Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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60:結末

 

 

 

 

 

戦士達は目を開ける。

 

 

 

 

 

 

Mr.Fの姿が消えただけで、何も変化はない。

 

 

 

 

 

 

「…?…何も起こらない…」

 

「Mr.Fは何をしたの?」

 

「さあ…まさか嘘言って逃げ出したんじゃねぇの?」

 

「はは…所詮はチキンだったってわけか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…違うぜ…」

 

ヒドラは足元の違和感を感じた。

 

 

 

ヒドラは声を張って叫ぶ。

 

「お前らぁ!!全員歯ぁ食いしばっとけ!!

 

これから来るのは…災害だ!!!」

 

 

 

『ははははは!!…さあ…戦士達よ…災害に耐えてみるがいい…!!』

 

世界に大きな声が響き渡る。

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!

 

 

「うわああああ!!」

 

「コァア!コァア!!」

 

「オーーーン…!!」

 

「きゃあああ!!」

 

 

戦士達は悲鳴を上げる。

 

 

地面が大きく揺れだす。

 

 

バリ…バババババ…!!

 

 

火山に亀裂が入る。

 

 

バァアアアアアアアアアン!!!!

 

 

 

火山が噴火した!!

 

 

 

火山弾に、大量の煙が向かってくる…!

 

 

「全員逃げろぉおお!!」

 

ルーフス達も飛行艇から飛び降りて逃げる。

 

 

「あんちゃん!」「チェリーさん!」

 

ジャックとココアはルーフス達を見つけた。

 

「おう!よかった、お前ら無事だな…

 

逃げるぞ!!」

 

 

 

 

「恐竜たちはまた俺の船に乗るんだ!あわてるな!!」

 

スタークが誘導する。

 

「どこまで持つかは分からないが…我々はバリアを張るぞ!」

 

「分かった!!」「おう!」「うん!!」

 

 

ヒドラと王様、弟子三人組、ナーガは前に魔法で壁を作る。

 

煙はバリアに防がれ、上に上がっていく。

 

しかし火山弾は戦士達の頭上へと降り注ぐ。

 

 

赤い牛男がでしゃばってくる。

 

「俺の出番のようだな!!マッス…!」

 

「待て!壊したらもっと被害出るだろ!!

 

ここは…避けるんだ!!」

 

「私がいこう…」

 

名乗り出たのは巨人だ。

 

 

 

巨人は巨大な剣を腰に差して一つの火山弾へと向かう。

 

 

 

「こんなものなど…私の手のひらに劣る大きさだ…」

 

 

 

バシュッ…!!

 

シュゥウウ…!!

 

 

巨人の顔がゆがむ。

 

熱さで手が少し焼けた。

 

 

巨人はがっちりと掴み、

 

近くの海へと放り投げた。

 

 

 

バシャアアン!!

 

 

 

 

 

「「「「おおおおおお!!」」」」

 

「いいぞ!巨人!!」

 

 

 

巨人は汗を流して答える。

 

 

「これで終わればいいがな…」

 

 

 

 

火山弾はまだ降り続ける。

 

 

「さすがにこの量は受け止めきれん…!!」

 

 

「やばい!!次の奴が来るぞ!!」

 

 

火山弾は船に近づいてくる。

 

 

「まずい!!後退できるか!?」

 

 

「間に合いません!!」

 

 

 

ゴゴ…!!

 

 

 

「「「「ん?」」」」

 

 

船が後ろに動いた…?

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ…

 

 

 

ジャバァアアア…

 

 

 

 

船が勝手に後ろに動いている…!!

 

 

バッシャァアアアン!!

 

 

 

間一髪。

 

 

 

火山弾は島の岸に落っこちた。

 

 

大量の水しぶきが船に降り注ぐ。

 

 

スターク船長は海を見る。

 

 

 

「おお!!シャーコじゃねぇか!!」

 

 

そこにはたくさんのサメが船を押していた。

 

 

「久しぶりだな。今日は俺の友人達を連れてきたぜ。」

 

隣には照れながらあいさつする人魚がいた。

 

 

 

「おお、これはかわいい友達じゃねぇか…

 

お前らありがとう!!恩に着る!!」

 

 

 

「船は任せとけ。俺らがうまく避けてやっからよ!」

 

 

 

「…あとは地上だ…巨人だけで防げるはずがない…!!」

 

 

ごっきゅっごっきゅ…

 

 

ブラキオサウルスのルーパが必死に海水を飲んでいる。

 

 

「ルーパ…あなた…何する気なの?」

 

エミリアは不思議そうに見る。

 

 

 

「こっちくるぞ!!」

 

 

ルーパは口から水鉄砲を噴射する。

 

 

 

シュパアアアアアアア!!

 

 

 

火山弾の勢いが弱まり…

 

 

なんとかバリアの向こう側へ落ちた。

 

 

 

ドォオオオン!!

 

 

 

 

グァァオオオ…

 

 

 

ドォオオオオオオン!!

 

 

 

火山弾にエンダ―ドラゴンが突撃する。

 

シャァアン!!

 

火山弾は海へと落ちていった。

 

 

 

 

火山弾は次々に巨大な戦士たちに防がれていく。

 

 

 

「いいぞ!!」

         

           「ありがとよー!!」

 

 

 

 

「…よし、もうバリアはいいだろう…」

 

「次はどうするぶん?」

 

「ん…そうだな…どうすれば…」

 

「おい、おっさん。」

 

 

 

 

そこにいたのはメイド服の娘。

 

しかし姿が変わり王様のすがたになった。

 

 

「お前は…へロブラインか…」

 

 

へロブラインは魔法世界の住人達に呼びかけた。

 

 

「みんな、魔力を充填させておけ。俺に策がある。」

 

 

 

『…ぐぅう!!…体が痛い…引き裂かれる…!!』

 

 

王様は惑星の声に気付く。

 

「副作用が始まったようだ…

 

奴は制御できなくなるだろう。」

 

ヒドラは受けた。

 

「…災害が収まりゃ吉、災害の猛攻が始まりゃ、凶ってこったな。」

 

「…神様…どうか…」

 

「どうか幸運を…」

 

 

 

 

 

 

 

ヒュゥウ…

 

 

 

 

 

 

ヒュォオオオオオ!!!

 

 

 

 

 

 

 

ビュゥウウウウウウウウ!!!

 

 

 

 

 

 

突如火山のふもとに竜巻が出現した。

 

 

 

巨人が丸くすっぽり収まってしまうような巨大な竜巻。

 

 

 

戦士たちは絶望した。

 

 

 

 

 

「なんだと…」

 

 

「あんなもん…」

 

 

 

「どうやって避ければいいんだよぉお…!!!!!」

 

 

 

 

竜巻はこちらに急接近してくる。

 

 

 

 

エミリアが叫ぶ。

 

 

 

 

「みなさん!!恐竜の足につかまって!!!」

 

 

巨人も叫んだ。

 

「俺にもじゃんじゃんつかめ!!!」

 

 

 

 

戦士たちは大きな恐竜と巨人の足を掴む。

 

 

 

 

 

 

 

「絶対に離すなよ…!!!」

 

 

 

 

ビュォオオオオオオオオオ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

火山は煙の混じった暴風に包まれて何も見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴風がやっと晴れた。

 

 

 

 

戦士達は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…死ぬかと思った…」

 

 

 

どうやら全員無事のようだ。

 

 

 

 

『…………』

 

 

 

 

 

 

世界は静かに唸っている。

 

 

 

「…どうやら魔力が衰え始めているようだ。

 

では諸君!!…へロブラインに魔力を送るのだ!!」

 

 

「OK、任せとけ…!」

 

へロブラインは呪文を唱える。

 

 

 

 

 

 

 

Morphの魔法を無効化する魔法を唱えているのだ。

 

 

 

 

 

 

しかしへロブラインだけでは魔力が足りない。

 

 

 

 

 

 

そこで魔法世界の住民が魔法を送っているのだ。

 

 

 

 

 

 

…!!

 

 

 

 

 

 

(何やら違う輩からも魔力が送られている…?)

 

 

 

 

 

船の上から。

 

 

 

スターク船長がへロブラインに向かって手をかざす。

 

 

クレイソルジャーズ達も小さな手をかざしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

(ありがたい…魔力は十分足りた…!!)

 

 

 

 

 

 

(今…!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界はまた光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

戦士たちは閉じた目を開ける。

 

 

 

 

 

 

大地にMr.Fが横たえていた。

 

 

 

「死んだのか?」

          「動かないな…」

 

 

 

 

 

 

戦士達全員が駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

Mr.Fは目を覚ます。

 

 

 

 

 

 

 

「…これで終わりだ…」

 

 

 

 

 

Mr.Fはふらふらと周りに落ちていた石を取る。

 

 

 

 

 

 

そして弱弱しくルーフスに投げつけた。

 

 

 

 

 

ルーフスの頬に石がぺしっと当る。

 

 

 

 

「…よせ、体に響くぞ。」

 

 

戦士たちはその反撃を沈黙してみていた。

 

 

Mr.Fはルーフスに殴りかかる。

 

 

ぱしん。

 

 

ルーフスの頬にこぶしが跳ね返される。

 

 

 

「…やめろ。」

 

 

 

「まだだ…次で…」

 

 

フェリクスはもう一回殴ろうとした。

 

 

 

 

そのまま肩から崩れ落ちる。

 

 

 

ドサッ…

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

フェリクスは震えながら右腕を持ち上げて殴る構えをしようとする。

 

 

 

「やめろ!!!」

 

 

ルーフスは怒鳴る。

 

 

フェリクスの体がびくっと驚き、腕が落ちていった。

 

 

「世界は消えないのか…世界は終わらないのか…!!

 

消えろ消えろ消えろ消えろ!!みな消えてしまえ!!

 

このくそ野郎がぁあああ!!!あああああああああああああ!!」

 

 

フェリクスは混乱しているようだ。

 

無茶苦茶に叫び始めた。

 

 

 

ちょん…

 

ルーフスは人差し指でおでこを軽く突く。

 

 

 

フェリクスはそのまま後ろの大地へと開いた。

 

 

 

フェリクスは涙に染まった目を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェリクスは叫ぶのをやめた。

 

 

 

 

そこには無限に、壮大にひろがる星空があった。

 

 

 

こんなものがこの世界にあったなんて。

 

 

 

「どうだい?この世界で、何よりも一番素敵なものさ。」

 

ルーフスは笑顔で言った。

 

 

 

戦士達も星空を見上げる。

 

 

「おお…」

 

        「すげえ…」

 

  「戦いで気にも留めなかったが…本当に素敵な景色だ…」

 

 

 

 

フェリクスは違う涙を流して笑って言った。

 

 

 

「…なんて…最高な世界なんだ…!!」

 

 

 

私はこの世界の影しか知らなかったのだ。

 

 

私のこれまでには感動が無かったのだ。

 

 

だからくだらない計画なんか立てて。

 

 

くだらない計画をくそまじめに実行して。

 

 

 

くだらない敗北をしてしまったんだ。

 

 

 

 

 

もう世界が存在しようが、どうでもいい…

 

過去の悪い思い出などどうでもいい…

 

 

 

 

 

今私が思うのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて素晴らしい世界に、私は住んでいたのだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこの巨人よ。」

 

 

 

「…ん?」

 

フェリクスは巨人を呼ぶ。

 

 

 

 

「俺を連れて行ってもらいたい場所がある。」

 

 

 

巨人は不機嫌な顔をする。

 

 

「さっきまで世界をどうかしようとしていた男の頼みを

引き受けるバカがどこにいよう…」

 

 

「…自殺を懇願してもか?」

 

 

巨人は驚愕の目をフェリクスに向ける。

 

 

疲れ切ってるが、目はどうやら本気のようだ。

 

 

 

「…分かった。」

 

 

 

戦士たちはフェリクスを運ぶ巨人の様子を見つめている。

 

 

「…火山の火口だ。」

 

「おうよ。」

 

 

ドスン…

 

 

 

ドスン…

 

 

 

ドスン…

 

 

「…巨人さん、ちょっと失礼します。」

 

 

「おう。」

 

 

ルーフスは勝手に巨人の腕に乗る。

 

 

 

「なんで自殺するんだ?」

 

 

 

「俺にはこれから生きる義理はないよ。」

 

 

 

「…そうか。」

 

 

フェリクスは笑う。

 

 

「まさか俺を止めに来たんじゃねぇだろうな?」

 

 

「別にとめないさ。お前の決断だ。それに…」

 

 

 

「彼女もあっちにいるんだろ?」

 

 

 

 

フェリクスは笑う。

 

 

 

 

「ハハ…どうせ会えねぇだろうけどな。」

 

 

「そうか?俺は会えると思うけどな?」

 

 

 

 

火山の火口に到着した。

 

 

 

 

「お前らには迷惑かけちまったな。」

 

 

「なぁに、旅には刺激が必要さ。」

 

 

「…よく言うぜ。」

 

 

フェリクスとルーフスは笑いあう。

 

 

 

人生最後の笑い。

 

 

巨人が問う。

 

「お二人さん、もういいか?」

 

 

「ああ。」

 

「わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

「「あばよ。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

巨人の手のひらがひっくり返される。

 

 

 

 

 

フェリクスは火口へと落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

フェリクスの目には星空が映る。

 

 

 

 

 

 

ありがとう、世界…

 

 

 

 

 

 

フェリクスは笑ったまま溶岩に包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、フェリクスの野望は打ち砕かれ、

 

 

 

 

 

 

世界は救われたのだった…

 

 

 

 

 

 


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