Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
ここは地獄。
4人の人物が要塞の道の上を歩いていた。
黒いスケルトンが4人の前に立ちふさがる。
「ミナテキ…ハイジョスルノミ…」
「ひぃ!」
白衣の男は慌てて制止する。
「ま…待ってくれ…!まだ殺さないでくれ…!お前が必要なんだ!」
「…!?」
ボォン!!
ドカン!!
巨大な男が不意打ちに後ろから地面に押しつぶす。
スケルトンはレンガの中で息絶えた。
白衣の男は笑って答える。
「おまえらの…怨念のみがな。」
箒を持った女の子は言う。
「あんたってなんて残忍なのー?信じられなーい。」
白衣の男はスケルトンから落ちた骨と石炭をマグマの海へ投げた。
「お前ほどじゃないさ。チェリー。」
白衣の男はぶくぶくと太った男に尋ねる。
「おい、ランプス。お前に頼んどいた強力な武器は大丈夫か?」
「まーかせるのデース。私のこのありあまーる財力があれば、武器はいくらでーも仕入れられマース。
…アナタについてきーて良かったデース。あの憎きサクラノ国を手中におさめられーる!!
ワホホホホホ!!」
アーティクルはひっそりと白衣の男に尋ねる。
「なぜあの男はついてきたのだ?」
「俺が騙してやったのさ。それにまんまと引っかかった間抜けってことさ。
本当はお前の国すらも滅ぶ結果となるのにな…」
アーティクルも笑う。
「ほほう、それは傑作だ。」
白衣の男はつぶやく。
「まずは…この強力な武器のテストといこうか…」
白衣の男の右手には右側面に穴の開いた黒い頭蓋骨が握られていた。
木が覆いかぶさる森を、ルーフス達は走っていた。
ルーフス達の走った跡に矢が突き刺さる。
「くそー!なんなんだこの森!」
「まるで夜中みたいだね!」
「矢があたりそうです~!」
「バオ!」
前方に日の明かりが見えた。
「…ん?…」
「何かありますね…」
「…池?」
ルーフス達は陰から日のあたる場所へ出る。
見回してみると、モンスターが見失っている。
なんとかまいたようだ。
そして。
目の前の池。
花で飾られた小さな池。
その周りは丸石で飾られている。
ルーフスが池を覗いてみる…
「ああああ!!」
「どうしたんですか?ルーフスさん。」
「ダイヤモンドじゃん!」
「え!?なんで!?」
見ると確かにダイヤモンドが沈んでいる。
「ラッキー!」
「あ!ルーフスさん!だめですよ!」
「でも池に落としたって事はいらないってことだよね?」
「あ…そうですね。」
「もーらおうっと。」
ルーフスが池に足を踏み入れる。
ジャボン!!
ルーフスが丸ごと池に入っていった。
「ああ!あんちゃん!」
「ルーフスさーん!!」
「ワオン!?」
……
息の泡がすぐに止まった。
チェリーは蒼白する。
「まさか…死んじゃった!?」
チェリーが急いで飛び込む。
「ああ!チェリーさん!待って!」
ジャックはチェリーの足を掴む。
「ワオ!?ワオーン!」
ステーラもジャックの足に噛み付いた。
ジャボン!!
……
モンスターたちは3人と1匹をいまだに探していた。
ルーフスが池に沈んでいく。
「がばごぼ!がばごぼ!」
(やべえ…!深っ…!!)
チェリー、ジャック、ステーラもまっさかさまに沈んでいく。
「こぽ!かぽ!」
(なんて深い池なの…!!このままじゃ…)
「がぼぼぼ!ごぼ!」
(うう…息が苦しい…そして足がなんか痛い!)
「ばぼ!ばぼ!」
(バウ…!ワオ!)
ボシャン!!
「「「ぷはーーーーーーーー!!!」」」
「ぶーーーー!!」
3人と1匹は池から出た…!?
3人と1匹は池の周りに寝転がる。
「…あーーーーーー…」
「死ぬかと思った…」
「はぁ…はぁ…」
「クゥン…」
「…ここは?」
見れば木に覆いかぶさった森だ。
だが、さっきと少し雰囲気が違う。
「さっきの場所じゃないようですね…」
「とにかく、散策してみようよ!」「ワオ!」
「そうだな。」
ルーフス達は森を歩く。
薄暗くて気味の悪い森。
ところどころでモンスターの鳴き声が聞こえる。
「…怖いなぁ、この森…」
「急ぎましょう、ルーフスさん。」
「そうだな…」
左に巨大な蜘蛛にスケルトンが見えた。
ルーフス達は一瞥して通り過ぎる。
……
ルーフス達は確認するため後ずさりした。
「おりょりょ?人間だぞ?…」
「キシュキシュ…」
ルーフス達は口を大きく開く。
「逃げろー!!」
ルーフス達は走る。
「び、びっくりしたー!」
「なんであんなさりげなくいるんですか!」
グルルルルルル…
「「「「「ガオウ!!」」」」」
5匹の黒い狼がルーフス達を襲う。
「「「ぎゃあああああああああああ!!」」」
「ワオーン!!!」
ルーフス達がスピードを上げる。
ルーフスが先頭を走る。
狼の鳴き声が聞こえなくなった。
「…はぁ…まいたか…!」
いるのはルーフス一人。
「え」
どうやら、仲間までまいてしまったようだ…
~~~~チェリーの冒険~~~~
チェリーは走る走る。
既に狼は来ないが、チェリーは気づいていないようだ。
「はぁ…はぁ…」
前が明るくなる。
森の出口のようだ。
チェリーは息をふかくする。
「はぁ…はぁ…ここまでくれば…!!」
チェリーは目の前の景色に驚愕する。
そこは虹色に染まる森。
草は青や緑に染まり、葉は七色に染まっている。
「素敵~…!!」
~~~~ジャックの冒険~~~~
ジャックは走る走る。
狼はもう来ていない。
そして暗い森から抜けた。
「すっげー…」
そこは角の長い羊や鹿、猪がいる草原。
そこには天まで高く生える巨大な木が生えていた。
ジャングルの木の比ではない。よりもっと高く、太い木だ。
その木の幹にはセミが羽をかき鳴らしている。
ジャックは草原を進む。
「…にしても、ここはどこなんだろう…
池の底にこんな空間があるってわけじゃないよね…」
すると、前に巨大な広場が見えた。
「…?…なんだろう、ここは。」
ジャックが広場に踏み入れる。
…?
奥に何か見える。
「…たい…たいよ…」
「…?」
奥から迫ってくる!
緑の大きな蛇だ。
「いたいよぉ…!!!いたいよぉおお!!」
大きな蛇がジャックに迫る。
何やら泣いている。
「うわあああ!!」
~~~~ステーラの冒険~~~~
ステーラは黒い狼達と対峙する。
黒い狼のリーダーが一声「ガウ!」と吠えた。
他の狼が一斉に飛び掛る。
ステーラは黒い狼達と噛み合っていた…!!
~~~~ルーフスの冒険~~~~
「参ったな…皆とはぐれちまった…」
ルーフスは暗い森を歩く。
「武器は…良かった、それぞれ持っているようだ。
…まあでも始めに、今いる場所のことが知りたいな。
…散策するか。」
ルーフスはそのまま辺りを見回して歩いていた。
しばらくして。
「お!」
謎の家を発見。
「誰か住んでいるのかな…」
ルーフスは家に近づく。
窓から覗く…
にゅい。
下からいきなりスケルトンが顔をだした。
「うわああ!!」
ルーフスは後ずさりをする。
「あれれ?お客さんかな?」
さらに家の後ろからもスケルトンが来た。
「いひひ!お客さんだ!」
そして後ろからも。
「おりょりょ。さっきの人間だ!」
「おまえ達は…?」
「あれれ?僕ら?僕らは魔女だよ!」
「いひひ!違うよ!魔女は僕らの師匠じゃないか!」
「おりょりょ。また間違ったね。」
ルーフスは顔が引きつる。
「だから…お前らは?」
スケルトンはようやく自己紹介をする。
「あれれ」と言っている奴が答える。
「僕は魔女の弟子!ロリエ!」
「いひひ」と言っている奴が答える。
「僕も魔女の弟子!サフラ!」
「おりょりょ」と言っている奴が答える。
「僕も同じく!シナモ!君は?」
「俺はルーフス。旅人だ。」
ルーフスは魔女の家の中で3人と話す。
「あれれ?君は『タビビト』だよね。
ってことは、平凡世界からきたんだよね?」
「へ、平凡世界!?何それ?」
「おりょりょ。この世界のことは何も知らないようだね。」
「いひひ。僕が話そう。」
サフラが説明する。
「君の世界じゃ、魔法は普通使えないものだろう?」
「うん、まあそうだな。いると分かっても数人…全部が魔女から教わったとかだな。」
「実はこの世界では魔法がふつうに使えているんだ。」
「そ、そうなのか?」
「うん。そんなこの世界のことを『魔法世界』というんだ。それと区別して、
君の住んでいる世界を『平凡世界』と呼んでいるわけ。
…で、たぶん君が通ったとされる池はそれらを繋ぐゲートってことさ。」
「ふーん…魔法世界なんてもんがあったのか…」
ルーフスは椅子によりかかる。
「この魔法世界は、実は昔、平凡世界の一つの国だったんだ。」
シナモは話す。
その国の名は、ディブレーク王国。
ある伝統的な魔術師が魔法を完成、それを国民に授けるという声明を上げて、
様々な国々の人の移民により完成した国だ。
無論、犯罪者も現われるが魔法でそれを阻止できたため、問題はほとんどなかった。
だが、他の各国々は発展、ついには魔法をも超える強力な武器を創った。
各国王はこの武力を使って、ディブレーク王国を攻撃し始める。
魔術という世界征服に有益な力を奪うためだ。
ディブレーク国王は国を守るため、自身の強力な魔法により、別世界へと国ごと転移してしまった…
「嘘だろ…国ごと別世界に移すなんて…!」
「君の世界には、『ネーベルオブリース』という巨大な穴があるらしいね。」
「ああ、いつかテレビで見た気が…」
「あれはたぶん、かつてディブレーク王国があった場所なんだ。」
「へぇー…すげぇんだな、魔法って…」
「そういえば、この世界には、人がいないんだな。」
3人が目を開く。
そして悲しげに目だけをあわせて、うつむいた。
「…?…どうした?」
「この国はね。」
ロリエが話す。
「魔法で創りあげて、魔法で壊れた国なんだ。」