Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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番外編5:今日の世界旅

とある家の中で。

 

 

女の子が父に話しかける。

 

 

「とーさん!」

 

「ん?」

 

「世界旅、はじまるよ!」

 

「ああ、そうだったな。」

 

父はテレビを点け、チャンネルをまわした。

 

 

効果音が流れ、タイトルが現われる。

 

男性のアナウンサーが話し始める。

 

「どうも!ミスター・タニグチです!今日の世界旅のお時間ですよ。

さて、今日も気ままに旅をしていきたいと思います!

 

今日の世界旅は…?」

 

ミスター・タニグチがサイコロを振る。

 

「北!」

 

もう一回。

 

「西!」

 

もう一回。

 

「南!」

 

「では、今日は北、西、南といってみましょう!」

 

 

『まずミスター・タニグチが向かったのはここ、メディウス・ライブラリー。

ここは昨年に建てられたばかりの図書館。

白い大理石でできた美しい外観の中には、100万冊を超える書物が蔵書されています。』

 

「うつくしいですね~。この森と建物の色の対比がなんとも素晴らしい!

では、早速、入ってみましょう!

 

 

…どうもー。」

 

「ようこそ。メディウス・ライブラリーへ。」

 

「えーっと、貴方は?」

 

「私は館長のバンダと申します。」

 

「ああー!館長さんでしたか。これは失礼しました。

えーっと、ここは旅人しか来ないであろう森の中ですよね。

言ってしまえば、もっと人通りのいい街の中に建てればよろしかったのでは?」

 

「それでいいのです。私も昔は旅人だったのですが、砂漠や森の中には本は落ちていないでしょう。

だから私は旅人のために、この図書館を建てたのです。…あぁ、勿論、一般の方々も利用してください。

本を読むことはとても楽しいことですから…」

 

ミスター・タニグチは顔をわざと歪ませて、

 

「すばらすぃ!なんという本と旅人に対しての愛情!タニグチも感動しました!

では私も、このメディウス・ライブラリーで、本を読んでみたいと思います!」

 

 

「えーっと、ではー…この『爆笑!お笑い入門』をゆったりと読みたいと思います。」

 

 

『ミスター・タニグチは読書していると…?』

 

「あー、本を読んでいると、時間が短く感じて、お腹がすいてきてしまいますね、バンダさん。」

 

「ははは。ではパンプキンパイでもどうですか?」

 

「おおおお!気が利いていますね!好きな本を読みながらのティータイム。

なんと贅沢なのでしょう!」

 

『メディウス・ライブラリーではきれいなメイドさんのパンプキンパイと紅茶が

エメラルド1個で食べられる、素敵なサービスも!』

 

『おいしいスイーツと読書を堪能したミスター・タニグチは、次の場所へと向かいます。』

 

『ジェットボートで、魚と共に進むミスター・タニグチ。

西の大陸が待ちきれないようです。』

 

「…さあ、大陸に着きました。…すごいですね。この灯台。誰が建てたのでしょうか?

 

…お、きこりの方がいますね。ちょっと尋ねてみましょう。

 

 

 

…こんにちはー。」

 

「おお!あのミスター・タニガワじゃねぇか?」

 

ミスター・タニグチは大げさに地団太を踏む。

 

「お・し・い!僕はミスター・タニグチですよ!もう!」

 

「おお、すまん、間違えてしまった…」

 

「お尋ねしたいのですが、あの灯台は誰が建てたのですか?」

 

「あの灯台はなぁ、俺と俺の親友たちがいっしょに建てたんだよ。

娘のためにな。」

 

「おお、娘さんのために…娘さんのお名前は?」

 

「ヴァイオレット、ってんだ。」

 

ミスター・タニグチが目と口を大きく開く。

 

「ええー!!ヴァイオレットというと、グレート・スライヴシティの新市長さんですか!?」

 

『そう、彼、ビストさんの娘はあのヴァイオレット市長なのでした。」

 

「あいつが働きはじめる時にな、初めて親子喧嘩したんだ。

娘ってのは、いなくなると本当に寂しいもんで。その後、ヴァイオレットと会って、

お互いを認め合うことができたよ。」

 

 

ミスター・タニグチは顔に手を当てて、目を隠す。

 

「くぅ~!なんという親子愛!ミスター・タニグチ、またもや感動してしまいました!

…ビストさんはここできこりをやってらっしゃるのですよね?」

 

「ああ、そうだ。しかしこの頃はじめたのは、昼限定で小さな公園を開放しているぞ。」

 

「おお!公園…!童心がくすぐられますね!ビストさん、案内してもらってもいいでしょうか!」

 

「よし、ついてきな。」

 

『ビストさんの作った狼の森わんぱく公園。子供達のために昼限定で開放しています。

ミスター・タニグチも木の間をすり抜けるウッドコースターに乗りました。』

 

「ふぉぉぉぉぉおおおおおおおお!いいですねぇぇぇええええええええ!爽快ですぅぅうううううう!」

 

「はっはっは…声でけぇな…!」

 

『ミスター・タニグチも絶叫するウッドコースター。皆さんも行ってみては?』

 

「そういえばビストさん、昼限定とはどういうことですか?」

 

「ああ、実は先代の言い伝えなんだがな、夜に狼男が現われるらしいのだ。それに人喰い狼も出るから、危険なので夜は閉めている。あとゴミも捨てるなよ。狼男が食べちゃうかもな~!」

 

「こここ怖いこといわないでくださいよビストさん。…

というわけで、皆さん、この森で遊ぶ時は、自然を大切に、楽しく遊びましょう!

 

ではビストさん、ありがとうございましたー。」

 

『森を後にして、ミスター・タニグチは南へと向かいます。

ジャングルを抜けた先に見えたのは…?』

 

「「「「「ようこそ!エンジェル村へ!」」」」」

 

「おおー!!」

 

ミスター・タニグチはまた目と口を大きく見開く。

 

「これはどこか?そう、天国ですよ皆さん!女の子達に囲まれています!」

 

『女性に目がないミスター・タニグチは村へと入ります。』

 

「おおっと、エンジェルの中に、一人だけ仙人がいますよ!?」

 

メイドたちは爆笑する。

 

「ほほほほほ…残念ながら仙人ではないのぉ。私はこの村の村長じゃ。」

 

「おお、村長でしたか…よっ!えらい!日本一!!」

 

『素晴らしい村を作ったことを褒めるミスター・タニグチ。」

 

 

冷静な顔つきをした女性が話す。

 

「この村ではクッキーとお紅茶を楽しめます。」

 

ミスター・タニグチは手を合わせる。

 

「ああ、神様仏様…女性のクッキーを食べることが出来るなんて…!

感動的です!…ではお言葉に甘えて。」

 

 

『かわいらしい3人のお嬢さんがクッキーを運んできました。」

 

「「「どうぞ。」」」

 

「おおおお!こんなに可愛いお嬢さんにクッキーを持ってきてもらえるとは!

感動!感動!…もう感動しかいえません!!」

 

 

『無料でクッキー5個とお紅茶1杯をメイドさんと楽しめる村。一度言ってみては?』

 

「いやー、今回も、とっても素晴らしい旅でしたね!今日はここでお別れといたしましょう!

皆さん、いいですか?」

 

「「「「「「「「来週も!今日の世界旅!」」」」」」」」

 

「感動!感動です!」

 

 

 

 

 

「ピラフ。おもしろかったな!」

 

「うん!来週もみなきゃ!」

 

 

 

 

 

「…旅か。あいつら、元気にしているかなぁ…」

 

 

ライモンは言った。


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