Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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4:終わりの世界

「?・・・犬?」

少年の目の前にいたのは鋭い目をした一匹の狼であった。

「ああ、あっちにあるタイガのバイオームからきたのか。よしよし、はいおt」

「ガルルルル!」

「うわわ!噛みつくな!いてててててて!」

 

その時、どこかから野太く、力強い声が聞こえてきた。

「俺は犬じゃねえ!」

「・・・?」

少年はあたりを見回した。

声から推測される男性の姿はどこにもない。

少年は首をかしげながら、自分の右耳を手のひらでたたいた。

「う~ん・・・モンスターに襲われて耳がどうかしてしまったかなあ・・・?」

「おい!ここだよ!」

目の前にいる狼から聞こえてくる。

少年は沈黙した。

「・・・」

狼も応答をまった。

「・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「キャ・・・」

 

「キェァアアアアアアア!!シャベッタァァァァアアアアア!!!」

「第一声それ!?お前絶対ニコニコ動画毎日見てるだろ!?」

 

 

「俺はライモン、昔は冒険家だったんだ。」

「え・・・いや・・・その姿でそれ言われてもなぁ・・・信じられねえよ・・・」

「ハハハ・・・まあそうだろうな。昔は人の姿だったんだがな・・・」

「・・・なんでその姿になったんだ?」

「それは・・・・・・」

 

これは昔の冒険家の話。

冒険家は洞窟を探索していた。

「松明も残り少ない・・・かといってもう後戻りは難しい・・・ん?」

目の前に見えたのは謎の石レンガで囲まれた空間だった。

「こんな洞窟の奥深くに人工的な空間があるだと・・・・!」

そして少しいくと謎の黒い光を放つ門があった。

その周りには十二個の独特の光沢を放つ玉がはめ込まれていた。

「ここは・・・?」

 

 

その門に近づいた冒険家は・・・

「う、うわああああああ!!」

 

 

漆黒の門へと吸い込まれてしまったのだ。

 

 

目が覚めるとそこは黒い柱が無数に立つ怪しい場所だった。

謎の紫色の目を持った長身の生物も無数にいたのだ。

 

無数の紫色がこちらを見ている。

「な・・・なんだ!?あいつらは・・・」

冒険家は怖くなり門から帰ろうとした。

 

が。

 

すでに門の上にはその生物がいたのだ。

 

「い・・・いつのまに・・・?」

 

その生物は口を開かずに話した。

 

「ココハ・・・シラレテハナラナイセカイ・・・」

「セカイハ・・・モウジキイッショクトナル・・・」

「オマエヲ・・・ナカマトトモニサセナイ・・・」

 

そしてとても低い声が後ろから聞こえてきた。

 

「ソウ・・・シラレテハイケナイ・・・」

 

冒険家が後ろを向いた時、もう遅かったのだった。

 

謎の巨大な物体に頭を強打されたのだ。

 

 

 

 

 

 

目が覚めるとそこは青空と森の中。

 

地上に戻っていたのだ。

 

体に異変を感じる。

 

足で立つことができないのだ。

 

――――四足であるかなければいけなかったのだ。

 

 

 

 

 

「・・・というわけだ。幸い、声を狼に完全に変えることはできなかったようだがな。」

 

少年ははっとした。

 

終わりの世界から現れるモンスター。

ライモンが言っている謎の世界はたぶん、終わりの世界だろう。

父が向かった場所・・・The End(ジ・エンド)であろう。

 

「俺はその遺跡を再度探している。地上に戻った地点はまったく分からない場所だったからな。」

「本当にひどい目にあったんだな・・・よしよし」

「おい!お、俺をなでるんじゃねぇ!」

「あ、ごめん・・・犬だからつい・・・」

「だから俺は犬じゃねえっつーの!お・お・か・み!・・・まったく、おれは子供でもないし犬でもない、狼で四十さ・・・えふんえふん。」

「え・・・!!」

 

 

 

「えーまじ四十歳?キモーイ!四十歳が許されるのは、小学生までだよねー!キャハハハ!」

「文章わけわからんし!やっぱりお前ニコニコ動画観てるだろ!」

 

 

「本題に戻そう・・・おれはこの狼の体じゃまたやられてしまうだろう。」

そういうとライモンは前足と前足を無理やり合わせた。

「頼む・・・!協力するから・・・な?」

「そう言われてもな・・・俺は一人で旅をしたいんだけど」

「僕と契約して魔法少女になってよ!」

「オマエも観てんじゃねーかよ!」

 

こうしてライモンが仲間となった。

 


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