Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

68 / 96
35:パン工場見学!

 

 

アーティクルが逮捕されてから。

 

ジャックとステーラはイクオラ・ジェラーナの大統領に無事、

手紙を届けた。

 

イクオラ・ジェラーナの大統領はにっこり笑った。

 

どうやら手紙に同意しているようだ。

 

 

「ありがとう、勇者達よ。」

 

 

 

 

 

ジャックとステーラがジェラーナ国へ戻った後、

 

ルーフス達は大統領室でストックから感謝の言葉をもらっていた…

 

 

「ありがとう。君達は隣国との平和を守ってくれたと同時に、私も救ってくれた。

一言では言い表せないほどだ…だが皆、もう疲れているだろう。

 

私が君達にホテルをとっておいた。ドーカ・デナに送ってもらいなさい。」

 

「「「ありがとうございます!」」」

 

「あの…工場見学は…」

 

 

大統領はジャックに笑顔で言う。

 

「心配はない。パン工場にコンタクトをとっておいたよ。」

 

 

ジャックは慌ててお礼を言った。

 

「ありがとうございます!」

 

 

ルーフスとチェリー、ステーラも笑った。

 

 

ルーフス達は一晩、ホテルでゆっくりと休んで翌日、パン工場へと向かった。

 

 

 

 

パン工場の受付係が出迎えていた。

 

「私が今回、案内を務めていただきます、アリス・ベルガートと申します。

本日はよろしくお願いします!」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

「ワオン!」

 

 

「あ…すみません。この工場内は動物は入れることができないので…」

 

ステーラはしょんぼりする。

 

 

どちらかというとパンが食べたいだけらしいのだが。

 

 

「見学の最後にパンをステーラくんの分と合わせて、4つお配り致します。」

 

ステーラはほっとして、尻尾を振った。

 

 

「ステーラったら食いしん坊なんだから!」

 

チェリーは笑った。

 

 

 

 

 

 

 

ガラスで仕切られた空間の中に小麦が成長している。

 

成熟したと思えばレーザーで破壊され、パイプの中へ落ちていった。

 

小麦畑はずっと奥まで続いており、横幅にも同じく続いていた。

 

「ここでは小麦を育てて、収穫をしています。小麦がなければパンは作れませんからね。

ここでは1秒で約20000束もの小麦が収穫されています。」

 

「へぇ!」

 

「すごいですね…」

 

 

 

「では、次のフロアに進みましょう!」

 

 

 

 

 

 

パイプの中を小麦が整列して左から流れてきた。

下にあるもう一つのパイプには種だけが流れている。

 

小麦のパイプには途中で違うパイプから小麦が流入している。

 

 

そしてそれぞれのパイプは多くのチェストに分配されていった。

 

 

「ここでは一度種と小麦を倉庫に格納し、整理をしています。」

 

「なぜ一度整理をするんですか?」

 

ジャックが質問する。

 

 

「次の工程で自動作業台でパンを作るのですが、整理をしないとそこで詰まって、

溢れてしまうことがあるのですね。それを改善するために整理をしています。

 

ちなみに、ここで集められた種は先ほどの工程に戻って、再度植えられるようになっています。

では最後の工程に移りましょう!」

 

 

さらに進むと、そこにはたくさんの作業台が等間隔に置かれていて

パイプにつながっていた。

 

右に通じるパイプからはパンが次々と出ている。

 

 

「「「おお!!」」」

 

「ついにパンが出来ましたね。あの作業台にはパンのレシピが設定されています。

後はパイプでチェストに貯蓄、トラックで出荷をするのみです。

 

では、階段を降りて、玄関へ戻りましょう。」

 

 

3人は階段を降りていった。

 

 

 

「はい、どうぞ。」

 

 

「わぁ!ありがとうございます!」

 

 

3人は4つのパンを受け取った。

 

 

 

「おいしい!」

 

「うめぇ!」「うまい!」

 

 

 

「ステーラ!」

 

「ワン!ワンワン!」

 

どうやらパンが待ちきれなかったようだ。

 

 

「はい、パンだよ!」

 

ステーラが口でくわえて、ムシャムシャと食べる。

 

 

「ワウーン!」

 

 

 

 

 

 

ホテルまでの車の中で。

 

ドーカ・デナは3人に感想を聞いた。

 

「どうだった?パン工場は?」

 

「すっげぇ面白かったよ!」

 

「パイプの中をパンが流れる様子がとても面白かったです!」

 

「とても勉強になりました!」

 

 

 

「ははは。楽しめたようだね。…」

 

ドーカ・デナはホテルの前で車を停めた。

 

「じゃあ、皆、旅を楽しんでこいよ!」

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

ドーカ・デナは笑って車を発進させる。

 

 

「じゃ、明日からまた、この都市から旅に出るぞ。」

 

「はい!」「ワオン!」「承知!」

 

ルーフス達はホテルへ入っていった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーカ・デナは大統領室に入る。

 

「只今、ホテルまで送りました。」

 

「おお、ごくろう。パン工場、楽しんでいたかな?」

 

「とっても楽しめたようです。」

 

「それは良かった…」

 

 

笑ってから一変、ストックは真顔で椅子に座る。

 

 

 

「…先ほど、刑務所から連絡があった。アーティクルが逃げ出したそうだ。」

 

「アーティクルが!?」

 

 

「何でも、厚さ2mのコンクリートを拳で破壊してしまったらしい。」

 

「えぇ!?」

 

ドーカ・デナは驚く。

 

「今、警察が調査を進めている。この都市から逃げていなければいいが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは荒地。

 

一人の巨大なコートの男が歩いていた。

 

後ろにはジェラーナのビル群が見える。

 

 

「…マクス・エルダムは私をも裏切った…だが諦めないぞ…

私が全て正しいのだからな!」

 

「待て。」

 

コートの男は振り返る。

 

そこには赤いヘルメットを脱いだ男がいた。

 

「バークルじゃないか。どうした…私についてくれるのか?」

 

「残念ながら、その逆だよ。アーティクル。」

 

「何だと?」

 

「俺達は間違っていたんだ。マクス・エルダム様は殺人をしても絶対に喜ばないだろう。

もう、終わりにしよう。アーティクル。」

 

「それは、勿体無いな。」

 

 

 

ズキュン!

 

 

 

バークルの胸を銃弾が突き抜ける。

 

バークルは倒れる。

 

その目は衝撃を物語っている。

 

バークルを撃ったのはアーティクルではない。

 

バークルの後ろにいた―――白衣の男だ。

 

その後ろにはまるまると太った男がいた。

 

「アーティクル…と言ったね。僕と手を組まないか?」

 

「お前は…誰だ?」

 

「…なぁに、肩書きも何もない、ただの一般人だよ。」

 

白衣の男がアーティクルに近づいて小声で話す。

 

 

「僕の力があれば、この世界は我々のものに出来る。」

 

 

静かな荒野を風が、冷たく走っていった。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。