Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
ルーフス達は目の前の絶景に驚愕する。
6色程の固い粘土層が積もった気候帯。
今までの風景とは正反対の色彩を持った気候帯に、ルーフス達は唖然としていたのだ。
「すげぇ…」
「メサバイオーム…侵食によって形作られた美しい台地だよ…!」
「絶景ですね…」
ココアは何も言わずに口を開いていた。
「すごい…」
ココアが一つつぶやいた。
「この世界に…こんなきれいな場所があるなんて…!」
「本当だな…」
ルーフスは続ける。
「ココア…俺たちはよ、お前に会うまでもいっぱいすげぇ景色を見てきたんだ…
でも、世界にはまだまだ、星の数ほどきれいな景色があるんだろうな…!
お前も、その景色の数々を、これからいっぱい見られるよ!」
ココアは笑顔でうなずいた。
「ワン!ワン!」
ステーラがルーフス達を急かす。
「ははは…分かった、ステーラ…じゃあ行くか!」
ルーフス達は歩を進める。
ルーフス達の横を切り立った崖が通り過ぎていく。
橙色をベースに、青色、白色、茶色…
自然が作り出したとは思えない色の数々。
「本当に不思議だよね…なんでこんな色の土が自然に出来たのか…」
「鮮やかだねー…」
「ワンワン!」
ジャックが指差す。
「あれ、あそこに人だかりが出来ているよ?」
見ると崖の上に人がざわざわといる。
「あ、本当…」
「何をやってるんだ…?」
「行ってみましょう!」
ルーフス達は崖の上によじ登る。
台地の上ではカメラやマイクもセットされ、
壇も設けられていた。
帽子を被った人達があわただしく動いている。
人ごみの一人に話を聞いてみた。
「すみません、この人だかりはなんですか?」
「ああ、今から宇宙船ホープスター号の発射式が始まるんだよ!」
「宇宙船!?」
「そう、今回はロバート・バーリスが月への着陸を目指して、
1年間、宇宙を旅するのさ。今、彼の偉大なスピーチが始まるから、是非、聴くといいよ。」
パチパチパチパチ…
壇上に宇宙服を着た一人の男が現われた。
長い鼻に青い目、さっぱりと切った金髪に、がっしりとした体格だ。
ロバートがマイクに向かって話し始める。
「皆さん。私は今回、初めて宇宙に行けることに感謝します。
私がこの壇上に立てるのも、宇宙に行くために指導指示をしてくださったDIXIAの人々、
応援してくださった家族やその他の人達のおかげです。本当にありがとうございました。
私が子供だった頃、本に書いてあったのは「宇宙は無限に広がっている」ということでした。
私は本当にそうなのか、誰かが本当に、壁が無いことを証明したのか…
私は先生や親に何度も訊きました。
でも返ってくる答えはいつも『先生に訊け』『親に訊け』『先生に訊け』…
まさにいたちごっこでした。」
ロバートのコミカルなジェスチャーにギャラリーは緊張がほぐれて笑う。
「私はそれから宇宙飛行士になることを決意したのです。
宇宙に壁があるのかないのか…数で語るより目で見た方が早いでしょう。
もし私の人生の中で見つけられなくてもいい。
ただ、私はこういった宇宙探査の一つの架け橋になってさえくれればいい…
私は今日、この日を迎えられて本当に幸せです。
素晴らしい宇宙を身体で感じられるのですから…
家族にも伝えたいことがあります。『私は、必ず帰ってくるよ』と…」
パチパチパチパチ…!!
ワー!! ヒュー!!
拍手喝采が起こる。
ルーフス達も声を上げて、拍手をしていた。
アナウンスが流れる。
「ついに、この時がやってまいりました。ロバート・バーリス宇宙飛行士が宇宙へ旅立ちます!」
パチパチパチ…!!
「がんばれー!!」「また1年後ー!!」「お父さんがんばれー!」
拍手と共に応援の言葉が浴びせられる。
ロバートは子供やその他の人々に手を振って宇宙船に乗った。
「では、カウントダウンを始めます!」
TEN…NINE…EIGHT…SEVEN…SIX…
管制指揮官のカウントダウンが橙色の台地に響く。
「「「「「「「「「FIVE!」」」」」」」」」
「「「「「「「「「FOUR!!」」」」」」」」」
みんなが声を合わせる。
ルーフス達も合わせた。
「「スリー!」」「「ツー!!」」「ワオン!!」
「「「「「「「「「「「「「「ZERO!!」」」」」」」」」」」」」」
シュゴォオオオオオオオオ!!!!
白い煙が地面を押す。
ロケットは上空へとだんだん上がっていった。
空に小さくなっていくロケット。
やがてロケットは見えなくなった。
管制室はロケットを固唾を呑んで見守る。
ガピー…
ロケットからの応答。
「こちらロバート。無事大気圏を突破した。」
観衆と管制室から歓声が上がる。
「良かった…!」
チェリーは安心する。
「宇宙か…どんな所なんだろうな…!」
「星がきれいなんだろうなー…!」
「いいとこ見られたな!」
「ワオン!!」
管制室はマイクを通して返事をする。
「ロバート、君が思い描いていた景色はもう目の前だ。
よき宇宙の旅を。」
「あ!!」
「ん?どうした、ジャック。」
「あんちゃん、チェリーさん、ミラーボって覚えてる?」
「ああ!あの南国のおっさんだな!」
「あの人ですね!」
「???だれ?」
ココアはきょとんとする。
ルーフスは一文で答える。
「まあサングラスかけたおっさんだな!」
「????」
ココアは更に首を傾げる。
「ワン!!」
チェリーが問う。
「…あの人がどうかしたんですか?」
「この地域のメサバイオームの別名は『ディスコ・マウンテン』…
もうすぐミラーボの生まれた町に着くんだよ!」
「おお!そうか!次は一体どんな町なんだろうな!」
「楽しみですね~!」
「ワンワン!」
「じゃあ、次はその町へ向かおう!」
「「「おおー!!」」」「ワオーン!」
ルーフス達は固い台地を走って行った。