりと二人の影が映し出されていた。

 

 

 


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