Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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1ヶ月と約束したはずなのに、2週ぐらい遅れてしまいました。
すみません。

そして最近普段以上に忙しくまた1ヶ月引き伸ばさなければいけませんorz

はやく7月が終わって欲しい…



ま、まあそんなネガティブな事は忘れ、次の話に進みましょう。




では、どうぞ。




16:鈍行世界

 

ここは…どこだ…?

 

 

 

 

 

ジャックは目の前に広大な草原を見た。

 

 

 

 

 

 

遠くのあちらこちら点々と、謎の青い結晶がそびえたっている。

 

 

 

 

 

 

「…この場所は…あの本の中の場所かぁ!?」

 

 

少年は驚きと同時に不安から体が震え始めた。

 

 

 

 

 

僕は…帰れるのか……?

 

 

 

もしかしたら…ずっとここで…こんな明かりも無い場所で…

 

 

 

 

 

夜もすごさなきゃいけないのかぁ…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

脳裏に白骨死体が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

少年の目がにじんできた。

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああああああああ!!」

 

ジャックは恐怖に耐え切れず無造作に回り始めた。

 

 

 

 

 

 

「どうしよ、どうしよ、どうしよぉおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「…!!」

 

 

 

 

 

 

 

ジャックはにじんだ目でしっかり見えたものがあった。

 

「村だ!!」

 

 

 

 

 

ジャックは村へと駆け出していった…

 

 

 

 

 

 

 

「すみませーん!!」

 

ジャックは畑を見ていた村長さんに話しかけた。

 

「あのー…僕は一人の旅人なのですが…

 

もしよければ泊めてもらえないでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

返事が無い。

 

 

 

 

あれ、聞こえなかったのかなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていきなりはっと気づき、のったりと話した。

 

「…おお…

 

これはこれは…

 

ようこそ…

 

私達の村へ…

 

 

 

 

……私は…村長の…ラルゴと…申します…」

 

 

 

 

 

…なんかすごいゆったりとした人だなー…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど…私達の村に…泊まりたいと…

 

承知しました…すぐに…宿泊所の…準備をします…」

 

 

 

「あ…ありがとうございます…」

 

 

それから一息、二息、そして三息おいて、

 

 

「…おーーーい…アルガ…この方に…宿の用意を…」

 

 

家の中から青緑色の髪をしたメイドが現われた。

 

 

同じくのったりと口を開く。

 

「…かしこまりました…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…この遅さは遺伝なのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはメディウス・ライブラリー。

 

玄関では餌を食べ終わったステーラが昼寝をしていた。

 

チェリーとルーフスは説明を受け終わり、それぞれの分野の本を堪能していた。

 

「なるほど…パンプキンパイってこうして作れるのね…」

 

チェリーは料理の本を立ち読みしていた。

 

 

 

 

 

「うおおおおおお!!やべえ、え!?こんなモンスターが!?マジかよ!!

 

うっほぉぉぉおおおいい!!!」

 

「ル、ルーフス様、図書館の中ではお静かに!!」

 

慌ててバンダが静止にかかる。

 

 

 

「…館長…お掃除…終わり…ました…」

 

「あ、はい、ありがとう。では次は本棚の上もお願いしますね。」

 

 

「…はい……」

 

のろのろと従業員がはたきを持って歩いていった。

 

 

 

 

 

 

「…あの妙にじれったい奴は誰ですか…?」

 

ルーフスは疑問に思う。

 

 

 

「私がこの図書館の整備を行っていた時、まだ開業してもいない

 

図書館の中に何故かいたのです。話を聞けば、道に迷ったらしく…

 

住んでいた場所の特徴なのか、彼はしきりに結晶がないとも申しておりまして…

 

『この場所にはそんな場所は無い。もし迷ってしまったのなら、この場所で泊まってはどうか。』

 

と提案した次第でございます。」

 

 

 

「へぇ…不思議ですね…」

 

 

「この世界には、地上に結晶はありませんしね…彼はどこから来たのでしょう?」

 

「一つだけ、思い当たる節があるのです。」

 

バンダは白髭をとかしながら話した。

 

 

 

 

 

 

 

私は昔、父親に、先祖代々から伝わる一つの本をもらったのです。

 

父は『『帰還の書』という本を持っていなければ、この本は開いてはいけない』と私に堅く言いました。

 

続けて、『さもないと、この世界から完全に切り離されるだろう』…と。

 

 

 

以来、私はその本を決して開く事はなく、現在もこの地下に保管されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その話から私は、一つの推測を立てあげました。

 

もしかしたらその本は、この世界と平衡して流れる世界とを繋ぐ本ではないかと…」

 

 

 

 

「「……????????」」

 

ルーフスとチェリーは難しい話に首を傾げる。

 

 

 

 

「これはこれはすみません…つい私としたことが…熱が入ってしまって…」

 

バンダは本題に入る。

 

 

 

 

「つまり、あの少年は『帰還の書』を介して、別の世界からこちらへ渡ってきたのではないか…と。」

 

 

「別の…世界から。…」

 

「彼にも聞いてみたのですが、わからないというだけで…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!…そういえばジャック君は…!?」

 

「ああ、ジャックならあそこに…」

 

 

ルーフスは机を指差した。

 

しかしそこには本が山積みされていただけであった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…あいつどこに行ったんだ…」

 

「ブラッカス君、地下への看板は立てて置いたのですよね?」

 

 

 

「………ああ…たてて置きました…」

 

 

老人は安心した。

 

「それなら安心だ。」

 

 

 

「うーん…どこ行ったんだ?あいつ?」

 

 

 

 

 

 

「…ああ……そういえば……最初………立てるの……

 

忘れてました…………」

 

 

 

 

 

3人はのろまな少年を死んだような目で見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そばかすの少年の頭に3つ大きなたんこぶが出来た所で。

 

3人は蔵書の中から『帰還の書』を探していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『機関車の仕組み』、『機械工学』…」

 

「歴史書、歴史書…」

 

 

 

 

 

 

 

「があああ!!ぜんっぜん見つからないじゃねーか!」

 

チェリーもため息をつく。

 

「さすがにこの図書館の本から一つの本を探し出すのは大変ですね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ブラッカス、何やってんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『き』…『か』…『ん』…『しゃ』…『の』…『し』…『く」

 

 

 

 

バシコン!!

 

 

ルーフスは近くにあった薄い絵本で頭をはたく。

 

 

 

 

「おせーんだよ!!しかもその本俺が確認したから!!」

 

 

「……あ……」

 

 

 

 

「…たく…なんでこんなのろまなんだ…?」

 

 

「…いったい……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ!!……バンダさん、もしかしたらこの本ですか!?」

 

 

チェリーが緑の表紙の本を差し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま…まさしくこの本です!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?…息子がいなくなったですって!?」

 

 

 

 

「……そうなんです……鶏を小麦で……集めていたのですが……

 

それから…帰ってこないままで……」

 

 

「……何故なんでしょう……この近くに村なんて一つもありませんし…」

 

 

 

「……私達にも……分かりません………彼が戻る事を……祈るばかりでございます…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ああ…じれったい…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!!ジャック!!」

 

 

 

 

 

見るとチェリーとルーフス、バンダ、…知らない少年が立っていた。

 

 

 

 

「あ…あんちゃん!!」

 

 

ジャックは駆け寄る。

 

 

「ご無事で良かったです!」

 

 

 

 

 

 

 

「おお……………ブロッカス………!!」

 

 

 

 

「………………………!!………お父さん……………!!」

 

 

 

 

 

スローモーションのような再開。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…皆様…本当に…ありがとうございました。…お礼に………我が村で………お茶でも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わあ、おいしいパンプキンパイ!!…これあなたが作ったの?」

 

少女達は隣り合って話し合っている。

 

 

 

「……はい……少し……砂糖が……多かったかも……」

 

 

「また今度、一緒に作りましょうね!」

 

 

「……はい!……」

 

 

 

 

 

 

「ここが…異次元…素晴らしい…」

 

バンダは結晶と草原の入り混じるミステリアスな光景に目を奪われていた。

 

 

 

「なるほど…この世界の時間は、私達が住んでいる世界の時間より遅く進んでいるのですか!」

 

いつもは冷静な老人も、異次元に来てしまっては興奮を押さえられないようだ。

 

「そして夜でもモンスターを気にせずに過ごせる…!…とても面白い世界ですね…!」

 

「…ほ…っほ…っほ…喜んで頂けたなら…私も嬉しいです…」

 

 

 

 

 

時の遅い世界の時間は、更に更に、ゆっくりと流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…バンダさん……また……いつか…また…働いてみたいです…」

 

「私も、君に働いてもらいたいのです。君は確かに遅い所があります。

 

しかし、一つの事に真剣に仕事を行う様子はしかと評価していますよ。」

 

 

 

「…ありがとうございました……!」

 

 

「…また…来てね!…チェリー…!!」

 

 

「では…また…会う日まで…!」

 

 

ルーフス達も異次元の人々に手を振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして帰還の書に吸い込まれていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからルーフス達は、メディウス・ライブラリーに一晩泊まった。

 

 

翌日の朝。

 

 

ルーフス達は眠っているステーラの横で、バンダと話をしていた。

 

 

「いろいろな本を読ませてくれて、ありがとうございました。バンダさん。」

 

「本当に面白かったです!!」

 

ジャックはまだ目を輝かせていた。

 

「いえいえ…君は私の子供の時にそっくりだ。私も初心を振り返る事ができました。

 

ジャック君。…これを受け取ってください。」

 

 

そこにはボロボロの百科事典。

 

いまにも千切れそうな付箋が無数のページに貼られている。

 

 

「私が若い頃から使っている百科事典です。」

 

「え…い、いいんですか!?…こんな大切なもの…」

 

 

 

 

 

「私もいずれは衰え、死んでしまいます。しかし、私の『努力』は残しておきたいのです。

 

付箋を貼って、実際に見て、聞いて、行った『努力』をそこに詰めてあります。

 

 

 

君は私のような…いや、私を超えるような勉強家になってほしい。

 

…受け取ってください。ジャック君。」

 

 

 

バンダは優しく微笑んだ。

 

 

「…絶対、大切に使います…!!」

 

ジャックは真剣な眼で答えた。

 

 

 

 

ルーフスとチェリーは黙ってジャックを見守っていた。

 

 

 

 

 

 

「さあ、行くぞ、ステーラ。」

 

 

「クゥン…?」

 

 

 

 

 

「では皆さん、お元気で!!」

 

 

「さようならー!!」

 

「ありがとうございましたー!!」

 

「お元気でー!!」

 

 

「ワオン!ワオン!!」

 

 

 

 

 

森の中を抜け、ルーフス達は険しい山々を登っていた。

 

辺りには牛が荒い息をたてていた。

 

 

 

 

 

 

チェリーは思い出した。

 

「あ!バンダさんの歳、聴くの忘れてた!」

 

「はははは…意外と鈍いなー…ブラッカス達の鈍さが映っちまったのか?」

 

「ははははは!!」

 

 

チェリーは顔を赤らめる。

 

「も、もう!…ルーフスさんとジャック君たら…」

 

 

 

 

 

 

この『世界』で、今日も愉快な旅を続けているルーフス達であった。

 

 

 

 


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