Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
「?・・・犬?」
少年の目の前にいたのは鋭い目をした一匹の狼であった。
「ああ、あっちにあるタイガのバイオームからきたのか。よしよし、はいおt」
「ガルルルル!」
「うわわ!噛みつくな!いてててててて!」
その時、どこかから野太く、力強い声が聞こえてきた。
「俺は犬じゃねえ!」
「・・・?」
少年はあたりを見回した。
声から推測される男性の姿はどこにもない。
少年は首をかしげながら、自分の右耳を手のひらでたたいた。
「う~ん・・・モンスターに襲われて耳がどうかしてしまったかなあ・・・?」
「おい!ここだよ!」
目の前にいる狼から聞こえてくる。
少年は沈黙した。
「・・・」
狼も応答をまった。
「・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「キャ・・・」
「キェァアアアアアアア!!シャベッタァァァァアアアアア!!!」
「第一声それ!?お前絶対ニコニコ動画毎日見てるだろ!?」
「俺はライモン、昔は冒険家だったんだ。」
「え・・・いや・・・その姿でそれ言われてもなぁ・・・信じられねえよ・・・」
「ハハハ・・・まあそうだろうな。昔は人の姿だったんだがな・・・」
「・・・なんでその姿になったんだ?」
「それは・・・・・・」
これは昔の冒険家の話。
冒険家は洞窟を探索していた。
「松明も残り少ない・・・かといってもう後戻りは難しい・・・ん?」
目の前に見えたのは謎の石レンガで囲まれた空間だった。
「こんな洞窟の奥深くに人工的な空間があるだと・・・・!」
そして少しいくと謎の黒い光を放つ門があった。
その周りには十二個の独特の光沢を放つ玉がはめ込まれていた。
「ここは・・・?」
その門に近づいた冒険家は・・・
「う、うわああああああ!!」
漆黒の門へと吸い込まれてしまったのだ。
目が覚めるとそこは黒い柱が無数に立つ怪しい場所だった。
謎の紫色の目を持った長身の生物も無数にいたのだ。
無数の紫色がこちらを見ている。
「な・・・なんだ!?あいつらは・・・」
冒険家は怖くなり門から帰ろうとした。
が。
すでに門の上にはその生物がいたのだ。
「い・・・いつのまに・・・?」
その生物は口を開かずに話した。
「ココハ・・・シラレテハナラナイセカイ・・・」
「セカイハ・・・モウジキイッショクトナル・・・」
「オマエヲ・・・ナカマトトモニサセナイ・・・」
そしてとても低い声が後ろから聞こえてきた。
「ソウ・・・シラレテハイケナイ・・・」
冒険家が後ろを向いた時、もう遅かったのだった。
謎の巨大な物体に頭を強打されたのだ。
目が覚めるとそこは青空と森の中。
地上に戻っていたのだ。
体に異変を感じる。
足で立つことができないのだ。
――――四足であるかなければいけなかったのだ。
「・・・というわけだ。幸い、声を狼に完全に変えることはできなかったようだがな。」
少年ははっとした。
終わりの世界から現れるモンスター。
ライモンが言っている謎の世界はたぶん、終わりの世界だろう。
父が向かった場所・・・
「俺はその遺跡を再度探している。地上に戻った地点はまったく分からない場所だったからな。」
「本当にひどい目にあったんだな・・・よしよし」
「おい!お、俺をなでるんじゃねぇ!」
「あ、ごめん・・・犬だからつい・・・」
「だから俺は犬じゃねえっつーの!お・お・か・み!・・・まったく、おれは子供でもないし犬でもない、狼で四十さ・・・えふんえふん。」
「え・・・!!」
「えーまじ四十歳?キモーイ!四十歳が許されるのは、小学生までだよねー!キャハハハ!」
「文章わけわからんし!やっぱりお前ニコニコ動画観てるだろ!」
「本題に戻そう・・・おれはこの狼の体じゃまたやられてしまうだろう。」
そういうとライモンは前足と前足を無理やり合わせた。
「頼む・・・!協力するから・・・な?」
「そう言われてもな・・・俺は一人で旅をしたいんだけど」
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
「オマエも観てんじゃねーかよ!」
こうしてライモンが仲間となった。