Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
「資源はだいたいそろった。次は食糧を簡単に手に入れるようにするぞ!」
「どゆこと?」
「・・・農耕だ!」
「・・・の、のうこう!?・・・なにが濃いの?」
「そっちの濃厚じゃない、農耕だ!」
「えぇ~?農耕ってあの無精ひげと麦藁帽のおじさんが
『今年はキャベツがよくとれる年だっぺ!』
『んだ、んだ、んだす!』
とかやってるあれでしょ!なんか格好悪いよ・・・」
※Minecraftにキャベツはありません
「えっと・・・とりあえず田舎の人たちに謝れ。そして農耕は以外に楽しいぞ!
・・・さあさあ、百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず。やってみるぞ!」
「おー・・・」
はじめは気に乗らなかった少年も、日がたっていくうちに農業の
面白さにのめりこんでいった。
水をやり、骨粉をまき、収穫し・・・
10日がたったある日・・・
「あはははははは!あはははははは!農業っていいねー!」
「そうだなー!俺たちのおかげでこの世界が救われているって感じだなー!」
「「 あははははははははははは! 」」
ビュッ! バスッ!
「あぁん!!」
ライモンは[お察しください]のような叫び声で叫んだ。
「どうした!?セクスィーな声でさけんで!?」
「俺のケツ♂に・・・」
「!!・・・これは・・・スケルトンの矢だ!」
「やっと見つけたよ~君が隣の洞窟を制覇した勇者かい?」
やや皮肉そうな口調で近づいてきたのは一匹のスケルトンだった。
「農業ごくろう!いい小麦じゃないか~おいしいパンが焼けそうだ~
でも自分の仲間の粉を使って育てるなんて、許せなく思うな~」
「「ごめんなさい。」」
「いいっていいって!Don't worry!自然の摂理だからね~」
「でも、僕が君と勝負して、勝ったらその小麦を全て僕が貰うよ~」
ライモンはワン、ワンとほえながら、
「ほほう・・・いい度胸じゃねぇか・・・うちの相棒をなめるなよ!」
「ぼくが思うに、君のほうがその子の相棒だと思うな~・・・飼う方向性で。」
「ムキキーーー!こいつむかつく!おい!やっちまえ!」
「ま、まじで!?俺、絶対無理だよ~!!」
「大丈夫だ、」
「俺はおまえを信じてる。」
少年はハッとした。
ライモンはあっちから俺のことを「相棒」と呼んでくれた・・・
俺は信頼されている、信じられているんだ!
「・・・よし!」少年はソードを構えた。
「やるのかい?君はソードで戦うんだねぇ・・・ただし」
スケルトンは鋭い目を見せた。
「・・・手加減はないからねぇ!」
ビュビュビュビュ!!
次々と矢が少年に向かってくる。
「ぐっ!!」
少年は肩に2本矢を受けた。
「ハハハハ!それで終わるなんて、つまらないね~
よくそんなんで冒険家になろうと思ったねぇ!」
「ここで終わる?」
ザザザザッ!
「おおっあれは・・・!」
「何!?2本の矢を受けてあんなに走れるはずはない!倒れるぞ!」
ザクッ!シャッ!
「ぐっ!」
スケルトンの体は後ろに飛ばされた。そして倒れた。
それと同時に、少年も倒れた。
「おまえもThe Endにいったのか!?」
ライモンは驚きの声をあげる。
「・・・ああ、俺は昔、村では名高い、弓の名手だったんだ・・・
異名もつくほどだった。狙ったものは逃さない、『蜜蜂のジョー』ってな。」
「でもさぁ、なんでスケルトンと仲良くしてんだよ。」
「自然の摂理、だ。廃坑のなかではモンスターに従うしかない体だ。」
スケルトンは涙をこぼした。
「・・・自分の冒険家という信念を馬鹿にしてもな・・・!」
犬もつられて涙が出た。
信念を捻じ曲げられたものたちは泣く。
少年はいい言葉が見つからず、黙り込むだけであった。
夕方、スケルトンは廃坑に帰っていった。
ライモンももう涙を流していない。
帰り際のジョーの言葉が聞こえてくる。
「よし・・・充分ないた。・・・今日はありがとよ!」
「・・・ああ、いいんだ。俺も話し合える仲間と出会えて嬉しい。」
ライモンは涙を拭いた。
「君も本当にありがとう。俺を倒してくれた。こんな奴は初めてだ!」
「ああ、もうお別れだね。」
「俺は口下手でね・・・自分の気持ちが言えないんだ・・・最後は嘘で別れよう・・・」
「もう絶対!絶対こねぇからな!」
「ああくんな!絶対何回もくるな!」
ジョーは愛情のたくさんこもった嘘で別れた。
「お前らなんて!大嫌いだぁあああ!」
少年とライモンはこれに答えた。
「「俺もだぁああ!」」