Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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28:機械の文明

 

 

サクッ

 

 

 

おいしいクッキーを食べながら草原を進むルーフス達。

 

 

「やっぱチェリーのクッキーはうめぇな!」

 

「香ばしいんだよね~」

 

「ありがとうございます♪」

 

「ワン!」

 

ステーラは骨をしゃぶっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁあ!?」

 

「えぇ!?」

 

「…!!」

 

「ワオ…!?」

 

 

 

 

 

 

 

3人と1匹の目が一斉に見開く。

 

骨が狼の口からポロッと落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

まがまがしい幾何学模様で構成された大地と木。

 

 

できれば目を合わせたくない光景だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ?このキバツなバイオーム…」

 

「気持ち悪いね…」

 

 

 

コンコン!

 

 

 

「この木、硬いですよ!」

 

「本当だ、金属みたいだ!」

 

「わけがわからないよ…」

 

 

 

 

 

「おや、旅人の方ですか?」

 

 

 

 

見ると丸めがねに金髪、白衣の男がいた。

 

ルーフスと同世代のようだ。

 

 

 

「君は…?」

 

「僕はクラバといいます。あなたとは同世代のようですね。」

 

「おう、俺はルーフス、そしてチェリー、ジャック、ステーラだ。」

 

 

「よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

「ところでクラバ、このバイオームがなんなのか知ってるのか?」

 

「このバイオームはですね、古代の文明の跡地なのです。」

 

「古代の文明!?」

 

ジャックは驚く。

 

 

「古代にこんな金属の文明なんてあったの!?」

 

「詳しくは分かりません。しかし古文書には

『天から光る輪が現われ、我らが大地に種を落とした。』と記されているのです。

 

つまり、推測するには、大昔に宇宙人がやってきて、一つの文明を作ったと考えられます。

私はここで、その文明について調査しているのです。」

 

「宇宙人ですか…!」

 

「逆に宇宙人じゃなかったらありえないもんなぁ…」

 

「クラバ クラバ シュウシュウ カンリョウ。」

 

「ありがとう、ワーカー。」

 

 

小さなロボットがクラバに歩いてきた。

 

 

「かわいい~!」

 

チェリーの目がハート型になる。

 

「ワーカー?」

 

「このロボットのことです。一生懸命私の調査を手伝ってくれる、良き相棒です。

 

…ワーカー、ルーフスさんに、チェリーさん、ジャックくん、ステーラくんです。」

 

 

 

 

ワーカーはルーフスに目を向ける。

 

「ルーフスサン、」

 

チェリーに。

 

「チェリーサン、」

 

ジャックに。

 

「ジャッククン、」

 

ステーラに。

 

「ステーラクン。」

 

 

「よろしくな!」

 

「ヨロシク ヨロシク。」

 

 

 

「ワーカー、次は採掘をおねがいしてもいいかな?」

 

「リョウカイ リョウカイ。」

 

 

ワーカーは遠くへ行く。

 

 

 

 

ワーカーが遠くに行ったことを確認すると、クラバはワーカーについて話し出した。

 

「…あいつは可愛そうなやつなんです。」

 

「かわいそう…というと?」

 

「僕はこのバイオームを見つけ、ワーカーと出会いました…」

 

クラバは語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機械で構成されたバイオームで。

 

 

クラバはロボットを発見した。

 

「君は?」

 

「…………」

 

 

 

ロボットは無視して去る。

 

クラバの科学者スイッチが入る。

 

なぜ逃げるのか?言葉は話せるのか?

 

どうしてここにいるのか?…

 

なんとしても、調査したい!

 

 

 

ロボットは歩いている。

 

 

木の陰からクラバが現われた。

 

「調査させてくれぇ!」

 

 

ロボットは慌てて逃げる。

 

 

廃墟の中から白衣。

 

 

木の上から白衣。

 

 

土の中から白衣が。

 

 

いたるところから白衣の男が出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の夜。

 

ロボットは廃墟のなかでスリープする。

 

 

 

 

 

かぼちゃで変装したクラバはこっそりと廃墟の中に入り、

 

背中の接続端子に機器を挿す。

 

「規格は…よし、ピッタリだな。」

 

クラバはかぼちゃを外し、コンピュータで確認する。

 

 

「これはこのロボットの見た映像履歴だな…これで文明の謎が分かるはずだ。」

 

カチッ

 

 

 

映像履歴のファイルを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たくさんの一つ目のロボットに囲まれている。

 

 

『フリョウヒン』

 

 

 

クラバは衝撃に目を見開く。

 

 

『フリョウヒン ヒツヨウ カイム』

 

『ハカイ スベキ』

 

『ゴミ フエルノミ』

 

『デハ エイエン ネムレ』

 

『フリョウヒン ネムレ』

 

『シッパイサク ネムレ』

 

『ネムレ』

 

『『ネムレ』』

 

『『『『『ネムレ』』』』』

 

 

『『『『『ネムレ』』』』』

 

 

『『『『『ネムレ』』』』』

 

 

映像が終わった。

 

そのほかの映像は無かった。

 

 

 

 

 

「…おまえ…」

 

クラバは涙を流す。

 

生まれてから、『不良品』『失敗作』とよばれ。

 

『眠れ』といわれ長い間電源を落とされた。

 

 

なんと非情なことだろう。

 

 

 

クラバはロボットを見る。

 

 

 

…こいつが逃げる理由がわかったよ。

 

こいつは何も信じられないんだ。

 

…僕はこいつをどうすればいいのか…

 

 

 

…ただ、愛すしかないだろう。

 

 

 

 

ロボットが起きる。

 

 

目の前に白衣の男。

 

 

ロボットは背筋が一気に伸びる。

 

 

 

 

 

クラバはロボットを抱いた。

 

「僕の相棒になってくれないか?

 

…ワーカー。」

 

 

 

クラバは名前を呼ぶ。

 

 

「ワタシハ イテ イイノ ?」

 

「ああ、僕の相棒なんだからな。」

 

クラバの涙が一筋流れ落ちた。

 

 

 

 

 

「キミノ ナマエハ?」

 

 

「クラバ。クラバだ。」

 

 

 

 

「クラバ ワタシノ アイボウ。

ズット イッショ。」

 

「ああ、そうさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あいつ…生まれてからずっと一人だったんだな。」

 

「なんて悲しいんでしょう…」

 

チェリーは顔を真っ赤にして泣いている。

 

 

「僕はこれからも、あいつと調査を続けようと思います。

 

あいつは、僕が守っていなければ駄目なんです。」

 

 

 

 

 

 

 

「No.002647…フリョウヒン ハッケン

サッキュウ ニ ハカイ シマス。」

 

 

 

 

ドォン!!

 

 

 

 

 

「ワーカー!」

 

 

クラバは走っていく。

 

「まさか…まだそのロボットが残っているの!?」

 

「俺達も行こうぜ。」

 

「ワオン!」

 

チェリーもうなずく。

 

 

 

 

 

 

見るとそこには背の高い一つ目ロボットがいた。

 

 

「いつ起きた!…こいつ!くらえ!」

 

クラバは持ち合わせのシャベルで殴る。

 

 

ビュン!

 

 

 

 

 

バシュ!

 

レーザーに撃たれた。

 

 

 

「うわ!!」

 

 

 

「クラバ…!」

 

ロボットが駆け寄る。

 

 

 

 

 

「このやろー!!」

 

ルーフスがロボットに剣を振るおうとする。

 

 

 

 

ビュン!

      ビュン!

 

                ビュン!

    ビュン!

        ビュン!

 ビュン!

 

 

 

レーザーを高速で打ち込んでくる。

 

「おわぁ!ちょ!くそ!」

 

 

ルーフスはよける、よける。

 

よけながらも何とか3回斬ることができた。

 

 

 

「うおおおお!!」

 

 

ジャックがハンマーを振るう。

 

 

 

 

衝撃波がロボットに命中した。

 

 

 

まだ倒れない。

 

 

 

「はぁぁ!」

 

 

チェリーが勢い良く剣でロボットを斬る。

 

 

 

「ガブッ!」

 

ロボットに力強い噛み跡が付く。

 

 

 

 

「ギギギ フリョウ ギギギ ヒン

ギギ ハカイ ギギギギ デキズ」

 

 

 

ドォン…

 

 

 

ロボットは爆発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラバさん、大丈夫ですか?」

 

「ええ、ありがとうございます、チェリーさん。」

 

「ワーカーも大丈夫?」

 

「イジョウ ナシ ゲンキ。」

 

「ふふ、それは良かった!」

 

 

 

 

 

「ありがとうございました、皆さん。僕とワーカーを守ってもらって。」

 

「いいってことよ。俺達もいい運動になったからさ。」

 

「ワンワン!」

 

「新しいモンスターのことも知れたしね!」

 

「こんなかわいらしい子を不良品と呼ぶなんて、許せませんよ!」

 

いつの間にかワーカーはチェリーに抱かれていた。

 

「アリガトウ アリガトウ。」

 

 

 

「ルーフスさん達はこのあと、どっちに行くのですか?」

 

「そうだな…このままこのバイオームを突っ切って西に行こうかな!」

 

「そのまま行くと…」

 

クラバは地図を開く。

 

 

 

「海を通ることになりますね!」

 

「お、久しぶりの海か…サンキュー、クラバ。」

 

 

クラバが笑顔で言う。

 

「船旅、お気をつけて!」

 

「サヨウナラ サヨウナラ」

 

「ああ、クラバもワーカーも、元気にやれよ。」

 

「さようなら!」「お元気で!」

 

「ワン!!」

 

 

 

 

 

ルーフス達は機械に侵食された大地を踏みしめ、西へと向かう。

 

 

 

 


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