Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
ザーーー……
ゴローン!!
ピシャァン!!
天気は嵐。
「クゥン!」
「きゃぁ!…すごい雷!」
「あんちゃん…今日すごく寒いよ!」
「くっそ…こんな草原の中心で雨に会うなんてな…
…お!」
みると松の林の中に黒い屋根が飛び出して見えた。
「あっちになんか家あるぞ家!」
「泊めさせてもらいましょう!ルーフスさん!」
「行こう!あんちゃん!」
「そうだな…」
「ワオン!」
ルーフス達は屋根の見えるほうに走って行った。
目の前には黒くて大きい洋館。
とっても不気味なオーラが漂っている。
「うそ……」
チェリーの瞳孔が白く染まっている。
その目からだらだらと涙が垂れていた。
「チェリーさん!しっかり!」
「でもこのままじゃ風邪引いちまうぜ。覚悟決めるんだ!チェリー!」
「ひぃん!ルーフスさんのバカぁ!!」」
「大丈夫だって!お前の剣術ありゃ幽霊も逃げるって!」
チェリーはルーフスに引きずられながら入っていった。
ステーラとジャックも後に続く。
中はきらびやかにカーペットが敷かれ、豪華なシャンデリアまで点いている。
「な?家は見かけによらねぇだろ?」
チェリーはほっとした。
「誰も住んでいないのかな?」
「でも電気が点いているってことは誰かいるだろ?」
「あ!あの!」
チェリーは二階に見えた男に尋ねた。
「私達、旅の者なんですけど、道中に雨に降られてしまって…」
「おお、そうか。じゃあ…1、2、3…、よし、こっちの3部屋が空いてるぜ。」
「ありがとうございます!」
チェリーは2階へ登っていく。
「おじゃまします。」
他も後に続いた。
チェリーが最後の段を上って男を見ると、視線が下に集中する。
チェリーがピタッと止まる。
「ん?チェリー、どうした?」
「ああ…ああ!…あああ!!」
チェリーが震えて声を出す。
ジャックが前を覗く。
「前に何かあるの…!!!!!!!!!!」
ルーフス達は一階から、男の上半身しか見えていなかった。
しかし…その男の下半身が…
蜘蛛であった―――!!
「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ステーラにいたっては放心中。
ルーフス達はステーラを引っ張って男の案内する方向とは逆の廊下を走って行った。
「あららら…そっちは我々の部屋なのに…」
「やっぱりお化け屋敷じゃないですかーー!やだぁぁ!!!」
チェリーが号泣する。
「だってあんなに普通に案内されちゃ誰だってついていくだろー!?」
「今日僕夢で見ちゃいそうだよー!!」
「…」
「おやおや、雨に降られたんですか、びしょぬれじゃないですか。」
前には足が見えた。
視線を上げると…
顔が鶏であった…
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「もうやだ…」
「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「…」
ルーフス達は右へ曲がる。
「まあ、早く着替えたほうが…」
と言っているのは体から下が骨の夫人。
「君達。廊下は静かに歩きなさ…」
と言っているのは頭が豚で腕が腐っている男。
「兄ちゃん達、リンゴ食べる?」
と言っているのは体から下が鶏の子供。
「いやああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「クッキーが一枚♪お花が一輪♪」
「おわああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「…」
チェリーはもはや諦めたようだ。(何かを)
「チェリー!気をしっかりもてぇ!」
「もうどうにでもならないじゃないですか!もうやだぁ!」
「なんだよ~!ここはぁあああ!!」
「…」
ここは2階のとある広い部屋。
一人の黒髪ボブショートの女性が人の顔を縫っている。
こちらは茶髪のぼさぼさで黒いマント、瓶底めがねの男が狂ったように何かを作っている。
台にはイカ足にクリーパーの体、豚の頭。
「ひひひひ…亡者の血と魂、それに移す体があれば…はははは!
奇怪な生物などいくらでも作ることが出来る!
楽し~な!ったら楽しいなー!」
「正直趣味悪いよー。ネクロー。」
ネクロは驚いて言う。
「君もだよ!?ビアンカ!?なんで人なの!?普通テディベアとかでしょ!?」
一度落ち着いてネクロは言った。
「まあ君がいてこそ、この悪趣味がはかどるってもんだ。サンキューよ。」
「はいはーい。」
ドーン!
ガラガシャン!!
丸石で閉ざされた部屋が壊され、ネクロの前を3人と1匹が通り過ぎる。
「ごめんなさ~い!…」
ネクロは目を丸くしてそれを見つめていた。
子供と目が合った。
ビアンカはそのまま縫い続けている。
「なんだったんだ、一体…さてと、続きを…あれ。」
拾い集めたパーツにはイカ足が足りなかった。
「あんちゃん、」
「なんだ!ジャックどうした!」
走りながらルーフスが喋る。
「さっき普通の人いなかった?」
「さあな!とりあえず一階に続く階段見つけて逃げるぞ!」
「さんせいで~す…」
「…」
チェリーはもう泣きつかれたようだ。
「ところでチェリーさん、」
「え?」
「その手に掴んでるの、何?」
チェリーは左手を見る。
イカ足がうにょうにょと動いていた。
「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!」
チェリーの速度が一気に上がる。
「あ、おい!待てチェリー!!」
「チェリーさぁん!!」
「…」
投げられたイカ足は地面でもがいていた。
なんとか。
3人と1匹、外へ出ることが出来た。
気づくうちに外は晴天。
「はあ…怖かった…」
「まあいいじゃねぇか。旅にはこれくらいの刺激もなくちゃな!」
「…まあ、そうだね、あんちゃん…」
「…ワオ!?」
ステーラがやっと起きた。
ステーラが草露を飛ばしながら走りまわる。
晴天だったことに大喜びのようだ。
「よし、行くか!」
「うん!」「はい!」「ワオン!」
いきなり2階の部屋の全部の窓が開く。
「「「「「「「「まったきってね~!!」」」」」」」」
ルーフス達は微笑む…
そして一気に吐き出した。
「「「二度と来るかぁ!!!」」」
「ワオーン!!」
その怒声は林中に響いたのだった…